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『遠交近攻(えんこうきんこう)は、兵法三十六計の第二十三計にあたる戦術。「遠きと交わり近きを攻める」の意味。』とは、ウイキペディアからの引用。
再三繰り返す通り、外交とは戦争と同様に「国益追求の手段」である。国益追求の手段として外交も戦争もあり、尚且つ各国は国益追求を第一として「平和を愛する諸国民」なんざ日本国憲法前文にしか存在しない現実世界に於いては、「遠方の国と密約を交わした上で(※1)近隣国を攻めて分け取りにする。」のは一つの有効な手段である。典型的なところでは、第2次大戦前、ドイツ第三帝国とソビエト連邦によるポーランド分割が挙げられよう。
無論、第2次大戦前だから70年以上昔の話だし、「密約を結んでおいて両側から国土分け取り」なんて露骨な「国益追求」は流石に珍しくなった。だが、基本的に戦争と言うのは隣国同士だからやりやすいのであり、間に第三国が挟まると「緩衝国化(※2)」して戦争はやり辛くなる(※3)事に変わりは無いのだから、冷戦後だろうが21世紀だろうが「隣国との関係こそ悪化しやすい」のであり、「お隣であるが故に仲が悪い」のは、極当たり前の状態だ。
であるならば、国益追求手段としての戦争を放棄している我が国とて、「近攻」は兎も角、「遠交」は外交の基本である。況や、その隣国が、「核心的利益」と称して領土的野心をむき出しにして、20年間二桁以上の軍備拡張路線を驀進中とあれば、尚更だ。
だが、我が国の遠交近攻策は、中国共産党政権にとっては、都合が悪いらしい。
<注釈>
(※1) 別に密約でなくても良いのだが、普通は秘密にして、後述する近隣国侵攻・分割を容易くする。(※2) 間に挟まれた第三国としては、良い面の皮だが。(※3) 「やれない」とは断言できない。第1次大戦でも第2次大戦でも、中立国ベルギーは、「ドイツ軍のフランスへの進撃路」として蹂躙された。中立政策は重武装でなければ成り立たないのである。
【人民網】成果を得難い安倍氏の「遠交近攻」戦略
http://j.people.com.cn/94474/8343612.html
安倍氏がフィリピンを訪問した際、同国の元慰安婦とその支持者がマニラの大統領府前でデモ活動を行なった(※1)。
日本の安倍晋三首相は参議院選挙での連立与党の勝利後初の外遊として、25日から27日にかけてマレーシア、シンガポール、フィリピンを相次いで訪問した。安倍氏は出発前、空港で報道陣に「ASEANの活力を日本経済の再生に取り込む」ことが目的だと表明した。だが訪問中の言動を見ると、今回の3カ国歴訪も「経済外交」を推し進める一方で、「価値観外交」を行なうものだった。
シンガポール南洋理工大学RSISの李明江氏は27日、人民日報のインタビューに今回の外遊の目的として(1)アジア太平洋地域における日本の影響力を一段と強化する(2)東南アジアの一部の国が中国と領土紛争を抱え、中国への懸念を多少深めている(※2)機に乗じて、こうした国々と安全保障分野で関係を強化し、政治的利益を得る(3)東南アジア諸国との経済関係を一段と強化し、「アベノミクス」を売り込む--を挙げた。
米コロンビア大学の日本専門家、カーティス氏は先日「安倍氏は頭は実務的、現実主義的だが、心は情緒的だ(※3)。安倍氏は今後、頭と心の葛藤に直面する」と指摘した。
安倍氏は昨年12月に首相に返り咲いて以来、ベトナム、タイ、インドネシア、ミャンマーなど東南アジア諸国、および米国やロシアなど大国を含む10数カ国を相次いで訪問した。安倍氏は「アベノミクス」を売り込んで新市場と安定したエネルギーを求める一方で、「民主カード」を切って周辺国を抱き込み中国を封じ込めようとし、さらに環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加などを通じて米日同盟の強化を図っている。一方、隣国の中国や韓国との関係は領土問題や歴史認識問題のために冷え込んでいる。
安倍氏の「遠交近攻」戦略は国際社会の賛同を得ていないとの指摘がある。東南アジアの大多数の国は日本の技術と投資には歓迎を表明しているが、中国に共同で立ち向かうとの「誘い」には返答を避けている。同盟国の米国でさえ慰安婦や憲法改正問題を含む日本社会の「右傾化」に繰り返し懸念を表明している(※4)。
李氏は「今回日本とフィリピンは曖昧な表現で中国を非難した。だが安倍氏が1回の外遊で釣魚島(日本名・尖閣諸島)問題で日本の立場を支持することをASEAN諸国に期待するのは不可能だ。ASEAN諸国は域内の各大国との関係発展を望んでいる。中国を孤立させる政治的目的をひたすら抱いている日本を東南アジア諸国が歓迎することはない。これは中日両国間でどちらかの側に立たねばならない危険な状況にASEANを置き、東南アジア諸国の利益にならない(※5)」と指摘した。
日本国内でも批判の声がある。田中均元外務審議官は26日午後、日本記者クラブで講演し、中韓を刺激する安倍政権の外交政策に懸念を表明。「国内のナショナリスティックな感情に従った外交をすると、得られるのは楽しい世界ではないかもしれない(※6)」と述べたうえ、「中国を建設的な形で引き入れることこそが戦略的な目的だ。中国を阻害することで目的は達成できるのか?(※7)」と疑問を呈した(※8)。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月28日
<注釈>
(※1) で、写っているのはたった一人。で、「元慰安婦」にしては若すぎる様だから、「その支持者」の方だろう。(※2) (爆)「中国への懸念を多少深めている」。ああ、「中国への懸念」を認めただけでも、見つけモノか。(※3) 「心が情緒的でなかった」ならば、精神異常ではないのかな?まあ、文学的表現としては、アリか。(※4) 意味:「合従策は中国共産党政権にとって都合が悪い」(※5) 意味:「連衡策の方が利益になりますよ。デヘヘヘ」
(※6) ならば、中国様に尻尾を振る連衡策ならば、「楽しい世界」が得られるのかね?(※7) Negative.外交は、戦争と同様に国益を追求する手段であり、戦略的な目的は我が国益だ。(※8) 元外務審議官が「疑問を呈した」だけの発言が、「日本国内でも批判の声がある」の事例とは。余程事例が少なかったのだろう。我が国には言論の自由があり、大概の政策には賛否両論ある者なのだから。「日本の遠交近攻策」に批判的な意見は、拾おうと思えばいくらも拾えよう。逆に言えば、言論の自由がある我が国に於いて「日本国内でも批判の声がある」のは当たり前で、異とするには足らない。政府へ批判的な意見は滅多に口外出来ない、お国とは違います。
「成果を得ない」のは、我が国の勝手ですが、何か?
さて、如何だろうか。
くどい様だが新ためて記す。中国共産党政権下に於いて、報道機関・マスコミと言うものは「党の口舌=中国共産党の宣伝機関」である。況や国営の新華社を母体とする人民網の記事も主張も「中国共産党の宣伝」以外の何物でもあり得ない。まあ、そうであればこそ、恰好なブログネタになるのだが。
その「中国共産党の宣伝」が、「安倍首相の遠交近攻策」を批判しているのが上掲記事。それも、タイトルにある通り「成果を得難い」と言うのである。
「そうか。「安倍首相の遠交近攻策」では成果を得難いんだ。だったら我が国の外交方針は変更すべきだな。」と考える人もあるかも知れない(※1)。そんな人は人間的には非常に良い人なのかも知れないが、人が良すぎて「大間抜けの域に達している」と言わざるを得ない。頭冷やして考えてみるが良い。「中国共産党の宣伝機関」が、日本政府の外交方針に「誠心誠意、衷心からの忠告」なんぞするものか。「中国共産党政権の利益になるような誘導」以外の何かだったら、それこそ驚天動地の驚きだ。
即ち、上掲記事の意味するところは、「安倍首相の遠交近攻策は、中国共産党政権にとって都合が悪い」である。
それ即ち紛れもない「我が国にとっての国益」を意味しており、本記事タイトルにもした通り、「安倍外交の正しさ」の証左である。
無論、「裏をかく」と言う可能性は、忘れるべきではない。即ち上掲人民網記事が、「安倍政権の遠交近攻策を非難することにより、逆に遠交近攻策を維持させようと意図している。」と言う可能性は、少なくとも一考に値しよう。
だが、安倍首相の価値観外交や「遠交近攻策」は、昨年12月の衆院選挙による自民党政権復活を以って始まったばかり。その半年ほどの間で、人民網の評価(※2)でさえ、「誇れるほどの成果も無い」から「成果を得難い」まで「向上・改善」しているのだ。これは普通に考えれば、「人民網でさえ、安倍首相の外交政策が成功する可能性を認めざるを得ない。」という事であろう。
如何に、人民網。
如何に、国民。
<注釈>
(※1) 正に、それこそ上掲記事の意図ではあろうが。(※2) それも多分同じ「編集NA」の評価