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 APECの序でに実施された日本国・安倍首相と中華人民共和国・習ナントカの「日中首脳会談」については、なかなか評価が分かれるモノらしく、同じ産経新聞に於いても、下掲の通り石平氏と宮島茂樹氏とではかなり評価が異なる様だ。
 
 尤も、この世の森羅万象殆どありとあらゆる事に賛否両論表裏比興は「ある」のが当然、無ければ不思議。
「両論併記」ってのは「曖昧な解決法」の一つではあるが、新聞報道としては「終始一貫首尾貫徹」よりは偏向報道の可能性を低減出来よう。

 
①【石平のChina Watch】首脳会談で敗者となった習主席

http://www.sankei.com/column/news/141113/clm1411130004-n1.html
.日中首脳会談を前に握手を交わす習近平国家主席(右)と安倍首相=10日、北京の人民大会堂 北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相との初の首脳会談に臨んだ習近平国家主席の態度は異様なものだった。こわばった表情はホスト役としていかにも不自然で、笑顔の安倍首相に挨拶の言葉をかけられても反応すらしなかった。

 余裕のある安倍首相の自然体と比べれば、習主席の態度は稚拙そのものだ。国際会議の晴れ舞台で「自信満々の大国指導者」を演じていたはずの彼が何ゆえにこんな失態を犯したのか。

 政権発足以来2年間、習主席はずっと安倍政権と対決路線をとってきた。日本との首脳会談を拒否する一方、国内外においては「安倍叩(たた)き」を進め、「極右分子・危険な軍国主義者」などの汚い罵倒を安倍首相に浴びせた。そして尖閣周辺の海域と空域では日本に対する挑発行為をエスカレートさせている。

 一方の安倍首相はその間、一心不乱に中国包囲網の構築を目指すアジア外交を精力的に展開した。日米同盟を強化した上、東南アジア諸国との連携を進め、あらゆる国際会議の場を借りて「力の支配」を企(たくら)む中国に対する批判と牽制(けんせい)を行った。

 その結果、アジアで孤立を深めたのは中国の方であった。一時にはベトナムとフィリピンが反中国の急先鋒(せんぽう)となってしまい、ASEAN諸国の大半も安倍首相の中国批判に同調する方へ傾いた。気がついたら、習主席のアジア外交は袋小路に入っていた。

 習主席は何とか劣勢をはね返して外交を立て直そうとし、中国が議長国を務めるAPECが最大のチャンスとみて着々と動き出した。まずはベトナムとの対立を緩和させ、フィリピンとの領土紛争も一時的に休戦させた。経済援助を手段に一部のアジア諸国を手なずけた。準備万端整えた上で習主席はAPECの大舞台に立ったのである。

 しかし彼には心配事があった。安倍首相の出方だ。中国が招かなくても、安倍首相が国際会議参加のために北京にやってくる。そしてもし、安倍首相がこの重要会議において相変わらずの中国批判を展開していたら、中国にとっての晴れ舞台が台無しになってしまう。会議を利用してアジア外交を立て直そうとする習主席の企みは、ご破算になりかねない。

 中国は結局、安倍首相を「野放し」にするようなことはできなかった。そのためには首脳会談に応じる以外にない。もちろん中国はそう簡単に折れたくはない。「領土問題の存在を認める」「靖国は参拝しない」という2つの条件を日本側に突きつけた。

 しかし、安倍首相は最後までそれを拒否した。窮地に立たされたのは習主席の方である。そしてAPEC開催の3日前、日中間でようやく4項目の「合意文書」が交わされた。もちろんそこには「靖国」のやの字も入っていないし、日本が認めたとされる「異なる見解」は決して「領土問題」を指していないことは一目瞭然だ。つまり中国は、日本側に突きつけた2つの「条件」を自ら取り下げて首脳会談に応じた。
 
 こういうことを強く意識しているからこそ、安倍首相との会談の冒頭、習主席は自らの悔しさを覆い隠すために、条件を引き下げたことを国民の目からごまかすために、わざと無礼な態度をとって虚勢を張るしかなかった。その瞬間、習主席は文字通りの敗者となった。

 習主席にとっての問題はむしろこれからだ。「靖国不参拝」を約束しなかった安倍首相はいつでも参拝できるが、首脳会談に踏み切った習主席にしては、安倍首相に「参拝されたら」大変なことになる。今後、安倍首相に気を使わなければならないのは習主席の方だ。安倍首相を怒らせるようなことはそう簡単にできなくなる。首脳会談後の日中関係で優位に立つのは、結局安倍首相の方ではないか。


【プロフィル】石平
 せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
 
 
②【宮嶋茂樹の直球&曲球】今こそ中国人に思い知らせてやるとき
http://www.sankei.com/column/news/141113/clm1411130008-n1.html
 小笠原諸島周辺などでサンゴの密漁やっとる中国漁船。台風が去ったとたん、スリッパでたたかれても死なんゴキブリみたいに、さっそく寄ってきよった。200隻近くもや。わが国をナメきっとる。

 いつまでわれわれ日本人は、中国人の無法に悩まされ続けるんや。「我慢もここまでや」と今こそ中国人に思い知らせてやるときやろ。
 簡単なことや。わが国は、法に則(のっと)ったプロセスを経て、自衛隊が適切に対処したらエエのである。

 中国船が「偽装漁民」やったらどうする。ワシが教えたるで。自衛隊初の「治安出動」をいち早く閣議決定し、空からはSH-60ヘリコプターが威嚇射撃し、海からは高速機動艇で乗り付けた特別警備隊が偽装漁民を急襲する。反抗してきた場合には、正当防衛射撃を法に則ってやったらエエのである。

 それやのに、北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)。外務省の官僚どもはいったい何やっとるの? 「歩み寄り」やて? 官僚の言葉遊びやろ。これを日本語では「屈服」というんや。

 これで日中間に領土問題が存在する、と認めたようなもんや。見てみい中国の外相の鬼の首取ったみたいな顔を。その上、中国人のビザを緩和する用意があるて?頭腐っとるんか。中国にとっての「利」ばっかりや。これで中国は絶対に尖閣で妥協せん。日本は中国をさらにのさばらせ、国際社会に誤ったメッセージを送ったのである。

 こんな“言葉遊び”しとるヒマあったら、何で帝都の、小笠原の海、荒らしまくっとる赤サンゴ強盗団を退治しない。何で北京で「もう容赦せん」と声を上げない。

 安倍晋三首相も岸田文雄外相も、中国の強盗船の狼藉(ろうぜき)を国際社会に向けて声を大にして訴えるべきやった。

 APEC加盟国と連帯を強め、「ともに中国と闘おう」とな。
 
 これで、中国の強盗船が何を盗(と)っても日本は指をくわえてみとるだけや、と認めたようなもんや。ワシら国民に、これからも中国に領土もサンゴも奪われ続けても「我慢せい」というんやな。

                   ◇
【プロフィル】宮嶋茂樹
 みやじま・しげき カメラマン。1961年、兵庫県出身。日大芸術学部卒。写真週刊誌を経てフリーに。東京拘置所収監中の麻原彰晃死刑囚や、北朝鮮の金正日総書記をとらえたスクープ写真を連発。写真集に男女の若き海上自衛官を撮った「国防男子」「国防女子」。
 

「何れも理あり」と見たが、如何

 それこそ「日本人的な曖昧な解釈」と言われそうだが、上掲①石平氏の評価も上掲②宮嶋氏の批判も、何れも相応に「理がある」=正しいのではなかろうか。
 
 上掲①石平氏「習近平の対安倍首相強硬路線の挫折」を以って「APECにおける日中首脳会談」を「日本側の外交的勝利」と評価するのに対し、上掲②宮嶋氏「サンゴ密漁中国漁船に対する毅然たる態度を表明しなった」事を以って日本政府の外交を批難している。尤も、後者については先行転載記事になって居る通り、「日本政府の外交」と言うよりは「外務省の外交」であるらしく、つまりは「出先機関の(例によって、と言うべきか)勝手な暴走」と言う面も在る様だ。即ち、上掲②宮嶋氏が非難すべきは、「外務省の媚中体質」であって、「安倍外交ではない」らしい。
 
 無論、「外務省の媚中体質」にも、「政府の弱腰外交」にも、上掲②宮嶋氏御指摘の通り十分警戒すべきであるが、上掲①石平氏指摘の通り、「日本の対中国外交は、安倍首相であるが故に、近年希に見るほど上手く行っている」のではなかろうか。

 「外交が上手く行く」とは、「国益を巧みに確保拡大している」事であって、「友好的な関係を築く」事では無い。
 再三繰り返す通り、外交は、戦争と同様に、「国益追求の手段」だ。