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1〉 「ビル・ゲイツ「韓国に革新はない?それは間違っている」」

 これは、記事の見出しでは無い。中央日報ネット版に貼られた「リンクにつけられたキャッチコピー」とでも言えばよいだろうか。上記1〉文字の処をクリックすると、下掲中央日報記事が開く。
 
 最初は「リンク先が誤っているのでは?」と思ったが…どうも、そうではない、らしい。
【中央日報】韓国で事業失敗すれば家族へ…企業家精神を育てるには法改正を
2015年03月18日14時45分
[中央日報/中央日報日本語版]
   ジム・ヨン・キム世界銀行総裁は元医者で、米国大学の総長を務めた。経済専門家ではないが、新興国開発のための資金支援と経済開発を後押しする世界銀行の総裁となってから約3年過ぎた。司空壱(サゴン・イル)中央日報顧問兼世界経済研究院(IGE)理事長は米ワシントンの世界銀行でキム総裁に会い、経済の懸案と構造改革、革新、教育システム、広域流行病事態まで、幅広いテーマで意見交換した。

【Q1】 司空壱=今年1月、世界銀行が世界経済の成長予測値を低めた。多くの人がその理由を心配している。

【A1】 キム=昨年6月に世界銀行が出した今年の世界経済成長率予測値は3.4%だった。今年1月に3%に下方修正した。国際原油価格が年率(現在の傾向が続く場合、今年の年末基準の原油価格下落予想値)で40-45%落ちた。これほどの原油価格下落なら世界総生産は普通0.7-0.8%増える。しかし他のさまざまな要素があり、GDPはそれほど増えないだろう。さらにロシア、ベネズエラ、ナイジェリアなど一部の原油輸出国は原油安で大きな苦痛を受けている。ロシアとウクライナには地政学的な不安要因もある。また、日本のように一部の国がデフレから抜け出すうえでマイナスに作用するかもしれない。

【Q2】 司空壱=原油安には確かにマイナスの側面もある。米国のような国では地域と産業によって影響が異なる。しかし全体的に見ると、原油安は世界経済にプラスになるだろう。

【A2】 キム=その通りだ。総合的に見ると、原油安は全般的にプラスだ。しかし影響はそれぞれ異なる。さらに欧州と日本の不確実性が続くとみて、世界経済の成長予測値を低めた。

【Q3】 司空壱=こうした厳しい環境の中でも原油価格の下落をチャンスにする国もある。

【A3】 キム=(産油国の)メキシコは原油価格が落ちる中でも改革作業をうまく進めている。我々(世界銀行)はインドを評価している。インドのモディ首相も難しい改革作業に積極的に取り組んでいる。原油輸入国が低金利・原油安をうまく活用して重要な改革を推進しやすい時期だ。

【Q4】 司空壱=私は韓国が原油安を活用して必須の構造改革やエネルギー価格などの相対価格構造を改革する必要があると考える。こうした良い機会を逃してはいけない。米国の利上げと低金利時代の終焉が一部の新興国に危険要因として作用するようだ。

【A4】 キム=米国と英国では6、7月に最初の利上げの動きがあると予想する。新興国について我々が最も憂慮する点は民間資本の投資だ。米国や欧州がインフラ投資を増やせば、グローバル資金がより安全な先進国に移動する可能性が高い。すでに新興国に多く投資した人たちは新興国投資を避ける可能性がある。新興国が外資誘致のためにもっと努力しなければいけない理由だ。ただ、韓国はうまくやっているとみている。

【Q5】 司空壱=私も韓国がよくやっているとみる。では、日本経済はどうだろうか。【A5】 キム=黒田東彦日本銀行(日銀)総裁がアジア開発銀行(ADB)総裁を務めた時、一緒に仕事をした。私が見るに、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の改革意志は明確だ。彼らは今、非常に難しい改革課題に取り組んでいる。労働市場の柔軟性強化と女性の経済活動拡大、外国人労働者の受け入れなどだ。改革の成敗は彼らが日本議会をどれほどよく説得するかにかかっている。

【Q6】 司空壱=安倍改革の1次目標は達成されたと見てもよい。しかしもう少し構造的で中期的な改革が残っている。成敗は安倍首相が3本目の矢であり政治的に難しい課題である構造改革をきちんとできるかどうかにかかっている。話題を変えて、国家間の不平等は全般的に改善されているが、新興国などの内部では不平等が悪化している。

A6】 キム=必ずしもそうではない。例えば南米地域では中産層がかなり増えた。不平等に関し国際通貨基金(IMF)が非常に興味深い研究をしたことがある。あまりにも激しい不平等が成長の障害になるということだ。世界銀行の明確な目標の一つは、所得基準で下位40%に属する人々の収入を向上させることだ。世界銀行の歴史上初めてすることだ。

【Q7】 司空壱=長い観点で見ると、不平等の解消は教育に見いださなければいけない。

【A7】 キム=米国では貧しい家と裕福な家の学生が行く学校の格差があまりにも大きい。貧困が相続される理由だ。韓国でも教育システムをめぐり激しい論争があることをよく知っている。韓国の教育制度は若者が決断力と意志を持つようにする長所がある。革新的な企業を見ると、若者の声が反映されるシステムを備えているということがわかる。しかし韓国の企業や社会では若者の声が反映されないという不満があると聞いている。韓国が改善するべき点だ。

【Q8】 司空壱=相対的な意味で韓国教育制度には良い点がある。しかし私は韓国の教育制度の改革は必須だとみている。あなたが企業風土の話をしたが、韓国の学生は多くの時間を塾などで過ごしている。行き過ぎた私教育問題が解決されなければ、富の相続現象は深刻になる。公教育改革が目の前の問題である理由だ。また、韓国が失敗に寛大になるべきだとみる。米シリコンバレーでは履歴書に失敗の経験を書くのが有利だ。一方、韓国では失敗の経験を隠すのがよい。こうした風土では冒険的な企業家精神が花を咲かせるのは難しい。

【A8】 キム=企業家精神を育てるために負債に関する法体系も変えるべきだとみる。私はソウルを訪問した時、若い創業者と対話した。彼らは『事業をして失敗すれば、借金を抱えた人が家族と兄弟・妹に駆けつける』と話した。借金に対する責任がすべての家族に拡大する。米国ではそうではない。韓国経済の最も大きな長所は人材、特に若い人材だ。

【Q9】 司空壱=難しい環境でも韓国企業家の活動が今まで大きく成功したのは驚くことだ。

【A9】 キム=ビル・ゲイツ・マイクロソフト(MS)創業者と韓国について話したことがある。彼は韓国を称賛する。ゲイツは「韓国には革新がなく、製造がほとんどだという人たちがいるが、それは間違っている」と話した。ゲイツは声を高めて「そのように言った人たちは革新が何か分かっていない」とし「最も偉大な革新は製造過程の改善だ。新しいアイデアを活用して製作の過程を変えることが時には偉大な革新だ」と強調した。マイクロソフトがなぜ成功したかが分かる言葉だ。

【Q10】  司空壱=韓国企業もこれまでとは違う本当の意味での革新を急がなければいけない。

【A10】 キム=韓国は非常にうまくやっている分野が多い。私が見るに韓国の都市地域の水管理は世界最高レベルだ。世界銀行は韓国の水管理経験を世界に普及させる予定だ。我々はさまざまな革新経験を受け入れている。また、我々はさまざまな投資家と手を組んで新興国で仕事をすることを望んでいる。ソウルに世界銀行事務所がある。誰でもそこで世界銀行の職員に投資関連情報を要求することを願う。

【Q11】 司空壱=あなたは世界銀行総裁になる以前から広域流行病の予防に大きく寄与した。さらに恐ろしい広域流行病がいつでも発生する可能性があると警告したりもした。ちょうどエボラなど広域流行病が重要なイシューだ。各国政府と国際機構が協力して防疫システムをつくり、広域流行病事態が発生した時により速かに対応するのが何よりも重要だ。世界保健機関(WHO)と世界銀行、各国政府が緊密に協力することを願う理由だ。

【A11】 キム=エボラ事態を体験し、世界がどれほど準備できていないかを知った。エボラ事態が発生してから9カ月過ぎた昨年8月2日に最初の資金支援を世界銀行が約束するほどだった。当時、我々は2億ドルを支援すると発表した。その後、他の支援金が約束された。あまりにも遅い対応だった。

【Q12】 司空壱=この問題は人類すべての重要なイシューだ。もう少し詳しく説明してほしい。

【A12】 キム=致命的なウイルスのために広域流行病が未来に発生する確率は事実上100%だ。ある分析結果によると、広域流行病への対応が数週や数カ月でなく数時間や数日以内に行われれば救われる生命は非常に多い。私は未来に広域流行病事態が発生すれば、人間だけでなく経済システムを保護するのが世界銀行の任務だと考える。20世紀初めのスペインのインフルエンザ事態のように約2500万人が死亡するようなことが発生すれば、世界経済はどうなるだろうか。保健システムが十分でなければ、広域流行病が大きく広がることがある。このため我々は民間投資を積極的に誘致し、保健システムを強化するのに集中する予定だ。

【Q13】 司空壱=事態が広がった後の速い対応も重要だが、事前予防がさらに重要だ。貧しい国のためのワクチン開発は市場性が低い。ワクチン開発を民間製薬会社だけに依存できない理由だ。公共部門の役割が必要だとみる。

【A13】 キム=私の経験からみて、民間製薬会社も大きな損失さえなければ良いことに参加しようとする。もう少し余裕がある国の投資も必要だ。我々みんながエボラ事態を記憶しなければいけないという点を改めて強調したい。



「ハーバード大医学・人類学博士、米ブラウン大学士」。つまり「ビル・ゲイツに会った事がある」と言うだけ

 第一、上掲中央日報記事でビル・ゲイツ氏が登場するのは、以下の部分だけ。

2〉「韓国には革新がなく、製造がほとんどだという人たちがいるが、それは間違っている」
3〉「そのように言った人たちは革新が何か分かっていない」とし
4〉「最も偉大な革新は製造過程の改善だ。
5〉新しいアイデアを活用して製作の過程を変えることが時には偉大な革新だ」

と、本当にビル・ゲイツが言ったかどうかは、少なくとも「定かでは無い」。中央日報としては”当然”ビル・ゲイツ当人の確認は取っているのだろう。

 だが、まあ、そこはジン・ヨン・キム先生を信用して、上記2〉~5〉「ビル・ゲイツが本当に言った事」であり、なおかつ(リップ―ビスでも社交辞令でも追従でもなく)「本心であった」と仮定しよう日本語にして4千字を越える上掲中央日報記事の「本質」が、上記2〉~5〉「ビル・ゲイツが韓国を誉めた」かね?

 ジム・ヨン・キム世界銀行総裁殿に対し司空壱(サゴン・イル)中央日報顧問兼世界経済研究院(IGE)理事長殿がインタビューし、韓国経済から日本のアベノミクス、果てはエボラ禍まで議題にした13問に及ぶ質疑応答の神髄が、「ビル・ゲイツが韓国を誉めた」かね?


良く読むと…「実は、韓国を誉めてはいない」?ビル・ゲイツ

 ビル・ゲイツは、上記2〉韓国には革新がなく、製造がほとんどだ」を「間違っている」としている。
 上記4〉、「製造過程の改善」を「最も偉大な革新」と断言し、上記5〉で更に詳述し、直接的には「製造」を誉めている。

 つまり、「韓国にも革新はある」と解釈するためには①「韓国は製造が殆どだ」は「間違っておらず」、②「製造過程の改善こそ最も偉大な革新」であるから③「製造が殆どである韓国にも革新はある」と言う「三段論法」でなければならない。

 なんにせよ、①「韓国は製造が殆どだ」≒「韓国には開発が無い/少ない」は、ビル・ゲイツ氏も中央日報も認める「衆知の事実」という事だ。
 
 それでも、上記4〉最も偉大な革新」と断言している「製造過程の改善」が、上記5〉では「時には偉大な革新だ」に「トーンダウン」している。

 ビル・ゲイツ先生、「相当無理矢理に韓国を誉めて」はいないかな?