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冒頭にあたって、今まで何度か書いてきた(※1)事を、重複覚悟で書くとしよう。一つには、私が福島原発事故を経てなお原発推進論者であると言う事だ。その理由は再三繰り返す通り、
① エネルギー政策の目的は、見通せる将来に渡って「電力の安定供給」である。電力を電力需要にあわせた必要充分な電力量を停電させずに安価に安定した電圧で給電する事である。
② 現時点においては大容量の電力を蓄電する技術はない。精々が揚水式水力発電の上の方のダムに水として蓄える程度である。また、将来的に大容量蓄電技術が確立普及したとしても、蓄電して取り出す電力には必ず損失が付きまとう。
③ 大容量蓄電技術が普及するまで、電力は、必要量に応じて発電し送電しなければならない。
④ 必要に応じて発電できる、制御可能な発電力は、火力、原子力、大分落ちて水力である。
⑤ 「再生可能な自然エネルギー」太陽光、風力、地熱、潮汐力などは、「態と発電しない」ことしか出来ず、原理的に制御不可能な発電力である。これは、発電コストが如何に安くなろうと変わりようが無い。
⑥ 従って、大容量の蓄電技術が普及するまで、「再生可能な自然エネルギー」は発電の主役たり得ない。
⑦ 少なくとも大容量の蓄電技術が普及するまで、発電の主役は、火力、原子力、大分落ちて水力である。これに付け加えられるとすれば、バイオマス火力発電ぐらいである。この中で原子力は、制御のレスポンスが鈍い恨みはあるモノの、比較的狭い敷地で大きな発電量を二酸化炭素排出なしで発電できる利点を持つ。また発電コストとしても、「福島原発事故に対する補償や対策を加味して漸く火力に巻けるかも知れない」程度であり、推力に対しては依然優位である。
⑧ 従って、火力と原子力は共に不可欠な発電方であり、水力以外の「再生可能な自然エネルギー」の発電量は、全体の1割程度とすべきであろう。尚且つ我が国では、水力発電の開発が進んでおり、水力発電の劇的増加は望めない。
⑨ 以上から当然ながら、我が国に原発は不可欠である。我が国の現時点での脱原発なぞ、愚挙にして暴挙である。
⑩ ドイツやベルギーがお気楽に「脱原発」を実施できるのは、電力が足りなければフランスの原発から電力を輸入できるからである。これら西欧諸国の「脱原発」は、「ナンチャッテ脱原発」と呼ばれるべきであろう。
もう一つは、私は「新聞の存在意義は、社説と特集・連載記事である」と考えている(こちらの理由は後ほど詳述)事。
左様考える私に斯様な「毎日新聞特集ワイド」を読まされては、受けて立つのが当然だろう。
<注釈>
(※1) そう言えば、「お前のブログ記事は自己矛盾が多く、スタンスが一定しない」と言うコメントを頂いていたな。その人に言わせれば、原発に対する私の記事も、やはり「自己矛盾が多く、スタンスが一定してない」のだろうか。私は真剣に知りたいんだが、お返事が無いのでそれも叶わんなぁ。
転載開始=========================================
【毎日特集ワイド】:「原発ゼロ戦略」を全否定した首相 ところが具体策なし、無責任はどっちだ
http://mainichi.jp/feature/news/20130221dde012010002000c.html
毎日新聞 2013年02月21日 東京夕刊 ( <>はZeroが付けたパラグラフ番号)
<1>
2030年代の原発稼働ゼロを目指す民主党政権の原発ゼロ戦略を「無責任」「根拠がない」と安倍晋三首相はこき下ろした。だが、本当にそうなのか。多くの国民が求めた脱原発への道のりを具現したものには違いない。安倍首相は「ゼロベースで見直す」と強硬だが具体策は示さず、なし崩しの原発復権への懸念が広がっている。【戸田栄】
「『30年代の稼働ゼロを可能とするよう政策資源を投入する』というのが『革新的エネルギー・環境戦略』、つまり原発ゼロ戦略です。安倍首相は原発依存度は減らしていくが、今夏に原子力規制委員会が定める新安全基準の下で当面の再稼働は図るとしている。実はこの点ではゼロ戦略と同じ考えなのです。両者の大きな違いは『30年代』『ゼロ』という数値目標を掲げるかどうかにあると言えるでしょう」
民主党政権下の内閣官房国家戦略室で企画調整官として原発ゼロ戦略の立案に携わった伊原智人さん(44)が指摘する。何が違うのか。
「原発の代替エネルギー開発や省エネの促進には期限や明確な目標を設定した方が有効なのです。国や公的資金からの拠出額は知れており、それだけで大変革を起こすのは難しい。携帯電話の急速な普及を思い出してください。民間の投資があってのことです。転換がいつを目指すかさえ分からないなら、積極的投資は望めません」
つまり「30年代にゼロ」と掲げること自体を戦略実現の「根拠」としているのだ。数値目標が狙いの達成に重要なことは、安倍首相こそが“熟知”しているだろう。出だし好調の経済政策・アベノミクスの試金石としてこだわったのは、デフレ克服のための物価目標(インフレターゲット)を「2%」に設定することだった。ところが、同じ数値目標を掲げる原発ゼロ戦略は「根拠なし」と切り捨てようというのだ。
■
<2>
原点から見てみよう。民主党が数値目標を掲げてまで「原発ゼロ」を志向せざるを得なかったのはなぜか。翻って安倍首相が背を向けるものは何なのか。
「戦略を立てた原点は、言うまでもなく福島第1原発事故です。反省に基づいた原発政策の見直しの中で避けて通れなかったものの一つが、原子力発電から生じる使用済み核燃料をどうするかという問題です。私は特にこの問題が重要だと考えています」
そう語る伊原さんは、現状の使用済み核燃料の取り扱い方法を(1)核燃料サイクル計画で再処理する(2)地中に埋設処分する(3)数十年程度、格納容器などに暫定保管し再度(1)?(3)の方法を検討する??の3種類に大別する。だが、再処理も地中処分も実現にほど遠く、暫定保管はその場しのぎに過ぎない。「ですから後世に負の遺産を残すという事態を避けるには、今のところ使用済み核燃料をできるだけ出さないようにするしかありません。つまり、原発ゼロに向けて最大限の努力をするほかないのです」
伊原さんはもともと通産省(現経済産業省)の官僚だったが、電力行政に携わった後、民間企業へ転職。民主党政権発足後に国家戦略室で官僚に復帰したという経歴の持ち主だ。政権交代後の先月、再び霞が関を去り、新たに民間企業で再生可能エネルギーの普及を目指すという。
安倍首相は使用済み核燃料の後始末をどうするつもりなのか。展望がないなら「無責任」という批判は自らにはね返ってくる。
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<3>
民主党政権の原発ゼロ戦略は(1)運転開始後、40年で廃炉にする(2)再稼働は原子力規制委員会が安全確認をしたものに限る(3)新増設は認めない??を3原則としている。これによって順に廃炉となり、増えもしないから原発はゼロになっていくシナリオだ。安倍首相は全面的に見直すと言うが、「簡単にできることではありません」と疑問を呈するのは、脱原発の方向へ民主党をリードしてきた荒井聡・元国家戦略担当相だ。40年廃炉には20年の延長措置が1度認められる例外があるものの、再稼働の認可とともに原子力規制委が審査・決定する。
「規制委は世界一厳しい安全基準を作り、審査すると明言している。原発の活断層調査に見る通り、確かに厳しい姿勢を貫いている。そもそも規制委の独立性は自民党がこだわったこと。政治が口を挟む余地はありません」
とすれば、新増設の動向に注目すべきか。安倍首相には新設に含みを持たせた発言もある。だが、「どれほど世論の反発を招くか。本当にできるとは思いません」と荒井さん。かといって政治の力は侮れないだろう。物価目標設定の要求は日銀の独立性に対する介入との批判を受けたが、安倍首相は押し切った。
「安倍首相の根本には経済的メリットの追求を優先する考えがあるのでしょう。しかし、国民の安全に勝るものはない。であれば、福島の事故を経て原発のない社会を目指さないのはウソですよ。政治がその障害になってはいけません」。荒井さんはそう批判し、議論の出発点となる具体的な対案を早急に示すよう求める。安倍首相や自民党も福島第1原発事故以来、原発政策の新たなあり方を考えてきたはずだ。
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<4>
「原発ゼロ戦略は脱原発に傾き過ぎている」と安倍首相が考えているのは言外に明らかだが、実は国民の多くは原発ゼロ戦略の目標設定にさえ「まやかしだ」と納得しなかったのだ。昨夏、政府は2030年のエネルギーに占める原発比率について国民の意見を聞くパブリックコメントを行った。集まった約8万9000件のうち「ゼロ」を求める声は87%に達した。最終的に原発ゼロ戦略が目標時期を30年代とした際、「30年が30年代とは」と怒りが渦巻いた。
市民団体ネットワーク「eシフト(脱原発・新しいエネルギー政策を実現する会)」の吉田明子さんは「原発を動かせば必ず事故のリスクがあり、パブコメでは即時廃止を求める声が一番多かった。かろうじて30年代にゼロとなったのに、安倍首相はそれさえ否定する。民意を無視しています」と憤る。同会は20日から改めて原発ゼロを求める「原発ゼロノミクスキャンペーン」(http://zeronomics.wordpress.com/)を始めた。3月9日には東京・明治公園で「つながろうフクシマ!さようなら原発大集会」が開かれるなど、3月にかけて全国各地で60件以上の脱原発集会が相次ぐ。安倍政権の原発政策への批判が本格化する様相を見せている。
安倍首相はアベノミクスによる人気を盾に、国民の目をそらし続けることはできないだろう。
■原発政策を巡る安倍首相語録■
当面の電力需要にどう対応していくか。国民も不安だろうと思う。だから簡単に脱原発とか、卒原発と言葉遊びに近い形で言ってのける人たちは信用されなかった。原発依存度は低下させていくのが党の基本方針だが、代替エネルギーを今の段階で手に入れていない。3年間に代替エネルギーにイノベーションを起こすべく国家支援を投入する。その上に10年間でベストミックスを考える。 新たに造っていく原発は、事故を起こした福島第1原発の古いものとは全然違う。国民的な理解を得ながら、新規に造っていくことになると思う。(昨年12月30日に出演したテレビ番組で)
前政権が掲げた「2030年代に原発稼働ゼロ」の方針は具体的根拠を伴わず、ゼロベースで見直す。(1月30日、国会答弁で)
エネルギーの安定供給、エネルギーコスト軽減の観点を含め、責任あるエネルギー政策を構築していく。国民の生活に責任を持つ立場として、根拠なく夢を語ることはできない。(2月1日、国会答弁で)
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