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一党独裁体制で「全国民の知恵」なぞ、集まるものか
さて、如何だろうか。
言うまでも無かろうが、上掲①は環球時報記事で、中国共産党政権の第3回全体会議(三中全会)直前に発表された「383」改革プランなるモノの称賛記事。その称賛理由を抽出すると、
(1) 改革に向けた強い希望と決意を示した【2】
(2) 多くの面で民間の意見を反映している【3】
(3) 大々的かつ幅広い改革になる 【4】
(4) 「三位一体の改革構想、8つの重点改革分野、3つの関連改革」(*1)
となっているのだが、上掲記事の中にもこれがあくまでも「1シンクタンクの提案」でしかなく、「政府が最終的に同プランの提案をどれほど採用するかは不明だ」と認めている。尤も、続けて「が、その意義を低く見積もることはできない。」ともしているが、そもそも環球時報と言う押しも押されもせぬ「党の口舌」=「中国共産党の宣伝機関」が取り上げた時点で「383」改革プランなるものは端倪すべからざるモノと言えよう。
これに対して上掲②は、「383」改革プランを踏まえての記事か否かは断定しかねるが、兎も角「三中全会で抜本的な改革案は示されないだろう」と言う悲観的予想記事。
②1> しかし現時点では、3中総会は高度な目標達成への意欲を公表するが、
②2> 具体的な行動はそれほど盛り込まないとみられている。
②3> 方向性は打ち出すが、行動には踏み出さないだろう。
②2> 具体的な行動はそれほど盛り込まないとみられている。
②3> 方向性は打ち出すが、行動には踏み出さないだろう。
と言う、終盤のパラグラフに、その悲観的予測は集約されて居よう。
上掲②記事の上記②1>~3>の懸念が相応に根拠あるモノらしいとは、上掲①記事からも読み取れる。即ち、以下の部分などに。
①1> また同プランの改革が十分でなく、特に政治体制の改革に触れていないと指摘する声もある。 【6】
無論、上掲①記事は、中国共産党が「383」改革プラン並びに3中総会を喧伝しようと言うプロパガンダ記事であるから、上記①1>直後に「政府提案が保守的なのは当然だ」と言わんばかりの弁明、否、強弁にこれ努めているが、裏を返せば上記(2)「大々的かつ広範な改革」であろうが上記(2)「広く民意を反映」しようが、政治改革は提案さえされず、実施はもっとされない。政治改革の提案なんぞなくとも上記(3)「改革に向けた強い希望と決意を示した」事になるのだから、いや、実にめでたい話だ。
しかしながら、「政治改革の提案すらない」という事は、「中国共産党一党独裁体制」は変わりようが無い、という事。
①2> 改革の評価は大多数の人の受ける印象、改革が中国にもたらす変化によって決まる。
①3> これを見定めるには、時間が必要だ。ネット上の称賛に対する過度な注目は、軽率の感がある。
①3> これを見定めるには、時間が必要だ。ネット上の称賛に対する過度な注目は、軽率の感がある。
と上掲①記事に予防線は張られているから、要は「政府批判は受け付けない」という事なのであろう。実に、共産党一党独裁体制らしいところである。
①4> 中国は巨象であり、目を開いてはいるが、局部にしか目が届かないことが多い。
①5> 中国はいかに改革を進めるべきかという問題に対して、「自分が最も良く分かっている」と思い込むべきではなく、
①6> この国がさまざまなルートを通じて集めた全国民の知恵を信じるべきだ。
①5> 中国はいかに改革を進めるべきかという問題に対して、「自分が最も良く分かっている」と思い込むべきではなく、
①6> この国がさまざまなルートを通じて集めた全国民の知恵を信じるべきだ。
と言うのだから、ずうずうしい奴は何処まで行っても図々しいものだ。政治改革についてはロクに意見聴取もしようとしない共産党一党独裁体制が、「全国民の知恵を集める」などと主張するのは笑止であるし、「集めた全国民の知恵を信じろ」と主張するに至っては、笑止千万でもまだ足るまい。
一党独裁制を敷き、その故に政治改革については提案さえ許さない共産党が、その改革案の正当性を「民意・民主主義」に依ろうと言うのだから。
そりゃ神様級の必殺技「無謬性」を主張するよりは、幾らかマシではあろうが、ね。
流石に上掲①記事の様に「民意を集めたのだから、正しい改革案になる」ではマズイと思ったの・・・
<注釈>
(*1) これはタイトルの説明ではあるが、称賛理由があまりに少ないので、追加。但し、「改革構想」「重点改革分野」「関連改革」の中身が判らなければ、一体何を言っているのかサッパリ判らない。
③ 世界にプラスのエネルギーを与える三中全会が開幕
http://j.people.com.cn/94474/8451648.html
( <>はZEROの振った「海外の識者」番号 )
中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)は11月9日に北京で開幕した。三中全会開催を前に、海外の識者は今回の会議について、中国の全面的改革のアップグレード版を築き、今後10年間、さらにはそれより長い期間の発展の道を形作るものであり、世界にも計り知れないプラスの影響を与えるとの認識で一致している。人民日報海外版が伝えた。
■全面的改革を一段と推進
海外では「最も全面的」「最も深い」「史上前例のない」が三中全会について議論する際のキーワードとなっている。全面的改革の深化という中国新指導部の決意は世界にとって「強心剤」となっている。
<1>米シンクタンク・ブルッキングス研究所の李成シニアフェローは中国の将来に悲観的な見方に反論。三中全会は経済改革だけにとどまらず、総合的な改革計画を打ち出すとの見方を示した。
<2>ポールソン元米財務長官も楽観的な姿勢を示し、新指導部には改革推進の能力があり、改革に対する市民の期待もかつてないほど高まっているとの認識を示した。
<3>タイ・チュラロンコーン大学中国研究センターの研究員は、三中全会は経済体制、政治体制など各分野の全面的改革について、より広い範囲で、より大きな力を入れて系統立って論じるとの見方を示した。
<4>フランス戦略学会会長で中国問題専門家のEric de La Maisonneuve少将は「今回の全体会議によって中国は繁栄を共に享受する、より平等で、環境に優しい経済・社会発展の道へと踏み出す」と指摘した。■経済改革に注目
世界第2の経済大国である中国が今回の全体会議で打ち出す経済改革措置に、国際社会は特に注目している。
<5>国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「中国が最近すでに見られる経済のリバランスを引き続き推進し、経済発展方式の転換を引き続き進め、消費を増やし、経済成長の投資や輸出への依存を減らすことを期待している」と表明した。
<6>米ウィルソンセンター米中関係キッシンジャー研究所のロバート・デイリー所長は「経済成長モデル全体について新たな調整を行い、内需主導や環境保護を一段と注目する。貧富の格差の解決にも注意を払う」と指摘した。
<7>独ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディン氏は、最も注目する改革措置として、法に基づくガバナンス、土地所有権改革、国有企業のより合理的なコントロール、金融改革の段階的推進、影の銀行システムの打破
<8>イェール大学ジャクソン・インスティテュート・オブ・グローバル・アフェアーズのシニアフェロー、スティーブ ン・ローチ氏は全体会議に中国の消費者を支える広範な政策、年金や医療など社会保障制度への公的資金の注入、預金金 利の自由化、戸籍制度改革などを期待すると述べた。■中国に新たなビジネスチャンスを探る
全面的改革によって中国は世界にプラスのエネルギーを放ち、今回の全体会議への国際社会の期待を高めている。国際社会は中国が引き続き世界の安定的発展に貢献することを期待するとともに、中国の新たな改革に新たな協力のチャンスを探ることを望んでいる。
<9>ロシア科学アカデミー極東研究所副所長、中国問題専門家のオストロフスキー氏は「世界は中国が安定的成長を続 けることを必要としている。中国は世界の大国であり、世界に対する三中全会の重要な役割は過小評価できない」と指摘 した。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年11月9日
「世界中から称賛の声」Reeeeeeeally?
とまあ、「民意が無ければ、"世界の声"がある」と言う処か。何しろその「世界」の相当部分は、一党独裁下では無く言論の自由もある国。「中国共産党の改革案に賛同する」声だって、探せばあろうと言うモノだ。その割には、上掲記事③に登場する「世界の声」は・・・
<1>米シンクタンク・ブルッキングス研究所の李成シニアフェロー ○
<2>ポールソン元米財務長官 ○
<3>タイ・チュラロンコーン大学中国研究センターの研究員 △「より大きな力を入れて系統立って論じる」
<4>フランス戦略学会会長で中国問題専門家のEric de La Maisonneuve少将 ○
<5>国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事 ×「期待している」
<6>米ウィルソンセンター米中関係キッシンジャー研究所のロバート・デイリー所長×「注目する」「注意を払う」
<7>独ベレンベルク銀行のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディン氏 ×「最も注目する改革措置」
<8>イェール大学ジャクソン・インスティテュート・オブ・グローバル・アフェアーズのシニアフェロー、スティーブン
・ローチ氏 ×「期待する」
<9>ロシア科学アカデミー極東研究所副所長、中国問題専門家のオストロフスキー氏×「役割は過小評価できない」
となり、現職で組織の代表と言い得るのは上記<5>ぐらい。尚且つ、名前の後に「○×△」で評価したのは、
③1> 海外の識者は今回の会議について、
③2> 中国の全面的改革のアップグレード版を築き、
③3> 今後10年間、さらにはそれより長い期間の発展の道を形作るものであり、
③4> 世界にも計り知れないプラスの影響を与えるとの認識で一致している。
③2> 中国の全面的改革のアップグレード版を築き、
③3> 今後10年間、さらにはそれより長い期間の発展の道を形作るものであり、
③4> 世界にも計り知れないプラスの影響を与えるとの認識で一致している。
と言う上掲記事冒頭部分と発言内容が合致しているか、否か。「×」がついているのは、例えば上記<5>の通り「三中全会で採択される中国改革案に対する期待の表明」であって上記③4>のような「中国改革は必ず成功して、良い事が有るに違いないと言う確信」ではないと言う事例。端的に言って、そんな事例「×」印が、上記<1>~<9>の内過半数5人を占めている。これで上記③4>「世界にも計り知れないプラスの影響を与えるとの認識で一致している。」とは、我田引水と言うよりも、牽強付会が過ぎようと言うモノだ。
なんにせよ、この三中全会が閉幕する頃には、問題の「中国政府改革案」が明確になるらしいが…それでも11月半ば。
「遅くとも10月」に対し半月遅れで済んでいるのは、「流石は鳩山由紀夫の師匠」と言うべきかも知れない。
尤も、その「改革案」の中身が知れた日には、「やっぱり鳩山由紀夫の師匠」になるだろう事は、かなりの自信を以って確信出来てしまうぞ。