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中国人民解放海軍フリゲイトによる我が海上自衛隊護衛艦並びに航空機に対する射撃管制レーダー照射事件は、「盧溝橋の一発」にも比肩しうるほどの挑発行為(※1)であるが、一寸前にその続報が届いていた。
<注釈>
(※1)ソリャ「盧溝橋の一発」は、恐らくは実弾射撃で、「射撃管制レーダー照射」は「照準を付けた」だけではあるが、前者とて何らかの実害は報告されていない以上、「威嚇射撃」と見る事ができる。ならば、「照準を付けた」と明示した「射撃管制レーダー照射」と大差はない。「サラエボの一発=7月の銃声」とは、違うのである。即ち、「中国人民解放海軍フリゲイトによる射撃管制レーダー照射」は、「第1次大戦を引き起こす」程のインパクトはなかろうが、「下手すれば、日中戦争を引き起こす」公算はあった、と考えるべきだ。
転載開始=========================================
.①中国軍、レーダー照射認める「艦長の判断だった」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130318/chn13031807570004-n1.htm
2013.3.18 07:56 [日中関係]
中国海軍のフリゲート艦が1月に海上自衛隊の護衛艦にレーダー照射した問題
で、中国軍の将官級など複数の高級幹部は17日までに、共同通信の取材に対
し、攻撃用の射撃管制レーダーを照射したことを認めた。その上で「艦長の緊急判
断だった」と述べ、計画的な作戦との見方を否定、偶発的な事案と強調した。
幹部の発言について、防衛省には「心理戦」だとする分析と、軟化の兆候とみる2つの見方がある。
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②射撃レーダー照射、改めて否定=日本の一部報道で中国国防省
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130318-00000088-jij-cn
時事通信 3月18日(月)14時43分配信
【北京時事】中国国防省報道事務局は18日、中国海軍艦艇による海上自衛隊護衛艦へのレーダー照射問題で、中国軍幹部が射撃管制用レーダー照射を認めたとする日本の一部メディアの報道について「事実に合致しない」と改めて否定する談話を発表した。
同局は「日本側がマスコミを使って大げさに宣伝し、中国軍の面目をつぶして、国際社会を誤解させるのは、下心があってのことだ」と非難。「日本側は深く反省し、無責任な言論の発表をやめ、実際の行動で両国関係の大局を守るべきだ」と求めた。
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共産党一党独裁体制の綻び、と期待したくなるな
さて如何、だろうか。
短い記事二本が報じるは、当該「中国人民解放海軍による我が海上自衛隊への射撃管制レーダー照射」についての相反する報道だ。
①1〉 中国軍の将官級など複数の高級幹部は(中略)攻撃用の射撃管制レーダーを照射したことを認めた。
①2〉 その上で「艦長の緊急判断だった」と述べ、計画的な作戦との見方を否定、偶発的な事案と強調した。
②1〉 中国国防省報道事務局は(中略)中国軍幹部が射撃管制用レーダー照射を認めたとする日本の一部メディアの報道について
②2〉「事実に合致しない」と改めて否定する談話を発表した。
報道は上掲①、②共に3/18付で、事象の発生は上掲①が「17日までに」、上掲②が「18日」として居るし、そもそも上掲②が報じるのは、上掲①産経はじめとする「日本の一部メディア報道」を受けての「談話」だ。尤もこの「談話」、「中国国防省報道事務局の談話」ってところが多分味噌で、これが本件を日本側が公表した直後は「知らぬ存ぜぬ」としか言えなかった中国外務省(※1)の「談話」だったら、説得力は無かったろう。「複数の高級幹部」にも相応に責任を有する「中国国防省報道事務局」の「談話」だから、まだマシな「説得力」を持つ。
さはさりながら、
②3〉 「日本側がマスコミを使って大げさに宣伝し、
②4〉 中国軍の面目をつぶして、国際社会を誤解させるのは、下心があってのことだ」
等と言う同局のコメントは、正しく人民解放軍と中国共産党が連綿と続けている「宣伝戦」「世論戦」そのも。そっくり其の儘返上したいぐらいだ。
それ即ち、上掲記事②に報じられた「談話」もまた、「中国共産党政権が仕掛けた宣伝戦の一環」と考えるべきであろう。無論、「中国国防省報道事務」の任務の一つは「宣伝戦」「世論戦」に在るのだから、それも当然ではある。
ああ、「日本のマスコミ」が決して誉められたものじゃない。どころか、大いに糾弾すべき点が有る事は、「社説を斬る」シリーズ他の記事で当ブログも数多取り上げている処だ。だが、「日本政府の下心に沿って、日本政府の利益になるような虚偽報道・捏造報道をする」なんて事は滅多に無い(※2)。報道機関は「党の口舌=中国共産党の宣伝機関」とする支那とは異なる。
従って、「中国人民解放海軍軍艦による海上自衛隊艦艇に対する射撃管制レーダーの照射」と言う報道の真偽について言えば、これを疑う理由は、殆ど無い。
仮にこの報道が虚偽であり、中国政府の言う通り「日本政府が、『中国人民解放海軍艦艇による海上自衛隊艦艇に対する射撃管制レーダーの照射』と言う虚偽を報じている。」のならば、その「下心」は、「中国軍の面目を潰す」ぐらいでは済まない。
「日本政府は、日中開戦を企んでいる。」と言う事だ。
理由は先述もし、先行記事でも述べたとおりだ。「射撃管制レーダー照射」は、交戦規定によってはそのまま即時反撃が許される非常事態。左様な非常事態が「あった」と「捏造する」と言う事は、「開戦の口実をでっち上げている」事に他ならない。「”盧溝橋の一発”に比肩し得る挑発行為」と先述したのはその為であり、「左様な挑発を捏造する」事は「開戦を企んでいる」と断ぜられて然る可きだ。
誠に由々しき事態である。とんでもない事態である。が…中国外務省も、中国国防相報道局事務局も、「日本政府は、日中開戦/再戦を企んでいる!」とは、非難していない。今の処は、だが。
この事実から二つの事が判ろう。
一つには、中国共産党政権は、今は未だ、日中開戦/再戦は望んでいない、と言う事。
もう一つは、「中国人民解放海軍軍艦による海上自衛隊艦艇に対する射撃管制レーダーの照射」は、やはり事実であろう、と言う事。
さてその上で、上掲記事①「複数の中国人民解放軍高級幹部が射撃管制レーダーを照射したことを認めた」と言う報道の意味・意義を考えれば、以下のCaseが考えられよう。
【Case1】 中国人民解放軍の機密が漏洩し、真実が伝わって来た。
【Case2】 「日本のマスコミ」が虚偽の報道をした。
【Case3】 「射撃管制レーダー照射は現場の”勝手な判断”だった」として、事態の幕引きを狙った。
上記【Case1】が「最も素直な解釈」だろう。「人の口には戸は立てられない」なんて諺もあれば、「上手の手から水が漏れ」とも言う。素直なだけに在りそうではあるが、素直なだけにつまらないCaseでもある。
上記【Case2】もありそうな話、ではある。念の為に補足するならば、此処で言う「虚報」は「人民解放軍幹部が射撃管制レーダー照射を認めた」と言う報道の虚偽であり、前述の通り「人民解放軍が射撃管制レーダーを照射した」のは事実と言うのが前提である。
人民解放軍や中国共産党にとっては、この【Case2】が一番都合宜しかろう。悪いのは「虚報を為した日本マスコミ」であり、軍も、党も、誰も責任を取らされないで済む。この虚報を言い立てれば、「人民解放軍が射撃管制レーダーを照射した」事実を薄める事も出来そうだ。
だが、「日本のマスコミ」のは、僅かばかりではあるが自浄作用があるから、この虚報が「虚報である」と判明すれば、「謝罪報道」する可能性が(一応)ある。従って、本件に関する日本マスコミの報道を監視して居れば、この【Cse2】と判明する可能性はある。
上記【Case3】は、本記事題と及び章題の所以でもあり、それ故に「私(Zero)推奨の解釈」ではあるが、小商社に構えた見方だ。即ち、中国共産党なり、人民解放軍上層部なりが、「射撃管制レーダー照射は現場の勝手な判断」として事態の幕引きを図る。早い話が「トカゲのしっぽ切りを狙った」のではなかろうか、と言う解釈である。尖閣諸島沖中国「漁船」体当たり攻撃事件の際に民主党が使った手だ。
①3〉「艦長の緊急判断だった」と述べ、計画的な作戦との見方を否定、偶発的な事案と強調した。
と言う上掲記事①の記述も、かかる解釈を示唆している。
無論、その「トカゲのしっぽ切り( ≒艦長更迭? )」は、上掲記事②で否定され、しっぽは切られそうにないのである。だが、それは、「当初『現場の勝手な判断』として、現場に全責任を押し付けようとしたが、それが出来なかった」、即ち中国共産党は日本民主党にすらなり損なった、のではないかと言う解釈である。「切ろうとしたしっぽに反抗され、切れなくなってしまった」と言う状態。理由として真っ先に思い浮かぶのは、中国共産党の威信低下であり、人民解放軍の発言力・影響力増大である。
この【Case3】が「危険な想定」である事は認めなければならない。人民解放軍が影響力を増し、中国共産党を振り回すと言うのは、ある意味「軍の暴走」である。 だが、それは同時に、人民解放軍に対してさえ中国共産党の影響力が低下していると言う事も意味する。「軍に対する影響力低下」は中国共産党のような一党独裁政権且つ最早「人民/国民の一定の支持」を失った政権にとっては、非常にCriticalな問題だ。
即ち、【Case3】の意味する処は、「中国共産党一党独裁政権の黄昏」である。
ソリャ、素直に安楽死なんざぁしてくれそうにないどころか、大いに悪あがきしそうな中国共産党一党独裁体制であるから、十分な警戒と覚悟が必要ではあるが、【Case3】は我が国にとっての朗報。而して、中国共産党にとっての弔鐘であろう
<注釈>
(※2) 逆に「日本政府の不利益になり、外国政府の利益になる虚偽報道・捏造報道」は結構ある。その際「利益を受ける外国」の筆頭は、どう見たって中国だ。