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 以前にもどこかに書いた、と思うのだが…「プロパガンダ(謀略宣伝)は、プロパガンダと承知の上ならば、情報源たり得る。」理由は実に簡単な事で「プロパガンダを為す主体が、何を喧伝宣伝したいかが、プロパガンダには現れるから。」
 
 無論、「どれがプロパガンダか?」は判断しないといけないし、裏をかいて「斯様な事を喧伝している!」と見せかけるためのプロパガンダもあり得ることには留意しなければならない。前者については「この世のあらゆる情報はプロパガンダである、可能性がある」と考えてかかれば安全側である。
 
 尤も、「如何なる立場からするプロパガンダか?」を見極める事も重要であり、時にこれは困難でもある。例えば、西側自由主義陣営に属する我が国の報道機関は民間企業であるから、「日本政府或いは外国政府のプロパガンダ」に加担しているか否かは、それだけでは断じ難い。朝日新聞は朝日新聞購読者の購読料と主として民間企業からの広告料で経営が成り立っている(筈)なのだから、その経営基盤からすると「如何なる政府のプロパガンダにも、加担する理由は無い」筈である。ではあるが、その論説報道は…まあ、「言わぬが華」と言う奴だ。いや、あちこちの記事で明言しているか。
 
 これが西側自由主義陣営ならざる国の報道機関となると、原則「その政府のプロパガンダ」と考えて大凡間違いは無い。況や、「報道機関は"党の口舌"=中国共産党のプロパガンダ機関」である中国の報道ともなれば、「中国共産党のプロパガンダ」と断じて、先ず誤る事は無い。
 
 その「党の口舌」が、「安倍政権の外交政策を糾弾」と報じているそうな。

 
【人民網】安倍氏の外交政策が改めて糾弾される
 2014年05月15日13:47 http://j.people.com.cn/94474/8628123.html
【1】 日本メディアはこのほど、安倍晋三首相の外交政策を改めて批判した(*1)。日本紙・毎日新聞は12日付論説「安倍首相:地球儀外交まい進」で、安倍氏の進めるいわゆる「地球儀を俯瞰する外交」について、近くを捨てて遠くを取るもので(*2)、世界中を駆け回っているが、近隣国とは外交的危機に陥っていると糾弾した。

【2】 論説は「安倍首相は第2次内閣発足後、すでに37カ国を訪問した。今年7月にメキシコ、ブラジルなど米州諸国を訪問すれば、五大陸をすべて訪れることになる。一方で、中国、韓国訪問はいまだに実現できていない」と指摘した。

【3】 安倍氏は外交問題で言行不一致だ。「積極的平和主義」を世界中に売り込む一方で、国内外の反対を顧みず、「武器輸出三原則」を見直し、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認しようとしている。「中韓と対話のチャンネルを開きたい」と表明する一方で、絶えず歴史を歪曲して隣国の感情を傷つけ、様々な外交の場を借りて中国を封じ込めようとしてすらいる。安倍氏はあらゆる機会を捉えて日本の「民主、自由の価値観」を喧伝し、「中国脅威論」を鼓吹しているが、逆に日本自身の国際的イメージを傷つけている。

【4】 英BBCの世論調査によると、日本の国際的イメージは過去1年で多少悪化した。2012年の調査では「日本が世界に与える影響」を「良い」とする回答は58%、「悪い」とする回答は21%だったが、2013年の調査では「良い」が51%、「悪い」が27%となった。中韓だけでなく、米国、カナダ、英国、オーストラリアといった、安倍氏の目には「価値観を共有する」と映る国でも、日本の国際的イメージに対する評価は例外なく下がっている(*3)。釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題、慰安婦問題、侵略戦争の否認、麻生太郎副総理のナチス肯定発言などが日本の国際的イメージの悪化を招いた原因だ。

【5】 カナダのジョセフ・キャロン元駐日大使は朝日新聞のインタビューに「『アベノミクス』はジレンマに直面している。中韓との対立を深めるのは、日本経済の復活という目的に逆行しているからだ。例えば観光産業を考えても、外国人訪日客の7割以上はアジアから来ており、うち韓国、中国大陸部、台湾、香港からが大半だ。カナダ人は決して、その代わりにはならない」と指摘。「安倍首相が目指す経済的な目標には、10年以上の時間が必要だ。それは、隣国である中国との関係を強化しなければ、決して実現しない。日本にとって、中国や韓国を無視するといったような選択はもあり得ない。福沢諭吉の時代の『脱亜入欧』といった政策は、絶対にできない」との認識を示した。

【6】 日本の山内康一衆院議員は「日本外務省は『安倍首相の外交は成功』と主張し続けているが、実際には日本の国際的イメージは悪化している。これは日本外交の力が弱まったことの表れだ(*4)。安倍政権への支持の大部分は中国に対する強硬姿勢によるものだ。だがこれは日本の長期的利益を損なう。ネット右翼の方法で現実世界で発言し、事を処理すれば、国際世論の袋叩きに遭うのは必至だ。日本の外交的行き詰まりを打開するには、隣国との関係を改善しなければならない」と表明した。
 
【7】 法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授は「日本の内外政策は誤った道に入りつつある。安倍首相のやり方は歴史を美化し、未来を損なうものだ。過ちを正さなければ、日本が戦後70年近く苦心して築いてきた『平和国家』のイメージ、周辺国との関係、現有の経済規模とソフトパワーは、恐らく全て失われてしまうだろう」と指摘した。(編集NA)

 「人民網日本語版」2014年5月15日

 

<注釈>

(*1) 我が国の報道機関は、自民党の宣伝機関ではありませんので。政府批難するのも自由ですが、何か? 
 
(*2) 遠交近攻は、安全保障の基本だろう。 
 
(*3) 「良い」は「悪い」の2倍ほど居て、過半数を占めていますが、何か? 
 
(*4) 「外交力が、国際的イメージの支配要因」ってところが、如何にも中国共産党的だな。
 我が国のイメージアップに、我が国外航力が役に立ったことが、どれほどあろうか。 


誰が「安倍首相の外交政策を糾弾」しているって?

 さて、如何だろうか。
 
  何と言うのか、タイトルだけは勇ましいが、羊頭狗肉とか竜頭蛇尾とか、大陸渡来の四字熟語を髣髴とさせる記事だな。それだけ「大陸的気風」と言うのが「壮大」をよしとするあまり「張りぼての虚構、ハッタリ、見かけ倒し」という事かも知れない。
 
 なにしろ上掲人民網記事、「安倍氏の外交政策を改めて糾弾した」主体は、どう数えても以下の通り。
 
① 毎日新聞は5/12日付論説
 
② 英BBCの世論調査
 
③ カナダのジョセフ・キャロン元駐日大使(朝日新聞インタビュー)
 
④ 日本の山内康一衆院議員
 
⑤ 法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授
 
…とまあ、以上5主体が列挙されている訳だが、果たして、上掲人民網記事タイトルにある通り、「安倍首相の外交政策を糾弾」しているだろうか。

 まずは読者諸兄の、冷静な判断・判定を願おう。私(ZERO)の評論・評価は、その後だ。

・・・・・・(間)・・・・・・

 再び、さて如何だろうか。上掲①~⑤の5主体は、「全て安倍首相の外交政策を糾弾」しているだろうか。
 
 上記③「カナダのジョセフ・キャロン元駐日大使」がまず怪しかろう。確かに、「アベノミクスの為には日中友好による観光促進が重要」と言っており、「安倍政権の外交政策を批難」しているが、そのトーンは随分ゆるい。
 
1〉 「安倍首相が目指す経済的な目標には、10年以上の時間が必要だ。
2〉 それは、隣国である中国との関係を強化しなければ、決して実現しない。
3〉 日本にとって、中国や韓国を無視するといったような選択はもあり得ない。
 
とも述べているが、上記1〉「10年以上の時間」で考えるならば、「朴大統領以降の韓国」まで待っても構わないし、「習近平以降の中国」更には「中国共産党以降の中国」だって期待しえる。なにも反日バリバリでしきりに「日本軍国主義復活ぅぅぅぅぅっ!」とかますびしい「朴大統領の韓国」や「修金平の中国」と「関係改善」せずとも宜しかろう。我が国では、「待てば海路の日和あり」と言う。西洋でも「待つ者には全てが来る。」のだそうだ。況や「中国人観光客の経済効果」のためになんてのは、論外だろう。
 
 論外と言うならば、上記②「英BBCの世論調査」こそ論外だ。上掲記事に突っ込みも居れたが、「日本のイメージが、安倍政権の外交政策で悪化したと、喧伝することしきりの上掲人民網記事自身が認める通り「日本のイメージは"良い"とする者が、"悪い"とする者より圧倒的に多く、依然として過半数を占めている」。「日本のイメージ」は、そりゃ「良い」方が嬉しかろうが、「悪化し、イメージダウンした」現状に於いてさえ、「充分良い」と言い得る。大体、上記「英BBCの世論調査」が報じるのは、
 
4〉 英BBCの世論調査によると、日本の国際的イメージは過去1年で多少悪化した。
 
だけで、それを「安倍首相の外交政策」だの「日本軍国主義復活ぅぅぅぅぅ!」に結び付けるのは、「人民網の勝手な評価評論」でしかない。つまりは、「英BBCの世論調査は、安倍首相の外交政策を糾弾なんぞしていない」と、上掲人民網記事をきちんと読めば、判明する。これは正に「文言として書いてある」ことだな(*1)。
 
 残るは、上記①「毎日新聞論説」、上記④ 山内康一衆院議員(みんなの党)、上記⑤「法政大学大原社会問題研究所の五十嵐仁教授」であるが、上記①と⑤はほぼ「中国共産党の子飼い」と言えそうだ。いくらか「中立的」でありそうなのは、上記④「山内康一衆院議員(みんなの党)」ぐらい。「改めて糾弾される」と銘打っておいてこの体たらく、という事は、余程「安倍首相の外交政策を糾弾する」主体が少なかったものと見える。
 
 つまりは「漸く集めた"安倍首相外交政策給弾の声"」が、上記①「毎日新聞」上記④「山内康一衆院議員」上記⑤「五十嵐仁教授」という事、らしい。少なくとも、「安倍首相の外交政策を懸命に糾弾している」のは、中国共産党自身である、と言えそうだ。
 
5〉 安倍政権への支持の大部分は中国に対する強硬姿勢によるものだ。
 
と言う上記④山内康一衆院議員 の言葉をそのまま報じる上掲人民網記事に、「中国共産党の恨み節」を聴くのは、私(ZERO)だけだろうか。
 
 それ即ち、「如何に中国共産党が安倍首相の外交政策を批難したがっているか」という事であり、同時に「如何に安倍首相の外交政策が、中国共産党に対し有効・効果的であるか」を示している。
 
 外交は、国益追求の手段だ。「友好関係」とて、国益追求の外交手段の一手法でしかない。従って「日中友好」なんざぁ目的な訳が無い。況や、尖閣諸島から沖縄まで「核心的利益」と称する侵略宣言を為している隣国・中国共産党政権との「徒な友好関係」は、我が国益に反しよう。
 
 であるならば、上掲人民網記事に見る「安倍政権外交政策批判」こそ、正しく「我が国益にかなう安倍政権外交政策の正しさ」を、証していよう。
 
 如何に、人民網。
 如何に、中国共産党。

 

<注釈>

(*1) ああ、僅かばかりの理解力や、判断力は必要であろうが。如何に教条主義者とて、それぐらいのモノは、持ち合わせて居りましょう。如何ですか、星の旅様、アワモリ様。