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「眼下の敵」Enemy Below 主演:ロバート・ミッチャム
一説に、「潜水艦映画に駄作なし」と言うそうだ。どうせ「潜水艦映画ファンの我田引水だろう」と邪推も働けば、「そもそも、”潜水艦映画”なんて戦争映画のさらに一分野という超マイナージャンルじゃないか!」と突っ込みも入るが、今のところ「こりゃ駄作だわ」と断言できる潜水艦映画は私も知らないぐらいだから、実証できない代わりに反論反証も出来ない。
その潜水艦映画の代表作といえそうなのが、第2次大戦下、米独の駆逐艦対潜水艦の一騎打ちを描く「眼下の敵」である。原題のEnemy Belowは、そのまんま小説のタイトルでもあるそうだ。主演のロバート・ミッチャム演じる駆逐艦長(魚雷なし、と映画の中のせりふにあるが、装備した艦もあるようだ。爆雷は側方に打ち出すK砲を装備。ソナーも最新式で最高速力24ktというから、後に言うところの対潜フリゲイト。)が主人公だが、敵役のクルト・ユルゲンス演じるドイツ潜水艦長の方が、目立っているぞ。執拗な爆雷攻撃に反乱を起こしかけた機関兵をなだめたり、爆雷攻撃のさなかに艦内放送でレコード流して乗員に大合唱させたり。その歌がまた「ドイチェリート」という奴で、酒飲みながら酒場で歌う歌。「ビールあるところに笑いあり」なんて爆雷攻撃受けながら歌うんだから、シュールだ。ラスト近くには負傷した副長を救うため広瀬中佐張りの活躍を見せる。
その潜水艦映画の代表作といえそうなのが、第2次大戦下、米独の駆逐艦対潜水艦の一騎打ちを描く「眼下の敵」である。原題のEnemy Belowは、そのまんま小説のタイトルでもあるそうだ。主演のロバート・ミッチャム演じる駆逐艦長(魚雷なし、と映画の中のせりふにあるが、装備した艦もあるようだ。爆雷は側方に打ち出すK砲を装備。ソナーも最新式で最高速力24ktというから、後に言うところの対潜フリゲイト。)が主人公だが、敵役のクルト・ユルゲンス演じるドイツ潜水艦長の方が、目立っているぞ。執拗な爆雷攻撃に反乱を起こしかけた機関兵をなだめたり、爆雷攻撃のさなかに艦内放送でレコード流して乗員に大合唱させたり。その歌がまた「ドイチェリート」という奴で、酒飲みながら酒場で歌う歌。「ビールあるところに笑いあり」なんて爆雷攻撃受けながら歌うんだから、シュールだ。ラスト近くには負傷した副長を救うため広瀬中佐張りの活躍を見せる。
一方のロバート・ミッチャムは、副長を救助するドイツ潜水艦艦長を助け、さらに潜水艦自爆の危険を省みずカッターで駆けつける米海軍将兵が続く。ま、20世紀フォックスのアメリカ映画だから、アメリカ軍はあくまでも「良い者・正義の味方」だ。「手榴弾1発でタイガー戦車が吹き飛ばない」だけマシとすべきだろう。いや、それどころか、潜航深度と針路を巡るドイツ潜水艦対アメリカ駆逐艦の息詰まる駆け引きと言い、ドイツ潜水艦乗組員を、ちゃんと「人間として」描いていることと言い、映画の大筋=戦闘の推移と同じぐらいフェアプレイ精神・公正さに満ち溢れている。ドイツ軍潜水艦が「任務(おそらくは通商破壊=商船なぶり殺し)を終えて帰途につく途上」と言う状況も、それに一役買っていよう。むしろ、米海軍の方が「最後の最後に騙し討ちにした」感さえあるぐらいだ。
「荒鷲の要塞」 Where Eagle Dare リチャード・バートン & クリント・イーストウッド主演
アリステア・マクリーン原作を、リチャード・バートンとまだ若いクリント・イーストウッドの競演で映画化、と来れば、これはもう血沸き肉踊る冒険活劇、と、だいたい相場が決まってくる。
舞台は第2次大戦下の欧州戦線。「第2戦線計画」、いわゆる「ノルマンディー上陸作戦」の鍵を握る米軍のカーナビー将軍の乗機が不時着して捕虜となり、ドイツ陸軍情報部とアルプス軍団が守るシュロス・アドラー「鷲の城」に監禁された。将軍を救出すべく急遽集められた英国情報部員たちは、なぜかここ数年デスクワークに就いていた者ばかり。ジョン・スミス少佐(リチャード・バートン)を指揮官として、米軍派遣のシェイファー中尉(クリント・イーストウッド)を副官として、イギリス情報部員たちは雪降るアルプス山岳地帯に、ドイツ軍から分捕ったユンカースJu52輸送期で落下傘降下した・・・
舞台は第2次大戦下の欧州戦線。「第2戦線計画」、いわゆる「ノルマンディー上陸作戦」の鍵を握る米軍のカーナビー将軍の乗機が不時着して捕虜となり、ドイツ陸軍情報部とアルプス軍団が守るシュロス・アドラー「鷲の城」に監禁された。将軍を救出すべく急遽集められた英国情報部員たちは、なぜかここ数年デスクワークに就いていた者ばかり。ジョン・スミス少佐(リチャード・バートン)を指揮官として、米軍派遣のシェイファー中尉(クリント・イーストウッド)を副官として、イギリス情報部員たちは雪降るアルプス山岳地帯に、ドイツ軍から分捕ったユンカースJu52輸送期で落下傘降下した・・・
小太鼓の刻むリズムが印象的なテーマ曲と共に、冬季迷彩のユンカースJu52が雪のアルプス縫って飛ぶ、印象的なオープニングは、何度見てもカッコ良い。固定脚だろうが、外板波板だろうが、レシプロ三発だろうが、カッコ良いものは、カッコ良い。
山頂に鎮座した城塞シュロス・アドラー。そこへの進入路はケーブルカーだけ。降下直後から一人づつ殺される英国情報部員は、ついには全員捕虜として捕まってしまう・・・
先に「血沸き肉踊る冒険活劇、と、だいたい相場が決まってくる。」と私は書いたが、ミステリ、「最後にどんでん返し」と言う中期以降のマクリーン作品(※1)を本映画は忠実に再現している(※2)。そのどんでん返しに至るまでの、逆転、また逆転のサスペンスも、雪深いアルプスを背景とした銃撃戦の派手さも、どちらも見所満載ではある。
もっとも、そこは「アメリカ映画のアメリカ兵」で、クリント・イーストウッドが無茶苦茶なぐらいに強い。MP40短期間銃は殆ど百発百中だし、伝統の「手榴弾投げ返し」もあれば、伝説の「MP40二丁撃ち」もある。(※3)。一方ドイツ軍の射撃は、短機関銃も重機関銃も、連合軍にはほとんど命中しない。
車両ではやたらにキューベルワーゲンとサイドカーが走り回るし、(※4)原作にも登場する真っ赤な除雪板付き郵便バスは、破壊力抜群だ。
しかしながら、本映画で最も目立つ兵器は、冒頭から登場し、脱出にも利用され、エンディングにも登場するユンカースJu52輸送機「タンテ」だろう。トタン屋根のような波板外板に固定脚もクラシックなレシプロ3発機。これが白黒縞の冬季迷彩で鉄十字をつけて元気に飛び回る。大戦機以前の、大戦間機が飛行する様は、圧巻と言う他ない。事実、Ju52の実機は、数こそ減ったモノの、21世紀の今日でも飛行可能な機体があり、今日もその波板機体を見せつけて飛んでいる・・・とまあ、背景知識があるから、航空機ファンにとっては垂涎モノのJu52飛行シーンであるが、世間一般からすると「ひどく不格好な飛行機が飛んでいるだけ」にしか見えないかも知れない。ま、そこを「一部にとってにせよ、垂涎モノのシーン」と紹介してしまうからこそ、「戦争映画のはらわた」と銘打った甲斐もあろう(※5)。
<注釈>
(※1) と言うより、処女作にしてデビュー作「女王陛下のユリシーズ号」以降は、ほとんど「どんでん返し」ばかりだ。(※2) 正確には、マクリーンが脚本を書いた後に、自ら「小説化」したらしいが。(※3) コーナーから銃だけ出しての「辺射撃」も。(※4) どう見ても戦後の作である全装軌車が見えるのは、ご愛敬だろう。(※5) 敢えて断言
「鷲は舞い降りた」 the Eagle has Landed
主演:マイケル・ケイン 出演:ドナルド・サザーランド、ロバート・デュパル 特別出演:アンソニー・クエル 監督:ジョン・スタージェス
第2次大戦を舞台とした冒険小説というと、「主人公は連合軍」と昔は決まっていたそうだ。戦争映画の多くは冒険小説を原作としているから、勢い戦争映画の一定割合は「主人公は連合軍」であり、大概はアメリカ軍かイギリス軍だ(※1)。だが、そんな「冒険小説の常識・定石」を打ち破って、「ドイツ軍を主人公とした冒険小説」として大ヒットしたのがジャック・ヒギンズ原作「鷲は舞い降りた」。「コペルニクス的展開」などと評されたそうだから、「冒険小説をドイツ軍主人公で書く事」が如何に「常識ハズレ・定石崩し」であったかが、知れよう。ヒギンズは結構多作な作家で、多作ながらもなかなか売れなかったんだが(※2)、この小説「鷲は舞い降りた」で一気にブレイクした。
第2次大戦を舞台とした冒険小説というと、「主人公は連合軍」と昔は決まっていたそうだ。戦争映画の多くは冒険小説を原作としているから、勢い戦争映画の一定割合は「主人公は連合軍」であり、大概はアメリカ軍かイギリス軍だ(※1)。だが、そんな「冒険小説の常識・定石」を打ち破って、「ドイツ軍を主人公とした冒険小説」として大ヒットしたのがジャック・ヒギンズ原作「鷲は舞い降りた」。「コペルニクス的展開」などと評されたそうだから、「冒険小説をドイツ軍主人公で書く事」が如何に「常識ハズレ・定石崩し」であったかが、知れよう。ヒギンズは結構多作な作家で、多作ながらもなかなか売れなかったんだが(※2)、この小説「鷲は舞い降りた」で一気にブレイクした。
そんなブレイクした冒険小説の映画化だから、気合いが入ったのだろうか。監督は「大脱走」も手がけたジョン・スタージェスに、主演にマイケル・ケイン、競演に「怪優」ドナルド・サザーランドとロバート・デュパルと、結構な俳優をそろえて作られたこの映画は、かなり原作に忠実にできあがっている。
第2次大戦も半ばとなり、枢軸国側の敗勢が明らかになりつつある1943年。ドイツ第三帝国総統アドルフ・ヒトラーは、イギリス首相チャーチル拉致誘拐の可能性検討を、ドイツ軍情報部に命じる。「可能性検討」のみに終わる筈だっだ「チャーチル誘拐計画」は、秘密警察長官ヒムラー( 演じるは、ドナルド・プレザンス。渋い )の横槍で、実行の運びとなる。実行部隊の指揮官に選ばれたのは、イギリス人を母に持つドイツ降下猟兵部隊指揮官・クルト・シュタイナー大佐( 金髪巻き毛の優男マイケル・ケイン )。ポーランドでユダヤ人女性の逃亡を助けた廉で、部下諸とも「時間のかかる自殺」でしかない人間魚雷による対艦攻撃任務(※3)を懲罰として命じられていたが、本作戦のため、自由ポーランド軍に化けた部下を率いて、イギリスの片田舎に空挺降下する。先導するのはアイルランド自由軍の闘士・リーアム・デブリン( ドナルド・サザーランド。イギリスでは、「アイルランド人は皆キチガイ」と言うことになっているらしく、サザーランドははまり役だ。)。
しかし、綿密に周到に練られた計画は、一つの偶然から齟齬を来していく・・・
この映画で感心する点は、大きく二つ。「軍装品や兵器に対するこだわり」と「銃撃戦を描く上手さ」だ。
しかし、綿密に周到に練られた計画は、一つの偶然から齟齬を来していく・・・
この映画で感心する点は、大きく二つ。「軍装品や兵器に対するこだわり」と「銃撃戦を描く上手さ」だ。
前者の典型は、シュタイナー大佐がユダヤ人女性を逃がそうとするポーランドの操車場シーン。行き交う列車の上に鎮座在すのは、「本物の三号突撃砲戦車」だ(※4)。ストーリーとは何の関係もない背景に、本物のドイツ軍第2次大戦戦闘車両(※5)を使ってしまうところに、私のようなマニアは心意気を感じてしまう。
「やるじゃないか。」
後者は、西部劇も多く手がけたジョン・スタージェス監督の功績であろう。特に、シュタイナー大佐指揮下のドイツ降下猟兵部隊が窮地に陥る、「アメリカ軍レンジャー部隊再攻撃」のシーンは、「見ていて戦術が判る」、教育的にも高く評価すべきシーンだ。遮蔽物を利用して、交互に援護射撃と前進を繰り返して肉迫。最後は窓越しに手榴弾を放り込んでから、突入・掃討とか、「兵士一人一人の動きの意味が、判りやすい」カット割り。実に見事なものである。
<注釈>
(※1) ソ連軍が主人公という映画は、ソ連映画以外では殆ど無い。と思ったら、「スターリングラード」があったか。(※2) この点、元英語教師から書いた処女作がいきなり大ヒットのアリステア・マクリーンとの対比が興味深い。(※3) と言っても、体当たりするのではなく、肉薄して魚雷発射するのだが。我らが神風攻撃隊が「統帥の極致」とか「統帥の外道」とか評される所以だ。(※4) この他に、「偽装されたパンテル戦車(ダミー)」も、結構良く出来ている。ちょっと小さい様だが。(※5) 「突撃砲」とは、ドイツ軍独自の分類で、一般的な呼称は「対戦車自走砲」ないし「駆逐戦車」だろう。105mm榴弾砲搭載型は、ちょっと微妙ではあるが。