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 福島原発事故を受けての原発安全基準見直し、分けても「原発運転期間原則40年」を受けて、幾つかの(運転期間が40年以上となる)老朽原発廃炉が決定された。「最近まで原発稼働していれば、それだけ電力を稼げて、火力発電の燃料代だって節約できたろうに」と、真面に考える頭を持つ者ならば考えよう。少なくとも「電力を商品としている電力会社」は考える/考えていた筈だ。

 さはさりながら、事故を起こした福島第一以外の初の廃炉決定。「全原発稼働停止・即時廃炉」を唱えてきた脱原発原理主義者共は、さぞや大喜びの大騒ぎ、と、思いきや…これがどうも、そうでは無い。

【朝日社説】廃炉の決定―「脱原発」を見すえてこそ
2015年3月18日(水)付

【1】  関西電力と日本原子力発電(原電)が、運転開始から40年を超えた原発3基の廃炉を決めた。中国、九州の2社も計2基の廃炉を18日に決める予定だ。

【2】 運転期間を原則40年とする、福島第一原発の事故後に設けられた規制が初めて適用される。

【3】 日本の発電所に48基ある原子炉(商業炉)のうち、20基近くが運転開始から30年以上経過している。延長は1回だけ認められるが、特別な審査に合格しなければならず、追加投資の必要も生じる。今後は毎年のように、廃炉にするのか決断を迫られるようになる。

【4】 1963年に原子力発電に成功して以来、日本は後始末に道筋をつけないまま原発を推進してきた。このため、廃炉を進めるために解決しなければならない課題が山積している。これらを克服し「廃炉できる国」にしていくことは、脱原発を着実に進める前提にもなるはずだ。

■未解決のゴミ問題

【5】 廃炉事業で最も深刻なのが、ゴミの問題だ。解体にともなって出る使用済み核燃料と放射性廃棄物の置き場所が決まっていない。

【6】 使用済み燃料については、全量を再処理する「核燃サイクル」を掲げることで直視を避けてきた。しかし、事業は事実上破綻(はたん)している。使用済み燃料は原発の冷却プールや乾式キャスクに入れて敷地内に保管せざるをえないのが実情だ。

【7】 特に関西電力は、福井県と「使用済み燃料の保管・処分は県外で」と約束してきた経緯がある。今回、美浜2基の廃炉を決めたことで、この約束とも直面することになる。

【8】 放射性廃棄物の取り扱いもやっかいだ。線量の多寡によって分別され、それぞれ地中で管理する方針は決まっている。だが、高レベル廃棄物はもとより、低レベル廃棄物も処分地が決まっていない。埋設にあたっての管理基準もこれからだ。

【9】 処分のめどが立たなければ廃炉作業自体が滞る。実際、国内の商業炉で初めて廃炉を決めた原電の東海原発(茨城県)では低レベル廃棄物の処分法が確立できないため、一度3年延期した原子炉の解体作業の着工をさらに5年先送りしている。

【10】 政府は高レベル廃棄物の最終処分場について、立候補を待つ方式を改めて、自ら候補地の選定に乗り出す。どこにも決まらなかった経緯を考えれば、選定は難航が予想される。一方的な押しつけにならないよう手続きの透明性とともに、対話する機会を確保することが何より大切になる。

■必要になる地元支援

【11】 原発が立地する地域にも配慮する必要がある。

【12】 立地自治体には現在、電気料金に含まれる税金を財源とした電源三法交付金が配られているが、廃炉が決まれば対象外となる。経済的な自立の難しい過疎地域で、自治体財政を原発マネーに依存しているところが多いだけに影響は少なくない。

【13】 お金を理由に立地自治体が原発の維持や建て替えを望む悪循環は断ち切らなければならない。ただ、いきなり住民生活に支障が出ることは避けるべきだ。当面、何らかの財政支援が必要になるだろう。

【14】 人口も資源も少ない地域の振興は容易ではない。それでも、事故で大きな被害を受けた福島県は、再生可能エネルギーによる再生にかじを切った。福井県でも地域の資源を見つめ直す動きはある。国は、電力消費地との連携をとりもつなど、原発からの自立を積極的に支えることに注力してほしい。

■自由化に沿うものに

15】 政府は、電力の自由化を進めている。16年度には電力大手の地域独占を廃し、20年度には発送電を分離する計画だ。電気の利用者は、自由に電源を選べるようになる。

【16】 一方、廃炉は20~30年かかる長丁場の事業になる。そのコストは一体、誰が負担するのか。

【17】 今回の廃炉にあたっては会計処理のルールが見直され、必要額を電気料金から回収できるようにしている。廃炉費用の負担が電力会社にとって過大であれば、廃炉自体にブレーキがかかるとの考えからだ。

【18】 今後についても送電網の使用料の一部として広く国民に負担を求める案が浮上している。だが、政策上増やしていく電源ならともかく、配慮が過剰になれば減らしていくべき原発の温存につながる恐れがある。競争上の公平さからも疑問は残る。詰めの論議が必要だ。

【19】 廃炉の道筋を整えることは一面で、原発を更新しやすい環境をつくることにもなる。しかし、福島第一原発の事故を思えば、脱原発につなげることにこそ、廃炉を進める意味がある。

【20】 関西電力は同じ17日、40年前後の原発3基の運転延長を求めて、原子力規制委員会に審査を申請している。脱原発依存を着実に進めるのか。政府はエネルギーの将来絵図を明確に示すべきである。



【琉球新報社説】老朽原発廃炉 再稼働と結び付けるな
2015年3月19日


1】 関西電力や日本原子力発電など電力4社は、運転開始後40年前後となり、老朽化した原発計5基の廃炉を決めた。東京電力福島第1原発事故後に定めた、原発の運転期間を原則40年とする規定に従って、電力会社が廃炉を決めるのは初めてとなる。

【2】 原発行政の転換点と見る向きもあるが、政府や電力各社の今後の動向を注視する必要があろう。老朽原発の選別を進めることで脱原発依存の実績をアピールし、再稼働への抵抗を和らげたいとの思惑が透けて見えるからだ。くぎを刺しておきたいのは、老朽原発の廃炉を進めることと、原発の再稼働とは一切無関係である点だ。

【3】 今回、廃炉が決まった関電美浜原発1、2号機(福井県)など5基の原発は、出力が34万~55万キロワットと比較的小さく、運転を続ける場合に必要な安全対策の費用などを回収できない可能性が指摘されている。一方で関電は、運転開始から40年前後たった美浜3号機と高浜原発1、2号機(福井県)の再稼働に向けた申請を17日に行った。いずれも出力は約82万キロワットと廃炉が決まった5基に比べて大きく、収益力向上への貢献が見込まれるという。

【4】 同じ老朽原発にもかかわらず、採算性だけで廃炉か存続かを判断するのは、福島事故の教訓に学ぶことを放棄したも同然であり、極めて危険だと指摘せざるを得ない(*1)。

【5】 かつて原発の発電コストは安いと吹聴されたが、単なる幻想にすぎなかったことは、福島第1原発の現状を見れば、もはや説明不要だろう(*2)。事故から4年が経過したが、いまだ汚染水対策さえままならず、被害者への賠償や廃炉作業など、処理費用は少なく見積もっても11兆円規模に膨らむ(*3)。 

【6】 何より危ういのは、老朽原発でも巨額投資をして安全対策を施したから、過酷事故の心配は無用とばかりに、再稼働に前のめりになっている政府や電力会社の姿勢だ。新たな「原発安全神話」にほかならないことに、いいかげん気付くべきだ(*4)。

【7】 そもそも廃炉には課題が山積する。核のごみが大量に発生するにもかかわらず、最終処分地確保の見通しは立っていない。当然、再稼働をすれば、行き場のない核のごみはさらに増え続ける(*5)。

【8】 政府や電力会社が今なすべきことは、原発回帰の姿勢を180度転換した上で、廃炉の道筋を明確に示すことだ(*6)。


<注釈>

(*1) 経営者を何だと思ってるんだ?電力会社は公共性が高いが、採算性を免れる訳が無かろうが。 

(*2) ああ、そこで思考停止に陥ってしまう、脱原発原理主義者に対しては、な。私(ZERO)のような「異教徒」は、福島原発事故による損害賠償も含めて発電コストを計算する。少なくとも「説明」を要求するぞ。 

(*3) 風評被害は発電コストじゃないぞ。
 第一、現状「稼働ゼロ」に追い込まれている40基以上の我が国原発が、その11兆円を20年で返済すると考えると、1基0.5GW=50万kW(5×10^5kw 新型の原子炉なら1基で1GW発電できるが、稼働率もあるからな)と仮定して、1年間に24h×365日×5×10^5kw=4.38×10^9kwh これが原発40基なら、1.752×10^11kwh 20年稼働させれば3.504×10^12kwh

 一方11兆円=1.1×10^13円。これを上述の「原発発電による電気料金に加算」するならば、加算上乗せ分は (1.1×10^13円)÷(3.504×10^12kwh) =11÷3.504= 3.14円kw/h

 即ち,福島原発事故が20年に一度起きるとしても、その事による原発発電コストアップは約3円/kwh原発が火力に対し不利になりそうだし、水力に対しても”良い勝負”となりそうだが、太陽光や風力より圧倒的に優位である点は変わらない。可制御且つ大発電力で発電に伴う二酸化炭素排出ゼロで、だ。

 風評被害込みで、な。 

(*4) 大陸や半島の原発大増設計画に隻言半句も無い奴バラに言われてもねぇ
 「アリバイ作り」にでも、何か言ったらどうかね。”大韓民国”や”中華人民共和国”に対して「脱原発」を。 

(*5) 一斉廃炉にすれば、一斉に核のごみが発生する。尚且つ全損だな。
 稼働させれば、発電による償却も可能になるし、廃炉によるごみも順繰りになる。
 当たり前のことを言わずに、「再稼働をすれば、行き場のない核のごみはさらに増え続ける」と抜かす事の、何処が「当然」なんだ? 

(*6) 即ち「廃炉の道筋は未だ不明確である」とは、認めるんだな。 


為にする「脱原発論」の胡散臭さ

 さて、如何だろうか。
 
 一言で言えば「脱原発が大前提でやぁがる」。まあ、それ故に「脱原発原理主義」なんだが。

 しかし、こうして並べると、同じアカ新聞でもやっぱり痴呆紙、もとい、地方紙琉球新報は落ちるね。「原発怖いとしか言っていない。大陸や半島の原発大増設計画には何も言わないくせにね。きっと大陸・半頭からの放射線は「身体に良い」んだろうさ。

 そこへ行くと流石は全国紙、朝日は狡猾だ。
 
 だが、
 
脱原発依存を着実に進めるのか。政府はエネルギーの将来絵図を明確に示すべきである。

昨年末の衆院選前に、「安倍政権の原発回帰」を糾弾しておいて、今さら今頃何を言っているんだ。