応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/
何度か書いた事だが、私(ZERO)は鉄道マニア・鉄道ファンではないが、新幹線のファンではある。私(ZERO)が鉄道マニア/鉄道ファンではないくせに新幹線ファンである理由は、先行記事にもした(※1)が、「空路にも対抗しうる高速大量輸送鉄道の先駆け」にして、「開業以来乗員乗客にタダの一人も事故死者を出していない」高い安全性を誇る(※2)、「高速鉄道の起源にして頂点」だからである。無論、新幹線が我が国・日本の技術による国産品であると言うのも、大きなポイントだ。
その新幹線の「正当な後継者(※3)」と言うべきリニア新幹線の計画が、先頃JR東海から公表された。「最高速度 時速500キロ(※4)」と言われるリニア新幹線は、中央線・中央道に沿う形で、2027年 品川(東京)~名古屋 間を開業予定と言う。
鉄道ファンや新幹線ファンならずとも、なかなか夢のある話だと思うのだが、文句を言う奴は何処にでも居るもので・・・
<注釈>
(※2) そのあまりに高い安全性が、「絶対安全を当然視する」安全神話/安全信仰の根拠となってしまった気もするが・・・それは、新幹線やJRの罪でも責でも無かろう。
(※3) つまり零式艦上戦闘機(ゼロ戦)に対する「烈風」に相当する訳だが…あまり縁起の良い喩ではないな。
(※4) という事は、「時速250キロ」と歌にも歌われた現・新幹線(今はもうちょっと速いが)の「2倍」だ。
【毎日社説】:リニア新幹線 国民的議論が必要だ
毎日新聞 2013年09月23日 02時31分
http://mainichi.jp/opinion/news/20130923k0000m070075000c.html
【】はZeroの付けたパラグラフ番号(*1)
【1】 夢物語のようだったリニア新幹線が、急に現実味を帯びてきた。2027年に東京・品川~名古屋の開業を目指すJR東海が、環境影響評価準備書を公表し、詳しいルートや駅の位置が明らかになった。必要な手続きや国の認可を経て、来年度には着工したいという。
【2】 沿線では早くも期待が膨らんでいる所もあるようだ。しかし、リニア中央新幹線は何十年に1度という超大型の国家的プロジェクトである。関係する都府県やJR東海という一企業だけの問題ではない。疑問や不安もまだ多く、今こそ徹底した国民的議論が必要である。
【3】 リニアの強さは何といっても最高時速500キロという速さだ。計画では27年に品川~名古屋が最短40分、45年には品川~大阪が1時間強で結ばれる。その経済効果は十数兆円という民間試算もあるようだ。
【4】 一方で、リニアという全く新しい技術を使った交通手段の導入には多くの未知数がある。まず、建設工事に関するものだ。名古屋までの全長286キロのうち約86%が地下やトンネル内の走行となる。中でも南アルプスを貫通する約25キロのトンネルは崩落や異常出水の危険がある地層を横切るため難工事が心配される。
【5】 そして経済的未知数だ。総建設費は在来型の新幹線を大幅に上回る約9兆円と見積もられているが、さらに膨らまない保証はない。人口減少や高齢化が進む中、想定通りの利用者を確保できない恐れもある。大阪までつながるのは、今から32年も先なのだ。東海道新幹線とリニアを両方抱え、利益を維持できるのか。
【6】 リニア中央新幹線の基本計画ができたのは40年前である。この間、日本の経済や社会構造は激変し、在来型新幹線の性能も格段と向上した。特に東日本大震災後、エネルギーをとりまく環境が変わり、大地震のリスクも一層認識されるようになっている。ピーク時の消費電力が新幹線の3倍とも言われ、地中深く走るリニアは本当に望まれる乗り物か。
【7】 建設費は全額JR東海が負担する。しかし、だからといって一民間企業の設備投資と片付けるわけにはいかない。万一事業が失敗しJR東海が経営難に陥った場合、その公共性から国家(国民)が支援を求められる可能性も皆無ではないのだ。
【8】 JR東海には沿線住民はもちろん、国民全体に納得のいく説明をしてほしい。国会で集中的に審議されたことがないが、客観的、中立的データに基づく政策論議が不可欠だ。
【9】 関係者のみの楽観的見通しで突っ走ってはならない--。福島第1原発事故から日本が学んだ教訓の一つだ。20年の東京五輪に間に合わせようという発想など論外である。
.
【注釈】
(*1) それにしても、短いパラグラフだな。殆ど文番号だ。
非難批判は「社会の木鐸」たる可きマスコミの義務ではあろうが・・・
さて、如何だろうか。
例によって振ったパラグラフ番号の通り、全部で9つのパラグラフから、上掲毎日社説の主張「国民的議論が必要だ」の必要理由を抽出すると、以下の様になろう。
(1) 全く新しい技術を使った交通手段の導入には多くの未知数がある。【4】
(2) 総建設費9兆円はさらに膨らむかも知れず、利用者を想定通り確保できないかも知れない。【5】
(3) リニア中央新幹線の基本計画は40年前のモノで古い。【6】
(4) 建設費は全額JR東海負担だが、万一事業失敗したら国家(国民)支援を求められる可能性も皆無では無い。【7】
9つあるパラグラフの内、4つを「国民的議論が必要な理由」に当てているのだから、相応に丁寧な社説と言えそうだが、上掲毎日社説にもある通り、「建設費は全額JR東海が負担する。」リニア中央新幹線計画を「一民間企業の設備投資と片付けるわけにはいかない。」と断じる理由は上記(4)であり、これが「国民的議論が必要な」理由の根幹・根源。これに比べれば、上記(1)~(3)は「国民的議論の内容」であり、上記(4)理由が成立しなければ、正に「JR東海が真剣に検討し、心配しなければならない事」であっても「国民的議論が必要な」話ではない。
で、肝心要の上記(4)理由なのであるが・・・なんだいこれは。
そりゃJR東海は現新幹線も擁する公共性の高い会社だ。「万一事業失敗したら国家(国民)支援を求められる可能性も皆無では無い」とは常に言い得よう。だが、上記(4)の論法に従えば、「公共性の高い企業は、その長期的大規模な経営計画については国民的議論が必要」という事になり、逆に言えば「公共性の高い企業は、その長期的大規模な経営計画を国民的合意ができるまで決定できない」事になる。「万一事業失敗したら国家(国民)支援を求められる可能性も皆無では無い」と言う理由で。
一民間企業が、民主主義で経営されるべきだろうか。それも、従業員でも株主でもなく、国民による民主主義で。
Negative.そりゃ、それこそ「民意の暴走」だ。文字通りの「国(民)営企業」だ。別に試す分には構わないが、早晩破綻して会社は潰れるだろう。民意に従って経営し、民意を問わねば少なくとも長期的大規模な計画は策定できない企業が、他にどうなり様があろうか。それ即ち「公共性の高い企業の倒産」であり、その企業が提供する「公共性の高いサービス」の停止である。
「角を矯めて牛を殺す」の、好例ではないか。
リニア中央新幹線に対し、国民的関心が高い事は結構だ。上記(1)~(3)の疑問点について、議論するのも良かろう。それらの疑問に基づいて、「リニア中央新幹線反対論/反対運動」が巻き起こる事もあるかも知れない。そうなれば、JR東日本がリニア中央新幹線反対論者/反対運動家相手にあれこれ説明しなければならなくなるかもしれない。だが、「リニア中央新幹線計画が国民的議論を経なければGOを掛けられない」なんてことが、あってたまろうか。
1〉 関係者のみの楽観的見通しで突っ走ってはならない--。
2〉福島第1原発事故から日本が学んだ教訓の一つだ。
などと言う尤もらしい上掲毎日社説最終パラグラフ【9】前半なんぞは、JR東海経営陣からすれば「余計な御節介」以外の何ものであろうか。況や、それを根拠に経営計画のついて「国民的議論が必要」などと断ぜられるのは、それこそ「論外」と言うべきだろう。
JRリニア中央新幹線計画を非難するにしても、真面な根拠理由はあるべきだろう。上掲毎日社説では、福島原発事故をダシにした、ただのイチャモンだ。