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故アイザック・アシモフ老が名エッセイ「夜の軍隊」で米国民の「非科学的・神秘主義的傾向」を歎じ非難したのも随分前の話だが、アシモフ老の憂えた傾向はその後も続いているらしく、似非科学と似非宗教の影響でか「米国民の過半数が進化論を認めない」と言う私(ZERO)としては「驚くべき結果」が出た事は、以前記事にしている。
今回取り上げるAFP記事は、言わばその「続報」であるが…アシモフ博士も、草葉の陰で嘆いておられよう。
【AFP】米国人のおよそ4人に1人は「地球の公転」知らず、調査結果
2014年02月15日 17:54 発信地:シカゴ/米国 【写真】
http://www.afpbb.com/articles/-/3008555
【2月15日 AFP】米国人は科学がもたらす明るい展望に熱中にする一方で、基礎的な科学知識が不足していることが分かった。米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science、AAAS)が米シカゴ(Chicago)で開催した年次会合で14日に公表された調査結果によると、米国人のおよそ4人に1人は地球が太陽の周りを公転していることを知らなかった。
調査は米国国立科学財団(National Science Foundation、NSF)が米国の2200人以上を対象に実施。物理と生物に関する9つの質問をしたところ、正答数は平均6.5だった。「辛うじて合格」という程度の点数だ。調査結果によると、地球が太陽の周りを公転していると知っていたのは回答者の74%。人間が原始的な生物から進化したことを知っていたのは半数に満たない48%だった。
また回答者の3人に1人は科学分野への政府の支出を増額すべきだとの考えを示したほか、約90%の人たちが「科学がもたらす恩恵は科学による危険を上回る」と回答し、ほぼ同じ割合の人が「医学的発見に関心を持っている」と答えた。c)AFP
この調査は2年ごとに実施されており、結果はNSFが大統領と連邦議会に提出する報告書にも記載される。(
俄かには信じがたい数字
さて、如何だろうか。
1> 調査結果によると、地球が太陽の周りを公転していると知っていたのは回答者の74%。
と上掲AFP記事は報じるが、これは必ずしも「地球が太陽の周りを公転していると知らなかったのは回答者の26%。」を意味しないだろう。「無回答・無効回答」が多少はあるだろうからである。
一方で「地球が太陽の周りを公転していると知らなかった」としても、見栄をはって「知っている/知っていた」と答えた人も、設問によっては含まれるだろう。例えば、「地球は太陽の周りをまわっている。Yes or No?」と言う設問と、「地球は太陽の周りを公転していると、知っていましたか?」と言う設問では、「正答率」が異なって来よう。
逆に、へそ曲がりか天邪鬼で、「地球が太陽の周りを公転していると知っているが、"知らなかった"と答えよう」なんて人も無いとは限らないから、こういう自己申告の調査結果は注意が必要だ。そんな「眉に唾をつける事」をお勧めしたくなるような「俄かに信じがたい数字」が、上掲AFP記事タイトル「米国人のおよそ4人に1人は「地球の公転」知らず、調査結果」である。それだけ「インパクトのある見出し」とも言えるが。
そりゃアメリカ合衆国は東西にも南北にも大きいし、海洋気象から内陸気象まで揃っていそうだから、「四季の変化が小さい」地域もあるだろうけれど、「四季の移ろい」を体感・感知しながら「地球の公転」を知らないなどと言う事が、あり得ようか。日本の、色彩さえ一変する四季の移り変わりは、アメリカ合衆国の大半は望めないとしても。
もし、この調査結果の数字が真実に近く、米国民の相当部分が本当に「地球が太陽の周りを公転していると知らなかった」のならば、現代人は古代人が持っていた(*1)「自然に対する感性」を喪失してしまった、という事になる。
住居や衣服、冷暖房の発達普及や工業化等で、「自然に対する感性」を失う傾向は、確かにあるだろうが
<注釈>
(*1) そりゃ狩猟にせよ、農業にせよ、四季の変化とは無関係ではいられないどころか、文字通りの死活問題だ。