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 くどい様だが当ブログでは東京新聞の事を「脱原発原理主義」と再三糾弾し、槍玉にあげている。
 さらにくどい様だが当ブログが東京新聞を「脱原発主義」ならぬ「脱原発原理主義」として非難するのは、「脱原発」を金科玉条至尊至高の目的=原理に掲げて目的化し、選挙結果も電力の安定供給も科学的事実も無視してしまうから。
 そんな脱原発原理主義者の東京新聞が、二酸化炭素排出による地球温暖化を報告する報告書を取り上げると・・・・こうなった。

 
【東京社説】温暖化評価報告 まいた種は刈らねば
2013年10月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013100702000129.html
 地球温暖化は人間のせいなのに-。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表した第五次評価報告書には、動かない世界へのいら立ちもにじむ。頻発する異常気象。後始末を始めなければ。
 人間一人の力は小さい。だがそれが集まれば、地球を変えてしまう力を持つ-。
 新たな評価報告書は、これまでで最も強い表現を用いて、そのことを認めている。
 第一作業部会のリポートは、地球温暖化に関する最新の科学分析や予測をまとめたものである。
 来年三月に第二作業部会が、気候変動に対する社会経済システムの脆弱(ぜいじゃく)性や適応策について、四月には温室効果ガスの抑制や緩和策を評価、十月に統合報告書が公表される。
 今回の報告では、二〇〇七年の第四次報告書に書いた、温暖化の原因は人間活動が原因である可能性が「非常に高い(90%以上)」という表現を「極めて高い(95%以上)」にあらためた。
 温暖化の影響により、今世紀末には地球の平均気温が最大で四・八度、海面が八二センチ上昇する恐れがある。
 気温の上昇予想は、前回の六・四度に比べて低い。それは、極端な将来予想を評価の対象から外したためで、温暖化の原因になる活動が緩和されたわけではない。
 人間活動のあり方は、結局人の暮らしに跳ね返る。温暖化による災いを避けるためには、二〇〇〇年から五〇年までの二酸化炭素(CO2)排出量を一兆トン以内に抑える必要があるという。その実現さえ、すでに困難な状況だ。私たちの暮らしに温暖化による危険が、迫っているということだ。
 気温が一度上がると、大気中の水蒸気は約7%増えるという。その分大気が不安定になり、天候は荒れやすくなる。
 世界中で異常気象が頻発し、異常が日常になってしまった感がある。それは身の回りにも及んでいる。十月に、真夏日が続くこともある。台風の襲来は増えて、竜巻も珍しくなくなった。
 想像してほしい。今世紀末、世界人口は百億を超えている。このままでは、どうなるか-。
 人間一人の力は小さい。だがそれが集まれば、地球を変え得る力を持つ。
 ただし、発電時にはCO2を出さないという口実で、原発を増やすのはもってのほかだ。原発に頼らない削減策はある。
 

日本の発電は、現状9割が火力ですが、何か?

 さて、如何だろうか。
 
 お気付きだろうか。上掲東京社説、「地球温暖化の原因は人類の活動にある」とする報告書を取り上げ、上掲社説タイトルの様に「まいた種刈らねば」として人類一人一人の責任を糾弾し、「温室効果ガス/二酸化炭素(CO2)の排出抑制/緩和」の重要性・重大性を訴えつつ、原発には最後の一行でしか触れていない。
 それも、
 
1〉 ただし、発電時にはCO2を出さないという口実で、原発を増やすのはもってのほかだ。
2〉原発に頼らない削減策はある。
 
と言う原発完全否定」。流石は「脱原発原理主義」と言うべきか。
 但し、最後の一行の為に、「ひたすら二酸化炭素排出量抑制のみを訴えて終わる」社説となる事を免れている。東京新聞がさんざん吹聴・鼓舞・扇動した「脱原発」と「二酸化炭素排出量抑制」との矛盾について「頬被りせず、自ら触れた」点は、高く評価してよかろう(*1)。
 確かに原発に頼らない(二酸化炭素排出量)削減策はある」と言うのは本当だ。だが、「原発は、二酸化炭素排出量削減策の一つである」事は、「口実」でもなんでもなく、紛れもない事実であり、「原発とその他の二酸化炭素削減策の併用は、より高い二酸化炭素削減効果となる」のも間違いない。実際、かつて鳩山由紀夫が忌むべき事に首相であった頃に調子こいて「二酸化炭素排出量25%削減」を「国際公約」した際には、「日本の電力の半分を原発で発電する計画」だった。「二酸化炭素排出量25%削減」なる「国際公約」は、「原発電力50%」と、その他諸々の二酸化炭素排出量削減策を併用して、漸く達成できるかどうか、と言う数値だ。
 況や、現状我が国の「原発ゼロ」=全原発稼働停止状態で、電力の9割は火力発電に依っており二酸化炭素は出しまくり。残りの1割は水力で、東京新聞推奨の「国産エネルギー」たる太陽光や風力は、合わせに合わせて倍近くに増えても、2%にも満たない(*2)。
 
2〉原発に頼らない削減策はある。
 
 ああ、嘘ではない。あるには、あるさ。だが、現状及び見通せる将来にわたって原発を代替しうる発電方式は、我が国では火力発電のみだ(*3)。
 であると言うのに、「原発に頼らない削減策はある」という事を「口実」に、原発を増やすのはもってのほかだ。」と断言し、現状の「全原発稼働停止」状態を招来しつつ二酸化炭素排出量抑制」を訴えてしまうとはなんという厚顔無恥ぶりよ。
 
 言うだけだったら、幾らでも言えるわなぁ。(C)岡部ださく

 

<注釈>

(*1) タイトルにした通り、「一応、その矛盾にも触れたと言う、アリバイ作り」との感も、否めないが。 
 
(*2) 冷たい計算式/推算式シリーズで示した通り、その日本での稼働率は、太陽光で1割、風力で2割。かつ発電量を制御出来ず、発電コストは水力のさらに3倍と言う高発電コストである。立地条件の厳しさ、必要敷地面積の広さなどは別にして、だ。 
 
(*3) 水力は、貯水量に発電力の制御性が左右される事。最も電力が必要な夏に渇水期を迎える事。既に水力発電の適地は相当に我が国では利用されており、大幅な増加は最早望めない。かつては我が国の電力の内5割を占めていた水力が、今は1割にシェアを落としているのは、電力需要の増大による。