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  東京新聞と言うメディアは、日本じゃ「一地方紙」の位置づけだと思うのだが、そこは世界屈指の大都市たる東京を根城とし、地方紙の中でも大きい方の中日新聞とも経営が共通で、共有/流用した記事も多いから「全国紙」に近い地位を占めているようである。それが在らぬか、地方色豊かなローカルニュースよりも、大所高所に立って天下国家を論じる(※1)記事を多くしている、らしい。

 「ローカルと言うより大所高所」と言うならば、こんなコラムもそうなのだろうけれど、それにしてもまぁ・・・

<注釈>

(※1) 思わず、笑いそうになるが。何しろ「新聞社が義務として言わねばならない事」に①脱原発 ②オスプレイ(日本にだけ)配備反対③消費税率アップ反対 の三つを並べて平気なんだから、少なくとも玉石混淆と言われよう。 



【私説・論説室から】PAC3配備は空騒ぎか
2013年7月31日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2013073102000162.html
※:【】はZeroがつけたパラグラフ番号

【1】  北朝鮮の弾道ミサイルに備えた破壊措置命令が解除され、防衛省に置かれていた地対空迎撃ミサイル「PAC3」が撤去された。迎撃していないので国会への報告は「なし」。国民には何も知らされていない。

【2】 PAC3は防衛省のほか、都内の朝霞駐屯地、千葉の習志野駐屯地にも置かれた。周囲への影響が不安視されたレーダーは防衛省には置かず、周辺住民への配慮をうかがわせた。

【3】 一方、レーダーも置かれた朝霞駐屯地では五月十日ごろ、PAC3発射機の置き場所が換わった。「発射時に有毒なガスが出るというのに説明がないのはおかしい」と住民は訴える。

【4】 都心へのPAC3は二〇〇九年、北朝鮮がミサイル発射を予告した際、初めて配備された。予告軌道下の秋田、岩手への配備でとどめようとした防衛省に首相官邸は「北朝鮮を信じるのか」と指摘し、毎回都心に置かれるようになった。

【5】 狙われた場合、被害甚大となる原発近くに配備しないのはなぜだろうか。使用済み燃料棒を保管する原発は福島第一を含め五十五基。弾道ミサイル一発につき、PAC3は二基必要なので自衛隊が守れるのは十六地点となる。原発だらけの日本を守るのはそもそも無理なのだろう。

【6】 一発五億~八億円もするPAC3を米国から導入したのは日本だけ。命中率も怪しい。そう考えると都心への配備が「空騒ぎ」にみえてくる。 (半田滋)

こりゃ「韓国マスコミ」を笑えんな


 さて、如何だろうか。

 私(ZERO)にとっては正直、一読ぐらいじゃ何を言いたいのか判らないコラムだった。「自衛隊及びPAC-3迎撃ミサイルに対し批判的」という事だけは判ったが、そんな事は上掲コラムタイトルからだって読み取れる。そこで新ためてパラグラフ番号【】を振って、再読し・・・・やっぱり「何を言いたい」のかハッキリしない。一体上掲コラムを書いた東京新聞・半田滋記者は、我が自衛隊に何をせよと言いたいのか。【Q1】

 上記【5】では「PAC-3は原発を守るべきだ」と言っているようにも見える。「だが、数が足らない」と言っているようにも読める。これは普通に考えれば、「PAC-3を増やせ」と言う主張になるだろう。
 だが、上記【6】ではPAC-3のコストの高さ、導入国の少なさ、「命中率も怪しい」と断じ、「都心への配備が「空騒ぎ」にみえてくる。」と言うのだから、「PAC-3なんか役立たずだ」と主張しているようである。上掲コラムタイトルからも、同じ主張が読み取れる。だとすると、上掲コラムの主張は、「自衛隊にPAC-3を導入したのは誤りだった。」という事になる。

 となると、上記【Q1】の通り。「我が自衛隊に何をせよと言いたいのか」。PAC-3なんか導入しないで、弾道ミサイルなどによる大量報復戦略を採用し、北朝鮮が1発でも弾道ミサイルを発射したら、十倍、百倍の報復攻撃を可能とする体制を構築しろと言うのか。先行記事にもした通り、弾道ミサイル技術は弾道ミサイル防衛技術よりはるかに先行しているから、大量報復戦略の方が弾道ミサイル防衛よりも安価に達成できる可能性は十分ある。事実、経済的には破綻国家でしかない北朝鮮が弾道ミサイルの開発には一定程度成功している。上記【6】の「ミサイル防衛否定論」からすれば、「大量報復戦略肯定論」が上掲コラムの趣旨と、考えられなくもないんだが…少なくとも、ハッキリしない。

 気を取り直して上掲コラムを読みなおすと、まず【1】は、「北朝鮮に対するPAC-3による防衛体制が解除された」と言うだけ。「国民には何も知らされていない。」なんて恨みがましい一文があるが、自衛隊が特筆大書して報告する事とは思われない。まあ、「恨みがましい」ばかりで、ハッキリした非難ですらないが。

 続く【2】ではその北朝鮮対処でPAC-3が首都周辺三か所に展開したことや、

1〉 周囲への影響が不安視されたレーダーは防衛省には置かず、周辺住民への配慮をうかがわせた。

と、「自衛隊の配慮」を(一応)肯定・評価している。殆ど上掲コラムを通じて唯一の「自衛隊・防衛省評価」である。

 ところが次の【3】に行くと、レーダーの置かれた朝霞駐屯地で、発射機を移動したと言うので、

2〉 「発射時に有毒なガスが出るというのに説明がないのはおかしい」と住民は訴える。

と来たモンだ。そりゃ固体ロケットブースターの排煙だから、健康に良いとは思えないが、朝霞駐屯地外で健康被害が出るような「猛毒排煙」なんて、出る訳が無い。つまり上記2〉は、私(ZERO)の見る処イチャモンであり、少なくとも「自衛隊批判」だ。第一、PAC-3が排煙を出すような事態は、首都東京に落下してくる北朝鮮弾道ミサイルを迎撃する事態だ。「排煙による健康被害」なんて寝言に、耳を貸すものなぞ居るモノか。

 で、上記【4】「首都東京にPAC-3が配備されるようになった経緯」上記【5】は「PAC-3は全原発を守るには数が足らないし、守っていない」上記【6】「PAC-3首都配備は”空騒ぎ”に思える」…やっぱり、訳が判らない。

 改めて要約を羅列してみよう。

 上記【1】「北朝鮮に対するPAC-3首都配備が解除された。が、国民への説明は無い。」

 上記【2】「PAC-3は首都及び近県3か所に展開された。展開には周辺住民への配慮がみられた。」

 上記【3】「朝霞駐屯地のPAC-3発射機を移動したのに、周辺住民への説明が無い。」

 上記【4】「首都東京にPAC-3が配備されるようになったのは、万一に備えるため。」

 上記【5】「PAC-3は原発を守っていないし、守るだけの数も無い。」

 上記【6】「PAC-3は高いし、命中率も怪しい。首都配備は「空騒ぎ」に思える。」

 如何だろうか。「自衛隊及びPAC-3に対して批判的である」以外のつながりが、上記【1】~【6】にあるだろうか。まるで上記【1】~【6】、全て別人が書いたパラグラフを並べただけのように思えるのは、私(ZERO)だけだろうか。

 別にパラグラフ間の論理的つながりが悪くとも、論旨の展開が不明でも、それ自体は直接非難すべき事ではないだろう。だが、上記【1】~【6】を通じて「自衛隊及びPAC-3に対する批判」しか伝わらず、その批判根拠のうち半分は「防衛体制解除に国民への説明が無い」「発射機を移動したのに周辺住民への説明が無い」などのイチャモンだ。

 ひどいコラムもあったものだ。こりゃ、韓国マスコミを笑えんぞ。

如何に、半田滋