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 大陸では、「歴史」は政治問題であって、学問の対象ではない


 さて、如何だろうか。上掲①、②とも「人民網日本語版」からの転載であり、それ即ち「北京放送・日本語放送」と同様にバリバリの対日プロパガンダと思って間違いない記事だ。

 上掲①「ドイツ訪問中の中国の李克強総理の談話」として第2次大戦を反省するドイツと反省しない日本を対比して日本を非難し、ポツダム宣言の成果を強調し、同時に歴史問題での「日本の必然的敗北」=「中国の必然的勝利」を宣言している。

 上掲②は、

②1〉  中国政府は、「サンフランシスコ講和条約」は中華人民共和国が準備、立案及び調印に参加しておらず、
②2〉 不法で、無効であり、断じて承認できないと、繰り返し厳粛に声明している。

として、上掲②タイトルにもある通りサンフランシスコ講和条約」を全面否定している。上掲②記事からすると、日本の菅官房長官の「日本の領土はサンフランシスコ講和条約で法的に確定された」に反発し、これを否定した発言で在る様だ。

 上記②1〉「中華人民共和国が準備、立案及び調印に参加しておらず」と言うのは、「その頃中国共産党が支那大陸を未だ支配して居なかった(※1)からだろうが!」と言う突込みはさて置き、上掲②記事の中国共産党政府の主張を仮に全面的に受け入れたとしても・・・妙な事になる。

②3〉1972年9月の中日国交正常化時に署名された中日共同声明は「日本側はポツダム宣言第8条に基づく立場を堅持する」と明記している。

上掲②記事にも在り、上掲①記事でも

①1〉  ポツダム宣言第8条の内容について、
①2〉 日本は中国から盗み取った東北部や台湾等の島嶼を返還しなければならないということだと強調した。

としている。即ち、上掲①、②を通じて中国共産党は「ポツダム宣言第8条」を正当とし(※2)、主張して居る。

 であるならば、中国共産党の主張は明らかだろう。

1>> ポツダム宣言8条とサンフランシスコ講和条約は、相反している。

 さらに言えば、

2>> ポツダム宣言8条は尖閣諸島を中国(共産党政権)に返還する事を求めているが、サンフランシスコ講和条約は求めていない。

であり、些かの「至当なる推定」を巡らすならば、

3>> サンフランシスコ講和条約が「尖閣諸島は沖縄の一部で日本に帰属するが当面(沖縄と共に)アメリカ統治下とする」事を、中国共産党自身が認めている

と言う事である。

 即ち、中国共産党自身の主張に従っても上記1〉は、
 
1A>>  ポツダム宣言第8条とサンフランシスコ講和条約では、尖閣諸島の帰属が矛盾している。

と、主張して居る事になる。他に解釈があろうか?

 さーて、訳が判らないぞ。ポツダム宣言からその受託=我が国の大東亜戦争降伏までの経緯は簡単に上掲②記事にも記されているし、ご丁寧に上掲②3〉では日中共同声明に「ポツダム宣言堅持が明記されている」と明記されている。

 然るに、そのポツダム宣言を受けてのサンフランシスコ講和条約(※3)、ウィキペディアに「領土  ポツダム宣言の8項を受けて規定された条項である。」と明記されている(※4)サンフランシスコ講和条約が、ポツダム宣言に反する」と上掲②で中国共産党は堂々と主張し、「ポツダム宣言は肯定するが、サンフランシスコ講和助役は否定するし、否定し続けて来た。」とも主張して居るのである。

 最大限好意的に解釈しても、「サンフランシスコ講和条約よりも領土規定が曖昧なポツダム宣言を利用することで、尖閣諸島の中国領有権を正当化しようとしている」としか、考えようがない。まあ、嘘も百篇言えば真実になる国としては、まだマシな主張か。

 少なくとも、サンフランシスコ講和条約と言う戦後体制・戦後秩序を破壊しようとしているのは、中国共産党政権だ。とは、断言出来そうだ。

 それにしても、それで主張するのがポツダム宣言の順守なんだから、笑えるな。

 「歴史を否定しようとしている」のは、誰かね。


<注釈>

(※1) 正確には、「正当に大陸を支配している」とはみなされなかった。中華人民共和国成立は1949年で、サンフランシスコ講和条約調印1951年に先立って入る。 

(※2) 中国共産党が「ポツダム宣言の準備、立案及び宣言に参加していない」事も、先ず置こう。 

(※3) ポツダム宣言を受けてのモノでなければ、そもそもあの時点での我が国の大東亜戦争降伏後の講和条約にならない、だろう。 

(※4) ソリャ、ウイキペディアが常に正しい訳ではないし、嘘も相応にあろうが、さ。