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 東京新聞が、オスプレイ日本配備だけ反対」と「消費税値上げ反対共々脱原発を「新聞社が義務として書かねばならない事」に挙げ(※1)、分けてもその「脱原発原理主義」ぶりは再三当ブログの材料になり、糾弾しておる処。社説や記事でさえそうなのだから、コラムとくればもう「一々論ってはいられない程」なのは百も承知だが。それにしてもまあ・・・


<注釈>

(※1) 何度も書くが、この三つが並列って処からして、どうよ。



【私説・論説室から】塵を積もらせ山にしたい
   2013年8月7日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2013080702000157.html

  風力や太陽光、地熱などの再生可能エネルギーは基幹電源になりうるのか。

基幹電源とは天然ガス、石炭、石油を燃料とする火力発電や、ウランを使う原子力発電など、電力の大量供給を担う電源を指す。

最新の火力発電は一基で出力百万キロワット、原発は百三十万キロワットに上るが、再生エネの場合、家庭用太陽光発電はわずか三~五キロワットにすぎない。二〇一二年度の全電力供給に占める再生エネの割合も1・6%にとどまる。

これでは基幹電源は夢に終わりかねない。そんな思いにとらわれていたとき、エネルギー問題に取り組む研究者から、インターネットを駆使した物品販売法の一つ、「ロングテール論」の応用を聞かされた。

販売数を縦軸に、商品を横軸にして、売れる商品を左側から並べる線グラフを描くと、恐竜の長いしっぽのように、線が右側へとなだらかに下がっていく。

たとえば、書店は書棚が限られ、売れ筋の本を優先陳列せざるを得ないが、ネット上では売れ筋以外にも幅広く出会える。個々の本の販売数は少なくても、実は売上額が増え、しっぽを伸ばすのだという。塵(ちり)も積もれば山となる-だ。

脱原発を宣言したドイツは再生エネが20%を超え、80%の将来目標も掲げた。価格が高いなど、再生エネが抱える難題を克服し、日本も身近なエネルギーを国民の手元に引き寄せて、ロングテールを実現させてほしい。 
(羽石 保)

「基幹電源のロングテール理論」の奇怪さ


 さて、如何だろうか…と、読者諸兄に尋ねるのが通例なんだが、今回は敢えて先に上掲コラムを書いた羽石 保記者に尋ねようではないか。

【Q1】 「基幹電源に於けるロングテール理論」とは、如何なるコンセプトであるか?

1> エネルギー問題に取り組む研究者から、インターネットを駆使した物品販売法の一つ、「ロングテール論」の応用を聞かされた。

ってんだから、コンセプトぐらいはあるんだろう。そいつは一体なんだ?上掲コラムから、「塵(ちり)も積もれば山となる」と言う「イメージ」だけは伝わるが、何をどうするんだか、サッパリ判らない。全国の屋上と言う屋上に太陽光パネルを置き、風力発電風車を立てまくって「塵を集める」という事を言ってるんだろうか?あるいは小口水力発電の事だろうか。

 以前記事にもしている通り、小口水力発電は纏めても大型ダムにはからっきし歯が立たない程度でしかない。「冷たい計算式(※1)/方程式」シリーズで検証している通り、我が国に於ける太陽光発電の稼働率は「約1割」。風力発電で「約2割」でしかなく、これも目いっぱい発電による出来高でしかない。「私の自然エネルギー推進論(※2)」で論じた通り、水力とバイオマス燃料以外の「再生可能な自然エネルギー」は、発電量が制御不可能=出来高であるが故に、「大容量高効率の畜放電技術」と併用しない事には、基幹電源たりえない。而して「大容量高効率の畜放電技術」なんてのは、コンセプトさえ怪しい(※3)のが現状であり、一体いつ完成するのか不明。普及するのはもっと先だ。

2〉 価格が高いなど、再生エネが抱える難題を克服し、

等と、さらりと「難題」と表記されている事の中には、この「大容量高効率畜放電技術の完成と普及」が含まれている(※4)。無論、現状で「42円/kwh」などと言う、「火力・原発よりも高価な水力発電のさらに3倍の値段」になっている「太陽光発電の高コスト」がこれに加わる(※5)。
 現状、殆どの原発を稼働停止しているが故に火力発電フル稼働で燃料を食わせまくり、その為に「電力料金値上げ」せざるを得ない程度ですら「経済への悪影響(※6)」

【Q2】 発電コスト高以外の、「大容量高効率畜放電技術の完成と普及」と言う大難題を承知の上で、上掲コラムは書かれたものか?

 いや、以前の東京新聞記事では、「蓄電池も重要だ」ぐらいの認識だったから、とても「大容量高効率畜放電技術の重大性」を認識しているとは思えない。言って置くが、「基幹電源」という事は、電気炉を稼働させ、電車を動かすに足る大電力を安定的に供給できなければ、ならないのだぞ。

3>  脱原発を宣言したドイツは再生エネが20%を超え、80%の将来目標も掲げた。

 「ドイツでは…」って奴だな。何度も繰り返すが、電力不足すれば国外から輸入出来るドイツの「脱原発」なんてのは、「ナンチャッテ脱原発」に過ぎない。その輸入先がお隣フランスの原発とくれば尚更だ。而して「国外から電力を輸入する」なんて事は島国である我が国にはできないし、第一日本海挟んで対岸の大陸も半島も電力不足で、原発大増産を計画中だ。なにが「ドイツでは…」なものか。

 挙句の果てに上掲コラムの〆は…

4〉 価格が高いなど、再生エネが抱える難題を克服し、日本も身近なエネルギーを国民の手元に引き寄せて、
5〉ロングテールを実現させてほしい。

…「基幹電源に於けるロングテール理論」とやらは全くつまびらかにしないまま、ただ「明るい未来」のイメージだけ提供して、上記5〉「実現させてほしい」と来たもんだ。何たる他力本願。何たる無責任。何たる夢想・空想・妄想。手前ぇは、鳩山由紀夫(※7)よ。


<注釈>



(※3) 「揚水式ダムの水量として貯める」と言うのが、現存する唯一の方法。無論、効率は推して知る可しだ。その他、巨大な弾み車に慣性エネルギーとして蓄えるとか、超電導コイルに電流として走らせておくとか言うコンセプトを大分前に知ったが、どちらも実用化すらしていない。 

(※4) …筈だ。含まれていなければ、羽石 保記者の無知と取材不足を糾弾すべきだろうな。 

(※5) もっと書けば、これぐらいの高値設定でないと商売にならない高コスト。 

(※6) そりゃ電力コストが上がるんだ。悪影響は在ろうさ。だが、「水力以外の再生可能エネルギーが僅か1.6%でしかない」から、この程度の値上げで済んでいる。「大容量高効率畜放電技術の完成と普及」まで、太陽光や風力などの「水力以外の再生可能エネルギー」は、電力供給の不安定要因でもあるのだ。 

(※7) 再三繰り返す通り、当ブログでは「鳩山由紀夫」と言うのは、そのフルネームで、おおよそ人知の及ぶ限り最大級の罵詈雑言であり、悪罵である。 



私の原発推進論&「自然エネルギー推進論」


① エネルギー政策の目的は、見通せる将来に渡って「電力の安定供給」である。電力を電力需要にあわせた必要充分な電力量を停電させずに安価に安定した電圧で給電する事である。

② 現時点においては大容量の電力を蓄電する技術はない。精々が揚水式水力発電の上の方のダムに水として蓄える程度である。また、将来的に大容量蓄電技術が確立
普及したとしても、蓄電して取り出す電力には必ず損失が付きまとう。

③ 大容量蓄電技術が普及するまで、電力は、必要量に応じて発電し送電しなければならない。

④ 必要に応じて発電できる、制御可能な発電力は、火力、原子力、大分落ちて水力である。

⑤ 「再生可能な自然エネルギー」太陽光、風力、地熱、潮汐力などは、「態と発電しない」ことしか出来ず、原理的に制御不可能な発電力である。これは、発電コス
トが如何に安くなろうと変わりようが無い。

⑥ 従って、大容量の蓄電技術が普及するまで、「再生可能な自然エネルギー」は発電の主役たり得ない。

⑦ 少なくとも大容量の蓄電技術が普及するまで、発電の主役は、火力、原子力、大分落ちて水力である。これに付け加えられるとすれば、バイオマス火力発電ぐらい
である。この中で原子力は、制御のレスポンスが鈍い恨みはあるモノの、比較的狭
い敷地で大きな発電量を二酸化炭素排出なしで発電できる利点を持つ。また発電コ
ストとしても、「福島原発事故に対する補償や対策を加味して漸く火力に負けるか
も知れない」程度であり、水力に対しては依然優位である。

⑧ 従って、火力と原子力は共に不可欠な発電方であり、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」の発電量は、全体の1割程度とすべきであろう。尚且つ我が国で
は、水力発電の開発が進んでおり、水力発電の劇的増加は望めない。

⑨ 以上から当然ながら、我が国に原発は不可欠である。我が国の現時点での脱原発なぞ、愚挙にして暴挙である。

⑩ ドイツやベルギーがお気楽に「脱原発」を実施できるのは、電力が足りなければフランスの原発から電力を輸入できるからである。これら西欧諸国の「脱原発」は、「ナンチャッテ脱原発」と呼ばれるべきであろう。