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 「ホーカー・ハンター」とは、また懐かしい飛行機が出て来たな。イギリスが単独でまだジェット戦闘機を開発できた頃だから、昔も昔、戦後第一世代の亜音速ジェット戦闘機。我らが空自の装備機で言えば、F-86セイバーと同世代だ。その鈍い前縁後退角と盛大な翼面積に、「翼面荷重(※1)は小さい方が、空戦性能は良いんだよなぁ」と言う第二次大戦張りのノスタルジーが仄見える(※2)、「味がある」レトロな平面形であるが…初飛行1948年。ちと、古過ぎないか?

<注釈>

(※1) 飛行時総重量を、翼面積で割った値。 

(※2) F-86の後を継いだ空自戦闘機が、「最後の有人戦闘機」とも呼ばれたドラスティックな超音速戦闘機F-104であった事を知るだけになおさら。



【AFP】よみがえるクーデターの悪夢、チリの路上に戦闘機の「影」
2013年09月09日 15:16 発信地:サンティアゴ/チリ
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2966990/11316056

 チリの首都サンティアゴ(Santiago)にある大統領府、モネダ宮殿(La Moneda)そばの道路上に出現したジェット戦闘機ホーカーハンターの影をかたどった絵(2013年9月8日撮影)。(c)AFP/Claudio SANTANA

【9月9日 AFP】  チリの首都サンティアゴ(Santiago)にある大統領府、モネダ宮殿(La Moneda)そばの道路上に、ジェット戦闘機ホーカーハンターの影をかたどった絵が出現した。  「都市への介入」と呼ばれる、創作物を都市空間に配置して社会的なメッセージを浮かび上がらせる手法を用いたもので、サルバドル・アジェンデ(Salvador Allende)大統領を追放し、アウグスト・ピノチェト(AugustoPinochet)陸軍司令官が政権を獲得する道を開いた1973年の軍事クーデターから、11日で40年を迎えるにあたって制作された。
(c)AFP

実際、73年のクーデターに活躍したそうだが・・・

 ところがどっこい。

 先述の通りホーカー・ハンターは亜音速戦闘機であり、次世代のセンチュリーシリーズ(※1)はじめとする超音速戦闘機が登場すると、戦闘機としては第一線に留まれず、対地攻撃機や練習機に回された。

 その為、チリでクーデターが起きた1973年にもチリでは現役バリバリの第一線機(※2)。実際、そのクーデターでは地上攻撃に活躍したそうだ。ホーカー・ハンターの30㎜ADEN砲の四連装と言う兵装は、空対空兵装としては(※3)レトロな限りだが、空対地兵装としてはなかなかのもので、後のタンクバスターA-10(※4)の30㎜ガトリング砲にも比肩しうる。否。30㎜ADEN砲四連装ならば、30㎜ガトリングに勝つな(※5)。流石は「地獄の四連装」…って、違う!(※6)

 さはさりながら、実際73年のチリクーデターにホーカー・ハンターが活躍したという事は、上掲AFP記事にある「創作物を都市空間に配置して社会的なメッセージを浮かび上がらせる」芸術作品としての「ホーカー・ハンターの影」は、「戦闘機」だとか「対地攻撃機」だとかの抽象概念ではなく、「チリの73年クーデターにて実戦投入された史実」を踏まえた「史実の再現」と言う意味を持つ。なるほど、「社会的メッセージ」としては、その方がインパクト大だろう。

 「史実の再現」として「社会的メッセージ」は認めるモノの、私(ZERO)の様な軍事マニアの芸術音痴には、「だから何?」ってのが正直な処。

 「いくらホーカー・ハンターが亜音速機だからって、一寸ズングリムックリ過ぎないか?」とか、「両翼に増槽ぶら下げたままで地上攻撃はつらそうだから、上空航過中じゃないか?」とか、別の処に目が行ってしまうぞ。

 まあ、所詮、芸術の価値は受け手が決定し、受け手しか決定できないのだから、私(ZERO)にとって斯様な芸術は「殆ど価値が無い」もしくは「独自の、恐らくは製作者の全く意図しなかった価値がある」と言う事であろう。

 芸術って、素敵!


<注釈>

(※1) 米軍のF-100からはじまる「F-百番代」戦闘機。当然ながら、「無理矢理」や「辛うじて」も含めて、超音速戦闘機揃いである。 

(※2) 「第一線戦闘機」とは言いづらいんだが・・・ 

(※3) 1973年当時としても 

(※4) 1977年就役

(※5) とりあえず、四門合計の連射速度では。1発あたりの貫通力や破壊力は、最初からタンクバスター目指して開発されたGAU-8 30㎜ガトリング砲の方が、勝ると考える可きだろう。破壊力は兎も角、貫通力は、「弱い貫通力でも複数当てればOK」とはいかないから、な。 

(※6) 「地獄の四連装」と言えば、普通は第2次大戦ドイツ軍のFlak38 2.0㎝対空機関砲の事を指す。メーヴェルワーゲン対空戦車や、ヴィルベルヴィント対空戦車にも搭載され、タミヤが1/35で傑作プラモ化している、あれだ。