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 ああ、もう一つ忘れていた。

<3> 米国防総省でオスプレイの首席分析官だったレックス・リボロ氏が、「構造上の欠陥」を指摘している。

…「公聴会でリボロ氏が”構造上の欠陥”を指摘した」のは事実なんだろう。が、沖縄タイムスが報じたリボロ氏の言う処の「オスプレイ6つの構造上の欠陥」が尽く「構造上の欠陥」等ではなく、せいぜいが「運用上の制限」でしかない事は、以前記事にしてアップした処であるから、この6つ以外の「構造上の欠陥」を言っていたのでない限り、上記<3>もまた「オスプレイは危険だ説の根拠」とはなりえない。第一、沖縄タイムスだか琉球新報高が報じる通り、リボロ氏自身が「オスプレイは既存のヘリコプターより安全」と認めている。

 それにしても、「公聴会でオスプレイ構造上の欠陥が指摘されている」と言う「都合の良い事実」だけあれば、検証も検討も無しに社説に引用して恥じないんだな、東京新聞って処は。

東京新聞社説の「自衛隊のオスプレイ導入反対理由」を数えても・・・

 とは言え、そんな「オスプレイは危険だぁ!」だけでは「自衛隊へのオスプレイ導入反対理由」としては不十分と考えたか、他にもあれこれ上掲社説では理由を挙げている。それを数え上げていくと、以下の通り。

(1) オスプレイは危険だぁ!(前述)

(2) 「オスプレイは安全」と言う為の、政治主導の導入だぁ!

(3) オスプレイのダウンウォッシュで被救援者が窒息する!

(4) オスプレイは唯一の実用チルトローター機だから、市場独占しており、導入に透明性を確保できない!

 いや、まあ、新ためて列挙してみると、「必死にかき集めた反対理由」と言う感が強いのだが、如何なモノだろうか。

 上記(3)は、以前東京新聞が珍しく自衛隊を褒める記事に、褒める理由として書いたぐらいだから、東京新聞自信に確信もあるのだろう。が、上掲記事にも突っ込んだ通り相当眉唾だ。「ダウンウォッシュが従来のヘリコプターより強い」と言う事はあるようだが、そのダウンウォッシュに生身の兵士を曝して運ぶ訓練も実施・実践されている。「ダウン・ウォッシュの強さで窒息する」ならば、この訓練に参加した兵士は生きてはおるまい。ああ、以前は「熱い排気で火災の危険性がある(※1)」とまで書いていたから、それよりはマシか。第一、米軍でも救難任務に就くオスプレイに「強いダウンウオッシュ対策」が、無かろう筈が無いではないか。忘れてはいけない、オスプレイは既に配備開始以来5年以上を経て、アフガニスタンで実戦にも投入されているのだぞ。

 上記(4)も言いがかりに近い。確かにオスプレイは史上初の実用チルトローター機にして、唯一のの垂直離着陸輸送機。ライバル機は居ない独占市場だから「競争入札」になんかなり様が無い。それぐらい画期的な新型機であるから、だが、上記(4)の理屈からすると、「画期的な新型機は採用・導入出来ない」事になる。採用・導入できるのは、競争競合出来るライバル機がある場合のみ。かつてアメリカが実施し、大日本帝国時代は我が国でも実践出来た(※2)「競合する複数の会社に競争試作させる」事で「画期的な新型機の透明性ある採用・導入」が可能になるが、それは単純に言って「開発費が2倍かかる」という事である。米軍でもF-22正式化の際には実施したが、F-35でもオスプレイでもそれは諦めている。
 逆に「ライバル機を交えた導入の透明性確保」のためには、今からオスプレイに匹敵する垂直離着陸輸送機、多分はチルトローター機を国産なりなんなりで開発しないといけない。一体何年、否、何十年かかるんだか。何れにせよ「導入の透明性」を求めるあまり「装備の陳腐化」を促進する所業だ。

 とどのつまりは上記(2)に帰着しそうであるが…なんだいこれは?
 「政治主導」は別に悪事ではないだろう。先々回の衆院選挙の際に民主党政権が掲げたのは、「政権交代」共々「政治主導」であり、後者の意味は「官僚支配からの脱却」だった筈だ。その民主党による「政権交代」をさんざん支援した東京新聞が、今さら「政治主導」を否定するとは考え難いし、”自衛隊の装備品は自衛隊だけで決定しなければ「統帥権の干犯」”と主張するとも思われない(※3)。故に「”オスプレイは安全だ”と主張するためのオスプレイ導入」が、問題なのだろう。

1>  東日本大震災で国民からの信頼を高めた自衛隊を利用してオスプレイへの反発を弱める、
2> そんな考えは明らかに筋違いです。

と言うのが上掲社説〆の一文なのだから、やはり上記(2)の前半部分「”オスプレイは安全だ”と主張するため」が問題視されているようだ。

 一見まっとうに見え様が、実は奇妙な理屈だ。

 まず第一に「”オスプレイは安全だ”と主張するためにオスプレイ導入」するためには、少なくとも「オスプレイは実は安全だ」と言う自信が必要であり、その自信を日本政府も、アメリカ政府も持っている、という事である。実際にオスプレイを導入して事故続発では、我が自衛隊将兵及び防衛費の損失もさることながら、「”オスプレイは安全だ”と主張する」もへったくれもありはしない。序でに言うと私(ZERO)にも日本政府並みの自信なら、ある。
 かかる日米両政府の自信に対し、上掲東京新聞社説の主張は、「”オスプレイは安全だ”と主張するため」と言うその「悪辣なる意図」を糾弾するモノの、我が自衛隊将兵が搭乗したまま墜落するに違いない(※4)オスプレイに対し、パラグラフ【3】で「基地周辺住民の不安」を述べるのみ。我が防衛装備上の損失も、それ以上に痛い人員の損失も、全く触れていない。即ち「自衛隊の人的損失は無視している=自衛隊員を人間扱いしていない」か…、元々「オスプレイは実は危険ではない」と言う確信を、東京新聞自信が抱いているか、だ。後者ならば、東京新聞は、実は日米両政府並みである、という事だ。

 第二に、自衛隊へオスプレイが導入されるという事は、オスプレイの機数が増えて、総飛行時間も増えるという事。当然、墜落事故件数も増えるが道理。本当に「オスプレイは危険」ならば、自衛隊導入オスプレイにも墜落事故が発生するだろう。「自衛隊を利用してオスプレイへの反発を弱める」なんて、出来っこないと、確信できる。
 だが、上記1>~2>ではそんな「オスプレイへの反発弱化」が「筋違い」とは言え「可能性がある」と認めている「そんな可能性は無い」ならば、こんな社説を特筆大書して掲げる必要が無い。勝手に政府がオスプレイを導入し、勝手に自衛隊オスプレイが墜落事故を起こし、自ずと「オスプレイへの反発」は増大しよう。それを放置出来なかった、という事は、やはり「オスプレイは実は危険ではない」と言う確信を、東京新聞自信が抱いていると、考えられる。

 逆にこれで自衛隊が「オスプレイ導入を断念」なんて事になれば、やはりオスプレイは危険だの、被救援者はやはり窒息するだの、東京新聞が言い出すことは間違いなかろう。

 となれば…東京新聞の鼻を明かす為では無いが、「オスプレイ沖縄配備(だけ)反対派」を粉砕するため為には、自衛隊に試験的にでもオスプレイを導入するのが上策であろう。

 オスプレイに試験搭乗した森元防衛相(当時防衛相)に「オスプレイに乗りたければ、防衛省のヘリポートで好きなだけ離発着しろ(※5)」と毒づいた、琉球新報の鼻を明かすためにも。


<注釈>

(※1)条件によっては、恐らくエンジン排気によって離着陸の際地上の枯草などに着火する事はあるようだ。救援の際に高度を十分に取るなどの対策は必要だろうが、運用制限に留まろう。 

(※2) ああ、充分な防衛予算がある頃には、戦後のわが国防衛装備でも実施した例はあるが。 

(※3) 無論、相当程度、皮肉だが。 

(※4) と、「オスプレイ危険だ!」論者は主張している…筈の 

(※5) 以前も記事にしたが、「オスプレイは危険な欠陥機だ」と主張している以上、これは「森防衛相(当時)は、オスプレイで墜落死しろ」と言う呪詛であり、しかも「東京都内の一等地に墜落しろ」と言う呪詛でもある。言うまでもないが、東京都内は、普天間市内なんかより人口密集地である。