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「米銃規制に立ちはだかる壁」を数え上げると・・・
さて、如何だろうか。
今までにも何本か当ブログでも記事にしたが、WSJ(Wall Street Journal)紙・日本語版の「米国銃規制」関連記事と言うのは、どうも頂けない。そりゃぁ脳天気に「日本を見習って銃無き世界を目指せ!」なんて社説に書いてしまえる日本の新聞だってロクなモンじゃぁないが、一部日本人記者が書いているとは言え、アメリカが本社の新聞で基本的にアメリカ在住の記者書いている記事だ。アメリカの銃規制については日本の新聞なんぞよりまともな深い論議があって当然だろう。自国の事なんだし。まあ、確かに「脳天気一辺倒の日本の新聞よりはマシ」ではあるが、「銃無き社会・日本に住む日本人」である私すら納得させられずに、「今現在綬社会であるアメリカに住むアメリカ人」を納得させられる訳が無いし、況やNRA・全米ライフル協会に対する有効な反論になりようがない。
上掲記事は、アメリカ在住の日本人による記事だ。それ故になおの事期待し難い記事ではあるが・・・なんだこれは。
タイトルに「米銃規制に立ちはだかる壁―人気ライフル価格は2倍に」と銘打っている。後段「気ライフル価格は2倍に」は具体的内容だけに確かに上掲記事に書かれているが、前段「米銃規制に立ちはだかる壁」を上掲記事から拾っていくと・・・
1> 大統領は、「すべての銃がなくなる規制などはないし、
2> 『武器保有の権利』を保証する合衆国憲法修正第2条を侵害する規制もあり得な い。
3> ただ常識を阻む障害物を許す訳にはいかない」と述べている。
4> オバマ政権は、このように銃擁護派と保守派にも理解を求めながら、銃規制強化を実現するため難しい舵取りを強いられている。
5> 民主党議員も一丸となって銃規制を支援できるわけではない。
6> 世論は規制を望む方に傾いているが、保守派が多い州から選出されている民主党議員で、特に2年後の中間選挙で再選を狙う議員は、困難な立場に立たされている。
7> 銃規制を支持すれば、落選もあり得る。
…これだけ。どう数えても「米銃規制に立ちはだかる壁」と言うのは、
(1) 『武器保有の権利』を保証する合衆国憲法修正第2条 上記2>
(2) 銃擁護派と保守派 上記4> 関連事項:「オバマ大統領のスキート射撃写真公開」「何世代にも受け継がれてきた狩猟の伝統」
(3) 銃規制支持する事で落選を懼れる民主党議員 上記5>~7>
これだけしかない。上記(2)を「銃擁護派」と「保守派」の二つに分けたとしても、「米銃規制に立ちはだかる壁」と言うのは四枚しか挙げられていない。
上記(1)~(3)以外の記事内容は、と読み返しても、「AR-15ライフルの価格が2倍に跳ね上がった」と言うのは「銃規制を予想/予定した社会の一断面」でしかないから「米銃規制に立ちはだかる壁」では全くないし、「元海軍特殊部隊(SEAL)の狙撃手クリス・カイル氏殺害事件」は「米銃規制の推進材料」にしかならないだろう。
つまり、上掲記事タイトルになっている「米銃規制に立ちはだかる壁」と言うのは、上記(1)~(3)の「せいぜい四枚」でしかない。これで上掲記事の〆が、
8〉 ひょっとしたら、銃規制法案は上下院の一部の民主党議員の反対で、かなりの骨抜きで終わるのではないだろうか、
9〉 と思うほど、悲観的な材料が多く立ちはだかっている。
10〉 しかし、オバマ大統領が「全米行脚」を始め、有権者の力を今一度総動員しようとしているところをみると、
11〉 2期目を迎えて1カ月もたたないうちに、正念場といえる局面を迎えていることが分かる。
と、結論付けてしまっているんだから、私なんぞには一読した位じゃ訳が分からない。本記事タイトルを「支離滅裂な報道」と、可也失礼なものにしたのは、そのためだ。
そこで新ためて、上記9〉「立ちはだかっている多くの悲観的材料」=上記(1)~(3)「米銃規制に立ちはだかる最大四枚の壁」について考察しよう。この壁は、僅か四枚と言う気もするが、絶望的なまでに厚い壁、であろうか。
上記(1)『武器保有の権利』を保証する合衆国憲法修正第2条 は、所謂「武装権」である。先行記事にもした通り、米国で一定以上の銃規制を実現するには、高い治安と武装権・革命権との妥協が不可欠であると、私は考えている。従って上掲記事で「米銃規制に立ちはだかる壁」の一つに「武装権」を挙げるのには賛同できるし、その壁が「厚い」ことにも同意しよう。あまりに「厚過ぎて」、この壁を突破する事はアメリカ合衆国憲法の否定にさえなりかねないぐらいだ。
上記(2)「銃擁護派と保守派」が「米銃規制に立ちはだかる壁」であるのは、「狩猟の伝統」の故であるらしい。上掲記事では「オバマ大統領のスキート射撃写真公開」を報じて「銃擁護派と保守派への配慮」と報じている。実際、趣味ばかりでなく生存・食糧確保・職業としての狩猟が、地域は限定されるとは言え厳然と存在するアメリカでは、この「壁」も厚そうだ。と言うより、「趣味としての狩猟」ぐらいは突破できても、「生存・食糧確保・職業としての狩猟」はそれこそ「突破できそうにない」。当該記事にあるような「ライフルの装弾数制限」が関の山であろう。
最後に上記(3)「銃規制支持する事で落選を懼れる民主党議員 (上記5>~7>)」、これは何だ。これが「米銃規制に立ちはだかる壁」か?「銃規制支持する事で落選する」と言う事は、「銃規制が(少なくとも選挙結果として)支持されていない」と言う事だ。他に解釈のしようがあるか?であると言うのに「銃規制支持する事で落選を懼れる民主党議員」を「米銃規制に立ちはだかる壁」であるとするならば、その解釈は一つしか、私には思いつかない。
【3A】「米銃規制の為には、民主主義(少なくともその一部)を無視しろ」
他に解釈のしようがあるだろうか。
多少の「遊び」ならばありそうだ。選挙結果は「厳密に民意を反映している」とは言い得ないし、民主党議員は「銃規制支持する事で落選を懼れている」だけで、実際には「落選しない」かも知れない。だが逆に、多少の「遊び」はあろうが、本質的には上記【3A】は「民主主義の否定」であろう。それは、少なくともアメリカ合衆国に於いては、アメリカ合衆国憲法の否定に他ならない。
であるならば、上記(3)は確かに「米銃規制に立ちはだかる分厚い壁」であり、この突破の為には上記【3A】「民主主義の否定」が必要である。
以上からすると・・・上掲記事が報じる通り、「米銃規制に立ちはだかる最大四枚の壁」は、なるほど「絶望的になるほどに厚い」とは言えそうだ。
だが、その「壁を突破する」と言う事は、少なくとも部分的なアメリカ合衆国憲法の否定に他ならない。上掲記事のオバマ大統領の「銃擁護派と保守派に対する配慮」や「合衆国憲法修正第2条「武装権」遵守」を待つまでもなく、上記【3A】「民主主義の否定」を敢行してまで「オバマ大統領が米銃規制を実施する」と言うのは、余りに我田引水と言うか牽強付会な報道記事ではなかろうか。
ソリャ、そんな牽強付会記事じゃぁ、一読ぐらいじゃ私の頭に入らない訳だ。納得したぞ。