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以下に列挙するは、米国に対する「中国人民解放軍が関与していると疑われる」サイバー攻撃に関する一連の報道である。先行記事「小説『新・次の一戦―21世紀の日中戦争(※1)』では、「破壊力・実害のあるサイバー攻撃」を以って「中国人民解放軍の対日第一撃」としたが、さらにその前哨戦としての「偵察・情報収集としてのサイバー攻撃」と言うのは現実に始まっていると考えるべきだろう。
無論、この「サイバー前哨戦」が必ずしも武力侵攻に直結するものではないが、未だ新たな戦場であるサイバー戦に於いては戦時と平時の区別すら曖昧である事を想起すべきである。
Parabellum! 戦いに備えよ。
<注釈>
転載開始=========================================
① 米首都「ほぼ全ての組織」 中国がハッカー攻撃と米紙報道
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130221/amr13022118340007-n1.htm
2013.2.21 18:34 [ネット犯罪]
米紙ワシントン・ポストは21日、複数のサイバーセキュリティー専門家の話を総合し、シンクタンクや報道機関、各国大使館など首都ワシントンにある「ほぼ全ての組織」が中国からのハッカー攻撃を受けていると報じた。
同紙は、戦略国際問題研究所(CSIS)やアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)、連邦政府機関や弁護士事務所、人権団体、議員事務所も攻撃されたと伝えた。専門家は、中国からのハッカー攻撃が最も激しく広範囲に及んでいると指摘。情報を盗む目的のほか、情報の流れを追って「ワシントンがどう機能しているのか把握する」意図もあると分析。ロジャース米下院情報特別委員長は「中国政府の直接的な役割が拡大し、問題が急激に大きくなっている」と批判し、中国政府にくぎを刺すようオバマ政権に求めた。(共同)
②【WSJ社説】中国によるサイバー攻撃―世界経済に重大な影響
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323364604578317223834870346.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond
中国軍主導のハッキング・グループが入居しているとされる建物(上海)
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のほか、中国政府にハッキングされた企業から依頼を受けた米ネットワーク・セキュリティー会社のマンディアントは、中国人民解放軍が過去7年間に115の米国企業にハッキング行為を行ってきたことを示す有力な証拠を発表した。膨大な量のデータと機密情報が盗まれたのだ。その報告書はデジタル痕跡から、上海の大同路に面した人民解放軍の一組織である「ユニット61398」の本部が置かれているある建物まで特定している。
中国政府の報道官たちはハッキング攻撃に関して一切の関与を否定し続けており、中国もそうした攻撃の被害国だと主張している。攻撃の規模と巧妙さからして、そうした反論は前々から信じ難かった。決定的な証拠が浮上した今、問題はこうした活発化している攻撃に自由主義諸国がどう対処すべきかである。
各国の政府はこれまでも互いにスパイ行為をし合い、商業的価値がある秘密の入手を画策してきた。だとすると、中国の行為はそれとどう違うのだろうか。愚かにも適切にデータを保護することを怠っていたのなら、中国の競合他社に知的財産を盗まれているという西側諸国の企業の言い分も通用しない。
だが、スターリンが言ったとされている言葉通り、「量も質のうちな」のだ。一国が政治的、経済的に幅広く国益を高めることを目的として民間企業からデータを盗むのにこれほど膨大な資源を投じるなど、世界でも前代未聞である。インターネットを通じた窃盗・破壊行為を好む中国の体質は、世界の経済秩序を変えてしまうかもしれない。 これが誇張のように思えるのであれば、産業革命と次々に起きた技術革新は、起業家が自らの創意や努力によって利益を上げることを可能にした法的・文化的枠組みに依存していたということを思い出してほしい。それとは対照的に、中国やその他の独裁体制では、実業界の大物は概して政治的影響力や腐敗を通じて台頭し、その地位を維持していく。自由市場の創造力に常にただ乗りしてきたのも彼らである。中国、「ハッカー国は米国」と反撃
最近まで、中国が革新者たちに被害をもたらすことはほとんどなく、むしろ彼らの力にさえなってきた。たとえば故スティーブ・ジョブズ氏の革新的な製品を組み立てる労働力を提供するといった具合に。ところが中国政府は今や、他国の人々の繁栄を脅かすほどに、世界の経済ルールを踏みにじるつもりのようだ。近く出版される著書で、グーグルの元最高経営責任者(CEO)のエリック・シュミット氏が、中国のハッキング行為と情報統制は同国を危険にしていると書いているのもうなずける。
かつてのソビエト連邦は、あからさまな軍事力と政治的転覆を図る能力を使って資本主義の西側諸国を脅かした。ところが、中国のハッキング行為による脅威はそれよりもたちが悪い。というのも、中国政府はルールに従って行動していると主張する一方で、追跡や阻止が難しいツールを使ってそのルールを覆しているからだ。中国企業が猛烈なスピードで成長し続けるには、いかさまをする必要があると中国政府は計算したようだ。この影響で西側諸国は、企業と国家が一定の距離を保つのではなく、1つになって事業を行わなければならない世界に引き戻されてしまうかもしれない。
われわれは中国の行動が自滅的だと証明されることを望んでいる。経済取引の本質は相互利益であり、相手を食い物にし続けるような貿易相手国とはいかなる国も取引をし続けるべきではない。米国政府もようやく勇気を振り絞り、穏やかで弱々しい嘆願以上の反応を示そうとしているようだ。
より強固な防衛策も絶対に必要だろう。マンディアントがしたように、ハッキング行為を行っている中国の団体を名指しして恥をかかせることも重要だが、個人や団体に標的を絞った制裁を科すことも必要になるだろう。現在のような米国との経済関係を維持したければ、サイバー攻撃はやめざるを得ないという事実を中国の高官たちは受け入れなければならない。
かねてより「中国流社会主義」の大成功を見せびらかすことを望んできた中国政府は、ある点ではそれをしてきたのだろう。窃盗はその明確な特徴と言える。
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③【産経社説】 サイバー攻撃 インフラの防衛に総力を
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130222/plc13022203570008-n1.htm
2013.2.22 03:24 [主張]
領空、領海だけでなくサイバー空間でも、中国の侵犯を阻止する努力が急務だ。米民間会社が、米政府機関・企業に対するサイバー攻撃に、中国人民解放軍部隊が関与している疑いが濃厚だとする報告書を公表した。
オバマ米政権は、これに対抗して、サイバー空間での防衛態勢を強化している。日本は危機意識が希薄であるうえ、国を挙げて対応する司令塔を欠く。米国とも連携し、速やかに対策を講じるべきだ。
報告書で主犯とされたのは上海拠点の部隊「61398」だ。141社の被害を追跡調査し判明したという。米国務省は「サイバー攻撃ではかねて中国に懸念を伝えてきた」と名指しで非難した。
中国側は自らが「被害者」だとしているが、「加害者」であることを示す事例は少なくない。
米国では、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、ツイッターやフェイスブック、アップルなどメディアやIT企業が相次いでサイバー攻撃にさらされている。
このうち同紙は、温家宝中国首相一族の蓄財疑惑を報じ、集中的なサイバー攻撃を受けた。取材過程で、中国高官に「ある結果を伴う」と警告されていたという。
オバマ大統領は一般教書演説で「敵は米国の送電網や金融機関、航空管制システムを破壊する能力を得ようとしている」とし、防衛態勢強化の重要性を強調した。
攻撃の標的が政府機関・企業のデータからインフラに広がっていることが、危機感の背景にある。有事に際し、電力供給、金融、交通システムが破壊されれば、国家・社会機能が麻痺(まひ)してしまう。
米国防総省は、2010年に設立したサイバー司令部の要員を900人から4900人に増やす計画だ。サイバー攻撃が及ぶと確証を得れば、「先制攻撃も可能」とする規定も検討中だという。
米国も核不拡散目的で、イランのウラン濃縮施設にサイバー攻撃をかけたとされる。サイバー戦争は現実のものと考えるべきだ。
日本の政府機関・企業への国内外からの攻撃も昨年1年間で78億件に上った。サイバー空間での戦いに向けて、コンピューターの専門家集団の育成が急がれる。
インフラ攻撃に対しては、縦割り行政を超えた強い司令塔が必要だ。創設される国家安全保障会議(NSC)の重要任務にインフラ防衛を位置付けてもらいたい。
④【外信コラム】上海余話 都会に軍拠点、何のため?
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130225/chn13022503080002-n1.htm
2013.2.25 03:07 [外信コラム]
超高層ビルが林立する上海の国際金融センターから地下鉄で30分ほどのベッドタウンに、その12階建てのビルはあった。米国の政府機関や企業へのハッカー攻撃に関与していると指摘された中国人民解放軍「61398部隊」の拠点だ。
住宅や商店に囲まれた都市部の日常的な空間に、警備に目を光らせる兵士らの姿ばかりが異様に映る。このビルを車中から撮影した米国人記者が兵士にみつかり、身柄拘束の上、撮影画像を強制的に消去させられる騒ぎがあった。こんな時こそ、米国人ほど目立たない日本人記者の出番なのだが、すぐに警備兵に誰何(すいか)され、追い返された。
米国での報道に対し、中国国防省は「人民解放軍はいかなるハッカー活動も支援したことはない」と完全否定。さらに中国外務省などは「米こそハッカー攻撃国だ」とキバをむいた。
一方、この「61398部隊」が2004年ごろから上海周辺の大学で、コンピューター技術を学ぶ学生に卒業後の同部隊への入隊を条件に奨学金を出す「求人活動」を行っていたことが明らかになっている。
特別な技能をもつ有能な大卒者を軍に引き留めるため、基地周辺のへんぴな土地柄ではなく、大都会の一角を勤務地にしたと考えれば、軍事拠点としては違和感のあるビルの立地にも納得がいく。(河崎真澄)
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