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 昨年末の「特定秘密保護法反対キャンペーン」に引き続いて、今の日本新聞業界左半分「朝日グループ(仮称)」が「集団的自衛権行使容認反対キャンペーン」を展開中なのは、何度か弊ブログのネタとしてきた処。分けても毎日新聞は、東京新聞張りの「連載社説キャンペーン」を実施すると言う力の入れようで、毎日二本の社説の片方を「集団的自衛権行使容認反対キャンペーン」に当てている。書く方も読む方もご苦労様な事だ。

 だが、そんな「毎日新聞の苦労(想像)」も、些か種切れらしく・・・

 
【毎日社説】:視点:邦人保護 非現実的と言うなかれ=布施広
毎日新聞 2014年06月03日 02時30分
http://mainichi.jp/opinion/news/20140603k0000m070113000c.html
【1】 安倍晋三首相が5月15日の記者会見で示したイラストは評判が悪いようだ。乳飲み子を抱いた母親が米艦で避難する図に対して「現実的でない」との批判を国会論戦などでよく聞く。

【2】 そんなに緊迫するまで母子やお年寄りが紛争地に取り残されるはずがないというわけで、その裏には「情緒的な例を突破口に、海外で武力行使ができるようにしたいのだ」という安倍政権への疑念があるようだ。私もその疑いを共有する。が、だからといって例示を非現実的と片付ける気にもなれない。

【3】 そもそも安全保障や邦人保護をめぐる論議は「何が起きても不思議ではない」ことを前提とすべきである。政治学者の五百旗頭真氏が言うように、今日の世界では中国の台頭を軸に「冷戦期には想像できない事態」が起きている。読みにくい危機を具象化して提示するのは何も政府だけの仕事ではあるまい。

【4】 個人的な体験を記したい。1991年の湾岸戦争時、私は前線のサウジアラビアにいて、エジプトに残した妻と幼い息子は他の日本人ともども同国からの避難を検討した。湾岸からのミサイル飛来や暴動などの恐れがあった。幸い避難しないですんだが、もっと危険な状況にもなり得た以上、例のイラストがそう非現実的だとは思わない。

【5】 サウジはさらに大変だった。出国の航空機は軒並み満席という問題もあるが、国境地帯にあるアラビア石油カフジ鉱業所の従業員は開戦まで避難せず、砲弾が降り注ぐ鉱業所の地下で夜を明かして逃げてきた。日本の貢献不足が言われる中、サウジ側との契約更改をにらんで逃げにくかったのだと私は思う。

【6】 サウジの日本大使館は「退避勧告は出している。命令はできない」との立場だった。これを一般化する気はないが、非常時に政府が日本人を速やかに避難させられるとは限らない。しかもテロの拡散も含めて海外の日本人への脅威は増大している。

【7】 集団的自衛権をめぐる解釈を一内閣が変えることには私も反対だ。が、国連憲章が「本来備わっている権利」とする集団的自衛権を行使せずに今後もやっていけるか。世界の安全保障が流動化する中、日本は未知の領域へさらに踏み込んだという不安はある。

【8】 大切なのは、どんな非常時にも遅疑逡巡(しゅんじゅん)しない態勢や法体系を整えることだ。個別的自衛権で十分ならそれでいい。国会論戦で野党側は、集団的自衛権がなくても大丈夫だと国民が納得できるような、骨太で精緻な論理を展開してほしい。非現実的という言葉はいらない
。【論説委員】
 

【問題】上掲毎日新聞社説を四〇字以内で要約せよ

 さて、如何だろうか。

 どうも私の様な「平和原理主義者ならざる異教徒」には一読ぐらいでは容易には理解し難い毎日新聞社説の様だ。それ即ち私(ZERO)にとっての「異論・異説」であり、「認識の水平線を拡張する機会」たり得る事象。そこで、章題にした通り「国語の問題」としてとらえてみよう。

【問題】上掲毎日新聞社説を四〇字以内で要約せよ。

 さて、読者諸兄ならば、どのように要約されるだろうか?制限時間三〇分でどうぞ。
 
--------------(間)--------------------――
 
 さて、如何だろうか。

 何しろ私(ZERO)の様な「異教徒」には判り辛い社説だ。冒頭から見て行こう。 冒頭パラグラフ【1】、「集団的自衛権行使容認を説明する安倍首相のイラストに対する批判」だ。「米艦で批難する日本人母子のイラスト」を「非現実的」とする「非難の声が高い」と、定石通り「安倍首相批判」で幕を開ける。
 
 が、続くパラグラフ【2】で、
 
1〉その裏には「情緒的な例を突破口に、海外で武力行使ができるようにしたいのだ」という安倍政権への疑念があるようだ。
2〉私もその疑いを共有する。
3〉が、だからといって例示を非現実的と片付ける気にもなれない。

と、「安倍首相は批判するが、安全保障は別」と言わんばかり。少々「毎日らしからぬ」雲行きだ。
 
 続くパラグラフ【3】で、
 
4〉 そもそも安全保障や邦人保護をめぐる論議は「何が起きても不思議ではない」ことを前提とすべきである。
 
と、これこそ「毎日新聞が、正気になったか?!」と驚かされるような「真面な主張」が飛出し、以降「五百旗頭真氏の言葉」だの「湾岸戦争の実体験」などが上記4〉を補強する。上掲毎日社説タイトルに「邦人保護 非現実的と言うなかれ」とある通り、パラグラフ【6】を、以下の「正論」で〆る。

5〉 非常時に政府が日本人を速やかに避難させられるとは限らない。
6〉しかもテロの拡散も含めて海外の日本人への脅威は増大している。
 
…端的に言って、私(ZERO)の様な「異教徒」が、諸手を挙げて賛同できるのが上記5〉~6〉の「正論」である。
 
 が…そこは「毎日新聞の浅ましさ」とでも言えばいいのだろうか。続くパラグラフ【7】は、
 
7〉 集団的自衛権をめぐる解釈を一内閣が変えることには私も反対だ。
8〉が、国連憲章が「本来備わっている権利」とする集団的自衛権を行使せずに今後もやっていけるか。
9〉世界の安全保障が流動化する中、日本は未知の領域へさらに踏み込んだという不安はある。
 
…さて、この「思考の流れ」は私(ZERO)の様な「異教徒」には不可解であり、タイトルにもした通り「支離滅裂」と感じられる。何しろ、上記8〉で「集団的自衛権は国連憲章が認める権利」と解説しつつ、上記7〉の通り集団的自衛権行使容認と一内閣が決める事には反対なんだそうな。我が国には内閣は一つしかないから、いつでも「一内閣しかない」筈だが、「歴代内閣の合意は、現内閣よりも偉い」って事らしい。そりゃ凄まじい元老院制ないし院政ではないか。その元老院・院には現存する村山富市、鳩山由紀夫、菅直人が含まれていると考えると「寒心に堪えない」では済まなさそうだ。
 
 もし左様な「内閣」元老院制/院政が厳然として存在するのならば、「政権交代」なんてほとんど意味が無い筈だ。そりゃ先代までの「民主党三代政権」の惨状は凄まじかったが、随分と「自民党歴代内閣の前例」を「仕分け」だの「政治主導」だの言って蹂躙していなかったか?上掲毎日社説を書いた布施広記者は知らないが、毎日新聞は随分その「民主党政権誕生による、自民党歴代内閣決定の蹂躙」を賛美していたのではなかったっけ?私(ZERO)の記憶違いか??
 仮に記憶違いだったとしても…「国連憲章」よりも優先される「歴代内閣の決定」ってのは、どんだけ偉いんだろうね。
 挙句の果ての最終パラグラフ【8】は・・・
 
10〉 大切なのは、どんな非常時にも遅疑逡巡(しゅんじゅん)しない態勢や法体系を整えることだ。
11〉個別的自衛権で十分ならそれでいい。
12〉国会論戦で野党側は、集団的自衛権がなくても大丈夫だと国民が納得できるような、
13〉骨太で精緻な論理を展開してほしい。非現実的という言葉はいらない。
 
…さて、以上を要約すると、こうならないか?
 
【解答1】 「命は惜しいけれど、集団的自衛権は嫌だから、個別的自衛権で何とかしてくれ。」
 
 36文字。長さとしては悪くないが、あまりにも即物的・散文的かつ情けない主張・要約だ。そこで少々ブラッシュアップすると・・・
 
【解答2】 「集団的自衛権は嫌だから、個別的自衛権で国民を守れるよう、国会論戦しろ。」
 
 これで35字。最終パラグラフ【8】を参考にもう少し手を加えて・・・
 
【解答3】 「集団的自衛権は嫌だから、個別的自衛権で国民を守れる論理を野党は構築し、論戦せよ。」
 
 これで丁度40字。「国会」と言うキーワードは抜けたが、先ずは模範解答として良さそうだ。

 で、新ためて上掲毎日社説の、布施広記者の、平和ボケぶりが浮かび上がるんだが・・・

 毎日新聞よ。
 布施広記者よ。
 読者諸兄よ。

 「集団的自衛権を行使させない事」は「我が国安全保障」=「我が国民の生命財産」よりも優先されるべき事か?

 言い換えようか。

 「”個別的自衛権のみで、あらゆる事態にも国民を守れる論理”なんて、何がどうなると構築できるんだ?」

 そんな好都合な「理論」は、「我が国が地球上で唯一の核兵器独占保有国となる」ぐらいの条件を付けなければ、構築できないだろう。

 左様な論理が構築できない以上、「国連憲章も認めた集団的自衛権」は、我が国安全保障上の利点となる可能性は、否定されまい。上記4〉「「何が起きても不思議ではない」ことを前提」とする以上、「集団的自衛権行使」の少なくとも「可能性」は「容認されて当然。否認されるのは不可解」、であろうが
 まあ、原理主義の思考停止ってのは、「異教徒」の目から見れば、愚かしいまでに不可解なのが、通り相場だがね。