応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
先行記事「バカ丸出し-【朝日社説】「原発輸出―立法府から再考促せ」の浅はかさ http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38780046.html>」にて取り上げた朝日社説は、トルコへの我が国産原発輸出に反対し、その為に日本‐トルコ原子力協定を承認しないよう国会の訴える主張であった。主張の「目的」は明白・明確だが、その理由が訳の判らない事を並べたてた挙句に「日本が過酷事故の責任を負わされたり、トルコが核開発に利用しかねないから」と言う無責任且つ無礼な理由しか「マシな理由が無い」と言う、誠に惨憺たる主張であった。
が、上には上が居ると言うか、下には下が居ると言うか…
【東京社説】原発輸出協定 核拡散が心配になる
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014011502000175.html
2014年1月15日
【1】 安倍政権は、原発輸出の前提となるトルコとの原子力協定に、核燃料の再処理を認める記述を盛り込んだ。外相は国会で、それを否定していたはずだ。被爆国日本が核拡散の懸念を広げていいのか。
【2】 核物質や原子力に関連する機材の輸出に際しては、相手国との間で原子力協定を結ぶ。核不拡散の観点から、平和利用に限るという約束を取り付けるのだ。
【3】 原子力には常に、軍事転用の危険が付きまとう。
【4】 日本は米国や韓国、中国など十二の国や機関と協定を結んでいる。原発の輸出を「成長戦略」の重要な柱と位置付ける安倍政権は、アラブ首長国連邦(UAE)に次いで、トルコとの間で二国間協定に署名し、国会の承認を急ぐ。
【5】 インドやブラジルとも交渉を進めている。
【6】 トルコでは、三菱重工やフランスのアレバ社などによる企業連合が、出力百十万キロワット級四基のシノップ原発を建設する計画が進んでいる。総事業費は二兆円規模になるという。
【7】 最大の問題は協定で「両政府が書面で合意すれば、核物質の濃縮または再処理をすることができる」としたことだ。
【8】 つまり、意思さえあれば、プルトニウムを取り出して、自前の核兵器を造る力を持てるということだ。トルコ側の強い要請があったというが、UAEとの協定では認めていない。なぜ、今回は特別扱いなのか。
【9】 岸田文雄外相は衆院外務委員会で「日本は認めない」と断言していた。だとすれば、協定の内容も修正されるべきではないか。
【10】 途上国では、開発に伴うエネルギー不足を補うため、原発建設計画ラッシュの状況だ。国内外に紛争の火種を抱える国もある。唯一の被爆国である日本が、核拡散に手を貸す恐れがあるような、振る舞いをすべきでない。
【11】 その上トルコは、日本と同じ世界有数の地震国だ。一万七千人以上の死者を出した一九九九年八月のトルコ大地震は、まだ記憶に新しい。
【12】 福島原発の事故原因には、いまだ不明な点が多く、後始末もできないままだ。国内で新増設のめどが立たないから、海外に打って出るのが「成長戦略」だとすれば、それで日本政府は胸を張れるのか。
【13】 過酷な事故や戦争の犠牲になるのはいつも国民だ。ヒロシマやナガサキ、そしてフクシマの精神に照らしても危険を拡散すべきではないだろう。
【問題】 上掲東京新聞社説の主旨を、30字以内でまとめよ
さて、如何だろうか。タイトルにもした通り、前述朝日社説と同様に日本のトルコへの原発輸出に反対する、今度は東京新聞の社説。
先行記事と同様に「国語の問題」としたのが章題である。が、先行記事の朝日社説では「百字以内」としたが、今回東京新聞社説では「30字以内」と字数制限を厳しくした。
字数制限は厳しいが、問題としては先行記事の朝日新聞社説より容易であろう。まあ、学生時代に戻った心算で(*1)一つ考えて頂きたい。
(間)
さて、先行記事と同様に「解答案」を示すならば…って、こりゃ簡単だな。
【解答案】「核拡散につながるから、日本はトルコに原発輸出するな。」
これで26字。これ以外に書かれて居る事は、
1〉トルコは、日本と同じ世界有数の地震国だ。【11】
2〉途上国では、開発に伴うエネルギー不足を補うため、原発建設計画ラッシュの状況だ。【10】
ぐらい。何やら〆にあたるパラグラフ【12】~【13】でウジウジ御託を並べているが、上記【解答案】「核拡散につながるから」以外の部分、「福島原発事故処理」なんてのは繰り言・泣き言・恨み節以上のものでは無い。「原因究明と対策」については、対症療法には十分なレベルである。「後始末もできないまま」とパラグラフ【12】にあるが、先行取り上げた東京新聞社説(*2)で、「健全な原発の廃炉にも百年かかると言われる」と公言明言して見せたのは東京新聞であろう。健全でない福島第一げ発の後始末に、一体何世紀かかると思っているのだ(*3)?その間日本国内原発建設も国外輸出も認めないならば、我が国の原発技術・原子力技術は枯死する他ない。それこそ正に脱原発原理主義者たる東京新聞の望む処であろうが、電力会社にしても我が国にしても、そんな悠長呑気な事は出来ないし、原理主義者に付き合っても居られない。
第一、我が国はなにも原発を押し売りしている訳では無い。上記1>にも通じる処であるが、正当な経済活動の中で、我が国の原発技術を信用信頼していただけたからこその原発輸出だ。上記1>「トルコが地震国だ」なんざ、トルコ自身が世界の誰よりも知って居よう。そのトルコが我が国原発技術を見込んでの今回輸出を、上記1>「トルコが地震国だから」輸出するななんて、一体何様なんだ、東京新聞。
上記2>は「原発拡散に伴う核拡散の懸念」を言いたいのだろうが…その前に、先行記事で取り上げた今年年頭の東京新聞社説で「太陽と風の年を目指そう」などと持ち上げた太陽光や風力発電は「開発に伴うエネルギー不足を補う」のには不足である事を、上記2>で東京新聞自身が、認めた、という事だな。「原子力と人類は共存できない」なんて戯言も、「途上国には通用しない」という事、だよな。「原発こそが最も不安定な電源」だの「実は危険でコストがかかる」だのも「日本国民」には通用する/したのかも知れないが、「途上国には通用しない」と、認めたんだよな、東京新聞。そうで無ければ上記2〉「原発建設計画ラッシュの状況だ。」なんて、書けない筈だろう、東京新聞。
まあ何れにせよ、上記2〉「途上国の原発計画ラッシュ」は、東京新聞にとっては都合が悪かろうが、我が国の原発輸出にとっては追い風・好都合ではあっても向かい風・不都合では無い。【解答案】の「トルコへの原発輸出反対」理由には、全くならない。辛うじてかかわりがあるのは、上述の通り「核拡散につながるから」と言う点のみ。従って、上記2〉は上記【解答案】に包含されている。
以上から、上記【解答案】は、章題とした【問題】に対して、かなり模範的な【解答案】と言えそうだ。
<注釈>
(*1) 現役の学生ならば、テスト期間に入った心算で。学生以前の読者は…「学校に入った心算で」か。ま、そんな読者は希有だろうが。(*2) これやこの、今年の嘘の吐き初め・・・でもないか1―【東京社説】「年のはじめに考える 福島への想い新たに」の大嘘に大笑い http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38767060.html「年のはじめに考える 福島への想い新た に」http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014010402000132.html(*3) 無論、実際の健全な原発廃炉には十年単位
判定:朝日以下 ダメだコリャ
さて、要約がなった処で、上掲東京新聞社説を評価・判定するならば…ダメだコリャ。
先行記事で取り上げた【朝日社説】の要約【解答案】は、
【朝日社説 要約 解答案】「日本が過酷事故の責任を負わされたり、トルコが核開発に利用しかねないから、国会は日本‐トルコ原子力協定を承認せず、原発輸出を阻止せよ。」
であった。今回の上掲東京新聞社説と比べると、①「日本が過酷事故の責任を負わされる可能性」と言う原発輸出反対理由の追加 ②「国会が日本‐トルコ原子力協定を承認しない」と言う原発輸出阻止方法の具体化 と言う二点に於いて、先行朝日社説の方が「優れている」と言わざるを得ない。先行記事の【問題】の解答字数制限が「百字以内」と緩和されている/逆に言うと今回東京新聞社説に対する【問題】に「30字以内」と言う厳しい解答字数制限を課した所以である。
言い換えれば、今回東京新聞社説は、先行記事に取り上げた朝日新聞社説以下。同じく「日本からトルコへの原発輸出反対」社説ながら、優劣は明らかだ。
無論、朝日社説を取り上げた先行記事の朝日社説批判(の一部)は、そのまま今回東京新聞社説にも当てはまる。トルコへの原発輸出が「核拡散につながりかねない」と言うのは、トルコを北朝鮮やイランに準じた核開発疑惑国扱いする「無礼な主張」である。
かてて加えて、トルコは既に原発輸入を決めているのだから、日本が輸出しなければ何処か他から買うばかり。「日本以外の原発輸出国」と言うと、韓国や中国、ロシアもあれば、サダム・フセイン支配下のイラクに原発売った(*1)フランスもある。上掲社説で東京新聞は日本―トルコ原子力協定も批難しているが、それより緩い原子力協定で原発をトルコへ輸出する国がある可能性を、全く無視している。
確かに、上掲東京新聞社説終盤にある通り日本からトルコへの原発輸出が阻止されれば、「その原発輸出によって、日本が核拡散に加担する可能性」を排除する事は出来ようさ。
だが、それは、核拡散其のものを止めている訳でもなければ、遅らせている訳でもない。ただ、「日本が核拡散に加担する可能性を排除する」と言う自己満足でしかない。
そんな自己満足でも、脱原発原理主義者にとっては大事なのかも知れない。が、上記2〉「原発建設計画ラッシュの状況」で、「日本からの原発輸出だけ禁止」で自己満足に浸って居ようとは、脱原発原理主義者以外の目からすると、凄まじく滑稽だぞ。
まあ、原理主義者は「異教徒の目」何ぞ気にしないからこそ、原理主義者なんだがね。
ああ、「核拡散を心配する」だけで、「日本からトルコへの原発輸出を阻止する」なんて考えて居なければ、この限りではないか。
如何に、東京新聞
<注釈>
(*1) 幸いな事に、イスラエルが空爆で建設中の原発を破壊したから、イラクが「中東の北朝鮮となる」事態は回避された。