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 「抑止力」。はてなキーワードによると、『「抑止力」とは - 行為の達成が困難、または代償が高くつくことを予見させ、その行為を思いとどまらせる力。 』だそうで、『刑罰が犯罪を抑止する、軍事力が戦争を抑止するといったことが今日よく知られている。』と続く。一般論から言えば「刑罰による犯罪に対する抑止効果」もそりゃあるのだろうが、国の安全保障上から言えば「戦争に対する抑止力」こそが重要である。この場合、抑止力とは、「相手(外国)に戦争を起こす気をなくさせる/弱める力と定義出来よう。
 従って、広範に考えれば、軍事力のみならず、「文化力」とか「外交力」等の仲々数値化し難い「力」も抑止力たり得るし、経済力とて使いようによっては抑止力であろう。
 無論、典型的な抑止力は「軍事力」だ。而して「抑止力たる軍事力」は、まず第一に「相手(外国)に恐れられなければならない」。極当たり前のことである。「恐れられない( 程度の )軍事力」では「戦争を起こす気をなくさせる/弱める力」たりえないのだから、「抑止力」となろう筈がない。

 であるならば、我らが海上自衛隊の新造DDH「いずも」は、まだ進水したてながら(※1)、立派に抑止力を発揮して居る様だ。

<注釈>


(※1) 軍艦と言うモノは、建造に期間がかかり、「進水」は「艦体/艇体がある程度完成し、自力で浮揚出来る」と言う状態。軍艦として完成=竣工するまで、まだまだ艤装しないといけない。軍艦として運用される=就航・就役するまでには、さらに乗員による訓練が必要だ。 



①中国、海自護衛艦「いずも」に強い警戒 「軍事力増強、右傾化」各紙報道
2013.8.7 13:34
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130807/chn13080713370002-n1.htm

  海上自衛隊の護衛艦「いずも(22DDH)」の進水式=6日午後、横浜市磯子区のジャパンマリンユナイテッド磯子工場(桐原正道撮影)
7日付中国各紙は6日に開かれた海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の命名・進水式を1面で報じ、「広島原爆の日に合わせ准空母を進水させた」と指摘、「日本政府の軍事力増強」への警戒感を強調した。中国は安倍政権の閣僚による靖国神社参拝や憲法改正の動きに警戒を強めており、進水も「日本の右傾化」を示す一連の動きと位置付けている。

各紙はいずもについて「ヘリ14機を搭載できる能力があり、改造すれば戦闘機の搭載も可能」として空母に準ずる機能を備えていると紹介。式典に麻生太郎副総理や自民党の石破茂幹事長らが出席したことも伝えた。また、「出雲(いずも)は日本による対中侵略戦争の際に使われた艦船と同じ名前」と指摘し、「中国を含むアジア諸国が不満を強めている」と歴史問題まで絡めて非難した。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で「中国は本物の空母を発展させることで(日本に)対抗していくしかない」と主張した。
(共同)

【環球時報社説】「いずも」、帝国時代を懐かしむ日本の叫び
http://j.people.com.cn/94474/8356593.html

【】はZeroがつけたパラグラフ番号

【1】 広島への原爆投下から68周年を迎えた6日の午後、日本の次世代ヘリコプター搭載護衛艦「22DDH」の進水式が行なわれ、「いずも」と命名された。これは中国侵略戦争時の日本の旗艦の艦名だ。「いずも」は全長248メートル、全幅38メートル、満載排水量2.7万トンで、ヘリ14機が搭載可能で、戦闘機の搭載も可能だ。英国、イタリア、スペインの一部現役空母よりも大きい。「護衛艦」と称しているが、実際には「軽空母」だ。平和憲法によって空母建造が禁止されているため、日本政府は今回再び違法すれすれのきわどい行為に出たのである。(環球時報社説)

【2】 このきわどい行為は、平和憲法に対して行なわれたものであると同時に、アジア太平洋地域の日本への警戒に対して行なわれたものでもある。日本の敗戦から約70年。日本国内の執拗な勢力は今なお日本に課せられている様々な制約を打破しようとしている。日本政府は歴史問題で驚くべき混迷を呈し、軍事大国へと邁進する過程で得意満面のさまを覆い隠すことができずにいる。「いずも」を「護衛艦」と称するのは、日本の高官が「私人として」靖国神社を参拝するのと、よく似た中途半端な隠蔽である。

【3】 「いずも」1隻で西太平洋の軍事戦略構造を変えることは当然できない。これは日本の再軍事大国化への強烈な願望の象徴であり、かつて空母20数隻を保有し、米国を攻撃して混乱に陥れたあの歴史を懐かしむ声なき叫びなのである。こんなにも長く抑え込まれてきた日本は、アジア太平洋の政治と軍事の表舞台に再び上がることを強く望んでいる。

【4】 日本は現在がんじがらめに束縛されているが、その周辺国との領土紛争や歴史問題をめぐる摩擦はなんと激しいことか。日本文学には軍国主義の霊魂を呼び戻す作品や、日本が敗戦せず米国に勝利したと想定するファンタジーが度々出現する。日本右翼は東アジアで最も過激で、アピール力も最も強い極端な思想サークルの1つだ。もし世界が日本を縛りつけている縄を解けば、この国にどれほど過激主義が質悪くはびこる危険性があるかは想像に難くない。

【5】 日本は孫悟空のように「五指山」にしっかりと押さえつけられなければならない運命にある。日本は「徳治」の伝統を欠き、歪んだ尚武精神を振りかざしており、「緊箍呪」で頭を締めつけるだけでは、この国を制約するには到底不十分だからだ。日本は民族全体が一度徹底的に歴史を反省し、文化と思想を再構築するのでなければ、その民族性格の海賊式進攻性、および「こちらから攻撃せねば攻撃される」という島国的危機感を徹底的に取り除く必要がある。

【6】 日本は実力を膨れ上がらせることで自らを取り巻く地政学環境を再成形できると考えてはならない。先進的艦隊を建造し、大量破壊兵器を開発すればアジア太平洋における政治的、軍事的包囲網を突破できると考えてはならない。日本はこれまで米国の手中に握られてきた。今後は中国と米国が共に「如来の手のひら」となって、日本が中から飛び出すことのできないようにするのである。日本は「米国によって中国を牽制する」こともできない。日本の力は棋士となるには全く不十分であり、中米間の駒にしかなれないのである。

【7】 日本は北東アジアが最も平和な時代に悲しみ、狂躁、そして力の崇拝に陥っている。日本は戦後の平和的軌道から離脱する意向を示し、様々な挑戦に向けて手ぐすね引いている。日本は先頭に立ってアジア太平洋地域に新たな「火薬庫」をつくり、自らをその中心に置く可能性がある。これが日本の本来の意図とは限らないが、日本が呼び起こしている政治的合力は最終的にこうした状況をつくり出すかも知れない。

【8】 中国にとって日本は存亡に関わる脅威にはもうなり得ないが、ますます現実的な面倒となる可能性が高い。日本という国は力のみにひれ伏すようで、われわれが説得するのは困難だ。「護衛艦」と称する軽空母「いずも」に対して、中国は本物の空母の開発によって応ずるほかない。
(編集NA)

「人民網日本語版」2013年8月8日

半島級狂乱


 さて、如何だろうか。

 上掲記事①で報じられる通り、

①1〉 7日付中国各紙は6日に開かれた海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の命名・進水式を1面で報じ、
①2〉「広島原爆の日に合わせ准空母を進水させた」と指摘、「日本政府の軍事力増強」への警戒感を強調した。

のだそうだから、軍艦「いずも」にしてみれば、「掴みはオッケー」と言う処だろう。それにしてもここ二十年ほども国防費連続二けた成長と言う軍拡路線驀進中の大陸は支那・中国共産党政権から「軍事力増強」と警戒されてしまうぐらいだから、「いずも」の威力は「抜群」と評するべきだろう。


 上掲②は、上記①でも取り上げられた環球時報の社説。

②1〉  「護衛艦」と称しているが、実際には「軽空母」だ。
②2〉 平和憲法によって空母建造が禁止されているため、日本政府は今回再び違法すれすれのきわどい行為に出たのである。

と、いきなり冒頭から飛ばしてくれる。我が国でいう「DDHヘリコプター搭載護衛艦」と言うのが、諸外国にはあまり例のないユニークな艦種であり、「DD=駆逐艦」と言い条「複数のヘリコプター運用能力を有している」のがその最大の特徴なのであるが、それはDDH-141「はるな」就役以来の事。「はるな」は1973年就役で、既に2011年に退役している。
 「全通飛行甲板」を以って「軽空母」と断ずるのならば、「いずも」に先行するDDH-181「ひゅうが」級2隻は既に就役済みで、「ひゅうが」は2009年に就役している。上記②2〉「平和憲法によって空母建造が禁止されている」ならば、「ひゅうが」級からして「憲法違反」となりそうなものだが、特に問題にはなっていない。そもそも我が国の現行憲法「9条」は、単純に考えれば「自衛隊そのものを違憲としている」。それでは都合が悪くて仕方がないから、社民党さえ一時は「自衛隊は合憲」と認めるような「解釈改憲」を実施している。「自衛隊は合憲」と出来る解釈改憲の下、現行憲法9条と空母建造を両立させるなんざぁ朝飯前で、事実両立させたからこそ「ひゅうが」級は建造されている。何れにせよ「我が国の憲法」の話なんだから、支那だろうが何処だろうが、とやかく言われる筋合いはない。

 だが、それでは困るのが「環球時報」らしい。上掲②社説パラグラフ【2】では「いずもを「護衛艦」と呼ぶのは中途半端な欺瞞だ」と断じ、パラグラフ【3】では「いずもは日本の再軍事大国化への強烈な願望の象徴だ」と糾弾し、続くパラグラフ【4】~【5】及び【7】で「日本軍国主義封じ込めの必要性」を説く。一言で言えば、「日本封じ込め論」であろう。
 逆に言えば、「環球時報が上掲②社説のような日本封じ込め論を説かねばならない程、DDH「いずも」は充分恐れられ、抑止力を発揮している」という事でもある。

 上掲②パラグラフ【6】はちょっと要注意だ。要は、今まで日本の手綱は米国が握っていたが、今後は米中が握る」と言う、中国共産党政権による「日本支配宣言であり、ある意味「侵略宣言」でもある。
 確かに米国は日本の同盟国であり、それ故に米中結託と言うのは我が国にとっての悪夢ではある。
 だが、我が国は安全保障の相当部分を米国に頼るとはいえ、米国に支配されたのは戦後の一時期のみ。況や、大陸は支那に支配されたことなぞ、我が国建国以来あった例がない。

②3〉 日本の力は棋士となるには全く不十分であり、中米間の駒にしかなれないのである。

と言うのも、「大した自信」と言うべきだ。我が国がそれこそ空母機動部隊を率いて米国と「棋士として」渡り合って居た頃、中国共産党政権は大陸内部でちまちまゲリラ戦するだけの「駒」でしかなかったではないか。

 挙句の果ては上掲②パラグラフ【8】「中国空母保有の正当化。我らが「いずも」が影も形も無かった頃から、中国共産党は空母保有を主張していたのに、「いずも」が就役しなかったら「空母保有を断念した」なんて事が、ある訳がない。