三アカ新聞揃い踏み1―社説比較―安倍首相の「歴史認識」
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何度か繰り返しているが、当ブログで一番「手間のかかる記事」は「社説比較」シリーズである。あんまり手間がかかるモノだから、最近はトンと御無沙汰してしまっている程だ。全国紙である朝日・毎日・読売・日経・産経の五紙と、東京新聞の併せて六紙を「レギュラーメンバー」とし、ゲストとして時に沖縄二紙やら、赤旗やらが加わり、朝日との類似主張は赤字で、産経との類似主張は青字で表示し、項目毎に一表化して比較する記事。そのシリーズ開始以来繰り返している事は、「日本の新聞を比較するならば、産経と朝日を比べるのが手っ取り早い」である。シリーズを通じて此れに反する事例は稀有で、大半はこの主張を裏付けている。
逆に言うと、「朝日主張と産経主張が対立し、各紙の主張もこの二派に分かれる」場合が一番「社説比較」が面白い場合。一番つまらないのは「朝日から産経まで皆同じ主張をしている」場合だ。まあ、そんな場合は、それこそ稀有ではあるが。
で、「社説比較が二番目につまらない」場合と言うのは、「朝日か産経、どちらかしか含まない数紙が、同じ主張をしている」場合。今回取り上げる「安倍首相の”歴史認識”問題」と言うのは、正にこの「二番目につまらない場合」である様だ。何しろ社説に取り上げたのが、朝日、琉球新報、沖縄タイムスの、当ブログで言う「三アカ新聞」だけなんだから、コリャつまらない(※1)。
<注釈>
(※1) 「三アカ新聞が主張するのみ」だから、「私(Zero)の意見とは異なる主張」のみが社説になっているが、そんな事は、些事だ。
①【朝日社説】歴史認識―孤立を避けるために 平成25年05月10日(金)
「東北アジア地域の平和のためには、日本が正しい歴史認識を持たなければいけない」
韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が、オバマ米大統領との会談で対日関係に言及した。
言うまでもなく、歴史認識をめぐる安倍首相の言動や、麻生副総理らの靖国神社参拝を念頭に置いての発言である。
本来、隣国同士で率直に話し合うべき問題がこうした形で取りあげられるのは残念だが、それほど日本への不信感が強いということだろう。
韓国の対日不信を決定的にしたのは、先月の閣僚らによる靖国参拝と、それに続く安倍首相の国会答弁だ。
首相は「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と発言。これが韓国では「植民地支配や侵略戦争を否定したもの」ととらえられた。
今年に入って日韓間では関係改善を探る努力が続けられてきたが、以来、政府間の交流は再び滞ってしまった。安倍政権の責任は大きい。
この問題は、日米関係にも影を落とし始めている。
今月発表された米議会調査局の報告書は、首相の歴史認識について「侵略の歴史を否定する修正主義者の見方を持っている」と指摘。ワシントン・ポストなど米主要紙も首相発言を批判している。
さらに、慰安婦問題をめぐる河野談話見直しの動きがあることについて、シーファー前駐日大使は「見直しを受け入れる人は米国にはまったくいない」と語った。
安倍政権の歴史認識を疑問視する声が、米国内で急速に広がっている。このままでは、日本の国際的な孤立さえ招きかねないことを、首相は深刻に受けとめるべきだ。
首相は、8日の参院予算委員会で「アジアの人々に多大な損害と苦痛を与えた」と、95年の村山談話と同様の認識を示すなど軌道修正を図りつつある。
歴史認識で対立を煽(あお)るような言動は厳に慎み、一致できる部分で連携を深める。各国の信頼を回復する道はそれしかない。
一方、韓国側にも冷静な対応を望みたい。
朴氏自身、米議会での演説で「歴史に目をつぶる者は未来を見ることができない」としたうえで、日本を含む北東アジアの国々が環境や災害救助、テロ対策などに協力して取り組み、信頼を構築すべきだと語った。
日韓が対立していては、地域の問題は何も解決できない。両首脳は、事態打開の道を本気で探ってほしい。
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②【琉球新報社説】首相の歴史認識 過去に目を閉ざすな2013年5月10日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-206375-storytopic-11.html
2013年5月10日
異例の苦言である。韓国の朴槿恵大統領が米議会の上下両院合同会議で、日本の歴史認識について訴えた。
「歴史問題に端を発した対立が一層深刻になっている。歴史に正しい認識を持てなければ明日はない」
第2次大戦中の「従軍慰安婦」や歴史教科書、靖国神社参拝などをめぐる安倍晋三首相の歴史認識は、日本の急激な右傾化と理解され、近隣諸国から警戒されている。
首相の歴史認識に対して米国政府は非公式に「懸念」を伝達している。米議会調査局は「東アジアの国際関係を混乱させ、米国の国益を損なう可能性がある」との報告書を発表した。
歴代政権は、近隣諸国に配慮した教科書記述を約束した「宮沢談話」(1982年)、「従軍慰安婦」問題で戦時中の旧日本軍の関与や強制性を認めた「河野談話」(93年)、植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」(95年)を発表してきた。
「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げる安倍氏が行おうとしているのは、日本が内外に確認してきた歴史認識の転換にほかならない。
ヴァイツゼッカー元ドイツ大統領が指摘したように「後に過去を変更したり、あるいは起こらなかったことにしたりすることはできない」のである。そして「過去に目を閉ざす者は結局、現在にも盲目となる」のである。
安倍首相は「歴史認識に関する問題が外交、政治問題化されることは望んでいない」と言う。しかし他国に到底受け入れられないような歴史認識が問題化するのは当然だ。国内でも4・28をめぐり「主権回復の日」という認識が沖縄側から反発を受けたばかりだ。
特に「侵略という定義は国際的にも定まっていない」という首相発言は、独りよがりで国際社会に通用するものではない。米紙は「恥ずべき発言」「歴史に向き合う能力がない」などと批判した。
侵略は74年の国連総会決議で明確に定義されている。その定義に照らすまでもなく、日本は明らかに他国を侵略したのである。
首相の言う「未来志向」の国際関係は、過去に目を閉ざしたままでは築けない。首相は朴大統領の発言を重く受け止め、歴史を直視すべきだ。
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③【沖縄タイムス社説】社説[朴氏、対日批判]歴史問題に向き合おう
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-09_49020
全国 2013年5月9日 09時30分
韓国の朴槿恵大統領は、ワシントンで開かれた米韓首脳会談で、閣僚の靖国参拝などを念頭に、日本は正しい歴史認識をもたなければならないと、オバマ大統領に直接訴えた。
北朝鮮の核・ミサイル問題に対処するため、関係国の結束を演出すべき場で、あえて歴史問題を持ち出し、日本を批判したのである。
ワシントンポスト紙のインタビューでも「日本は過去の傷口を開き、大きくした」と、日本の姿勢を批判した。
日米は2月に、米韓は今回、それぞれ首脳会談を開き、米中も習近平国家主席の誕生にあわせ3月に電話による首脳会談を開いている。
日中韓はどうか。3カ国でほぼ同時期に新政権が誕生したにもかかわらず、歴史認識や領土問題で関係が冷えきってしまい、首脳会談開催のめどはたっていない。
1995年の村山談話に関連して安倍晋三首相は、4月23日の参院予算委で「侵略という定義は、学会的にも国際的にも定まってない」と誤解を招きかねない答弁をした。
中韓両政府が閣僚の靖国参拝を批判したことについては、翌24日の参院予算委で「どんな脅かしにも屈しない」とけんか腰で答えた。
外交への影響を考慮し火消し役に回るべき首相自身が、挑発的な発言を重ね、摩擦の火種になっているのである。
北九州市で5、6日に日中韓3カ国環境相会合が開かれた。これを日中韓連携の第一歩にしてほしい。そのためには、首相自身の慎重さと中韓への配慮が必要だ。
■ ■
第1次安倍内閣は、従軍慰安婦問題で米議会から批判を浴び、米政府からもたしなめられ、結局、主張を軌道修正した。第2次安倍内閣もやはり、靖国問題などで米政府やメディアの批判を受けた。
安倍内閣は、ポツダム宣言とサンフランシスコ講和条約によって形成された戦後秩序を壊そうとしているのではないか。米国のメディアには、そんな懸念が消えない。
日米韓3カ国が連携し、北朝鮮問題にあたる、というのが米国の基本戦略であり、米政府も事態を憂慮し、外交への影響を懸念する。
日中韓3カ国は、東アジアの隣人でありながら、なぜ、未来に向かって手をつなぐことができないのだろうか。
従軍慰安婦問題に対する「河野談話」や、侵略や植民地支配に対する「村山談話」は、政府が公式に示した基準である。政権が代わるたびにぐらぐらするようでは国際社会の信頼は得られない。
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日本は、無謀な戦争によって未曽有の損害を被り、アジア諸国に対しては侵略や植民地支配によって甚大な被害を与えた。
戦後、自らの手で戦争責任を問うことができず、極東国際軍事裁判と講和条約によって他律的に処理した結果、侵略や植民地支配に対する共通認識を国民的規模で育てることができなかった。
歴史問題の根は深く、国民感情が複雑に絡む。まずは日本政府が率先して対話の道を探り、信頼醸成に努めるべきである。