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  中国人民解放海軍艦艇が我が自衛艦へ向けて射撃管制レーダーを照射した事件は、流石の平和ボケマスコミも看過する訳には行かなかったらしく、沖縄二紙を含む「社説比較シリーズレギュラーメンバー八紙」が尽く社説で取り上げるぐらい、結構な騒ぎになっている。
  
  それも理の当然だろう。射撃管制レーダーは、砲の射撃やミサイル発射・誘導のために目標の方位・位置を標定し、ミサイルを誘導する電波を出すレーダー。付近を航行中の船舶を探し衝突防止にも役立てる捜索レーダーとは違って、恒常的に作動させるものではないし、電波ビームも絞った細いものだから「照射の対象にされた「目標」艦・航空機以外は受信する可能性は低い」もの。
 その「射撃管制レーダの電波を受信した」と言う事は、正しく「射撃管制レーダーを意図的に照射された」と考えるべきであり、「次は砲弾かミサイルが飛んで来る=攻撃される」と、少なくとも想定しなければならない事態。まさか攻撃なんかしないだろうとか、たまたま作動点検中に出した電波を受信したとか、想像するのは勝手かも知れないが、想定して行動する奴は、それだけで軍人失格だ。万一の最悪の事態に備えるのが安全保障であり、軍人なのだから。
  
  かかる事態の重大性が、余りに理の当然だから、三アカ新聞=朝日+沖縄二紙を含む「社説比較シリーズレギュラーメンバー八紙」が尽く社説で「中国の危険な挑発行為/敵対行為」を批難する主張で一致するほど(※1)。その事は、各紙の社説タイトルを並べるだけでも大凡見て取れるぐらいだ。
  
   (1)【朝日】 レーダー照射―危険極まる中国の挑発







  
  斯様な事態は、本件に関する限り「中国共産党政権による宣伝戦が失敗した/失敗している」と言う事だと、推定できる(※2)。だからであろうか、中国共産党御用達”マスコミ”環球時報の社説は、どうにもこうにも出来が宜しく無いようだ。


<注釈>


(※1) 「でも、やはり対話だ。友好だ。」って結論付けてしまう社説はあるが。 

(※2) 「オスプレイ沖縄配備」に関しては、あれほど「成功」しているのにな。「オスプレイは危険だから沖縄配備だけ反対」なんて非人道的な主張が公言され大手を振っているんだから、「大成功」だろう。 



   転載開始=========================================
   
   【レーダー照射】「日本が仕掛けた世論戦」 中国・共産党系紙「『1発目』覚悟できている」
      
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130207/chn13020711490003-n1.htm
   2013.2.7 11:48 [日中関係]
    中国海軍艦船による海上自衛隊の護衛艦への射撃管制用レーダー照射について、7日付の共産党機関紙、人民日報系の環球時報は社説で「日本側が説明する詳細な状況の真実性と、今回の世論戦を仕掛けた魂胆には疑問符を付けざるを得ない」と主張し、照射の公表は国際社会で日本の立場を有利にするための世論戦との認識を示した。
   
    その上で「(レーダー照射の)ニュースは中国社会で驚きはない。中国の民衆は東シナ海での緊張に慣れており、中日間で『1発目が発せられる』ことに覚悟はできている」と強調した。
   
    また同日付の中国紙、新京報は中国人学者の寄稿を掲載。今月下旬に予定されている安倍晋三首相の訪米を控え、日本側は今回の事件で「中国脅威論」を宣伝し、米国から平和憲法改正の支持を取り付けようとしていると分析。レーダー照射の公表は「安倍内閣による苦心惨憺の末の策だ」と指摘した。(共同)

   

   =================================転載完了
   

 つまり「射撃管制レーダ照射はしていない」であり、「射撃管制レーダを平時に照射するのは異常」と認めたのか

   
  さて如何だろうか。
   
  報道は断片的だが、他の報道でも(※1)大同小異なので、上掲記事から2月7日付・環球時報社説の記述を抽出すると、以下の通りだ。
   
1〉「日本側が説明する詳細な状況の真実性と、今回の世論戦を仕掛けた魂胆には疑問符を付けざるを得ない」
   
2〉 (中国軍艦艇の射撃管制レーダー)照射の公表は国際社会で日本の立場を有利にするための世論戦との認識を示した。
   
3〉 「(射撃管制レーダー照射の)ニュースは中国社会で驚きはない。
4〉 中国の民衆は東シナ海での緊張に慣れており、中日間で『1発目が発せられる』ことに覚悟はできている」
   
   どうにも、私は中文は読めないが(※2)この2月7日付環球時報社説は、全文取り寄せて読んでみたくなる。何しろ上記の通り断片的に報じられるところでは…サッパリ判らない。
   
  「日本を批難している」それだけは判る。上記1〉「日本側説明の真実性に疑義」を表明し、「世論戦を仕掛けた」と断じている。だが、判る/理解・納得できるのは殆どそこまででしかない。
   
  普通に考えれば、上記の「日本批難」は、中国艦艇による射撃管制レーダ照射と言うのは日本によるプロパガンダ=宣伝=嘘だ」と主張して居る事になろう【Case1】。
   
  これはある意味「結構な事」なのである。章題にもした通り、「中国艦艇による射撃管制レーダー照射はプロパガンダだ!」と言うのは中国艦艇は射撃管制レーダーを照射していない」と言う主張であり、同時に今は(未だ)日中開戦する意図はないと言うメッセージでもある。「平時に軍艦が軍艦に対し射撃管制レーダーを照射するのは異常事態だ」と言う日本側の主張且つ世界の常識を認めたと言う事でもあり、今後「中国軍艦艇による射撃管制レーダ照射」と言う「危険な挑発行為(※3)」が今後は減少ないしなくなる事さ期待しえよう。
  だがこの【Case1】・解釈は、上記3〉~4〉「中国民衆の日中開戦覚悟と直接結びつかない。「中国艦艇による射撃管制レーダ照射と言うのは日本によるプロパガンダ」であるならば、日中開戦は日本側の胸先三寸で決められ、中国民衆が驚こうが驚かなかろうが、開戦の覚悟があろうがなかろうが、殆ど関係ない。日本側は今回の「中国艦艇による射撃管制レーダー照射」と言う「仕掛けた宣伝戦」に則り、いつでも武力衝突・開戦の火蓋を切れるのに対し、中国側は「民衆の覚悟はできている」としか環球時報は説いていない(ようである(※4))。ソリャ「中国民衆に開戦の覚悟が無い」よりは、開戦し難いかも知れないが、それだけ。なるほど上記1〉日本が今回の宣伝戦を仕掛けた魂胆に疑問符を付けざるを得ないとは言えそうだが、「中国軍艦艇による射撃管制レーダ照射と言うプロパガンダ」を日中開戦の理由としうる/するかも知れない日本に対し、「中国民衆の日中開戦覚悟」を強調して、どれほどの抑止効果があろうか。
   
  別の解釈を考えるならば、今回の世論戦」とは「”中国艦艇による射撃管制レーダ照射”を日本が公表した事」であり、事実”中国艦艇による射撃管制レーダ照射は実施された”と、環球時報は主張して居ると考えられる【Case2】
  これは【Case1】に比べると相当由々しき事態だ。中国に常識が通じないのはままある事だが、「平時でも中国艦艇から他国軍艦に射撃管制レーダーを照射する」事を正当化されては、中国に対しては武力衝突・紛争・戦争が頻発する事になる。
  「そこが中国の主張する領土内だから正当化される」としても、何しろ中国の言う「核心的利益」は中国本土から外へ向けて単調増加に拡大中であるから、ちっとも安心できない。
  まあ、そんな国際的非常識を押し通して武力衝突・紛争・戦争を山と抱え込むのは中国の勝手としても・・・「中国艦艇による射撃管制レーダー照射を実施した事実」を、「日本政府が公表するまで中国政府が公表せず、タイミング良い日本側公表による世論戦を許した」理由が判らない。「射撃管制レーダー照射」が正当化されるのならば、実施直後に中国側から公表して「日本側の世論戦を封じる」事が出来そうであるし、その事実を公表して世論戦を仕掛けてきた日本政府に対し、中国外務省が「知らない」(※5)と対応しているのも判らない。第一、中国の主張通りに「射撃管制レーダー照射が正当化」されるのならば、日本側から日中開戦を仕掛ける根拠にならず、上記3〉~4〉で示した中国民衆の覚悟」は殆ど意味がなくなる。
   
  それとも、私の思いついていない様な「解釈」があるんだろうか。
   
  どうも想像力の乏しい私にはそ、んな「別の解釈」を想像できないので、上掲記事に報じられる「2月7日付 環球時報 社説」は、勢いだけで書かれた「日本による世論戦に対する稚拙な反撃」としか解釈できないのである。


<注釈>


(※2) 漢文ならばある程度読めるが、あのへんてこりんな「簡字体」は、読もうと言う気さえ失せる。 

(※3) と、三アカ新聞を含む日本のマスコミが認めた行為 

(※4) うーん、やっぱり欲しいな。全文。