応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
 
 さて、「問題」と言うより「提案」だ。下掲AFP記事のタイトル「ドイツで広がる自家発電、産業界では20%にも」を読んで、そこから想像される「記事の内容」を、読む前にメモに書いて欲しい。「見出し」とも呼ばれる「記事のタイトル」と「内容」の相関を知る・実感するための「提案」だ。
---------------(間)-------------------
 メモが出来たならば、先をどうぞ。

 
【AFP】ドイツで広がる自家発電、産業界では20%にも
2014年06月09日 12:00 発信地:ベルリン/ドイツ
http://www.afpbb.com/articles/-/3016150
×ドイツ・ベルリン(Berlin)の住宅の屋根に設置されたソーラーパネル(2014年3月19日撮影)。(c)AFP/DPA/JORG CARSTENSEN
【6月9日 AFP】ドイツ南部フライブルク(Freiburg)のクラウス・マイヤー(KlausMeier)さんは、家族経営のホテルで自家発電を始めた理由を3つ挙げる──「コスト削減、エネルギー効率、気候保護」だ。

 エネルギー自給自足は、ドイツの小規模事業者や住宅所有者、学校、病院、工場で広がっており、マイヤーさんもそれを選んだ。

 ドイツの年間消費電力約600テラワット時のうち、約8%にあたる50テラワット時が自家発電だ。住宅の屋根にソーラーパネルが次々と設置され、工場にガス発電所が続々と建設されている。事業・エネルギー消費者団体によれば、産業界では自家発電のシェアは約20%に上る。

 企業が自家発電する主な目的はコスト削減にある。

 
 ドイツは欧州で電気料金が最も高く、既存の電力の場合、電気料金の3分の1が政府財源となる。だが自家発電なら非課税だ。ドイツは国を挙げて化石燃料と核燃料からクリーンエネルギーへの「エネルギー転換」を行っており、同政策の補助金の財源となる税金もある。だが自家発電ならばこれも免除される。

 メイヤーさんは10年前、19世紀の建物を利用した客室45の4つ星ホテル「パークホテルポスト(Park Hotel Post)」に、ガス燃料のコジェネレーション(熱電併給)システムを導入した。

 費用は5万ユーロ(約700万円)かかったが、「予想してたよりも早期に投資を回収できた」という。

■大手工場では以前からトレンドに

 この流れは、自給自足とコスト削減を重視するドイツの大手企業がかなり前から採用してきたものだ。

「わが社がルートビヒスハーフェン(Ludwigshafen)で自家発電している電力に仮に課税されたとしたら、50万ユーロ(約7000万円)ほどのコストになる」と、独化学大手BASFの取締役会会長クルト・ボック(Kurt Bock)氏は語った。BASFはドイツ南西部の工場で3基のガス発電所を運用している。

 独自動車大手ダイムラー(Daimler)はジンデルフィンゲン(Sindelfingen)の工場にガスタービンを新設するために4000万ユーロ(約56億円)以上を投資した。この投資により工場の発電量は44%増加する見込みだとという。

 ドイツ商工会議所(German Chamber of Commerce)が約2400社を対象に昨年実施した調査によると、半数近くの企業が、すでに自家発電所を建設済みか建設中または計画中であると回答した。

■電力分散化

 ドイツは、2011年の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を受け、原発の廃止を決断した。以後、ドイツの野心的なエネルギー転換計画は加速しており、「自家発電」はこの転換計画の鍵となる「電力の分散化」を助けるものだ。

 家庭の自家発電のシェアは、ドイツの総消費電力量の0.5%ほどのシェアとはいえ、2011年から12年にかけて倍以上伸びている。

 ドイツ第3位のエネルギー会社EnBWのトーマス・クスタラー(ThomasKusterer)最高経営責任者(CEO)は、既存の電力会社にとっては新たな競争相手の出現でもあるが、一方で電力会社がアドバイスや技術的解決を提供する「サービスプロバイダーになる」機会でもあると語った。(
c)AFP/Mathilde RICHTER
 
 

「自家発電」は、普通は「火力発電」だが・・・

  上掲AFP記事タイトルは「ドイツで広がる自家発電」である。トップに掲げられている写真は、「住宅の屋根に設置されたソーラーパネル」であるし、記事本文にも、
 
1>  ドイツの年間消費電力約600テラワット時のうち、約8%にあたる50テラワット時が自家発電だ。
2> 住宅の屋根にソーラーパネルが次々と設置され、工場にガス発電所が続々と建設されている。
 
とあるから、見出しにある「自家発電」の相当部分、イメージ的には「半分以上が太陽光発電(ソーラーパネル)」かの如く、思われたのではなかろうか
 
 だが、つぶさに見ると、上掲AFP記事で取り上げられている「自家発電」は・・・
 
(1) 「パークホテルポスト(Park Hotel Post)」のガス燃料のコジェネレーション(熱電併給)システム
 
(2) 独化学大手BASF社 ドイツ南西部の工場 3基のガス発電所
 
(3) 独自動車大手ダイムラー(Daimler) ジンデルフィンゲン(Sindelfingen)工場 ガスタービン
 
(4) ドイツ商工会議所(German Chamber of Commerce)約2400社の半数近くの企業 すでに自家発電所を建設済みか建設中または計画中
 
(5) 家庭の自家発電のシェアは、ドイツの総消費電力量の0.5%ほどのシェア
 
…上記の内、「太陽光発電である可能性が(まだ)ある」のは、上記(4)と上記(5)のみ。そりゃ一般家庭にガスタービン設置は難しそうだろうが、「家庭の自家発電が全て太陽光発電」だとしても、「ドイツの総消費電力量の0.5%ほどのシェア」でしかない。それも、再三繰り返す通り「発電量は太陽任せ、お天気任せ、夜は1kwも発電しない(*1)」太陽光発電
 
 上掲AFP記事末尾にある通り、「自家発電は電力の分散化に貢献」と言うのは間違いなかろう。上掲記事に縷々述べられている通り、減税免税でドイツ政府が自家発電を支援しており、それ故に「自家発電、産業界では20%にも」の上掲AFP記事見出しにもなって居るのだろう。
 
 だが、上記(1)~(3)の事例が端的に示す通り、「その自家発電の大半は火力発電である」事は、賭けても良いぐらいだ。
 
 であるならば、かかる自家発電の普及は、確かに「電力分散」には貢献しようが、「二酸化炭素排出量抑制」と言う点では効果は(あったとしても)限定的であり、「気候保護」と言う観点では効果のほどは極めて疑わしい。
 
 二酸化炭素排出量が気候に影響しないならば、「二酸化炭素排出量抑制」と「気候保護」の間には何の因果関係も無い。この場合、昔ながらの自家発電ならぬ大規模火力発電で発電しようが、原発で発電しようが、「気候保護」と言う点ではほとんど関係ない(*2)。
 
 二酸化炭素排出量が気候に影響するならば、「二酸化炭素排出量抑制」と「気候保護」の間に因果関係はあるが、この場合「自家発電による気候保護への貢献」は、「発電量当たりの二酸化炭素排出量」にかかっている。従来の大規模火力発電に対し、新型のガスタービンやコジェネレーションによる「発電効率向上」を以って「二酸化炭素排出量抑制」効果を狙う事になる。ああ、後は発電所と電力消費場所の距離が近い事による「送電ロスの軽減」があるか。
 とは言え、原発による「発電に伴う二酸化炭素排出量ゼロ」には対抗しようも無い。原発の場合は送電ロスは送電距離に応じて増えそうだが。
 
 そもそも、再三繰り返す通り、ドイツが脳天気に「脱原発」などど標榜し、「近い将来ドイツ国内の原発を全廃し、ドイツ発の原発事故を根絶する」などと抜かせるのは、フランスの原発と西欧の発達した電力供給網のお蔭なのである太陽光や風力の割合を増やして、電力供給を不安定化させても平気なのは、「電力が不足すれば外国から輸入出来るから」。言ってみればドイツの脱原発は「ナンチャッテ脱原発」でしかなく、そのくせドイツの自称環境保護団体(*3)は「原発は、定常運転するのが最も効率が良いのだから、余った電気をドイツは買ってやってるのだ」などと恩知らずに抜かすのである。
 新ためて、再確認するな。私(ZERO)は、ドイツが「脱原発」を宣して以来、「ドイツ嫌い」になった、と(*4)。

 

<注釈>

(*1) 日本で言うなら「稼働率1割」の。「冷たい計算式」「冷たい推算式」シリーズ参照 
 
(*2) あるとしたら、発電に伴う発熱による影響、か。 
 
(*3) グリーンピースだが、緑の党だか、忘れたが 
 
(*4) ドイツ降伏 参照