応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/

 偏見や虚飾を一切取り払って可能な限り公平な目で見れば、米軍用輸送機オスプレイは「ヘリコプターの垂直離着陸性能と、固定翼機の巡航性能を併せ持つ夢の軍用輸送機」である。その「夢」は殆どヘリコプターが実用化して以来構想としてはあったものの構想でしかなかった「チルトローター機」の実用化と言う形で具現化され、米軍制式兵器となって以来すでに5年。アフガニスタンで実戦にも投入されたCombat Proven(実戦で実証済み)な機体に成長している。

 チルトローター機が長い事「構想に止まった」主な理由は、特異な形式に起因する機構の複雑さと操縦の難しさもだろう。実際オスプレイ開発は長期間を要し、開発段階で何度も事故を起こしている。
 だが、「未亡人製造機」と仇名されながらも、オスプレイは「世界初の実用チルトローター機」と言う栄誉は既に手に入れいる。さらに言えば、量産開始以来の海兵隊型オスプレイの重大事故率は「10万飛行時間当たり約2件」と言う立派なものであり、オスプレイは危険だ!」と主張するためには、この数字が「虚偽である」或いは「(少なくとも)今後大幅に上昇する可能性がある」と示さなければならないそれが定量的評価と言うものだが、沖縄二紙をはじめとする日本のマスコミは、「10万飛行時間当たり約2件の重大事故率」には殆ど指さえ触れず、やれ専門家の中に、危険だと言う人が居る(※1)だの重大事故率は低いが、軽微事故率は高い(※2)だの事故が後を絶たない(※3)」だのとしょうも無い屁理屈をこねる事しかしていない。

 だが、特に海兵隊型の飛行実績は、先述の通りであり、それ故に森本防衛相(当時)だろうが、米国のVIPだろうが、日本のマスコミだろうが、搭乗させて飛行している。事実、さる3/20にも報道関係者相手のオスプレイ体験搭乗会を開催したそうだ。

 以下に掲載するは、そのオスプレイ体験搭乗会に「参加」した(※4)沖縄二紙の報道。まずは御一読を。

<注釈>

(※1) その「専門家」の中に、一定数大馬鹿野郎が居る事は、当ブログでも記事にした処。  

(※2) 「軽微事故率が低ければ、重大事故率が高くても”安全”と言うのか?」と言う突込みも、記事にしたな。 

(※3) 大凡空を飛ぶ飛行機で「事故で墜落しない飛行機」なんてものは無い。 

(※4) 「参加」と鍵括弧が付くのは、後述の通り「体験搭乗会」には「参加した」モノの、「体験搭乗」はしなかった新聞社があったから。 



①【琉球新報】モード変換時、重心前方に ルポ・オスプレイ搭乗
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-204312-storytopic-1.html
社会 2013年3月22日 10時00分

 オスプレイの体験搭乗の出発約30分前、側面に「03」と記された灰色の機体から突然、低いごう音が鳴り響いた。飛行前のエンジン調整音だったが、駐機場に隣接する格納庫でオスプレイを説明していた米軍側担当者の声はかき消され、すぐ近くにいた報道関係者の声すら聞こえないほど。同時に機体のランプが点滅し始めた。
ヘッドホンが付いたヘルメットを装着し、約5キロある安全器具を着けて機体へ向かうと、回転し始めたローターからの熱が広がり(※1)、地面から熱風が確かに伝わる。機体後方の開いたハッチから入ると、天井や壁のケーブルや配管はむき出しになったままだった(※2)。18人の報道陣は向かい合った席に座り、出発を待った。
午後1時15分すぎ、後方ハッチが開いたまま、固定翼モードに近い形でオスプレイは飛び立った。一気に加速して高度を上げた後、ハッチは一度閉じられ、真っ暗な機体内では「ゴーッ」と風を切る音と機体の音が混ざり、機体から伝わる振動が座席から体に響く。ヘッドホンを外すと音が脳の奥まで響いた(※3)。
閉じていたハッチが開くと、市街地の上空を飛んでいることが確認でき、普天間飛行場をローアプローチ飛行で通過する際にはかなり低い高度で飛んでいるように見えた(※4)。飛行して約15分後、固定翼モードに変換する際に「キーン」という高い音が聞こえ、同時に重心が前方に傾くのを感じた(※5)。その後、オスプレイは約15分間飛行し、普天間飛行場に着陸した。着陸時、機体が左右に若干揺れた。操縦したパイロットは安全性を強調したが、モード変換時の重心の傾きや着陸時の揺れを体感し、オスプレイの危険性への疑念が解消するには程遠かった(※6)。(池田哲平)


<注釈>

(※1) 「熱」と言うのだから、熱いのだろうが、火傷にすらなっておらず、燃えても居ないのだろう。 

(※2) Any trouble Boy?オスプレイは、軍用輸送機であって、旅客機じゃないぞ。 

(※3) ソリャ、オスプレイならぬヘリコプターでも、飛行中にヘルメットを外せば、同じ事ではないのか。 

(※4) 「ローアプローチ飛行」で「高度が低い」のは、当然であろう。

(※5) 意味不明 

(※6) 御前さん、怪我一つなく生還してるんじゃないのかね。 



オスプレイ、米海兵隊との認識に差
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-22_46854

 【宜野湾】在沖米海兵隊は20日、報道機関を対象にオスプレイの試乗会を開いた。事前の説明会で、報道部長のデービット・グリーズマー中佐は、同機の運用ルールを定めた日米合同委員会の合意について、「普天間飛行場は人口密集地に囲まれており、海に出るためにはその上空を飛ばないというのは不可能」と説明した。

その上で、「(オスプレイは離陸後)できるだけ速く、高く飛び、人口密集地上空の飛行を最小限にしている」と述べ、合意に従っているとの立場を強調した。昨年10月1日~11月30日の県と市町村のオスプレイ飛行実態調査では、517件のうち318件(61・5%)を合意違反と指摘。そのうち「学校や病院を含む人口密集地上空での飛行」を315件としており、米海兵隊との認識の違いが浮き彫りになった。

運用ルールについて、操縦士の一人は「日米合意の内容は、全操縦士が目を通している」と語り、学校や病院の位置を地図上で確認し、上空の飛行を避けていると答えた。高校入試など地元から自粛の要望があった場合も操縦士に伝えられ、その時間、場所での飛行を避けているという。

日本の報道機関を対象とした試乗会は、オスプレイの米軍普天間飛行場配備後では初めてで、12社18人が搭乗。沖縄タイムスは「飛行場周辺や飛行地域の住民が不安を抱え、騒音や低周波音に悩まされている状況を考えると到底乗ることはできない」と判断し、説明会に出席したものの、記者の搭乗は拒否した。


.

米軍は重力制御技術を有しているとでも言うのかね


 さて如何だろうか。


 ごく単純に言えば、沖縄二紙の内、琉球新報はオスプレイに体験搭乗した(らしい)が、沖縄タイムスは「記者の搭乗は拒否した」そうである。その体験搭乗拒否の理由は、

②1〉 「飛行場周辺や飛行地域の住民が不安を抱え、騒音や低周波音に悩まされている状況を考えると到底乗ることはできない」と判断

なんだそうだが、沖縄タイムス記者が搭乗拒否したところで、先述の通り琉球新報記者はじめ「12社18人が搭乗」してオスプレイの体験搭乗飛行は実施されたのだから、斯様な「体験搭乗拒否」は、自己満足ないしパフォーマンスとしての意義しか無かろう。そもそも、「報道機関を対象とするオスプレイ体験搭乗会」に参加しながら「体験搭乗しない」のでは、取材の意義・意味は半減しそうだが、沖縄タイムスとしては自己満足ないしパフォーマンスを優先したのだろう。

 一方、しっかり「体験搭乗」まで果たした琉球新報はと言うと、取材と言う点では「体験搭乗した」だけマシなように思えるが・・・

①1〉 固定翼モードに変換する際に「キーン」という高い音が聞こえ、同時に重心が前方に傾くのを感じた。

①2〉 着陸時、機体が左右に若干揺れた。
①3〉 操縦したパイロットは安全性を強調したが、モード変換時の重心の傾きや着陸時の揺れを体感し、
①4〉 オスプレイの危険性への疑念が解消するには程遠かった。

と、自ら体感した「モード変換時の重心の傾き」「着陸時の揺れ」を根拠に上記①4〉「オスプレイの危険性への疑念が解消するには程遠かった。」そうだ。

 取り敢えず、飛行中に開いた扉から何かを投げ落とすなんて暴挙には出なかったらしいのは、重畳至極と言うべきだろう。無論、別のところで「オスプレイ、またも落下物!」なんてでっち上げていなければ、であるが。
 さはさりながら、散々「オスプレイの危険性」を言い立てて、県民大会決議だの建白書だのの「オスプレイは危険だから沖縄配備だけ反対」なんて非人道的なまでに利己的な主張を恥ずかしげもなく主張し、「県民の総意」だのと絶賛までして恥じる処の無い琉球新報記者が問題のオスプレイに体験搭乗したんだ。「危険そうなもの」は何かないかと鵜の目鷹の目だったことは、先ず間違いない回転し始めたローターからの熱」「剥き出しの配管やケーブル」「ハッチを閉じると真っ暗な機内といった表現に、その「努力の跡」が伺える。

 だが、逆に言うと左様な努力を重ねて、上記①3〉「モード変換時の重心の傾き」と「着陸時の揺れ」でしかなかった、と言う事。それも後者についてはご丁寧に上記①2〉「左右に若干揺れた」だけ。

 前者「モード変換時の重心の傾き」に至っては、章題にもした通り、物理的に意味不明だ。上記①1〉の通り、「固定翼モードに変換時」の事であり、チルトローターがウイングとエンジンナセルごと前方に倒れるから、「オスプレイの機体重心が前方に移動する」のは事実だろう。だが、「機体の重心移動を、乗っている人間が感じる」ことはありそうにないし、況や「前方に傾く」なんて感じ方をするとは到底思えない。
 私の想像力の及ぶ限りでの解釈は、上記①1〉 「重心が前方に傾く」と言う表現が物理的に間違っており、「固定翼モードに変換する際に、機体が頭下げ姿勢を取った事」を文学的(※1)に表現した「比喩」ではないか、と言う事。そうならばこの現象は、それこそヘリコプターの前進飛行時には不可避な現象である。とてもじゃないが、危険だの墜落だのに「結びつく」現象じゃない。

 まあ、そこは琉球新報記者様だ。オスプレイがUFOか何かの様に「音もなく、姿勢も水平を保ったまま、垂直離陸―水平巡航―垂直着陸」して見せでもしない限り、「音がうるさい!揺れた!!傾いた!!!危険だぁぁぁぁぁ!!!!!」と騒ぐことは、賭けても良いぐらいだが。

 さて、こうなって見ると、オスプレイ体験搭乗を拒否した沖縄タイムスと、体験搭乗してしょうも無い記事を書いた琉球新報(※2)と、何れをマシとすべきか迷うな。

 どちらも、せいぜいが「マシ」であって、「良し」とするには、それこそ「程遠い」がね。

<注釈>

(※1) 即ち非物理的に 

(※2) 別に沖縄タイムスの肩を持つ訳ではないが…それでも、米海兵隊側の主張を伝えただけ、マシかも知れない。