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 先行する記事美事なまでのダブルスタンダード http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/38208847.html に於いて、私(Zero)は、「虚偽ならぬ事実だけを並べても、その事実を取捨選択することで印象操作は可能とし、事実を並べて、限りなく嘘に近いことを印象付ける事は可能と断じだ。

 先行記事は、少々甘かったようだ。タイトルにもした通り、「事実だけを並べ立てて、嘘を吐く」と言うのは、ある範囲で可能な事を、琉球新報社説がモノの美事に実証して見せてくれた。先ずは問題の琉球新報社説を、篤とご覧あれ。

 その上で、タイトルの意味をじっくり考えていただきたい。


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【琉球新報社説】嘉手納F15墜落 沖縄の空に欠陥機飛ばすな  2013年5月29日

 米空軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が沖縄本島東方沖海上に墜落した。墜落したホテル・ホテル訓練区域の周辺海域では、県内漁協のパヤオ漁が実施されている。今回も訓練水域外の周辺で漁船が操業していた。漁船に被害が出た可能性も否定できず、海上ではなく、陸上だったら大惨事となっていた。いつまで県民は危険な空の下で暮らさなければならないのか。 
嘉手納基地所属のF15戦闘機は2006年にも墜落事故を起こしている。11年には航空自衛隊那覇基地所属機も墜落している。同機は1979年に嘉手納に常駐配備されており、これまでの34年間で9回、10機が墜落している。約3・7年に1度の頻度で墜落している計算だ。同機が欠陥か。操縦士が問題か。いずれにしても県民にとって危険極まりない航空機と言わざるを得ない。
墜落しているのはF15だけではない。72年の復帰後に発生した県内の米軍航空機墜落事故は今回を含めると44回だ。毎年1回以上、墜落していることになる。さらに航空機関連事故全体をみると、2012年12月末現在で、540件発生し、34人が死亡している。異常な状態ではないか。
今回は墜落場所が海上だっため県民の被害はなかった。しかし、過去には陸地に墜落する事故は何度も起きている。1959年6月30日には石川市の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落し、児童ら18人の命を奪った。2004年8月13日には海兵隊普天間基地所属のCH53輸送ヘリが沖縄国際大学に墜落した。学生や住民にけが人が出なかったことは奇跡と言われた。
普天間基地には昨年10月から垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が常駐している。県知事、全市町村長が反対を表明している中、沖縄の民意を踏みにじる形で強行配備された。そのオスプレイは開発段階から昨年までに7件の墜落事故を起こし、36人が死亡している。欠陥機の疑いが拭えない。
今年夏にはさらに12機の配備を強行する計画だ。日米で定めた運用ルールや安全確保策を守らぬまま、日常的に危険な航空機が飛行を続けている現状を放置しておきながら、日米両政府は県民の生命の安全をどう保証できるというのか。F15だけでなく、オスプレイも含め安全性の担保のない機種は無期限に飛行禁止とすべきだ。さもなければ県民は安心して暮らせない。


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墜落事故件数だけ数えれば、如何なる機体も「欠陥機」と称しえよう


 さて、如何だろうか。

 世の中には「統計でウソをつく法」(ダレル・ハル著)なんて古典的名著があり、統計を駆使した種々の印象操作を判り易く解説してくれている。今回の琉球新報社説が「事実を並べて嘘を吐く」方法として採用したのは、先頃のF-15洋上墜落事故を受けての「墜落事故件数だけ数える」と言う、ある意味古典的な「統計で嘘を吐く法」だ。

 大凡この世に在るありとあらゆる航空機は、民間用軍用を問わず、「墜落した事がある航空機」である。「墜落した事が無い航空機」と言うのは、余程のレアケースであるか、「飛ばない/殆ど飛ばない航空機」だけである。従って、「墜落事故件数だけ数える」ならば、ほとんどすべての航空機を「危険だ!」と断じ、極端には「欠陥機だ!」と誹謗中傷する事が出来る。特に生産数が多く、飛行時間が長い航空機程、当然墜落事故件数は多くなるから、ベストセラー機やロングセラー基ほど「危険な航空機」と糾弾する事が出来る。航空機を誹謗中傷する上では、「墜落事故件数だけ数える」と言う方法は、実に効果的だ。

 事実、上掲琉球新報社説は、以下の様にとうとうと捲し立てる。

1〉 嘉手納基地所属のF15戦闘機は2006年にも墜落事故を起こしている。
2〉11年には航空自衛隊那覇基地所属機も墜落している。
3〉同機は1979年に嘉手納に常駐配備されており、これまでの34年間で9回、10機が墜落している。
4〉約3・7年に1度の頻度で墜落している計算だ。同機が欠陥か。操縦士が問題か。
5〉いずれにしても県民にとって危険極まりない航空機と言わざるを得ない。

 正に、「墜落事故件数だけを数える」のみ。上記3〉「34年間で9回、10機が墜落し、上記4〉「約3・7年に1度の頻度で墜落している計算も嘘ではないが、その全てのF-15墜落事故を通じて沖縄県民に死者どころか負傷者さえ出ていない事実には全く触れず上記5〉「県民にとって危険極まりない航空機と言わざるを得ない断言できてしまうんだから、凄まじいモノである。「事実を並べて嘘を吐く」ばかりか、「己が吐いた嘘に自己陶酔までしている」と、「言わざるを得ない」な。

 オスプレイの記事にも散々書いた処だが、「事故の危険が高い航空機」が、誰にとって危険かと言えば、真っ先にその航空機に搭乗しているパイロットであり、乗組員だ。F-15は戦闘機で、オスプレイの様な輸送機ではないからパイロットには射出座席と言う緊急脱出手段があるが、墜落事故が先ず第一にパイロットにとって危険である事に、変わりはない。

 上掲社説ではその後またぞろオスプレイの墜落事故やら、他の期待の墜落事故やらを数えあげ、ひたすら「米軍機は危険だぁ!」と唱えるばかりだが、沖縄県民の死亡事故例は1959年まで遡らなければ無く、2004年の沖縄国際大学墜落事故では沖縄県民には怪我人すら出ていない(※1)。而してオスプレイの12機追加配備に結びつけて

6〉 日米両政府は県民の生命の安全をどう保証できるというのか。

ナーンて息巻くんだから、図々し奴ぁ何処まで行っても図々しいね。

 私が政府ならば、堂々と公言するね。
 「この世の航空機で、「墜落しない航空機」などと言うのは、「飛ばない航空機」だけです。沖縄に配備されている航空機は、オスプレイを含め「飛べる航空機」ばかりですので、当然「墜落する可能性」はあります。
 ただ、その墜落する可能性は、軍用機として十分に低く、充分に安全です。我が国が我が国民に保障する安全には、それで充分です。
 無論、墜落する可能性がある以上、その墜落に巻き込まれた新たな沖縄県民の犠牲が生じる可能性は、あ・り・ま・す。
 それは、Aspectable Riskと言うモノです。」
 ま、紛糾するだろうし、批難豪豪だろうが、正味正直なところは、こんなモノだろう。

 一方、上掲琉球新報社説は、その〆を以下の様に締めくくる。

7〉  F15だけでなく、オスプレイも含め安全性の担保のない機種は無期限に飛行禁止とすべきだ。
8〉 さもなければ県民は安心して暮らせない。

 先ず上記1〉「無期限飛行禁止」に、「長足の進歩」を見るべきだろう。先ごろの沖縄県民大会決議やら建白書にある、オスプレイは危険だから沖縄配備だけ反対と言う主張は、再三繰り返す通り沖縄以外の基地周辺住民とオスプレイに搭乗する米軍人はいくら死のうが知った事ではないと公言する人非人の主張だ。それに対し上記7〉~8〉「危険ならば無期限飛行停止」であるから、遥かに理に適っている…その「無期限飛行停止」が「沖縄限定でなければ」だが(※2)。

 だが、先述の通り「墜落事故件数だけ数える」限り、この世の殆どの航空機は、軍用民間用を問わず「安全性の担保のない機種」となる。それに「無期限飛行停止」を課すならば、全世界の空路は殆ど遮断される。世界は、ほぼ「ライト兄弟以前の状態」陸路と海路のみで結ばれる世界となろう(※3)。

 例え、上記7〉「無期限飛行禁止」「沖縄限定」であろうとも沖縄は空路孤立する事になる。空路孤立した沖縄で「墜落事故の危険が無い安心の暮らし」を実現するのは、琉球新報の夢、なのかも知れない。

 だが、左様な状態は、制空権を失ったも同然…正にそれこそ、琉球新報の望むところ、であろうが。

 だが我が国は、それを望まない。

 沖縄は、琉球と呼ばれた昔から、対大陸の最前線である


<注釈>

(※1) そのくせ「死者が出た」と言う事にして「その死者の幽霊が語る」などと言うトンデモ演劇も、沖縄二紙は取り上げていたな。ソリャ「この作品はフィクションであり、実在の人物・組織・団体とは関係ありません」と明記してあったんだろうな。 

(※2) 上記8〉で「沖縄県民の安心」しか言っていないから、「沖縄限定無期限飛行停止」である可能性は、否定し難いが。 

(※3) 通信インフラはあるから、情報は今のレベルで流通出来そうだ。「ライト兄弟以前」になるのは、物流や人的交流だけだが…ああ、「打上ロケットの墜落事故」を数えたら、その通信インフラも、維持は出来ないな。