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 「慰安府虚報」を30年以上ぶりにようやく認めた朝日新聞に(*1)、従前では「看過/黙認」を決め込んでいた日本マスコミの左半分も今回そうはならないようで、朝日新聞は「四面楚歌」状態であるらしい。まことに重畳至極と言いたいところだが・・・だからかねぇ、こんな「中国批判」が朝日新聞の社説になっている。
 尤も、そこはそれ朝日新聞であるから、「やっぱり朝日新聞」であるようだ。

 

<注釈>

(*1) 古くは戦前の「百人斬り」、戦後の伊藤律架空記者会見から「”大日本帝国の侵略”を”進出”と検定で書き直させた」と誤報した教科書問題、果ては福島第1原発事故の「東電社員敵前逃亡」誤報まで、朝日新聞の誤報体質、もとい、「誤報しても訂正も謝罪もしない」体質は、戦前から一貫している。 
 

 
【朝日社説】 香港のトップ―普通選挙と言うけれど
2014年9月3日(水)付

【1】「一国二制度」のもとにある香港のトップが行政長官だ。3年後に予定される長官選びに際して、初めて普通選挙を実施する、という。普通選挙とは、身分、信仰や財産などによる選挙権の制限をしない制度をいう。ところが中国・習近平(シーチンピン)政権は、候補者をあらかじめ2~3人に絞り込む、という実施案を決め、香港側に示した。これで普通選挙と呼べるのか。

【2】これまでは、経済界代表などからなる1200人の「選挙委員会」が長官を選出していた。それが、初めて広く市民の投票にかけられるのだから、その点だけみれば画期的ではある。

【3】しかし新制度では、1200人の「指名委員会」をつくり、その過半数の支持がなければ候補者になれない。指名委員会の構成は現在の選挙委員会と同様で、親中派が多数を占めるのが確実という。

【4】 だから候補者を決める段階で、中国政府側の息がかかった人物でないと、リストから排除されかねない。「一定数の市民の推薦があれば立候補可能」とする制度を提案してきた民主派団体は強く反発している。

【5】 新制度を通じてうかがえるのは、中国本土とのビジネスで潤う経済界を通じて香港をコントロールしようとする中国政府の姿勢だ。返還以前も中国共産党は統一戦線工作として香港の企業家らを取り込んできている。

【6】 これに対し、「持たざる者」の不満が新制度への反対の声に重なっている。人口700万人の2割が貧困層と言われ、格差は拡大している。中国からの投資で不動産価格が跳ね上がり、家を買えない人々がいる。7月1日の香港返還記念日には、選挙制度の行方を心配する十数万人の市民によるデモがあった。反対派は、香港経済の中枢である金融街・セントラルを占拠すると宣言している。

【7】 普通選挙の実施は、97年までの英国植民地時代と比べれば大きな前進――というのが中国側の言い分だろう。だが香港市民の意識が20年前と同じでもあるまい。誰もが納得して投票できる制度にしなければ、香港社会の亀裂が広がる方向に進んでいくのではないか。

【8】 中国政府側は「国と香港を愛する者」が長官を務めるのが原則、と強調する。なんともあいまいである。

【9】 そんな原則を掲げる裏側には、香港が民主化の一大拠点となって中国全体への影響力を高めることを恐れている事情があるのではないか。新制度をめぐる今回の決定は、そう映る。再考を強く求める。
 

 
【WSJ社説】踏みにじられた香港の希望
2014 年 9 月 2 日 10:25 JST
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970204091304580128632314512538?
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中国の行政長官選挙に関する決定への抗議デモに集まった人々(8月31日)
Associated Press
【1】 香港市民は、民主主義のために請願したり抗議したりすることが認められている。しかし2017年の香港行政長官選出では、みせかけだけの選挙を実施することしかできない。それが中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が8月31日に下した決定だった。

【2】 香港政界の左右両陣営とも穏健派は妥協を促していた。彼らは北京を満足させる推薦手続きを提案する一方で、中国が1997年の香港返還の際に約束した自由選挙を認めるよう訴えた。当時、中国は香港を50年間、自治権のある特別行政区とすることを決めた。
 
【3】 だが、北京はこのような考え方を拒否したばかりか、一度も真剣に検討しなかったようだ。中国共産党は、行政長官候補者の選択をめぐり絶対的な拒否権を主張している。

【4】 その結果、香港で不満が膨らむことになるだろう。英国から返還されて以降、香港は市民による直接選挙の付託がない凡庸な指導者の下であえいできた。これが香港市民の一部、とりわけ若者たちを怒らせている。そしてこうした市民は、不服従の行動をとる決意を表明している。

【5】 そうした怒りは拡大する公算が大きい。親民主派陣営は香港の立法会(議会)で北京のまやかしの選挙方針を拒否するのに十分な議員票を持っている。また香港の中文大学の実施した世論調査では、北京が決めた今回のみせかけ選挙方針を立法会に拒否してほしいと望む香港市民が全体の60%に達している。

【6】 北京の方針が拒否されれば、次期行政長官は現行の非民主主義的な制度(間接制限選挙)を使って選出される。同制度の下では、ほぼ親中国の実業家だけで構成される1200人の委員会(選挙委員会)が、行政長官を選出する。同委員会の選ぶ行政長官は、最も忠実な親北京派を除くあらゆる方面からこれまで以上に強い抵抗に直面するだろう。

【7】 北京は既に、不満分子にどう対処しようとしているか手の内を垣間見せている。30日の共産党機関紙「人民日報」など国営メディアによれば、中国外務省報道官は香港の一部が外部勢力と「結託」していると非難した。これら外部勢力、つまり外国政府は「香港の安定と発展を阻害しようとしているだけでなく、香港を足掛かりに使って中国本土を圧倒し、侵食しようとしている」というのだ。これは、非愛国的であり国家安全保障に脅威となるとの烙印(らくいん)を民主派勢力に押そうとするお決まりの不誠実な企てだ。

【8】 先週、警察当局は香港メディア王の黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai)氏と親民主派議員の自宅を家宅捜索した。黎氏は民主運動に勇敢にも資金提供した人物で、親北京派メディアから米国政府の手先と糾弾されている。同氏や他の親民主派の有力人物はまた、親北京派マフィア集団から脅されている。

【9】 このプーチン主義者的な政治は、表面的には親ビジネス的な色彩を帯びている。香港の最も裕福な実業家の大半は、ずっと以前に北京の意思に屈したからだ。

【10】 先週、北京の清華大学法学院の王振民院長が香港に派遣された。同院長は、選挙制度がビジネスエリートを喜ばせるために設計されていると説明した。 同院長は「われわれが彼らの利益を無視すれば、香港の資本主義は終わりだろう。それが、われわれが香港での普通選挙の重要性を認識し、香港における資本主義の継続的な発展を保証すべき理由になっている」と述べた。

【11】 だが、香港の資本主義に対する脅威は、民主主義から来るのではなく、中国本土から浸透しつつあるクローニズム(縁故主義)と法の秩序の侵害から来る。実業家は政治家たちにこびへつらいたいと望むかもしれないが、資本主義的な繁栄の推進力となるのは競争である。北京は、香港をオリガルヒ(ロシアのような新興財閥)にとっての楽園にした方が統制が容易になると愚かにも信じている。
 
【12】 31日の全人代決定の背景にあるのは、香港で民主的な成功が誇示されれば、本土に波及しかねないという恐れである。香港に対する共産党のアプローチは、習近平氏(現在、国家主席)が2008年に党の香港・マカオ業務調整委員会議長に就任して以降、厳しくなった。したがって現在、最高指導者として習氏が民主主義に強硬路線をとり続けているのは驚きではない。

【13】 これは、香港にとっても中国にとっても悲劇だ。対立は不要だからだ。香港は民主主義への覚悟ができていると表明しているが、それは北京にとって悩みの種を増やすのではなく、少なくするはずだ。慎重でプラグマティック(現実主義的)な香港市民は、北京が恐れるポピュリスト(大衆迎合主義)的な扇動者を決して選出しないだろう。だが、生き生きとした都市・香港が不満と恐怖の下降スパイラルに陥っている。習氏はその責めを負わなければならない。
 
 

 

さて、如何だろうか。

 言い遅れた/書き遅れたが、上掲二番目は「WSJ」ことウオールストリートジャーナル紙の社説。「WSJ紙+日本人/日経人女性記者=ダメ記事」シリーズを読めば判るとおり、私(ZERO)はこのW"SJ紙も高く評価はしていない(*1)のだが、端的に言ってこのWSJ紙社説には賛同できる。
 
 で、最初に掲げた朝日社説は、冒頭に述べたとおり、「香港首長選挙の非民主性を以て、中国共産党を批判する」内容になっている、のだが・・・「一応なっている」レベル。上掲WSJ紙の習金平名指し批判と比べると、ずいぶんとヌルい。
 
 「朝日新聞の中国共産党批判」としては、これが精一杯、ということかね。
 
 「中国共産党擁護論・絶賛論」でないだけ、「マシになった」と、考えるべきなのかね。
 
 如何に、朝日新聞。
 
 まあ、「公論は、敵より出ずるに如かず」と言うぐらいだから、味方から公論なんぞ出るはずも無い、か。

 

<注釈>

(*1) くどいようだが、「WSJ紙+日本人/日経人女性記者=ダメ記事」シリーズは「シリーズ化を意図した一連の記事」ではなく、「一、こ連の記事が積み重なってシリーズ化してしまった」もの。従って、私(ZERO)の「WSJ紙に対する低い評価」も、「端から低かった」のではない。