応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 大義が無い」とか、「あざとい(*1)」とか、とかく「非難の声」はあるものの、先の衆院選挙以来2年近く「近年希に見る長期政権(*2)」を維持してきた安倍首相が「突然(*3)」解散総選挙を宣言した事を受け、全国紙各紙は一斉に社説に取り上げている
 
 「あざと」かろうが「大義が無」かろうが、解散総選挙は首相の専管事項で「伝家の宝刀」。いつ抜こうが、抜かなかろうが、少なくとも「それだけで自動的に非難の対象になる」訳では無い、筈だ。確かに、「君主は、何をやっても悪く言われる」とは古代ローマ時代にキケロが喝破した処だから、21世紀日本の安倍首相が「解散総選挙を決断する」のも「悪く言われる」のは、ある程度仕方が無い事だろう。
 
【朝日社説】首相の増税先送り―「いきなり解散」の短絡
 
【毎日社説】:首相 解散を表明 争点は「安倍政治」だ
 
【東京社説】衆院21日解散へ 「安倍政治」問う機会
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014111902000130.html
 
【日経社説】アベノミクスに通信簿つける選挙
  
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO79889950Z11C14A1EA1000/
  
【読売社説】衆院解散表明 安倍政治の信任が最大争点だ
 
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20141118-OYT1T50159.html
 
【産経社説】首相解散表明 「安倍路線」の継続を問え 経済再生へ実りある論戦を
 
http://www.sankei.com/column/news/141119/clm1411190002-n1.html
 
 「序で」と言うと、「沖縄差別だぁぁぁぁぁぁぁ!」と言われかねないが、沖縄二紙も
 
【琉球新報社説】<社説>衆院解散へ アベノミクスの評価問え
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234722-storytopic-11.html
 
【沖縄タイムス社説】[衆院21日解散]争点をはっきりさせよ
  
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=91170
  
 「奇しくも」と言うべきか、朝日と沖縄タイムス以外は似たような社説タイトルが並んだ。要は今回(次の)衆院選挙で安倍政権の安倍政治が問われると言う趣旨だが・・・極当たり前過ぎて実につまらない主張でもある。
 
 選挙とは、少なくとも一面民意の反映手段なのだから、現政権が解散総選挙する以上、何らかの形で「現政権の実績が評価審判される」事は、一寸免れようが無い程当たり前の事。何も社説にして声高に主張するまでもなく、選挙民が投票すれば何らかの評価審判は下る。まあ、社説とする事で「選挙民の選挙に対する関心を高める」効果ぐらいは期待出来そうだが。
 
 無論、社説タイトルは「極当たり前過ぎて実につまらない主張」にしても、中身の方でしっかり「現安倍政権批判」を主張している新聞社もあるが…やはり、タイトルからして朝日新聞は別格である。

 

<注釈>

(*1) 毎日社説:早期解散論 その発想はあざとい 2014年11月12日
 
(*2) たかが2年で「近年希に見る長期政権」である事自体が、異常・異様であるのだが。 
 
(*3) 衆院で不信任が議決されるどころか、不信任案さえ提出されない状況と言う意味では「突然」 
 

 
【朝日社説】首相の増税先送り―「いきなり解散」の短絡
2014年11月19日(水)付
 安倍首相が、来年10月に予定されていた消費税率再引き上げの先送りと、21日の衆院解散を表明した。
 おととい発表された直近の国内総生産(GDP)の実質成長率は、年率換算で1・6%の減。事前の民間予測を大きく下回った。
 首相はこれを受け「15年間苦しんできたデフレから脱却するチャンスを手放すわけにはいかない」と判断。ただ、18カ月間の先送り後の再延期はないと断言し、その政策変更の是非を総選挙で問うという。
 確かに2期連続のマイナス成長はショッキングだ。ただ、もとより景気悪化による増税の先送りは消費増税法を改正すれば認められるし、民主党もその判断は受け入れている。
 国会審議をへて法改正し、アベノミクスの足らざる部分を補う。安倍政権がまず全力で取り組むべきことである。
 その努力をする前のいきなりの衆院解散は、短絡に過ぎる。別の政治的打算が隠されていると考えざるを得ない。

■解散に理はあるか
 首相はきのうの記者会見で、「なぜ2年前、民主党が大敗したのか。マニフェストに書いてない消費税引き上げを、国民の信を問うことなく行ったからだ」と解散の意義を強調した。
 民主党は09年の衆院選で消費増税はしないと訴え、政権を奪った。ところが新たな財源を生み出せずに政策転換に追い込まれ、党の分裂と前回衆院選での大敗を招いた。
 民主党の失敗についての首相の見方はその通りだろう。だが、今回の首相の姿勢とは同列には論じられない。
 首相の解散権行使が理にかなうのはどういう場合か。前の選挙では意識されなかった争点が浮上した時、または首相と国会との対立が抜き差しならなくなった時というのが、一般的な考え方だ。
 今回はどうか。12年夏の「社会保障と税の一体改革」の民主、自民、公明の3党合意に基づく消費増税法は、2段階の消費税率引き上げを定めつつ、景気が悪化した時の先送り条項も設けている。
 3党がそろって国民に負担増を求める代わりに、定数削減などの「身を切る改革」を断行する――。安倍氏と当時の野田首相とのこの約束が問われた2年前の衆院選で、自公両党は政権に復帰した。
 昨夏の参院選でねじれも解消し、首相の政権基盤は安定している。9月に内閣改造もしたばかりだ。それでも任期4年の折り返しにもいたらぬ衆院議員の身を切る前に「首を切る」。あべこべではないか。

■国民の思い逆手に
 増税は、政治家にも国民にもつらい選択である。
 
 消費増税で得られる財源は、子育てや年金などほぼすべての国民に関係する社会保障関係費にあてられる。それがわかっていても、「増税はいや」というのは自然な感情だ。
 実際、今月の朝日新聞の世論調査では、来年10月の税率引き上げには67%が反対と答えた。同時に、それで社会保障に悪影響が出ることを不安に感じると答えた人が66%もいる。国民の複雑な思いを表した数字だ。
 仮に消費税だけが問われる選挙なら、有権者が首相の判断を覆す一票を投じる動機は弱くなる。「景気対策」という名の付録がつけばなおさらだ。
 それを知りつつ、あえて先送りの是非を問うなら、ポピュリズムとの批判はまぬがれない。
 財政再建を重視する勢力の反対で、増税先送りの法改正はできそうにないという状況になって、初めて衆院解散の理屈が立つというものだ。

■「信を問う」の本音は
 首相は昨年の特定秘密保護法案の審議や今夏の集団的自衛権の容認をめぐる議論の過程では、国民の審判を仰ぐそぶりすら見せなかった。
 表現の自由や平和主義という憲法価値の根幹にかかわり、多くの国民が反対した問題であるにもかかわらずだ。
 国論を二分する争点は素通りし、有権者の耳にやさしい「負担増の先送り」で信を問う。政治には権力闘争の側面があるにせよ、あまりに都合のよい使い分けではないか。
 首相は先の通常国会で、憲法解釈の変更について「最高の責任者は私だ。そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける」と答弁した。「選挙で勝てば何でもできる」と言わんばかりの乱暴な民主主義観である。
 来年にかけて安倍政権は、原発の再稼働や集団的自衛権の行使容認に伴う法整備など、賛否がより分かれる課題に取り組もうとしている。
 世論の抵抗がより強いこれらの議論に入る前に選挙をすませ、新たな4年の任期で「何でもできる」フリーハンドを確保しておきたい――。
 
 そんな身勝手さに、有権者も気づいているにちがいない。

 

「やっぱり」の安倍政権批判、な訳だが・・・


 朝日新聞に問おうじゃないか。「現政権は、政治的打算で解散しては、いけないのか?
 
 そりゃ「必要に迫られて万止む無く」ではなく「自主的に解散総選挙を決断」した安倍首相・安倍政権に「勝算が無い」筈は無い。「勝算はある」のだろうし、「勝算はある」解散総選挙を「政治的打算だぁぁぁぁぁ!」と非難する事は出来るだろう。尤もそうなると、大抵の解散総選挙(*1)は「政治的打算に基づく」訳だが。
 
1〉 世論の抵抗がより強いこれら(原発再稼働、集団的自衛権関連法案など)の議論に入る前に選挙をすませ、
2〉新たな4年の任期で「何でもできる」フリーハンドを確保しておきたい――。
 
と言うのは、言いかえれば「政権及び政治の安定を狙った」と言うことでもあるが、それは「悪い事」なのかね。
 
 少なくとも「無条件に非難される」可き事ではあるまい。
 
 無論、「安倍政権批判は社是」とするような新聞社ならば、正しく「無条件に非難される可き事」であろうが。
 
 第一、上記1〉「世論の抵抗がより強いこれら(原発再稼働、集団的自衛権関連法案など)の議論は、まだ2年余りを残している安倍首相の任期中に十分決着出来そうである。それを「議論に入る前に」敢えて解散総選挙したという事は、「世論の抵抗がより強いこれら(原発再稼働、集団的自衛権関連法案など)の議論」を含めて「民意を問うた」事でもあろうたとえ、「世論の抵抗がより強いこれら(原発再稼働、集団的自衛権関連法案など)の議論」を「今回選挙の争点」としなかったとしても、だ。安倍政権・安倍首相は「世論の抵抗がより強いこれら(原発再稼働、集団的自衛権関連法案など)の議論」に対する方針を、既に明らかにしているのだから(*2)。
 
 ああ、これもまた、「安倍政権批判は社是」とするような新聞社に対しては、全く無意味な議論だな。「安倍政権批判は社是」であれば、安倍政権に関するいかなる事象も否定的側面をとらえて報じる/考えることしかしないだろう。

 全く、原理主義者の思考停止とは、度し難いモノだな。
 
 願わくば、そんな朝日新聞の思考停止と恣意的報道を、「有権者も気づいて」欲しいモノだな。
 
 如何に、国民。
 如何に、朝日新聞読者(購読者に限らず)

 

<注釈>

(*1) と言うより、「内閣不信任案可決」と「任期満了」に基づく総選挙以外は全て、かな。 
 
(*2) それを今回選挙の争点としない/考えないのは、野党と選挙民の勝手であろう。