応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
「北京の55日」と言うと、チャールトン・ヘストン主演ってだけで「まだ、映画が元気だった頃だよなぁ」とノスタルジーを掻き立ててしまうぐらい古い映画。私(ZERO)が態々引用する事で大方察しはつこうが、戦争映画だ。舞台は西暦1900年の北京・義和団事件。ある種の民衆暴動にあろう事か清国政府・政府軍が加担して北京駐留の各国公使・大使館を攻撃したのに対し、西欧列強プラス日本の連合軍がなんとかかんとか守り切った戦いを描く。
そのラスト近く。義和団及び清国正規軍が連合軍に撃破され、北京が「解放」された後の閑散とした紫禁城。清国の最高権力者・「義和団事件の黒幕」西太后が一人呟くシーンがある。
「水は、舟を浮かべうるが、
また、覆しうるのだ。」
また、覆しうるのだ。」
「清王朝もこれで終わった。」と続ける西太后が言わんとする事は、水=民衆≒義和団に乗って「浮かんだ」舟=清国政府(の独立・自存)が、その「水」故に「転覆=滅亡」してしまう事への嘆き、だろう(*1)。
前ふりが長くなったが、「舟を浮かべ、また覆しうる水」は、何も清国民衆や義和団ばかりでは無い。
【注釈】
(*1) ああ、これこそ正に「文言としては書いて居ない/言っていない」ことだが、な。
①【朝日】小保方さんら撤回に同意 STAP論文、米共著者は反対
朝日新聞デジタル 3月14日(金)3時1分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140314-00000006-asahi-sci
「STAP(スタップ)細胞」の論文に多数の疑問が指摘されている問題で、主要著者4人のうち理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーを含む3人が、論文の撤回に同意していることがわかった。複数の理研幹部が朝日新聞の取材に認めた。「生物学の常識を覆す」として世界中を驚かせた研究成果は、白紙に戻る公算が大きくなった。
著者側から論文を撤回するには、最低でも主要著者全員の同意が必要。小保方さんの留学時代の指導教官だった米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は反対しており、現在、CDB幹部が同意するよう説得しているという。
STAP細胞論文は2本で構成され、著者は計14人。うち10人がCDBの関係者で、全員、撤回に同意の意向だという。主要著者4人のうち同意しているのは、小保方さんと、CDBの笹井芳樹・副センター長、前CDBチームリーダーの若山照彦・山梨大教授。
論文が掲載された英科学誌ネイチャーでは、撤回にはすべての著者の同意が原則だが、主要著者全員の同意で撤回を申し入れることもできる。こうした申し入れで撤回を認めるかどうかは、個別に判断するとしている。また、著者側が論文を撤回しなくても、ネイチャー編集部が自身の判断で撤回することもある。
複数の理研幹部によると、撤回の理由は、STAP細胞の存在や万能性の証明が科学的に不十分になってきたと判断したためという。マウスの血液細胞からSTAP細胞ができたとする証拠への疑問や、万能性を示す写真が小保方さんの博士論文から流用された疑いなどが指摘されていた。.
②【WSJ】理研のSTAP細胞論文に対する5つの疑惑.
By Alexander Martin
http://realtime.wsj.com/japan/2014/03/13/%e7%90%86%e7%a0%94%e3%81%aestap%e7%b4%b0%e8%83%9e%e8%ab%96%e6%96%87%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b5%e3%81%a4%e3%81%ae%e7%96%91%e6%83%91/
小保方晴子博士(1月28日、神戸)理化学研究所は今週、同研究所の日本人研究者が中心になって新万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を作製したとする画期的な研究論文の撤回を検討していると発表した。英科学誌ネイチャーに1月末に掲載されたこの研究論文は、幹細胞を作製する、より安全で簡単な技術を開発したとしていた。
なぜ論文の撤回を検討するのか。以下はこの研究と、主執筆者である小保方晴子博士(理研の研究ユニットリーダー)をめぐって浮上した5つの疑惑だ。理研は、これらの疑問点を調査中で、14日に暫定調査結果を発表すると述べている。小保方博士にも電子メールでコメントを求めたが、回答はなかった。
▽画像の不自然さ
1) ネイチャーに掲載された2つの研究論文のうち1つの論文の中で、別個の実験から作製されたはずの2つの胎盤の画像が同一に見える。この疑惑は、Pubpeerなど公開論文に関する投稿サイト上で指摘されたもので、理研が2月13日に調査を開始するきっかけの1つとなった。
2) ネイチャー論文に使用された画像は、小保方博士による2011年の博士論文で使われていた画像と酷似している。論文の共同執筆者の一人、山梨大学の若山照彦教授によれば、画像は異なる時期に異なる実験で撮影されたはず。若山教授は、この事実に気付いたのをきっかけに、論文の取り下げを小保方博士などに今週勧告したと述べた。NHKは、これら2つの画像を比較した分析を放映した。
論文の共同執筆者の一人であるハーバード大学医学大学院のチャールズ・バカンティ教授は、論文には若干のミスがあったが、STAP細胞作製の結論に影響するものではないと述べている。
▽資料のコピー疑惑
3) ネイチャー論文で、研究者たちが顕微鏡でSTAP細胞の染色体に異常がないかを観察する方法が描写されているが、それが、ドイツの大学の研究者たちが2005年に発表したマウスの胚性幹細胞に関する論文(マウス胚性幹細胞のマルチカラー核型分析)の一部の文章とほとんど同一だった。
4) 幹細胞研究をめぐる疑惑を追跡している日本人ブロガーは、小保方氏が早稲田大学に提出した2011年の博士論文とみられるものを掲載した。この論文の相当な部分が、米国立保健研究所(NIH)の幹細胞に関するウェブサイトの文章と同一だったという。早稲田大学の広報担当者は、このブログに掲載された論文は、小保方氏のものに間違いないと思うと述べ、大学が疑惑を調査していると語った。
▽ネイチャー論文内容と、執筆者のその後の説明の食い違い
5) 理研は5日、小保方博士ら理研の研究者たちがSTAP細胞作製のために使ったプロトコル(方法)を公開した。しかしノフラー・ラブ・ステムセル・ブログ(Knoepfler Lab Stem Cell Blog カリフォルニア大学デービス校の幹細胞研究者ポール・ノフラー博士が運営)などは、手順に示された新たな叙述と、当初の論文の間に食い違いがあるのを発見した。ノフラー博士によれば、とりわけ新たな叙述では、幹細胞は、当初の論文のように白血球細胞由来ではなかったことが示されているという。
原文(英語):Five Allegations Against Riken Stem-Cell Researcher in Japan http://blogs.wsj.com/japanrealtime/2014/03/12/five-allegations-against-riken-stem-cell-researcher-in-japan/
それは、本質か?
さて、如何だろうか。
小保方さんらによるSTAP細胞論文については、先行記事「日本の誇り―【AFP】「新たな万能細胞「STAP」、溶液培養の革新的手法 日本の研究」を祝す http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38812995.html 」で当ブログも取り上げている。無論当時の事だから、タイトルにも表れている通り小保方さんらを讃える内容となっている。
これに対し、否、反し、上掲①朝日記事は小保方さんらがその「STAP細胞論文」の撤回に同意した事を報じ、上掲②WSJ記事は小保方STAP細胞論文の問題点を列挙している。先行記事で当ブログが「日本の誇り」と取り上げた小保方さんらは、「祖母の割烹着」などで一躍ヒロインとして扱われながら、今や週刊誌のスキャンダルネタに「成り下がって」居る。
さて、小保方さんが「一躍ヒロイン」から「スキャンダルネタ」に転落した事象を以って、私(ZERO)は本記事冒頭に述べた映画「北京の55日」の科白「水は、舟を浮かべうるが、また、覆しうるのだ。」を想起した訳だが、「浮かんで覆った舟」は小保方さんらSTAP細胞論文チームとして、「舟を浮かべて、覆らせた水」は、何だろうか。
「水=民衆」と答えれば、「北京の55日」西太后の科白と結びつくから、当記事としては都合が良い。巷間にも小保方さんらSATP論文チームを批判する「街の声」はかますびしいらしい。
だが、本当にそうか?
小保方さんを「一躍ヒロイン」に祀り上げ、「スキャンダルネタ」に転落させたのは、その事によって利益・売上・話題性を得るマスコミではないか?「街の声」はその「マスコミに依る宣伝効果」ではないのか?
即ち「水=マスコミ・報道機関」ではないか?
何者かを祀り上げ、しかる後に貶めて、二重の利益を得るのは、マスコミの常套手段ではないか。ホリエモン、民主党、鳩山由紀夫。例は幾らもあろう。
その一方で、理系の人間であり、知性と理性こそ人類最強の武器・優位点と信じ、「科学で重要なのは、築き上げられた論理体系ではなく、その論理を実証検証し続ける方法論だ。」と言う故・アイザック・アシモフ老の主張に全面的に同意する私(ZERO)としては、「小保方STAP論文は科学的に実証検証されねばならない」事に一も二も無く同意する。これは、マスコミに祀り上げられたり貶められたりするのとは全く別の話であり、仮にSTAP論文がNature誌に掲載されなかったとしても「STAP論文」の形で世に出る以上、科学に携わる者が負わねばならない責務である。
その科学的検証・実証の基本なるのが、再現試験である。再現試験によって「STAP細胞生成」が確認されるか否か。これは大問題で、これが確認されなければ、STAP細胞生成の真偽さえ疑わしくなって来る。事実、そんな再現試験による検証に耐えられず、葬られた新理論・新発見は、マスコミが話題に取り上げるか否かに関わらず数多ある。逆に一度は葬られながら、後に実証された新理論・新発見だってあるから、重要なのは、「新理論・新発見である事」もさることながら、「如何に実証したか/如何に再現試験に成功したか」である。
左様な観点から上掲②WSJ記事を見れば…「5つの疑惑」の内、「STAP細胞生成再現試験」に直接かかわるのは、上掲②5)のみ
1〉 手順に示された新たな叙述と、当初の論文の間に食い違いがあるのを発見した。
2〉 ノフラー博士によれば、とりわけ新たな叙述では、幹細胞は、当初の論文のように白血球細胞由来ではなかったことが示されているという。
2〉 ノフラー博士によれば、とりわけ新たな叙述では、幹細胞は、当初の論文のように白血球細胞由来ではなかったことが示されているという。
であるが、善意に解釈すれば「STAP細胞生成法の誤記」に留まる。
現時点に於いて報じられている数多の「疑惑」は、「STAP細胞生成再現試験が上手く行かない」事に比べれば、些事だ。「論文の杜撰さ」を非難するのは勝手だが、科学的実証とスキャンダルは、次元の異なる問題だ。
その後の顛末 2014.12
その後、小保方さん自身も参加する検証実験は、STAP細胞を再現でき無いまま終了し、「STAP細胞」現象は実証されなかった。従って本件が「小保方さんらによる詐欺」であった可能性は、否定しきれない。
だが、STAP細胞論文がセンセーショナルであろうが、無かろうが、実証実験がなされたことには疑いの余地が無いし、そのことを小保方さん自身が承知していたこともまず間違いない。
つまり、本件がハナから詐欺であるならば、「いずれはバレること」と、少なくとも当事者は知って、覚悟して居たはずだ。それは罪を減じるモノでは無かろうが、詐欺事件としての動機を弱めるモノである。
而して、「何か未知の要因により、STAP細胞減少が発生したりしなかったりする可能性」というのも、無視するべきでは無いだろう。