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 再三繰り返す処だが、偏見と言うやつは結局の処「偏見を持つ者自身にとって損・不利益なモノ」である。その理由は、これまた再三繰り返す通り「偏見によって正しい判断が出来なくなるから」。

 かくも「偏見の害」を知悉する私(Zero)であるが、ならば我が身は「偏見とは無縁」かと言うと、とんでもない。神ならぬ身の人が為す事、「偏見を減らそう無くそう」と努力したところで「偏見がある」と言う事実からは、まず免れようが無い。それが在らぬか、何度かブログ記事タイトルとしているWSJ紙 + 日本人女性記者 = ダメ」と言う「公式」と言うか「判定基準」と言うかある種の「偏見」は、どんどん強化されている。分けても今回タイトルとしたWSJ紙 + 肥田美佐子記者 = ダメと言う「偏見」は、既に「確信」に近いものがあり…つまりはこの「偏見」はますます「強化」されてしまいそうだ。

【WSJ】国連科学委議長に聞く(前編)=低線量被ばく論議はさらに半世紀続く
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323760504578586901615144558.html?mod=trending_now_1

 5月末、国連科学委員会(UNSCEAR)は、ウイーンの本部で記者会見を開き、福島の原発事故による健康への影響について、「健康にいかなる差し迫った影響も及ぼさなかった」と発表した。今年秋に発表する報告書のドラフトに基づいたものだが、今後も、住民や大半の原発作業員への健康面での影響が認められる可能性は低いという。


 研究は、世界18カ国の科学者80人余りによって、日本政府や国内外の科学機関、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)などの国際組織から集めたデータを基に行われたが、周辺住民らの被ばく線量は総じて(非常に)低く、今後、健康に影響が出るリスクも低いというのが、UNSCEARの見解だ。


ヴォルフガング・バイス教授
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 だが、放射性ヨウ素131など、データの不足や、低線量被ばくが健康に与える影響自体が今も解明されていないといった問題もある。6月7日付の本コラムでは、低線量被ばくに詳しいコロンビア大学医学大学院のデービッド・ブレナー教授(同大学放射線医学研究センター所長)に上記研究に関する見解を語ってもらったが、今回は、報告書の議長役を務めるヴォルフガング・バイス博士(ドイツ連邦放射線防護庁・放射線防護健康局責任者)に話を聞いた。前・後編にわたって、リポートする。

※【】はZeroによる番号

【Q1】――低線量被ばくは中・長期的影響が問題なのに、UNSCEARのプレスリリースのタイトルにもあった「No Immediate Health Risk(健康にただちに影響はなかった)」という表現は誤解を招きやすいという指摘もある。


【A1】 まず、放射線防護には「deterministic effect(確定的影響)」と「stochastic effect(確率的影響)」がある。確定的影響とは、高線量被ばくにより、短期間で健康に及ぶ深刻な影響のことだ。(ベータ核種が肌に付くことによる)ベータ線熱傷、つまり、やけどなどが一例である。だが、専門家でないと、確定的影響などと言っても分からないと思ったので、「ただちに影響がない」という表現にした。


 「ただちに」という言葉が表す期間、つまり、確定的影響が生じるまでの期間は、通常、数週間である。たとえば、ベータ線熱傷にかかった場合、手術で、高線量の影響が及んだ組織を取り除かねばならない。致死的な線量を浴びれば、数週間から数カ月で死ぬ。「tissue(組織)」に影響が出ることから、ここ数年、確定的影響と言う代わりに「組織的影響」と表現する専門家も出てきた。


 次が低めの線量による被ばくであり、放射線で、一定の種類のがんになるリスクが高まる。たとえば、ヨウ素131などを吸い込んだり、ヨウ素131が入った牛乳を飲んだりすると、そのヨウ素が甲状腺に集まり、一定のレベルに達すると甲状腺がんになることがある。


 (確率的影響の)影響が生じる期間は、年単位、あるいは何十年単位だ。チェルノブイリ事故では、4~5年たったころから甲状腺がんが発症し、(27年後の)今でも進行中だ。他の種類のがんの場合、発症までに20~40年かかることもある。だからこそ、生涯を通じて健康調査を続けねばならない。


 広島や長崎の被爆者の場合もそうだ。6万人の被爆者が存命しているが、現在も、がんの発症が見られる。そのため、被爆していない同様の集団と比べることで、被爆者のモニタリングを続けている。


【Q2】――福島の事故は、影響が出るまでに何十年もかかる可能性がある低線量被ばくが問題だと言われる。今になって、「ただちに影響はない」と発表することに、どの程度の科学的意味があるのか。


【A2】 前に述べたように、被ばくによる影響には2種類ある。低線量被ばくにより、人ががんになる基礎的リスクに新たなリスクが付加されるわけだが、この基礎的リスクは、日本やドイツ、米国など、場所によって違う。また、ある国の低リスク地域を対象に調査をしても、10年後の再調査では高リスク地域になっているなど、時間の経過によっても差が出る。こうした自然のバックグランドでの変動幅が大きすぎる一方で、放射線による付加的リスクは、非常に小さいことから実証できないのだ。


 とはいえ、住民の健康状態はフォローし続けねばならない。だから、この調査を実施しているわけだが、これは防護タイプの対策ではなく、(低線量被ばくリスクの程度を)再確認するための対策である。住民は、10~20年後に影響が出るのかなど懸念を持っており、知りたがっているからだ。われわれは、影響が実証可能とは思わないが。だから、この調査は、科学的視点によるものではなく、社会的視点から実施する必要があるものなのだ。


【Q3】――先日、話を聞いた低線量被ばくの専門家いわく、リスクを検知できないことと、リスクがないこととはまったく違うというが。


【A3】 この問題は50年前から議論されており、今後半世紀にわたって議論され続けるだろう。というのも、3つの学派が存在するからだ。まず、低線量被ばくは健康に有益だとする説。次が、フランス学士院に代表される、低線量被ばくのリスクはいっさいないとする一派だ。3つめが、リスクは、「しきい値なし直線仮説」(注参照)で考えられているレベルよりもはるかに高いとする説である。


 現在、防護の点から、リスクの過小評価や過大評価を避けるべく、リスクは(線量に応じて)直線的だという「しきい値なし仮説」を取ることが最も賢明だとみなされているが、3つめの学派は、この仮説が間違っていると主張する。


 実際、細胞や組織を使った生物学的実験では恩恵もリスクも見られるが、今のところ人間への影響は証明されていない。これがポイントだ。放射線から防護しなければならないのは細胞や組織でなく人間だが、被ばく線量が100ミリシーベルトを大きく下回った場合の人間へのリスクは、いまだ実証されていない。


注:Linear Non-Threshold assumption しきい値なし直線仮説

 確定的影響は、しきい値(一定のレベルの限界線量)以上の被ばくで生じるが、低線量被ばくでは、しきい値がなく、わずかな線量でも、発がんリスクなどが線量に直線的に比例して生じるという、防護的視点から確率的影響をとらえる仮説。




(後編に続く)

丸い卵も切り様で四角。モノも言い様で角が立つ。

 さて、如何だろうか。


 いつものことながら、報道記事と言うやつは偏向しているのが当たり前(※1)なんだから、タイトルや見出しにばかり気を取られてはいけない。それらに「記者、新聞社が言いたい事・訴えたい事が盛り込まれている」事は多いが、それが真実・事の本質であるとは限らない。

 上掲記事タイトルは、「国連科学委議長に聞く(前編)=低線量被ばく論議はさらに半世紀続く」である。なるほど上掲インタビュー記事の中で、国連科学委議長ヴォルフガング・バイス教授は上記【A3】の冒頭で答えている。

1> この(低線量被曝と健康の関係)問題は50年前から議論されており、今後半世紀にわたって議論され続けるだろう。

 上記1>を以って上掲記事は上記の通り銘打たれている訳である。この記述に嘘は無いし、確かにバイス教授は上記1>及び上掲記事タイトルの通り発言している。それは、恐らくは肥田美佐子記者及び(※2)WSJ紙デスクの「言いたい事・訴えたい事」ではあるだろう。

 だが、それは、上掲インタビュー記事の上掲【A1】~【A3】でバイス教授が「答えた事」の、適切な要約であろうか?

 事実、上記【A2】の最後で、バイス教授はハッキリと述べている。

2>  とはいえ、住民の健康状態はフォローし続けねばならない。
3> だから、この調査を実施しているわけだが、
4> これは防護タイプの対策ではなく、(低線量被ばくリスクの程度を)再確認するための対策である。
5> 住民は、10~20年後に影響が出るのかなど懸念を持っており、知りたがっているからだ。
6>  われわれは、影響が実証可能とは思わないが。
7> だから、この調査は、科学的視点によるものではなく、社会的視点から実施する必要があるものなのだ。

 上記2>~7>の言う処は、「低線量被ばく論議はさらに半世紀続く」と言うタイトルにもされた上記1>発言を否定するものでは無い。だが同時に、今回の福島第一原発事故被災者と言う「結構な数のサンプル」を以ってしても「低放射線被爆の健康の影響は、検出されないだろう」と、上記6>~7>にこれ以上なさそうなぐらい明白に述べられている。

 それ故に、上掲記事タイトルになった「低線量被ばく論議はさらに半世紀続く」は、「福島原発事故被災者への健康リスクは、検出されないぐらい小さなものであろう」と、明白にバイス教授は述べている。

 さて、上掲記事タイトルを、上掲記事本文を読まない内に読んで、「福島原発事故被災者への健康リスクは、検出されないぐらい小さなものであろう」と言うバイス教授の回答を予想できる者は、一体どれぐらい居るだろうか(※3)。それが少数であるならば、上掲記事タイトルは、上掲記事の適切な要約とは言い難い、という事になる。




<注釈>

(※1) 意図する、せざるに関わらず。所詮神ならぬ身の人が為す事だ。「不偏不党」を心がけても偏向はあろう。況や「不偏不党」を心がけさえもしなければ、偏向していない方が不思議だ。 

(※2) ひょっとすると、タイトルはデスクが考えたもしれず、少なくともタイトルと内容を承認した筈の 

(※3) 私(ZERO)について言うならば、先に国連報告書の内容を承知していたから、「国連報告書を否定する事は無かろう」と予想していた。だが、それが無かったら、「まんまと騙された」処だろう。