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「ジャイアン」と言えば、知る人ぞ知る「ドラえもん」に登場するいじめっ子キャラ。「俺のモノは俺のモノ。他人の物も俺のモノ。」と言う傲岸不遜な如何にも「いじめっ子」らしい決め台詞で知られる。
世の中、欲の皮の突っ張った奴は幾らもあるから、実際この「ジャイアンのテーゼ」を信奉する者は相応に居るのだろう。だが、それを公言したり実践したりすれば「嫌われ者」になる事はまず間違いない。だから大抵の「ジャイアン信奉者」は「隠れジャイアン信奉者」に終わっているモノと、推定できる。
しかしながら、「GDP世界第2位」となり「人民解放軍三百万」を誇る大陸は支那、中国共産党政権ぐらいになると、そんな自制・自重とは無縁であるらしい。
【人民日報海外版コラム】中国の海洋戦略:平和と協力
http://j.people.com.cn/94474/8328225.html
国連海洋法条約の規定と中国の一貫した主張に基づき、中国は内水、領海、接続水域、排他的経済水域(EEZ)を合わせて300万平方キロメートルの管轄可能海域および一部外縁大陸棚の権益を有する(※1)。(文:胡波・北京大学中国戦略研究センター副研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
世界の他の海洋大国と比べ、これは非常に小さな数字だ。米国とオーストラリアはいずれも1000万平方キロメートル近くの海洋国土を擁すると称している。日本、カナダ、英国はいずれも400万平方キロメートル以上の海域を擁すると主張している。膨大な人口を擁することも考えれば、なおさらに中国の主権範囲内の海洋空間は広大とは言えない(※2)。
海洋地理空間の不利な国家、大変な発展課題と世界的使命を有する大国である中国が海洋強国となるには、その海洋発展戦略はグローバルな視野を持ち、世界の海洋空間を舞台とし、自らの海洋空間を勝ち取ると同時に、国際公共海洋空間および他の沿岸国との協力空間を積極的に開拓し、主権権益範囲外の海洋空間での計画と取り組みを強化しなければならない(※3)。
国際公共海洋空間は公海と「区域」を含む。このうち公海は各国のEEZ、領海、内水および群島国の群島水域以外の全ての海域を指す。「区域」は各沿岸国のEEZまたは大陸棚以外の海底部分を指し、人類全体の共同の財産であり、豊富な資源を埋蔵している。
メディア世論、戦略設計、政策計画などが中国近海、特に係争海域に集中しているのと異なり、中国の海洋活動はもっと範囲が広く、内容が豊かだ。事実上、中国の海洋活動はすでに世界の各大海、各大洋の至る所に及んでいる。中国の遠洋漁業は遙か太平洋、大西洋、およびインド洋の公海に及んでいる。中国は海底管理局の活動に積極的に参与し、海底「区域」開発分野で世界の前列を歩んでいる。深海掘削プラットフォームや深海探査艇「蛟竜」の相次ぐ配備も中国の遠洋経済活動をますます強大なものにしている。中国海軍も近年頻繁に遠洋へ航行し、各種の国際合同演習や海上護送活動に積極的に参加している。
中国は海洋戦略を自らが管轄する海洋空間内に限定しないことで初めて、経済のグローバル化および国連海洋法条約を基礎とする海洋秩序のもたらすその他各種の機会を把握し、科学技術、経済、外交が強大な軍事力に次第に取って代わって核心的競争力となる世界の海洋政治の新たな趨勢を把握し、中国の豊富な海洋活動の意義を把握することができ、これは海洋強国という夢の実現の助けとなる。
だが世界の他の国々は依然として色眼鏡をかけて、あるいは古い植民地主義的思考で中国の海洋行為を見ている。これは余りに時代にそぐわず、中国の海上復興がもたらす機会を把握するうえで助けとならず、それ以上に中国と良好な相互作用を維持するうえで助けとならない。
中国も世界も、300万平方キロメートルの中国の「所有海域」に視線の焦点を合わせるべきではないし、中国の海上部隊の整備のみに視線を集中すべきでもない。中国の海洋観念、海洋意識、海洋科学技術、海洋経済活動、海洋外交能力の強化の状況を総合的に評定すべきだ。視野を広くして初めて、中国は海洋強国に向かってより確実に発展することができ、世界は中国という後発の海上の新鋭をより全面的に認識することができる(※4)。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年7月16日
<注釈>
(※1) その主張が、中国以外の諸国の主張と真っ向から対立している。そればかりか、我が国の所有海域さえその「300万平方キロメートル」の中に含んでいるのではないか。
(※2) 「人口が多い国が広大な海洋空間を管理する」とは限るまい。人口の多寡と、海洋空間の間に、直接の相関関係は無い。(※3) 美辞麗句を重ねているが、要するに「大洋への出口は侵略し、併合する」としか言っていないだろう。「海洋地理空間の不利な国家」と自認していることが、正にその証左だ。
(※4) なんだろうね。このいつもながら厚顔無恥なほどの手前味噌は。ま、それこそ正に大陸的・支那人気質とも、言えようが。
一方的な都合の押し付けを「平和と協力」と称するのみ
さて、如何だろうか。
読者諸兄に問おうではないか。【Q1】上掲人民日報海外版コラムは、そのタイトルを「中国の海洋戦略:平和と協力」としている。が、上掲記事で「平和と協力」について述べ、それが「中国の海洋戦略である」と、具体的に述べている部分は、どれぐらいあるだろうか?
正直言って、私(ZERO)には、そんな部分はタダの一行も認められないのである。 「海洋活動」「海洋行為」「海洋強国」などの表現が乱舞し、それらは一応「平和的表現」と見做したとしても、「協力」の「き」の字だって出て来はしない。せいぜいが最後のパラグラフ、
1〉 中国も世界も、300万平方キロメートルの中国の「所有海域」に視線の焦点を合わせるべきではないし、
2〉 中国の海上部隊の整備のみに視線を集中すべきでもない。
3〉 中国の海洋観念、海洋意識、海洋科学技術、海洋経済活動、海洋外交能力の強化の状況を総合的に評定すべきだ。
4〉 視野を広くして初めて、中国は海洋強国に向かってより確実に発展することができ、
5〉 世界は中国という後発の海上の新鋭をより全面的に認識することができる
と言う部分に、「世界は中国に協力しろ」と言う主張を見出せるぐらい。これは「平和と協力」ではなく、「協力の強制」であり、普通は「恫喝」と言う。
第一、「平和と協力」と銘打ち、「海洋活動」「海洋行為」「海洋強国」などの「平和的表現」を散りばめた上掲記事からして、以下のパラグラフが含まれるのだから、「衣の下から鎧が覗く」どころか、抜身の白刃丸見えだ。
6〉 国際公共海洋空間は公海と「区域」を含む。
7〉 このうち公海は各国のEEZ、領海、内水および群島国の群島水域以外の全ての海域を指す。
8〉 「区域」は各沿岸国のEEZまたは大陸棚以外の海底部分を指し、人類全体の共同の財産であり、豊富な資源を埋蔵している。
これも一読ぐらいでは「平和的」に見える文章であるが…上記(6)と(8)を併せて読めば明白だが、上掲記事の主張では「国際公共海洋空間」として「公海以外の”区域”」なるモノがあり、「”区域”は”人類全体共通の財産”」であるから「中国共産党政権の切り取り勝手である」と主張している。正に「ジャイアンのテーゼ」だ。直接「切り取り勝手」とか上掲記事に明記している訳ではないが、
9〉中国は海底管理局の活動に積極的に参与し、海底「区域」開発分野で世界の前列を歩んでいる。
とも後述しているのだから、殆ど間違いようが無い。
と同時に、上記8〉で「区域」に属さない部分を「各沿岸国のEEZまたは大陸」として、暗に「大陸棚」をEEZ並みに扱うように、具体的には「大陸国(中国など)のEEZとして扱うように」示唆している。一体どのあたりが「協力」なんだろうか、神経を疑うほどだ。
一方で、「公海以外にして”人類全体の共同の財産”たる”区域”」には何が当たるか、が大問題だ。なにしろ上記7〉で「公海」以外の海とは、①各国のEEZ ②領海 ③内水 ④群島水域 しか挙げておらず、上記8〉で「区域」以外なのは【1】各沿岸国のEEZ 【2】大陸棚 だけなのである。この内上記【2】「大陸棚」は区分けの仕方が異なろうが、上記①~④から上記【1】~【2】を除いた部分が「”人類全体の共同の財産”(にして中国共産党政権切り取り勝手)たる”区域”」に違いないのだが( 他に、解釈のしようがあろうか? )、仮に①「各国のEEZ」≡【1】「各沿岸国のEEZ」としても、「区域」に「②領海 ③内水 ④群島水域 」が「含まれる」事は、一寸疑いようが無い。
即ち、上記6〉~8〉の主張は、「②領海 ③内水 ④群島水域」の「少なくとも一部」が「区域」であり、「人類全体の共同の財産」と明白に主張し、暗に「中国共産党政権の切り取り勝手」と「侵略宣言」しているのである。
重ねて問おう。【Q1再】上掲記事のどこが、「平和と協力」なんだ?
ああ、一つだけ私(ZERO)の思いつく言い逃れがあるか。上記8〉『「区域」は各沿岸国のEEZまたは大陸棚以外の海底部分』なのだから、「”区域”は、海底部分を指すのであって、海域を指さない」と言う言い逃れ。これならば海域は「②領海 ③内水 ④群島水域」だが、「海底面は”区域”である」と言う主張が、一応成り立つ。
屁理屈・詭弁と呼ぶのも恥ずかしくなるような、強弁だが。それもまた、大陸らしい支那気質、と言えば、その通りだな。
如何に、人民日報。