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 私は、米Appleと言う会社は、半島のサムスン程ではないがやはりあまり好きではない。かつてCEOであった故スティーブ・ジョッブス氏が伝説的なほどの成功者であり金持ちでもある事は確かなようだし、Apple社の製品は(サムスン製品と違って)独特の個性があり、何度も「一世を風靡する」程に売れてきた事実も認めるが、どうも「ブランドの上に胡坐をかいた」としか思われない価格設定であり、販売法であり、製品仕様であり、「売れていると言う事は知っている」と言うだけ。未だに私はApple社製品を一つとして買った事が無い。

 だが、まあ、「胡坐を掛けるぐらいのブランド」を築いたと言うのも事実であろうし、その「ブランド」の維持発展に努めているのも事実の様だ。

 以下に掲載するは、ロイターが報じるアメリカはアップル社の主要データセンターが「再生可能エネのみで稼働」と言う報道。仲々画期的な事の様にも思える/思わせる見出しだが、その後に掲載したWired Newsも読むと、どうもカラクリがありそうではある。

①【ロイター】訂正:米アップルの主要データセンター、再生可能エネのみで稼働
  
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPTYE92L02P20130322
2013年 03月 23日 01:59 JST

[サンフランシスコ 21日 ロイター] 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報,
レポート)のピーター・オッペンハイマー最高財務責任者(CFO)は21日、ノースカロライナ州メイデンにある国内最大のデータセンターについて、再生可能エネルギーのみで稼働する体制に入ったことを明らかにした。
主な電力源は太陽光発電と燃料電池。

発電量は1万7600世帯の年間使用量に相当する1億6700万キロワット時(訂正)。シリコンバレーの新興企業ブルーム・エナジーから調達した燃料電池設備や太陽光発電設備で発電している。

この種の自家発電施設としては国内最大という。

データセンターで利用する電力の60%を自家発電し、残りは外部からグリーン電力を調達する。

データセンターはインターネット・ストレージや同社の「iCloud」製品をサポートしている。

アップル、アマゾン(AMZN.O: 株価, 企業情報, レポート)、マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)など、データセンターを運営するハイテク企業に対しては、電力などの資源を大量に消費しているとの批判が出ている。

*21日付で配信した記事で英文の訂正により3段落目の「1億6700万キロワット」を「1億6700万キロワット時」に訂正します。


アップルのデータセンター「再生エネルギー100%」に
http://wired.jp/2013/03/25/apple-data-centers/
 アップルは、ノースカロライナ州メイデンのデータセンター等で「再生可能エネルギー100%」を達成したと発表した。世界全体でも、同社施設が使うエネルギーの75%が再生可能エネルギーになったという。
.TEXT BY ROBERT MCMILLAN
PHOTO BY GARRETT FISHER/WIRED
TRANSLATION BY RYO OGATA, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED NEWS (ENGLISH)

アップルは現在そのサイトで、世界全体の同社施設が使うエネルギーの75%が再生可能エネルギーになったと述べている。写真はメイデンにあるアップルのデータセンター。2012年撮影。

アップルは3月21日(米国時間)、カリフォルニア州のベイエリアとノースカロライナ州メイデンのデータセンターがグリーンエネルギー100%になったと発表した。ただし、実態はそれほど単純ではない。

アップルは、カリフォルニア州にあるデータセンターの電力については2カ月前から、卸売市場から購入する再生可能エネルギーだけでまかなっている。その大半は風力発電だ。しかしメイデンのデータセンターは事情が少し異なる。

アップルは、メイデンではエネルギーの一部分を購入するとともに、「再生可能エネルギークレジット(REC)」を購入することでカーボンオフセットを行っていると説明する。RECとは、風力発電や太陽光発電といったグリーン・エネルギーの事業者が販売しているものだ。RECを購入すると、実際に再生可能エネルギーそのものを購入するわけではないが、その発電を支援することになる。

こうしてアップルは、石炭と原子力による発電が中心である電力会社のDukeEnergy社から電気を購入していながらも、ウェブサイトにあるように「再生可能エネルギー100%を達成した」と主張できるわけだ。WIREDではアップルにこの点についての説明を求めたが、回答を得られなかった。

アップルのピーター・オッペンハイマー最高財務責任者(CFO)は21日
「Bloomberg」に対し、アップルがノースカロライナ州で消費している電力は「再生可能が100%で石炭は0%」であると説明している。

アップルはメイデンにおいて、自社によるグリーン発電を増大させる努力を行ってもいる。データセンターの近くに太陽光発電の巨大なアレイ2基を建設しており、また(バイオガスも利用する)10MWの巨大な燃料電池プラントを完成させた(日本語版記事)。

1基目の太陽光発電アレイはすでに稼働している(日本語版記事)。1基目の太陽光発電アレイの晴天時の最大発電容量は20MWだが、通常稼働時の平均はおそらく3分の1ほどになると見られている。2基目となる20MWのアレイは、アップルによると2013年末までに稼働する(アップルサイトに配置地図と画像がある。同サイトによると、現在のメイデンではフル稼働時に20MWが必要)。

アップルは床面積にして4万6,000平方メートルのデータセンターをメイデンに所有しているが、iCloudは成長を続けており、さらなるデータセンターの増設が予想されている。

アップルはオレゴン州プラインヴィルと、ネヴァダ州リノにも新しい施設を建設中だ。オレゴン州では、風力発電、太陽光発電、および「マイクロ水力発電」(灌漑用水路などで行われる水力発電)の業者から再生エネルギーを直接購入。リノでは太陽光と地熱を利用するという。

なお、環境NGO「Greenpeace」のアナリスト、ゲイリー・クックは、アップルとグーグルは再生エネルギーを成長させているが、アマゾンはそうした努力が見られないと指摘している。



※この翻訳は抄訳です。


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アップルの「イメージ」戦略を推定する


 さて、如何だろうか。


①1〉 発電量は1万7600世帯の年間使用量に相当する1億6700万キロワット時
①2〉シリコンバレーの新興企業ブルーム・エナジーから調達した燃料電池設備や太陽光発電設備で発電している。

①3〉 データセンターで利用する電力の60%を自家発電し、残りは外部からグリーン電力を調達する。

と、ロイターは報じているから、このApple社データセンターの年間消費電力は、

16700万 kwh  ÷ 60% = 27833万 kwh  …式(1)

と概算出来、大凡3億キロワット時となるようだ。

 この事からすると、米Apple社メイデン・データセンターの平均消費電力量は、

 27833万 kwh ÷( 365日×24h ) = 3177kw   …式(2)

となり、大凡3MW。その内「自家発電している60%」分は、年間平均1.9MWと言う事になる。

①4〉データセンターはインターネット・ストレージや同社の「iCloud」製品をサポートしている。

と言うから、どうデータセンターは多分24時間営業で、その電力消費量はアクセス数と従業員の活動時間に依りそうだが、一般家庭や普通の工場よりは変動は少ないんだろう。そうでなければ一日の発電量に大いに波がある太陽光発電と燃料電池の組み合わせで「消費電力の60%を自家発電」なんて、出来そうにない。

 否、それどころか、「冷たい計算式」シリーズや「冷たい推算式」シリーズで計算/推算した通り、「日本における太陽光発電の稼働率は1/7~1/8」である事を考えれば、「太陽光発電と燃料電池の組み合わせ」とは言い条、発電=自家発電電力供給の主体は燃料電池の方で、太陽光発電は「燃料電池の燃料消費を抑える効果」しかない、と推定できる。ノースカロライナ州メイデンの日照量が日本より格段に多ければ、稼働率は向上しそうではあるが、大差は無さそうだ。

 となれば、次なる疑問は、「燃料電池は再生可能な自然エネルギーか?」と言う事になる。少なくとも「燃料電池による発電=電力供給」と言うだけで「再生可能な自然エネルギー」と断じる事は出来ない。何故ならば、燃料電池は「原理的には水素と酸素を供給し、それらが水に変化する酸化作用(燃焼)によりエネルギー(電気)を取り出す仕掛け」であるが、現状実用化されている燃料電池プラントは「水素を作り出す」原料として、都市ガス、LPG、石炭などの化石燃料を使っているから、だ(※1)。確かに燃料電池から二酸化炭素は(原理的には)出ないから、「環境にやさしい」点では電気自動車より良かろうが、「化石燃料によって発電している」点で、火力発電と何ら変わる処は無い。

 つまりは、「再生可能エネルギーのみで稼働する体制に入った」と言うの米Apple社の発表は、「真っ赤なウソ」とは言わないが、「巧妙なイメージ戦略」とは言えそうだ。

 そんな「巧妙な米Apple社の印象」は、上掲記事②で殆ど確信にまで昇華する。

②1〉   アップルは、メイデンではエネルギーの一部分を購入するとともに、②2〉 「再生可能エネルギークレジット(REC)」を購入することでカーボンオフセットを行っていると説明する。
②3〉 RECとは、風力発電や太陽光発電といったグリーン・エネルギーの事業者が販売しているものだ。RECを購入すると、実際に再生可能エネルギーそのものを購入するわけではないが、その発電を支援することになる。

 つまり、「太陽光と燃料電池でクリーンな自家発電」の6割以外の、外部から購入するグリーン電力」4割と言うのは、「グリーン電力と言う看板を金で買っている」と言うだけの様だ。

【追記】

16700万 kwh ÷ 17600 世帯 = 9488.6kWh/世帯 …式(3)

 米国の一般家庭は、日本の一般家庭の3倍ぐらい電気を喰うらしい。



<注釈>