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 以前から予想されていたとはいえ、「誠に由々しき事態」とはこの事だろう。中国共産党政権による尖閣諸島「核心的利益」表明や、人民日報に掲載された、沖縄県の帰属を「歴史上の懸案であり、未解決の問題だ」とする論文の事である。

 後者については、これが日本やアメリカや西欧諸国の新聞に載った論文ならば、特に問題ではない。我が国を含めたこれらの国では、言論の自由も学問の自由も保障され、実践されているから、「そういう説もある」と言うだけに過ぎない。だが、中国共産党政権支配下の大陸・支那は違う。言論の自由も学問の自由も無い上に、報道機関は「中国共産党の口舌=宣伝機関」であるのが基本。況や、問題の論文が掲載された人民日報は、中国共産党の機関紙だ。問題の「沖縄県の帰属は歴史上の懸案であり、未解決の問題だ」とする論文の主張は、少なくとも”中国共産党政権の主張に準じたモノ”と考えなければならない。

 前者の方はもっと明確・明白だ。「核心的利益」の「美名」のもとに、チベットもモンゴルも併呑した上、チベット族やモンゴル族に対する虐殺弾圧を繰り返している事は、「記憶に新しい」所ではない。チベット族の中国共産党支配に対する抗議の焼身自殺は、今も連綿と続いている。あまり報じられることが無い理由の一つは、中国共産党政権の「世界に冠たる」情報統制の故であろうが、それでも注意深くニュースをモニターして居れば、「広義の焼身自殺が連綿として続いている」のは、明白だ。
 なるほど尖閣諸島は無人島だ。だから、仮に中国が尖閣諸島を武力占領したとしても、「尖閣諸島住民を虐殺する」事だけは出来まい。だが、領土問題とは、それだけで済む問題ではないし、それ故にこそ中国共産党政権の言う「核心的利益」とは、「絶対に譲歩できない利益」と位置付けられるのである。


尖閣は「核心的利益」、中国が初めて公式表明
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5317188.html

 中国外務省は26日の会見で、沖縄県の尖閣諸島について、「核心的利益」という言葉を公式に初めて使いました。

「釣魚島(尖閣諸島の中国名)の問題は、中国の領土主権に関わるもので、当然中国の『核心的利益』に属する」(中国外務省 華春瑩 報道官)

「核心的利益」は、共産党の指導体制を維持するため「絶対に譲歩できない利益」と位置づけられているもので、台湾やチベットをめぐる問題でも使われています。

日本側に強い態度を示し、けん制する狙いがあるとみられます。
(26日17:36)


沖縄の帰属「未解決」…人民日報が専門家の論文
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130508-00001189-yom-int
読売新聞 5月8日(水)20時35分配信

 【北京=五十嵐文】8日付の中国共産党機関紙・人民日報は、沖縄県・尖閣諸島に関し、「歴史的な懸案で未解決の琉球(沖縄)問題を再び議論できる時が来た」と主張する論文を掲載した。

党や政府の見解を反映する同紙が、沖縄の帰属は「未解決」で、中国に領有権があると示唆したのは初めて。尖閣諸島で対立する安倍政権を揺さぶる狙いがあるとみられる。

論文は、中国の政府系調査研究機関・中国社会科学院で中国近代史などを専門とする張海鵬研究員ら2人の連名。論文は「琉球は明清両朝の時期、中国の属国だった」とし、日本が武力で併合したと主張。日本は1895年1月に尖閣諸島を領土に編入しているが、論文は日清戦争を終結させた同年4月の下関条約の調印の際、「(敗北した)清政府に琉球を再び問題にする力はなく、台湾とその付属諸島(尖閣諸島を含む)、澎湖諸島、琉球は日本に奪い去られた」と指摘した。

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新たな対立の火種に 沖縄帰属めぐる人民日報論文
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130510/plc13051007190003-n1.htm
2013.5.10 07:18 
 【北京=矢板明夫】中国共産党機関紙、人民日報が8日、沖縄県の帰属は「歴史上の懸案であり、未解決の問題だ」などとする論文を掲載した問題で、菅義偉官房長官は9日、「(論文が)中国政府の立場であるならば断固として受け入れられない」と抗議したことを明らかにした。中国外務省の華春瑩報道官は同日、「申し入れや抗議を受け入れられない」と反発、日中間の新たな対立の火種となりつつある。

論文掲載は、習近平指導部の意向によるものである可能性が高い。尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる日本との対立が長期化するなか、膠(こう)着(ちゃく)状態の打破に向けて新たな揺さぶりをかける狙いがあるとみられる。

習近平指導部は尖閣諸島に関し、日本に「国有化前の状態に戻すこと」「領土問題の存在を認めること」の2点を関係回復の前提条件として突きつけた。しかし、安倍晋三政権が要求を無視したため、対日外交は袋小路に陥っている。

共産党筋によれば、汪洋副首相に代表される党内の改革派からは「対日関係を改善すべき」との意見が高まりつつある一方、軍や保守派からも「日本に対し何もしないのか」といった批判が上がっている。

中国政府系シンクタンクの研究者によると、「沖縄地位未定論」を主張する中国の歴史研究者は90年代から台頭。最近は影響力を拡大しているが、研究者の間ではいまでも傍流だと認識されている。

こうしたなか、人民日報が論文を掲載したのは、在日米軍基地移転問題で日本政府に不満がある沖縄の一部住民の間から、「琉球独立」の主張が出たことを意識した可能性もある。この動きに支持を示唆して日本政府に圧力を加え、尖閣問題で譲歩を引き出すという計算だ。習政権の主な支持基盤である国内の保守派に対日強硬姿勢を誇示する狙いもあったとみられる。

論文は沖縄の帰属が「未解決」としているだけなのに、多くの中国人が「沖縄は中国領」だとあおり立て、インターネット上には「沖縄奪還」を求める意見が殺到している。


各紙社説はかかる事態をどう見るか?

  以上の由々しき事態に対し、社説で反応した新聞は…実に、と言うか、案の定と言うか、全国紙では産経と読売だけである。日経は「経済紙だから」と大目に見たとしても(※1)、朝日も毎日も全くの頬被り。いつもは中国様万歳であり三アカ新聞下っ端でもある沖縄二紙ですら、二、三日遅れとは言え(5/12-13)社説に取り上げていると言うのに。

2013.5.10



12日

 流石の三アカ新聞下っ端・沖縄二紙と言えども、地元・沖縄の危機には、看過も為らなかったと見える。両紙とも珍しいぐらいに「中国様」に批判的だ。
 尤も、ちゃんと言い訳記事は用意してあるようで(※2)、熱烈歓迎!人民解放軍御一行様!!」の準備に、抜かりはないらしい。


 一方の、朝日や毎日は、かかる由々し時事態をどう見ているのかね、と言うのも、聞くだけ野暮か。



<注釈>

(※1) それでも、「日経は、経済紙にしか過ぎない」と自白しているようなものだ。ま、「全国紙」よりも「経済紙」の方が、商売としてはボロイのかも知れないが。 

(※2) 人民日報「琉球」論文:沖縄反応は複雑  http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-10_49057 



<1>【産経社説】中国の沖縄論文 筋違いの妄言看過できぬ
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130510/chn13051003140001-n1.htm
2013.5.10 03:14[主張]
開いた口がふさがらないとは、まさにこれをいう。中国共産党の機関紙「人民日報」が尖閣諸島(沖縄県石垣市)に対する中国の領有権を主張し、沖縄県の日本帰属の正当性をも否定する学者の論文を掲載した。

沖縄について「明・清両朝の時期には中国の藩属国だった」としながら、その後「独立国家だった琉球を日本が武力で併合した」とし、「未解決の問題だ。改めて議論する時期が来た」と論じている。妄言以外の何物でもない。

沖縄県はまぎれもなく日本だ。沖縄の一部に基地問題をめぐって「独立論」もくすぶる中、一党独裁政権の見解を反映する人民日報が「未解決」と断じたことは重大だ。軍事力を背景に尖閣の奪取を狙って、沖縄全体を国際社会向けの「世論戦」の材料にする揺さぶり戦術の可能性もある。

菅義偉官房長官が「全く不見識な見解」と中国に抗議したのに対し、回答は「研究者が個人の資格で執筆した」と極めて不誠実だった。中国政府は謝罪すべきだ。

沖縄県について中国と台湾は、日本領土として公式に認めていない。沖縄県の地位を中台が問題にするのは、日本が受諾したポツダム宣言に「日本国の主権は本州、北海道、九州、四国並びに吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」との一節があったためだ。

連合国の一員であり、かつての宗主国を関与させずに日米間で沖縄返還を決めたことへの反発がにじんでいる。

中国で、沖縄の地位を未確定とする学者の論文は以前にも発表された。沖縄は台湾や尖閣とともに日本に奪い取られた、との一方的な言論も少なくない。

この問題は5年前、米上院軍事委員会の公聴会でも取り上げられた。当時の米太平洋軍司令官は中国側の思惑に関し「中国海軍高官から、ハワイを境に米中が太平洋を東西に分割管理してはどうか、と提案された」と証言した。

中国にとって沖縄は、台湾-フィリピンへと延びる事実上の対米防衛ライン「第1列島線」の起点として重要な意味をもつ。中国海軍艦船の沖縄近海での航行が常態化しているのもこのためだ。

今回の人民日報の論文からは、尖閣だけではなく、沖縄全体の奪取を狙う中国の露骨な意図が透けてみえる。「世論戦」ではすばやく反撃しなければならない。



  へ続く