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 「極東のヒトラー」の座を北朝鮮の金ナントカと争っている(と、私(ZERO)には思われる)中国共産党一党独裁政権の習ナントカが、国家の体型、もとい、大計について話し合い、コメントを発表した、と、人民網が報じている。
 
 そりゃ中国共産党一党独裁政権のトップ発言を「党の口舌」=「中国共産党の宣伝機関」が報じるのだから、プロパガンダ以外の何かだったら吃驚仰天なのだが、それにしてもこの「報道」は酷くないか?

 
【人民網】習近平総書記「民族団結を損なうあらゆる言動に断固反対」
 2014年03月05日13:06
http://j.people.com.cn/94474/8555006.html
 習近平中共中央総書記は4日、第12期全国政協第2回会議の委員と各々面会し、グループ討論に参加し、国家の大計について共に話し合った。
 習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)、李克強国務院総理(中共中央政治局常務委員)、張徳江全人代常務委員長(中共中央政治局常務委員)、兪正声全国政協主席(中共中央政治局常務委員)、王岐山中央紀律検査委員会書記(中共中央政治局常務委員)、張高麗国務院副総理(中共中央政治局常務委員)は4日、第12期全国政協第2回会議の委員と各々面会し、グループ討論に参加し、国家の大計について共に話し合った。

 習主席は談話で「わが国は統一された多民族国家であり、民族事務は大局に関わる。中国の特色ある社会主義の道を堅持することは、新たな情勢下で民族事務を達成するうえで、しっかりと把握しなければならない正しい政治的方向性である。党の民族政策を全面的に貫徹実施し、民族区域自治制度を堅持、整備し、各族人民の偉大な祖国への一体感、中華民族への一体感、中華文化への一体感、中国の特色ある社会主義の道への一体感をたゆまず強化し、民族の団結、社会の安定、国家の統一をより良く維持する必要がある。積極的に環境を整え、あらゆる手を尽くして少数民族および民族地区の経済・社会発展を加速し、民族地区の大衆が確かな実益を得られ続けるようにする必要がある。団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。各民族の共同団結・奮闘、共同繁栄・発展という基調を堅持し、民族団結の宣伝・教育を踏み込んで展開し、各民族が運命を共にし、心を一つにする栄光ある伝統を代々伝えていく必要がある。全国各族人民はいずれも民族大団結という政治局面を大切にし、民族の大団結を損なうあらゆる言動に断固反対する必要がある。テロ活動を断固として法にのっとって処罰し、打撃を与え、民族団結、社会安定、国家統一の金城鉄壁を築く必要がある」と指摘。調査・研究を強化して、新情勢下の民族事務を達成するための助言補佐役、政策決定諮問役を果たすよう少数民族界の委員らに求めた。(
編集NA)
 「人民網日本語版」2014年3月5日

 

習近平って、馬鹿?

 さて、如何だろうか。一読しただけですんなりと理解出来ただろうか。正直な処、私(ZERO)は一読ぐらいでは「習近平が何を言いたいのか良く判らなかった」。
 
 上掲人民網記事から、習近平の発言を抽出すると、こうなる。
 
〉「わが国は統一された多民族国家であり、民族事務は大局に関わる。中国の特色ある社会主義の道を堅持することは、新たな情勢下で民族事務を達成するうえで、しっかりと把握しなければならない正しい政治的方向性である。党の民族政策を全面的に貫徹実施し、民族区域自治制度を堅持、整備し、各族人民の偉大な祖国への一体感、中華民族への一体感、中華文化への一体感、中国の特色ある社会主義の道への一体感をたゆまず強化し、民族の団結、社会の安定、国家の統一をより良く維持する必要がある。積極的に環境を整え、あらゆる手を尽くして少数民族および民族地区の経済・社会発展を加速し、民族地区の大衆が確かな実益を得られ続けるようにする必要がある。団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。各民族の共同団結・奮闘、共同繁栄・発展という基調を堅持し、民族団結の宣伝・教育を踏み込んで展開し、各民族が運命を共にし、心を一つにする栄光ある伝統を代々伝えていく必要がある。全国各族人民はいずれも民族大団結という政治局面を大切にし、民族の大団結を損なうあらゆる言動に断固反対する必要がある。テロ活動を断固として法にのっとって処罰し、打撃を与え、民族団結、社会安定、国家統一の金城鉄壁を築く必要がある。」
 
こりゃ、先ず第一に訳者が悪い。ひょっとすると習近平は中国語で一気にまくしたてたのかも知れないが、それを適宜区切って段落を付け、読みやすい日本語にするのは、訳者の仕事だろうが。
 仕方ないので私(ZERO)が上掲「習近平の発言」を区切るならば、こうなる。
 
1〉 「わが国は統一された多民族国家であり、民族事務は大局に関わる。
2〉 中国の特色ある社会主義の道を堅持することは、
3〉新たな情勢下で民族事務を達成するうえで、しっかりと把握しなければならない正しい政治的方向性である。
4〉 党の民族政策を全面的に貫徹実施し、
5〉民族区域自治制度を堅持、整備し、
6〉各族人民の偉大な祖国への一体感、中華民族への一体感、中華文化への一体感、中国の特色ある社会主義の道への一体感をたゆまず強化し、
7〉民族の団結、社会の安定、国家の統一をより良く維持する必要がある。
8〉 積極的に環境を整え、
9〉あらゆる手を尽くして少数民族および民族地区の経済・社会発展を加速し、
10〉民族地区の大衆が確かな実益を得られ続けるようにする必要がある。
11〉 団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。
12〉各民族の共同団結・奮闘、共同繁栄・発展という基調を堅持し、
13〉民族団結の宣伝・教育を踏み込んで展開し、
14〉各民族が運命を共にし、心を一つにする栄光ある伝統を代々伝えていく必要がある。
15〉 全国各族人民はいずれも民族大団結という政治局面を大切にし、
16〉民族の大団結を損なうあらゆる言動に断固反対する必要がある。
17〉 テロ活動を断固として法にのっとって処罰し、打撃を与え、
18〉民族団結、社会安定、国家統一の金城鉄壁を築く必要がある。」
 
 やれやれ、これで漸く「習近平の言いたい事」が理解できるようになった。肝は上記11〉「団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。」であり、上掲記事見出し「民族団結を損なうあらゆる言動に断固反対」はなかなかうまく上記1〉~18〉を要約している。見出しがこれだけ美事なのに、翻訳がかくもお粗末なのは、原文の見出しが優れていたから、かな。それにしたって、段落付けは兎も角、行替ええは中文にも在る筈だが。
 
 さはさりながら、上記11〉「団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。」と言う「統一原理主義」と呼びたくなるような「思想」の背景にあるのが上記2〉「中国の特色ある社会主義」であり、その為に必要な事が上記4〉~18〉に数多羅列されている。その羅列が行替えも何もなしに並んでいるものだから、訳が判らない「日本語」になっている。従って、上掲記事中の習近平発言上記1〉~18〉を判り良いように整理すれば、以下の様になろう。( 「番号〉」は、原文に振った番号のまま 「番号〉」が無いのは、原文に無い追記 )

1〉 わが国(中華人民共和国)は統一された多民族国家であり、民族事務は大局に関わる。
 
2〉 中国の特色ある社会主義の道を堅持することは、
3〉新たな情勢下で民族事務を達成するうえで、しっかりと把握しなければならない正しい政治的方向性である。
 
11〉 団結・安定は幸福であり、分裂・動乱は災禍だ。
 
 そのために必要な事は、以下の通り。
 
①7〉民族の団結、社会の安定、国家の統一をより良く維持する
  4〉 党の民族政策を全面的に貫徹実施
  5〉民族区域自治制度を堅持、整備
  6〉各族人民の偉大な祖国への一体感、中華民族への一体感、中華文化への一体感、中国の特色ある社会主義の道への一体感をたゆまず強化
 
②10〉民族地区の大衆が確かな実益を得られ続けるようにする
  8〉積極的に環境を整え、
  9〉あらゆる手を尽くして少数民族および民族地区の経済・社会発展を加速
 
③14〉各民族が運命を共にし、心を一つにする栄光ある伝統を代々伝えていく
  12〉各民族の共同団結・奮闘、共同繁栄・発展という基調を堅持
  13〉民族団結の宣伝・教育を踏み込んで展開
 
④16〉民族の大団結を損なうあらゆる言動に断固反対する
  15〉 全国各族人民はいずれも民族大団結という政治局面を大切にし
 
⑤18〉民族団結、社会安定、国家統一の金城鉄壁を築く
  17〉テロ活動を断固として法にのっとって処罰し、打撃を与える
 
 補足説明しておくと、上記①~⑤が「中国の特色ある社会主義の道を堅持する為に必要な事」であり、その下に個々にぶら下げたのが、その「必要な事」を実現する「手段」である…概ね。
 整理整頓しても酷いコメントだな。「巧言麗色少なきかな仁」と言うが、上記1〉~18〉は仁が無い上に巧言ですらない。無論、麗色と言うには程遠い。
 
 上記1〉「中華人民共和国は統一された多民族国家」と言うだけで吹き出しそうになるし、その為に上記2〉「中国の特色ある社会主義の道を堅持する」と言うのは支配者の座に(まだ)ある中国共産党の一方的都合でしかないが、それは(*1)さて置くにしてもその為に「必要な事」と言う上記①~⑤の内、①、③、⑤は「統一は大事」としか言ってない上記②は「大衆に実益を」で「飴玉をしゃぶらせよう」でしかないし、上記④は言論統制・思想弾圧以外の何物でもない。

 尤もタイトルにもした通り、中国共産党一党独裁政権支配する「中華人民共和国」には、言論の自由・思想信条の自由・学問の自由は存在しないのだから、上記④は、当たり前と言えば当たり前だが。
 それにしても…上記④「民族の大団結を損なうあらゆる言動に断固反対」して言論・思想を弾圧統制し、上記②「大衆が確かな実益を得られ続けるようにし」、上記①、③、⑤「統一は大事!と喧伝し続ける」事が、継続的に「必要」と支配者自らが認める体制を、「統一された多民族国家」と自称できてしまうのだから…これも「原理主義の恐ろしさ」かな。
 
 そんな「原理主義の恐ろしさ」が読み取れる上掲人民網記事は、「プロパガンダとして失敗」という事になろう。それは逆に言えば、「報道としては一定の成功を収めている」事になる訳だが。
 如何に、人民網。
 如何に、習近平。

 

<注釈>

(*1) 中国共産党自身にとっては、これは前提条件であり「無条件の絶対善」と考えているのだろう。