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「戦後平和教育」と言うと、普通は誉め言葉ではなく、悪口だろう。殊に、日教組の影響力が今よりも強かった往時に於いて特に酷かった、自衛隊をその他の軍隊諸共絶対悪視したりする偏向教育を指す。まあ、今でも中学高校で実施されている「平和教育」は大同小異であろうし、そんな事だからまともに歴史教育なぞ成立しない(※1)のだが。尤も、教育者・教育機関・学校・教科書がどうあろうが、結局のところ学ぶのは学生自身であるから、「戦後平和教育」を受けた学生が皆「戦後平和教育」に洗脳された「平和原理主義者」になるとは限らないだろう。だが、自らの頭で考えようとしない、相応の数居る(※2)学生は、ともすれば「平和原理主義者」に堕してしまおう。
その見本が、どうも、毎日新聞社説を書いているらしい。
<注釈>
(※1) 人類の歴史、なかんずく史書にあるような歴史の大半は、戦史だ。「戦後平和教育」の立場からすると、そんな視点が全く欠落してしまう。(※2) 「間抜けな」とか「阿呆な」とか評したくなる
【毎日社説】:尖閣と日中関係 外交的解決に知恵絞れ
http://mainichi.jp/opinion/news/20130612k0000m070152000c.html
毎日新聞 2013年06月12日 02時33分
オバマ米大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談は、沖縄県・尖閣諸島や南シナ海、サイバー攻撃などで対立点を残しながらも、米中の新たな関係を模索した会談となった。
ひるがえって日中関係は行き詰まったままだ。尖閣諸島の国有化から9カ月たったが、首脳はおろか閣僚級の対話さえほとんどできない。対立をこのまま放置してはいけない。
中国の挑発行為は相変わらずだ。中国公船は尖閣領海に侵入を繰り返している。中国軍艦船は海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射した。李克強首相は、尖閣を念頭に「日本が盗み取った」と演説。「人民日報」は、沖縄の日本帰属に疑問を呈する論文を掲載した。
尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも日本固有の領土だ。日本による実効支配の現状を力ずくで変更しようとする中国の態度は、長い目でみれば中国にとっても利益にならないだろう。オバマ大統領が習主席に自制を促したように、中国には挑発行為をやめるよう改めて求めたい。
その上で安倍政権にも注文したい。安倍晋三首相は「対話のドアは常にオープン」という。しかし、公明党の山口那津男代表が首相親書を携えて訪中して以降、対話模索の動きがあまり見えないのが気になる。
野中広務元官房長官は、中国共産党序列5位の劉雲山(りゅう・うんざん)政治局常務委員と会談し、1972年の日中国交正常化交渉で尖閣の領有権について「棚上げ合意があった」と発言した。
菅義偉官房長官は「領有権問題は存在しない。棚上げを合意した事実はない」とこれを否定した。だが、条約課長として交渉に関わった栗山尚一(たかかず)元外務事務次官は、棚上げについて「『暗黙の了解』が首脳レベルで成立したと理解している」と証言している。
また、中国側は最近「棚上げ」による解決というシグナルを盛んに送ってきている。中国人民解放軍の戚建国(せき・けんこく)副総参謀長は、78年の日中平和友好条約交渉に際し、中国副首相だったトウ小平氏が主張した「棚上げ」論を評価し、「棚上げ状態に戻るべきだ」と呼びかけた。
研究者が過去を検証することは必要だが、日本の政府や政治家の間で「棚上げ」合意があったかどうかで、内輪もめをしている場合だろうか。中国も、領土問題や「棚上げ」合意の存在を、日本側に認めさせることを対話の前提条件にするのをやめるべきだ。重要なのは、尖閣をめぐり軍事的な衝突が起きかねない緊張状態を一日も早く解消することだ。
互いに公式見解を繰り返すだけでは、現状は打開できない。日中双方が、ともに納得できる外交的解決に知恵を絞るときではないか。
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「外交的解決」は、目的ではない。この場合目的にすらならない
さて、如何だろうか。
思い出したことがある。1996年と言うから20年ほど昔の在ペルー日本大使公邸人質事件の時だ。テロリストに日本大使公邸を占拠され、多数の人質を取られて籠城事件となった際、マスコミに登場する識者だの専門家だののと称する人々は、口々に「平和的解決」「平和的解決」と馬鹿の一つ覚えの様に唱えていた。
「目的は”解決”であって、”平和的”である必要はあるまい。」と、私(Zero)なんぞは大いに憤慨したものだ。ソリャ「平和的解決」ならば人質に死傷者は出ないと言う利点はあろうが、目的はあくまでも「解決」なんだから、「武力的解決」と言う選択肢は用意しておくべきだ、と。実際、最終的にはペルー軍部隊突入と言う「武力的解決」で決着している。
なんでそんな在ペルー日本大使公邸人質事件を追想起したかと言えば、上掲毎日社説が、「平和原理主義」の「平和ボケ」と読めて仕方が無かったから。
1> 重要なのは、尖閣をめぐり軍事的な衝突が起きかねない緊張状態を一日も早く解消することだ。
等と言う、最後から2番目のパラグラフにある一文が、それを端的に表している。何しろ相手は、「核心的利益」などと称して我らが尖閣諸島に対する侵略宣言を公言している中華人民共和国・中国共産党政権だ。左様な侵略宣言を為す危険国家・敵対国家相手に「軍事的衝突が起きかねない緊張状態」にあるのは当たり前。あまつさえその相手国海軍が「射撃管制レーダー照射」と言う「交戦規定が交戦規程ならば、開戦の火蓋が切って落とされた暴挙」を、それも「中国共産党政権の知らぬ間に」実施し、さらにはその暴挙を「中国共産党政権が事後承諾して擁護強弁する」と言う事態に至っているのだから、これで緊張状態になかったら、日本国の主権も自衛隊も不要無用の腰抜け国家と言う事になろう(※1)。逆に「日本国の主権も自衛隊も不要無用の腰抜け国家」になれば、「軍事的な衝突が起きかねない緊張状態」を免れる訳だが、そんな状態を希求することこそ、戦後平和教育の精華=平和ボケの平和原理主義=敗北主義であろう。
で、実際「軍事的な衝突が起きかねない緊張状態」にある現状は、確かに居心地の良いモノとは言い難かろう。だが、その「居心地の悪さ」も、我が領土主権を保持し、中国共産党政権と言う侵略者と対峙する以上は、あって当然、無ければ不思議・不可解であろう。
それにも拘らず、「軍事的な衝突が起きかねない緊張状態を一日も早く解消すること」を「重要な」と優先目標・目的にしてしまえるから、「戦後平和教育の成果」と断じてしまえるのだ。平和は、目的じゃぁない。戦争と同様に、手段だ。
2> 互いに公式見解を繰り返すだけでは、現状は打開できない。
3> 日中双方が、ともに納得できる外交的解決に知恵を絞るときではないか。
と、毎日新聞社説は結論付けているのだが…果たして、そんな呑気な「とき」であろうか。
先述の通り、中華人民共和国の人民解放海軍は、中国政府の事前承認も無いまま射撃管制レーダーで我が海上自衛隊護衛艦=軍艦を照射し、その事実を中国政府に事後承諾させるどころか、擁護強弁までさせる傍若無人ぶりをつい先ごろ見せつけたばかり。その「親玉」たる中国政府は、つい先日の米中首脳会談でも「尖閣諸島は中国の核心的利益」と侵略宣言を公言再確認したばかりだ。百歩譲って上記3>「日中双方が、ともに納得できる外交的解決」が出来たとしても、「人民解放軍が中国共産党政権の事前承認ないまま(勝手に)戦端を開く」可能性が先述の事例で示されているのだ。
それ即ち、上記3>「日中双方が、ともに納得できる外交的解決」が成ったとしても、上記1>「尖閣をめぐり軍事的な衝突が起きかねない緊張状態」は、殆ど変らないだろう、と言う事だ。
少なくとも、上記3>「日中双方が、ともに納得できる外交的解決」を目指すならば、先頃の「我が海上自衛艦に対する人民解放海軍軍艦からの射撃管制レーダー照射」と言う暴挙に対する正式な謝罪と、爾後少なくとも「中国共産党政権による事前承諾が無い限り、斯様な暴挙は実施しない」と言う再発防止策の明示が、必須であろう。
「外交的解決に知恵を絞る」なんぞ、その後だ。
現状の「軍事的な衝突が起きかねない緊張状態」の一因が、「人民解放軍の暴走と、その暴走を止めるどころか事後承諾擁護強弁する中国共産党政権」にある事を、明記・想起すべきだ。
而して…左様な「再発防止策」なんぞ、中国共産党政権に「取れる訳が無い」と、私(Zero)は踏んでいる。人民解放軍は「中国共産党の私兵」でありながら、現状は実の所「中国共産党のほぼ唯一の権力基盤」に成り下がって/成り果せている、と見るからだ。例えば今、天安門事件に匹敵するような大規模反政府デモが発生したら、習金平が絞首刑なり斬首なり国外追放なりになる事を免れせしめるのは、一体、何だと思う?
人民解放軍だ。軍しかない。かつての、天安門事件と同様に、武力暴力鎮圧で「民意を粉砕」しようとするに違いない。少なくともその為に「人民解放軍に対する支配力・求心力」は保持・維持・向上しなければならない中国共産党政権が、「射撃管制レーダー照射事件再発防止策」なんぞ、まともに取れる訳がない。
つまり・・・百歩どころか、万歩、億歩譲って「日中両政府が納得できる外交的解決」が成ったとしても、「軍事的な衝突が起きかねない緊張状態」は変わらないし、変えるべきでもない、と言う事だ。中国共産党政権が自ら実証して見せたとおり、「人民解放軍の暴走」を止められない、止めようとすらしないから、だ。
Parabellum!
戦いに、備えよ。
<注釈>
(※1) まあ、民主党政権時代ならば、可也危うい処だったが。実際、「射撃管制レーダー照射事件を有耶無耶にした」との噂もある。