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 人民解放軍と言えば、頭数では世界一の軍隊。中華人民共和国の人口からすると、動員率は大したことないし、何より建国・健軍以来「中国共産党の私兵」であって「国軍/国民軍」になった事が無い。「人民の軍隊」などと自称し、名前も人民解放軍(*1)」とついているのに、名は体を表わさない。
 
 そんな「世界最大の私兵集団(*2)」状態を、中国共産党としては今後も続けたい、らしい。

 

<注釈>

(*1) それを言うなら、健軍以来、「人民」を「解放」した事は、ただの一度も無いんじゃなかろうか。 
 
(*2) と言うより、「史上最大の私兵集団」か。
 
【人民日報海外版コラム「望海楼」】「軍の国軍化」は法理上の基礎を欠く
   http://j.people.com.cn/n/2014/1104/c94474-8804317.html
人民網日本語版 2014年11月04日15:19

 習近平国家主席は全軍政治活動会議で、軍は党による指導を堅持することを改めて強調した。軍最高司令官の軍建設・軍統制理念がうかがえることに加え、根本的な話題であることから、メディアのトップニュースとなった。(文:公方彬・国防大学教授。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
 
【1】 長年の間というもの、政治制度と指導制度に言及するだけで、われわれはいつも「軍の国軍化」をめぐる一部の人の詰問に直面してきた。実は、この問題に回答できる文章は山ほどある。それなのになぜ、この問題を注視し続ける人がいつもいるのか。政治観、価値観の原因以外に、議論が十分に深くないという問題もある。例えば、法理面の説明を強化する必要がある。

 
【2】 少し前に許其亮軍事委員会副主席は「法理上の観点から『軍の非党化、非政治化』および『軍の国軍化』に旗幟鮮明に反論・批判することに長ける必要がある」と表明した。これは問題の急所を突いており、強い啓示的意義を持つ。ここでは「軍の国軍化」を法理面から分析することで関係を整理し、明らかにし、是非を明らかにしよう。

【3】 どの国の指導体制や権力運用も、必ずその政治制度と互いに合致する。「軍の非党化」という考えを持つ人は、往々にして米国など西側諸国の制度モデルや権力運用方式を参照している。では、米軍の指導制度や国軍化はどのような様子なのか?その本質は何か?ここでは簡潔に対比的分析を行う(*1)。

【4】 米国は民主・共和両党による政権交代を実行しており、われわれは共産党の指導する多党協力を実行している。両制度に必ずしも優劣をつけなければならないことはないが、最良のものイコール自らに適しているとは限らず、自らに適したものこそが最良のものなのだと言える。文化伝統と人的・文化背景の違いが道の選択を決定する。

【5】 さらに分析すると、米国の民主・共和両党による政権交代で変わるのは執政理念と施政方策だけであり、政治制度ではない。米国の政治制度は米国憲法によってすでに確定されており、両党のどちらが政権についても変えることはできないからだ。従って、米国の政治制度と権力運用は憲法が決定している。例えば陸海空軍の司令官は大統領であり、その権力は米国憲法の条文に由来する。従って、米国の政党と大統領の権力は憲法に由来し、憲法に由来する権力こそが正当だと言える。

【6】 中国共産党の軍に対する指導権も、中華人民共和国憲法に由来する。憲法前文は「中国の各族国民は引き続き中国共産党の指導の下」各事業を行うと明記し、「中国共産党の指導する多党協力及び政治協商制度は長期にわたり存在し、発展する」と強調。第1条は「社会主義制度は中華人民共和国の根本的制度である。いかなる組織又は個人も社会主義制度を破壊することは禁止する」と強調。第2条は「中央と地方の国家機関の職権区分は、中央の統一的指導に従う」と明記している。こうした記述を総合して得られる結論は、「軍は党による指導を堅持する」との論理の起点は軍将兵の意志ではなく、国家と国民の意志であり、根本的に言って中国の政治制度と政治体制によって決定され、人民代表大会の可決した憲法によって付与されたものだ(*2)。

【7】 今の中国に、改革開放以来30年余りの時間、あるいは新中国成立以来65年の時間で、経済的崩壊の瀬戸際にあった中国を世界第2の経済大国へと押し上げ、中華民族を「世界の中心に最も近づけた」中国共産党を超える政治勢力はない。今の中国に、中国共産党よりも強力な指導能力を持ち、中華民族の偉大な復興という希望を短期間で国民に抱かせることのできる政治集団はないし、代表人物もいない(*3)。

【8】 従って、中国の未来のためを考えれば、「軍の非党化、非政治化、国軍化」を蒸し返す必要はない。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年11月4日

 

<注釈>

(*1) 意味:「都合の良い事しか言わない」 
 
(*2) 一党独裁国の憲法が、一党独裁しか認めないのは、ある意味当然。
 その一党独裁しか認めない憲法を、「一党独裁の根拠・正当性」とするのは、同義反復だろう。 
 
(*3)  皆殺すか、投獄するか、国外追放するかした上に、「大学卒なら中国共産党員」にしてしまうのだから、そりゃそうだろうさ。 
 

「中国は一党独裁国であるが故に、人民解放軍は党の私兵であり続け、国軍化は不要」って、ねぇ

 いやさ。私(ZERO)は理系の人間で、法学にはずぶの素人だが、こんな屁理屈としか思えない「法理面から分析」を、人民日報海外版コラム「望海楼」に掲載してしまう(*1)様では、中国共産党も、少なくとも「法理面」に於いては「先が無い」のではなかろうか。

 何しろ上掲コラムは、
 
 ①中国共産党の一党独裁体制は、中国憲法に基づいている。
 
 ②中国憲法は、人民代表大会が議決した、国家・国民の意思に基づいている。

 
 中国共産党は、支那に現存する最大の政治勢力である。故に人民解放軍は中国共産党が指導する=「人民解放軍の国軍化は不要」=「人民解放軍は中国共産党の私兵であり、私兵であり続ける。」
 
としか、言っていない。肝は上記③「人民解放軍は中国共産党の私兵」の正当化・根拠付けなのだが、その根拠が上記②「人民代表大会の議決」した上記①「中国憲法」だと言うのである。
 
 なるほどそういう「中国憲法」を頂いている以上、「人民代表大会の議決」は「国家の意思」ではあろう。そう、定義されているのだからな。
 
 だが、「人民代表大会の議決」を「国民の意思」と断じるには、少なくとも「ある程度の思想信条言論の自由」が必要だろう。これは、「人民代表大会議員の選挙・選出法」以前の問題だ。
 
 インターネット上の情報さえ検閲削除している国家に、「言論の自由」なんざぁ、ある訳が無い。従って現行・中国憲法を「中国国民の意思に基づいている」と言うのは、詭弁・虚構である。
 
 「革命は銃口から」と、毛沢東が断言しているからね。銃口さえ抑えておけば、革命には至らない、って魂胆だろうな。

 とは言え、その「銃口を抑える」のに「中国共産党の偉大な功績」や「国家の意思」はまだしも、「国民の意思」まで神輿に担ぎ出さなければならない処に、「中国共産党の窮状」を見るぞ。
 
 ああ、こんな屁理屈を「法理面からの分析」と公言してしまうのは、いつも通りかも知れないが、な。
 
 「心に闇を持つ者は、照らされた時、弱いよ。」―さとり@「うしおととら」―

 

<注釈>

(*1) って事は全世界へ向けて「中国共産党のプロパガンダ」として発信している、と言うこと