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ある意味、「衝撃的」なオープニングだろう。日本列島をぐるりと囲む⇒(矢印)が示された地図。上陸する見慣れない防護服の歩兵部隊。轟沈するイージス艦。撃破される90式戦車。これらのカットバックに被せて、日本が「神聖ブリタニア帝国」に占領されて「エリア11」と名付けられ、名前も文化も占領軍に奪われたと言うナレーションが重々しく流れる。それに続く、妙に明るい主題歌との対比も鮮やかな、「日本占領シーン」。それが「コードギアス 反逆のルルーシュ」のオープニングだ。
物語は、神聖ブリタニア帝国による日本占領(*1)から7年後。戦災の傷跡も生々しい「ゲットー」と、ブリタニア人統治者が君臨する「租界」に二分され、「エリア11」と名付けられた占領下の日本。ブリタニア軍の日本侵攻の際に、日本へ人質として派遣されており、戦争中に死んだことになっている「実はブリタニア皇子」ルルーシュが主人公だ。素性を隠して(*2)一ブリタニア人として東京租界にある高校・アシュフォード学園に通っていた主人公が、あれこれあって他人を絶対服従させられる(ほぼ魔法の)力・ギアスを手に入れ、かねてより考えていた「母・皇妃マリアンヌ暗殺の真相究明」と「盲目の妹ナナリーが幸せに暮らせる世界」を目指す計画を始め、後者のために強大な神聖ブリタニア帝国打倒を目指す。その課程で「エリア11」という名を強制され(*3)た日本の解放を目指す抵抗組織「黒の騎士団」を編成する。仮面で素性を隠し、「ゼロ」と名乗って(*4)。
「コードギアス 反逆のルルーシュ」、「コードギアス 反逆のルルーシュR2」と、本筋だけでも2シーズンにわたる「長編アニメ」で、これに傍系だかスピンオフだかのアニメや小説やマンガが「派生」しているから、とてもじゃないがよほどのファンでない限り全貌をつかむのは難しい。私(ZERO)はそんなファンではないので、本筋(と思われる)の2本だけを元に話を進めよう。
アニメの半ばお約束なのだろうが、「コードギアス 反逆のルルーシュ」は一種の「巨大ロボットアニメ」であり、「ナイトメア・フレーム(略称ナイトメア)」と呼ばれる巨大ロボットが「第2次太平洋戦争の日本敗北の一因」でもあり陸海空を問わぬ決戦兵器としてやたらにデカい顔をしている。私(ZERO)はこの巨大ロボットって「不合理極まり無い兵器(*5)」が大嫌いなのだが、「コードギアス 反逆のルルーシュ」では設定・舞台背景の一部でしかなく、ルルーシュ自身がナイトメアに座乗することもあるが「主人公の乗った巨大ロボットが、縦横無尽の大活躍」するのではないし、「巨大」と言い条、身長10m以下のようだし(*6)、操縦法(*7)や有効性に大いに疑問を呈しつつ、ストーリーに免じて許容している。ああ、高速走行は二足歩行ではなく、ローラーを展張しての車輪走行になっている点は、正しいな。
だが、あの「ワイヤー付きで射出されるアンカー」スラッシュ・ハーケンの先端形状は、「進撃の巨人」の「立体機動装置」と同じぐらい謎だし、況やそのスラッシュハーケンで敵ナイトメアをひっかけて振り回す何ざぁ、質量比が10倍ぐらい無いと出来そうにないんだが・・・まあ、言い出すとキリがないので止めよう。
触れておきたいのは、アニメにおける人種表現の問題である。先述の通り「コードギアス」では日本が神聖ブリタニア帝国に支配され、主人公ルルーシュはじめとする多くの登場人物はブリタニア人であり、名前からすると白人らしいんだが・・・「アニメ美形キャラであるから、日本人とブリタニア人(白人)の区別がほぼ付かない」。日本解放戦線は四聖剣の一人・千葉中尉とか、半分日本人のメインヒロイン(多分)香月カレンさんとか、日本人・日系人も登場するんだが、ブリタニア人(白人)との相違は髪の色ぐらいである(*8)。
つまり、日本のアニメ美形キャラが、基本的に白人的特徴(*9)を持っているが故に、「コードギアス」に於ける「ブリタニアによる日本占領」は、ストーリー上違和感なく成立している。「平たい顔族」呼ばわりされてしまう「テルマエ・ロマエ」の逆だな。
まあ、我が国に「人種問題」がほとんど存在しないからこそ、出来る芸当でもある。ディズニー映画に於ける「初の比スパニック系ヒロイン」を巡る一悶着二悶着は、幣ブログでも記事にしたところだ。
先ほど「香月カレン」さんを「メインヒロイン(多分)」と紹介したが、「多分」をつけたのは、異論もありうるかと考えたから。日本人とブリタニア人のハーフで、ブリタニア人としてアシュフォード学園に通学しつつ実は黒の騎士団所属のエース・ナイトメアパイロット。その腕は神聖ブリタニア帝国一の「ナイトオブゼロ」と互角に張り合える(*10)カレンさんこそ「メイン」だろうと思えるのだが、「主人公ルルーシュの”想い人”は、ナナリーだ」とか、「中途退場になったとはいえ、ユーフェミア皇女殿下こそふさわしい」とか、「ルルーシュにギアスの力を与え、導き、最後をしめたのはCC(シーツー)だ」とか、「最後に勝利したのは、コーディリア皇女殿下だ」とか、異論・異説はあり得よう。
学園卒業後はお見合いを蹴って就職し、「お天気お姉さん」として独立独歩の女性として歩みだしたようだが、下手な「貴族の奥方」何ぞに、ミレイさんが収まるものか。ロイド伯にはセシルさんの手綱と鞭こそふさわしかろう。
主人公のルルーシュは「神聖ブリタニア帝国打倒を目指す皇子」だけに、ひねくれた偽悪者ぶりを発揮しているが、「ゼロ」の仮面を付けて繰り出される数々の(かなり芝居がかった)名セリフも、「コードギアス 反逆のルルーシュ」の魅力だ。
「違うな。間違っている。」
「討って良いのは、討たれる覚悟のある者だけだ。」
「よし、条件はすべてクリア」
「戦略と戦術の違いを、教えてやる。」
など、など。余りに芝居がかっていて、なかなか「日常生活では決められそうにない決めセリフ」なのが、玉にきずだが。
<注釈>
(*1) 「第二次太平洋戦争」なんて呼称もあるらしい。「ブリタニア」などの固有名詞はイギリスっぽいが、どうも新大陸・アメリカが独立戦争に失敗し、北米大陸を含む「大英帝国」が「神聖ブリタニア帝国」であるらしい。「世界の1/3を占める」と言うから、文字通り「太陽の没する事が無い帝国」なのだろう。(*2) 姓はともかく、名は変えていないし、特徴全開の美形キャラだし、妹・ナナリーの「盲目にして下半身不随」ってのもかなり目立つ特徴である、のにも関わらず。(*3) 「日本人」も「11」と呼ばれ、ブリタニア本国以外の植民地人は「ナンバーズ」と総称される(*4) 断っておくが、私の筆名ZEROとの相関はない。「コードギアス・反逆のルルーシュ」を私が知ったのはつい最近で、ZEROを名乗っての当ブログ開設は数年前だ。(*5) 兵器は、必ずしも合理的ではない。だが、不合理な兵器は、合理的な兵器に敗れるから、やがて淘汰される。むろん、戦艦や騎兵のように、不合理と判明してもなおしばらく命脈を保つこともあるが。(*6) 装甲騎兵ボトムスよりは大きいようだが、巨大ロボットアニメとしては小さい方だろう。(*7) 巨大ロボットで白兵戦をやるのである。斬り合い、蹴り合い、殴り合い、なのである。一体、どんな操縦法になっているんだ??(*8) そうは言っても、ルルーシュ自身黒髪だし、純粋日本人である枢木朱雀君の髪はかなり明るい茶で・・・染めているのかも知れないが。(*9) 大きな、時に巨大なパッチリお目目に、高い鼻梁。(*10) ってことは、世界でも一二を争う凄腕・・・カレンさん、強い。