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便利な新技術の宿命


 さて、如何だろうか。

 上掲記事①は、要約するほども無いだろう。三次元プリンターの普及、低価格化、発達により、「プリントアウト素材」の改善・多様化・多用途化も進み、「製造」とか「試作」とかが格段に容易になる事が、社会そのものを、基本的に「良い方向」へ向かわせるだろうと言う「明るい未来像」だ

 これに対して上掲記事②は、今現在の「プリントアウト素材」が樹脂に限られる三次元プリンターを使って「実弾を発射可能な拳銃」の殆どの部品が「プリントアウト」出来、その3D-CADデータがネット上に既に公開されている、と言う事実。「リベレーター」と名付けられた殆どプラスチック製( 撃針のみが金属だと言う)の単発拳銃は、1発限りで2発目で壊れてしまったとは言え、実弾(別の報道では38口径拳銃弾)発射に成功したと言う。
 「プラスチック製の玩具の拳銃でも、1発限りの使用になら耐えられる」と言うのは、ゴルゴ13にあったトリック(※1)だから、「殆どプラスチックの拳銃」で実弾発射できた事は、驚くにはあたらない。また、「弾を発射するメカニズム」の大半は弾丸(実包)自身が持っており、「弾丸を固定して、ケツの雷管を叩くか熱すれば、弾は発射できる」から、(※2)、「リベレータ-」の様な単発銃は、設計も容易だ。

 即ち、「銃規制推進派の懸念の声」がどう上がろうが、「2発目以降の発射は保証しかねる単発銃」が現時点の三次元プリンターで製造できるのは、言ってみれば「理の当然」である。無論、それを実証して見せ、さらには設計の3D-CADデータを公開して「誰でも実証可能」にした「リベレーター」の「功績」は、多とすべきであるが。

 左様、「功績」である。「三次元プリンターが、現時点でも相応に役立つことを実証して見せた」功績である。

 上掲記事①の様に、今後さらに三次元プリンターが普及し、「プリントアウト素材」としてカーボンや金属が使えるようになり、「3次元プリンターがより便利に有用に」なれば…単発銃ではなく連発銃、さらには拳銃ではなく短機関銃を、三次元プリンターで「プリントアウト」出来る日も、遠くはあるまい。これは「明るい未来」とは、断言しかねる事態だろう。

 だが、それは、三次元プリンターと言う新技術が、有用に有効になった結果であり、言わばコインの裏面である。而して先述の通り「夢の新技術」が「夢の新技術」であるが故に「悪夢」となりかねない、「両刃の剣性」を示している。

 無論、三次元プリンターによる「プリントアウト」結果が、銃器メーカー設計製造の銃に、精度、信頼性、安全性などで匹敵するほどになるのは、相当難しいだろう。だが、「ただ弾を発射する/連射する」程度ならば、そう難しい事は無い(※3)。

 かかる三次元プリント技術が発達普及した未来では、今課されているような銃規制、装弾数の制限だのフルオート射撃機能の削除などは、殆ど意味が無くなる。必要な部品を、三次元プリンターで製造できてしまうのだから。

 そんな未来に於いては、「銃規制推進派」は、「弾薬規制推進派」に衣替えしなければ、有意な規制は打ち出せないのではなかろうか。
 ああ、薬夾と発射薬と雷管があれば、弾丸(実包)作るのだって簡単だから、もっと根源的に、「雷管規制推進派」にでも、ならなければならないか。


<注釈>


(※1) それも、随分前のゴルゴ13だ。 

(※2) 世にある銃の仰々しくも大掛かりなメカニズムは、「弾を連射する」ためのモノだ。

(※3) 「安全性に対する難」は、原理的に解消しないかも知れないが。それでも「三次元プリンター専用設計」で、相当改善出来そうだ。