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今でもそうかどうかは不明だが、その昔「イタリアの鉄道窓口(*1)には昼休みがある」と知った時には、驚いたものだ。昼時になると切符を売る窓口が、客が列をなして並んでいようと閉まってしまうそうだ。当然、昼休みの間は窓口の切符販売やら予約やらは機能停止する。役所の窓口なんかなら日本でもある事だが、まさか昼休みの間鉄道の運行を止めている訳ではあるまい(*2)。「窓口で買えなかった切符や予約は、車内で車掌を通じて実施すれば良い」のかも知れないが、「時間が来ると閉まってしまう窓口」では、顧客満足にもサービス精神にも遠かろう。正に、「お役所仕事」。
だが、「お役所仕事」と言うならば、スイス空軍も相当なもの、らしい。
<注釈>
(*1) 我が国JRで言う「みどりの窓口」(*2) 正直、あまり自信が無いのだが。
【NW】ハイジャックで露呈したスイス軍の体たらく
The Swiss Air Force Is Only Available During Office Hours
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/03/post-3202.php
自分の国は自分で守る、はずの永世中立国スイスにハイジャック機が着陸したが……
2014年3月4日(火)13時45分
ジョシュア・キーティング
役所並み スイス空軍の活動時間は平日の日中のみ Michael Buholzer-Reuters
スイスが「武装した永世中立国」として国際社会で承認されてから間もなく200年。国民皆兵制を備え、ライフルを持ち歩く市民も珍しくないアルプスの小国は今や、強大な軍事力を持つ防衛大国として一目置かれる存在となっている。
だが先週、そんなスイスのイメージを大きく揺るがす事件が発生した。
エチオピアの首都アディスアベバからローマに向かっていたエチオピア航空機が副操縦士にハイジャックされ、スイスのジュネーブ国際空港に緊急着陸。イタリアとフランスの戦闘機が緊急出動して同空港まで誘導したが、スイス軍の戦闘機は姿を見せなかった。
スイス空軍によれば、理由は業務時間外だったから。事件が起きたのは早朝だったが、空軍の活動は午前8時~正午と午後1時半~5時に限られているという。「夜間と週末は空軍基地が閉鎖されるため出動できない」と、空軍の広報官ローレン・サバリーは語る。「予算と人員の問題だ」
スイスに侵攻したければ、夜間や週末、ランチタイムが狙い目かも。
c 2014, Slate
[2014年3月 4日号掲載]
スイスは決して「二百年待たされ続けた」訳では無い、のだが…
さて、如何だろうか。
上掲記事にもある通り、スイスと言えばその永世中立政策で有名だ。永世中立政策ほど有名ではないが、これまた上掲記事の通り国民皆兵制の武装中立(*1)国でもある。スイスの成人男子は兵役で基礎訓練を受けた後、軍服と装備一式を支給される。この「装備一式」には、当然ながら軍用自動小銃が含まれる。一朝事がありそうなときには、この軍服・装備一式を身に着け、軍用自動小銃担いで「いざ、鎌倉!」と馳せ参じる準備が、スイス成人男子全員(*2)は出来ている。
とは言え、そんな「パートタイムの兵隊ばかり」では成り立たないのが近代的な軍隊。その典型は戦闘機パイロットだ。第2次大戦のレシプロ機ぐらいならば、終末に趣味の飛行を楽しむアマチュアパイロットが、一朝有事に戦闘機を駆って敵爆撃機を迎撃、何てことも何とかなったが(*3)、ミサイル、レーダー、航法装置に超音速飛行などなど戦闘機が高度な兵器となるとそうはいかない。事情は戦闘車両や戦闘艦艇でも同様だが、戦闘機は殊の外顕著であり、戦闘機パイロットには職業軍人である事を含めて高度なプロフェッショナルである事が求められる…一般論としては、だが。
確かに、スイス空軍の「物持ちの良さ」にも定評がある。最新鋭戦闘機は上掲記事にも写真のあるF/A-18だから「米海軍並みの最新鋭機を装備!」とまだ言えるが(*4)、その前は「辛うじて超音速戦闘機」F-5EタイガーⅡが主力戦闘機だったし、第2次大戦機どころか大戦間機であるJu52レシプロ三発輸送機も1980年代まで現役で使っていた。旧式な機体を長い間使う事により、「馴染む」事はあるから「物持ちの良さ」は悪い事ばかりではないが(*5)、それが軍用機となると稼働率の低下は免れ難い。
そんな事情が背景にあるのだろうか…
1> 空軍の活動は午前8時~正午と午後1時半~5時に限られているという。
2> 「夜間と週末は空軍基地が閉鎖されるため出動できない」と、空軍の広報官ローレン・サバリーは語る。
3> 「予算と人員の問題だ」
4> スイスに侵攻したければ、夜間や週末、ランチタイムが狙い目かも。
2> 「夜間と週末は空軍基地が閉鎖されるため出動できない」と、空軍の広報官ローレン・サバリーは語る。
3> 「予算と人員の問題だ」
4> スイスに侵攻したければ、夜間や週末、ランチタイムが狙い目かも。
…夜討ち朝駆け、奇襲は攻撃の基本ではあるけれど、それに対応する/対応する準備をするからこそ、治に居て乱を忘れぬ国防であろう。
上記1〉~3〉が掛け値なしの真実ならば、スイス空軍は夜間飛行能力を失って居る事になる。
武装中立国が平和ボケしたら、亡国は時間の問題であろうが。
ああ、「非武装中立」なんて寝言を素面で公言出来てしまう「平和運動家」にとっては、朗報かも知れないが、ね。
<注釈>
(*1) と言うか、充分な武装が無ければ、そもそも「中立政策」なんて成り立たない。A国とB国に挟まれたC国が中立政策を表明し担保するためには、「A国が攻めて来ようが、B国が攻めて来ようが、A国とB国が同時に攻めて来ようが、これを跳ね返せるだけの重武装」が必須である。従って、「非武装中立」なんてのは、言葉遊び、絵空事、寝言、戯言である。(*2) 良心的徴兵拒否者とか、障害者とかの例外を除けば。無論、国家総動員体制下でも、成人男子全員を軍隊に引っ張ってしまうと国が経済的に成り立たないから、「馳せ参じる」のはスイス成人男子全員では無い。だが、準備は全員出来ている、筈だ。(*3) Battle of Britainにそれに近い事例がある。(*4) F-35が配備されると、そうは言えなくなる。そう言えばJane's U.S.NavalFighterにはF-22艦載型ってのが登場し、発艦していたな。AC-130が発艦するより、マシか。(*5) 我が自衛隊三軍でも長いこと使い続けている装備はある。M1ガラント半自動小銃何ざ、自衛隊発足以来の装備だ。儀仗隊ぐらいしか使わないが。