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此のダブルスタンダードの凄まじさ


 さて、如何だろうか。

 あらためて言うまでもないが、上掲①では東京新聞がその脱原発原理主義ぶりを大いに発揮して、

①1〉  福井県若狭湾岸の「原発銀座」を液化天然ガス(LNG)基地や発電所に置き換えようと先月、地元政財界が研究会を発足させた。

と、上掲①では「福井県のLNG基地と(火力)発電所による原発代替」研究を、殆ど「手放し」と言って良いぐらいに絶賛して見せている。「脱原発で原発を稼働停止すると電力が不足する恐れがある」ぐらいはさしもの脱原発原理主義者・東京新聞でも理解できる/認めざるを得ない、と言う事らしい。再三繰り返す通り、原発は制御可能な発電力であり、これを等価の発電容量で代替できるのは、火力と水力ぐらい。今を時めく「代替可能な自然エネルギー」たる風力では約5倍、太陽光では約7~8倍の発電容量が必要になる事は、「冷たい計算式」シリーズ(※1)で述べている処だ。なおかつそれだけの発電容量も、「原理的に発電量を制御できない」風力・太陽光発電である事から、大容量高効率の「未だコンセプトすら確立していない」畜電超技術と組み合わせて漸く「原発の代替」となる事も、「私の自然エネルギー推進論(※2)」に述べた処だ。

 太陽光だの風力だのと空念仏を唱えるよりは、上掲①社説で「液化天然ガス(LNG)基地と発電所」による「原発代替」を絶賛するのは、未だ理に適っている。理に適っているが…二酸化炭素排出量はどうするんだぁ?と言うのが上掲①東京新聞社説を読んだ際の私(Zero)の感想だ。何しろ先の民主党政権時代に「戦後最悪の首相」の座を管直人と争っている鳩山由紀夫( そのフルネームが最大級の悪罵と認定 )が「国際的パフォーマンス」として掲げた「二酸化炭素排出量25%削減」は「全発電力の半分を原発で賄う」計画に基づいていたのだから。左様なパフォーマンスは無視する事に決めたにしても、「原発を止めて火力発電所で発電」していては、「発電による二酸化炭素排出量」は増えるのが道理。減る気遣いは無い。
 無論、「全世界の二酸化炭素排出量を削減」するために何とかしなければならないのは、真っ先に「中国の二酸化炭素排出量」なのだが(※3)、我が国の二酸化炭素排出量への取り組みは、どうするのか、と思っていたら…上掲②社説で東京新聞は曰く。

②1〉   政府が石炭火力発電の推進を打ち出した。
②2〉 原発停止で急増する火力向けの燃料を割安な石炭に置き換え、電気料金値上げを抑える狙いだ。
②3〉 それには二酸化炭素(CO2)削減の技術革新が欠かせない。

と来たモンだ。
 上掲②1〉~②3〉で言っている事は、間違いでは無い。上掲②社説で東京新聞が唱える「二酸化炭素排出量抑制技術によって、石炭火力発電を安定電源に!」と言う主張は、「安定電源」の定義にもよろうが(※4)首肯できる点もある。

 問題は、如何に「革新的な二酸化炭素排出量抑制技術」を以ってしても、現状想像しうる限りでは、「原発を火力発電所で代替する」限り、「発電による二酸化炭素排出量は、増えざるを得ない」事である。即ち、見通せる未来に渡って火力発電所は二酸化炭素排出を免れそうにない、と言う極めて冷徹な事実である。

 将来的に、超技術を以って「火力発電所の排煙から二酸化炭素を完全除去する(※5)」事が出来れば、そんな超技術火力発電所を以って原子力発電所を代替しても「火力による二酸化炭素排出量は増えない」事が可能になる。

 それでも「増えない」までだ。「発電による二酸化炭素排出量を減らそう」としたら、その超技術火力発電所を以って、全原発の他に、既存の火力発電所も代替しなければならない。無論、そんな超技術火力発電所が実現・実用化した後で、だ。

 一体、何時の話をしているのやら…と思っていたら、今度は上掲③東京新聞社説である。今度は二酸化炭素排出量削減計画=地球温暖化対策を社説に取り上げて・・・

③1〉  原発を勘定に入れて、(二酸化炭素排出量)削減計画を立てようというのなら、間違いだ。
③2〉 原発事故の放射能汚染は身に染みているはずだ。
③3〉再生可能エネルギーへの移行こそ、温暖化対策の未来を開く王道である。

…なんとまあ、元の木阿弥と言うか、やっぱり脱原発原理主義が東京新聞の本質なんだと言うか、上掲①社説「原発をLNG基地と火力発電所で代替する研究」を絶賛した事なんざすっかり忘れ果てて、ついでに上記の通りの「再生可能エネルギーの問題点」も忘れ果てて(※6)上記③3〉「温暖化対策の未来を開く王道」と、堂々と抜かせるんだから、実に全く「原理主義」と言う奴ぁ人間を思考停止させる、知性と理性の敵だぁねぇ。

 ま、脱原発原理主義を掲げて思考停止に陥り、人類最大の武器にして利点である知性と理性を自ら放棄すると言うのは、東京新聞の勝手だ。私の知った事ではない(※7)。

 だが、社説として、「新聞社の主張」を以って紙面を飾る以上、上掲①社説と、上掲③社説の間の矛盾は、追求するぞ。


<注釈>

(※1) 冷たい計算式―千葉のメガソーラー第1号始動。  http://www.blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/37592041.html   

(※2) 私の「自然エネルギー推進論」  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/35778036.html  
(※3) 中国の暴走-COP15直前各国二酸化炭素排出数値目標の比較 見える化版-  http://blogs.yahoo.co.jp/tiger1tiger2stiger/30844339.html 

(※4) 発電量に関して言うならば、現状でも十分に石炭火力は「安定電源」である。 

(※5) って事は、ひょっとすると「煙突の無い火力発電所」が実現するかも知れない、位の超技術 

(※6) 無論、ハナッから理解して居なかった可能性は、大いに在りそうだが。 

(※7) その愚かさ、珍妙さは、恰好なネタなんで、記事にはするがね。