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 先行記事「合従策対連衡策―「【人民日報海外版コラム】安倍氏の「結束して対抗」は必ず挫折する」に何を読むか」に於いて、「安倍首相の合従策=対中包囲網は、無理だ、無駄だ」と吹聴する「人民日報コラム」の「行間」から、「合従策=対中包囲網の有効性」を私(ZERO)がは読み取った。その有効性故もあって、安倍首相の外交政策を支持する記事を何本もアップしている。
 少なくとも、「安倍首相の合従策=対中包囲網」は、「無理や無駄ではなかった」ようだ。
 
【人民日報「鐘声」国際論評】中国と拮抗するのが安倍氏にとって世界への貢献?
   http://j.people.com.cn/94474/8442625.html
 ( 【】はZEROが振ったパラグラフ番号 )

 日本の安倍晋三首相は対中関係改善の必要性をぺちゃくちゃとしゃべり続けているが、口先だけで信用ならないこの政治屋は中日関係破壊の道を突き進んでいる。安倍氏は先日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで、日本が中国と拮抗することで世界はより良くなり、世界への一層の貢献となるとの奇怪な論理をぶち上げた(*1)。(人民日報「鐘声」国際論評)

【1】 「釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題について、中国が法にのっとった行動ではなく、武力による変更を試みていることに対して多くの懸念がある。日本はアジア太平洋地域で経済だけでなく、安全保障分野でもリーダーシップが期待されている。日本は一層貢献することで、この世界をより良くしたい。日本が貢献する1つの重要な手段が、アジアで中国と拮抗することだ」というのが安倍氏の言い分だ。

■中国と拮抗するのが安倍氏にとって世界への貢献?
【2】 真相をはっきりさせ、是非を弁別するには、安倍氏の論理の出発点から話し始める必要がありそうだ。釣魚島問題はいかにして激化したのか?2012年9月10日は、取り返しのつかない日となった。日本政府は中国側の再三にわたる厳正な申し入れを顧みず、中国固有の領土である釣魚島及びその附属島嶼である南小島と北小島のいわゆる「国有化」を宣言した。日本は中国の領土主権を深刻に侵害しておきながらもなお、中国が強力な反撃措置を取ることはないとの幻想を抱いていたが、そんなうまい話がこの世にあるものか(*2)。

【3】 釣魚島及びその附属島嶼の主権はその領海と領空を含めて中国に属する。中国海警局の艦船・飛行機による正常な巡航は領土を守る責務の行使であり、自国の領土主権の理にかなった合法的な維持(*3)について非難し、干渉する権利は誰にもない。無人機を含む中国軍機による東中国海の関係海域での正常な訓練と通過は、国際法と国際的慣行に沿ったものだ。中国機が他国の領空を侵犯したことはないし、他国の飛行機が中国領空を侵犯することも断じて許さない。安倍氏の言う「中国が武力で現状を変更する」ことは、全く根も葉も無い話だ(*4)。

【4】「経済的リーダー」に関しては、安倍氏と矛を交える必要はない。アジアには各国の共同発展を受け入れるだけの大きさがあると、われわれは以前から繰り返し述べている。世界第2の経済大国である中国は、日本経済が真に好転して、世界経済の安定と回復に対して、足を引っ張るのではなく確かな貢献を果たすことを心から望んでいる(*5)。

【5】 だが日本が安全保障分野でリーダーとしての役割を演じることについては、慎重に扱い、強い警戒を維持する必要がある。日本にその役割を演じる能力があるかどうかは、また別の話だ。重要なのは、安倍政権下の日本が、歴史の道理と正義を公然と歪曲し、戦後国際秩序にほしいままに挑戦し、隣国との関係を意図的に悪化させていることだ。このような国が本当にアジアの安全保障分野でより重要な役割を演じるようになった場合、それは果たして幸いなのか、災いなのか(*6)?

【6】 安倍氏は安全保障分野で日本のリーダーシップを望んでいるという国を列挙してみたらどうだ。日本が平和憲法を打破することに対するこうした国々の警戒心をどう解くのかはっきりと説明してみたらどうだ。マレーシア紙ニューストレーツ・タイムズが「ASEANとの距離を近づけたいとの安倍首相の希望は具体的で明確な要因の支えを欠き、ASEANから支持と信頼を取りつけるのは難しい」と論じた理由をはっきりと説明してみたらどうだ。英紙フィナンシャル・タイムズが「日本の常軌を逸した言動がアジアの平和を脅かす」との見出しの記事を掲載し、日本外交は滑稽さと危険との間を徘徊していると嘲笑した理由をはっきりと説明してみたらどうだ(*7)。

【7】 インドのシン首相が述べたように、同盟と対抗という旧理論はすでに時代後れであり、協力のメリットは対抗を大きく上回る。これは、とっくにアジア諸国の共通認識となっている。拮抗によってアジアを分裂させようとする国が、どうして外部世界の信頼を得られようか?どうしてアジアの安全保障分野のリーダーになれようか?(*8)

【8】 米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー副センター長は「日本はドイツと同じく、自らの戦時犯罪に対する弁護を放棄し、かつ明確に懺悔の気持ちを表明してかつての戦争に関する様々な懸念を解決して初めて、リーダーとしての役割を真に担うことができる(*9)」と鋭く指摘した。
【9】 安倍氏は中国の国際的イメージを傷つけ、アジアの安全保障の雰囲気を悪化させる道を突き進みすぎて、最低限の現実感さえ喪失した(*10)。(編集NA)


 「人民網日本語版」2013年10月31日

 

<注釈>

(*1) それが真に「奇怪な論理」ならば、誰も耳を傾けないだろう。第一、その「奇怪な論理」は、ウオール・ストリート・ジャーナルの記事となり、報じられたのであろう?
 
(*2) ならば、石原都知事(当時)の元で「都有化」したならば、尖閣諸島問題は「激化」しなかったのかね? 
 
(*3) 射撃管制レーダー照射は、その「合法的な維持」の中に入るのかね? 
 
(*4) チベット、モンゴル、南支那海。朝鮮半島の大半も一時期占領したな。まだ事例が必要かね? 
 
(*5) パクリネタが増えるから、な。 
 
(*6) その判断に中国共産党政権は、精々が「一票を投じる」資格しかなかろう。 
 
(*7) 他人の褌を借りないと、安倍首相批難さえ出来なくなったのかね? 
 
(*8) だったら、何だってこんなコラムを掲げて「邪悪な日本」を非難しているんだ? 
 
(*9) 副センター長の御高説は承ったよ。で、センター長は何と?アメリカも自由の国だからね、探せば中国共産党ベッタリの説を吐く輩も居ろうさ。 
 
(*10) だから、何?少なくとも「中国の国際的イメージを傷つける」事には成功した訳だな。人民日報の言う「奇怪な論理」に依ってか胴下は、判らないが。 
 

安倍対中外交政策の正しさ

 さて、如何だろうか。
 
 偏見や独断とは決して無縁とは言えない、否寧ろ「偏見や独断を多分に擁している」に違いない(*1)私(ZERO)の目からすると、「中国共産党の焦り」が見えて仕方のない文書だ。無論、その「焦り」とは、安倍政権の掲げる「価値観外交」が一定の成果を収めている事に対する「焦り」であり、「対中包囲網」に対する「焦り」であろうとも、上掲コラムからは読み取れてしまう。
 
 なにしろ人民日報は、押しも押されもせぬ党の口舌=中国共産党の宣伝機関。その「党の口舌」が、上掲コラムの通り安倍政権の外交政策を非難する根拠として揚げているのは、以下の通り。
 
① 日中関係を破壊している 【1】

② 「中国が武力で現状を変更する」とは、全く根も葉も無い 【3】

③ 歴史の道理と正義を公然と歪曲し、戦後国際秩序にほしいままに挑戦し、隣国との関係を意図的に悪化させている【5】

④ 「同盟と対抗」は古く、「協力」が新しい 【7】
 
 まず第一に、上掲①~④にせよ、他のいかなる(*2)理由にせよ、「安倍首相の"中国に拮抗して世界へ貢献する政策」が非難されているという事は、(1)「日本は中国に拮抗しうる。少なくとも、その可能性がある」と、中国共産党自身が認めている、という事。
 
 第二に、先述の先行記事で合従策=対中包囲網は無理・無駄」と安倍首相に「忠告」していた人民日報が、未だに上掲記事の様な安倍首相外交政策批判を記事にするという事、(2)「安倍首相の「中国に対する拮抗」=合従策=対中包囲網は未だに続く外交方針である」 (3)「安倍首相の「中国に対する拮抗」=合従策=対中包囲網 は中国共産党にとって都合が悪い」 という事である。
 
 字面だけを追い、「書いてない事は、書いていない」と言う石頭の教条主義に陥って居て(*3)は、左様読み取る事は出来ないだろう。だが、僅かばかりの推理力と想像力を使えば、容易に読み取れる「行間」だろう。
 
 上述(1)~(3)だけでも、「安倍政権対中外交政策の正しさ」は立証されよう。
 さらに、上記①~④安倍外交政策批難根拠に踏み込むならば、新味があるのは上記④「対抗よりも協力」ぐらい。中国共産党が近年強調する「ウイン-ウインの関係」と言う奴だろうが、日中国交回復以来35年間にそんな「互恵関係」がどれ程あっただろうか。「親善」だの「友好」だの「友愛」だの、美辞麗句は数多あるが、巧言麗色少なきかな仁。日中関係の基本は、「対抗」では無かったかもしれないが、「強請」、それも「中国側の一方的強請/強制」ばかりでは無かったか。「強請/強制」よりは、「対抗」の方が、まだマシと言うモノだ。
 
 残余の上記①~③には、新味すらも無い上記③「戦後国際秩序に挑戦し、隣国の関係を悪化させているのはまさに中国の所業であるし、上記②「中国が武力現状を変更したのは、チベット併合、モンゴル占領、朝鮮出兵(*4)と幾らも事例がある。ああ、ベトナムだけは、出兵したが「現状は変わらなかった」事例か。
 
 上記①「日中関係を破壊しているは、ある部分真実と言えよう。「歴史認識を自分たちの都合の良いモノに変更しろ」と強制・強要してくるような国と、ある程度言論思想の自由を保障する民主主義国家とでは、真面に付き合いようが無かろう。「歴史認識の強制」は、思想統制であり、思想侵略だ。
 
 即ち、上掲人民日報コラムの安倍政権対中政策批判は、その批判故に、「安倍政権対中政策の正しさ」を証している。「語るに落ちる」とタイトルにした所以である。

 

<注釈>

(*1) 意識的、無意識的両面で。所詮神ならぬ身の人が為す事だ。
 
(*2) 隠蔽隠匿されていようが、いまいが、 
 
 
(*3) そういうバカも、世の中には居る。寧ろ、多いかも知れない。
 
(*4) 朝鮮戦争への「義勇軍出兵」を、普通はこうは呼ばないが。 
 

【おまけ】

 ラス前のパラグラフ【8】では「米スタンフォード大学アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー副センター長」なるお方を担ぎ出して、
 
1〉 「日本はドイツと同じく、自らの戦時犯罪に対する弁護を放棄し、
2〉かつ明確に懺悔の気持ちを表明してかつての戦争に関する様々な懸念を解決して初めて、
3〉リーダーとしての役割を真に担うことができる。」
 
と言うのだから、要は戦時賠償の無限責任を負って、強請られ放題のタカられ放題になり、歴史認識も"改めろ"」と言う、中韓にとっては誠にありがたい御卓見だ。
 こんな中国共産党にとって好都合な御高説を唱える学者先生を見つけ出せるのも、言論の自由・学問の自由のお蔭だねぇ。