応援いただけるならば、クリックを⇒ https://www.blogmura.com/


 「パン屋の1ダース”Baker's Dozen”」なんて言葉を習ったのは、懐かしきかな予備校の英語講師だ。なんでも、「1ダースのパンはある重さ(※1)以上で売らなければならない」と言う法律が昔あったんだそうだ(※2)。ところが、「パンの重さ」ってのは「パンが焼き上がるまで判らない」し、水分量で変動もするから、この法律を12個キッカリでクリアする事は難しい。だから、パン屋は1ダース買いするお客に対して1個オマケをしてこの法律をクリアしたんだそうな。凝り性の現代のパン屋ならば、パンを焼く条件や焼き上がってからの湿度を厳密に管理して「法律に定められた重さのパン」を商品化するのかも知れないが、何しろ昔の話だからな。それにこんな話のお蔭で「焼き上がるパンの重さを予め予測する/決める事は難しい」ってのが、私のようなあまり料理に縁のない人間にも知れる。

 「パン屋の1ダース」は重さ、質量の話だが、形状や寸法の方はもっと管理が難しそうだ。多分、食パンならば型にはめるようなものだからある程度管理できそうだが、クロワッサンやフランスパンのような形は、形状・寸法共々「出来高」になりそうではある。

 であるならば…サブウエイの「フットロング」なる商品名のサンドイッチが1foot=12インチの長さが無くて「11インチだった!」と告訴すると言うのは、強請・タカリの理屈であり、「クレーマー」と言うより「イチャモン」と言うべきだろう。

 無論、先述の通り、原題の技術と管理能力を以てすれば、「きっちり1foot=12インチ」のサンドイッチパンを量産し、商品化する事も可能に違いない。だが、「フットロング」なる商品名に、そこまで厳密な寸法要求をする事が、妥当・至当とは到底思われない。

1〉 「消費者にあるサイズの商品を約束して」

と、当該告訴者は抜かしているそうだが、「フットロング」なる看板・商品名が約束しているのは「約1foot」と考えるのが常識的であり「約1foot」の「約」には1割の誤差ぐらいは許容しよう。即ち±1.2インチ=±3センチは「誤差範囲」=「許容範囲」と考えられる。

 ああ、サブウエイも商売だから、「1インチ短い事は有っても長い事は無い」様にしており、それによってコスト削減と「11インチロング」なんて商品名よりもインパクトの大きい「フットロング」と言う商品名で宣伝効果=誇大広告を狙っていた可能性は認めよう。

 だが・・・

2〉 サブウェイ側は、一部フランチャイズ店が規則を遵守していなかっただけだと反論している。

とも報じられているから、「規則としては1foot=12インチを要求していた」と言うのがサブウエイ側の主張らしい。まあ、この事は、「フットロング」サンドイッチの実際の長さを計測集計すれば、容易に真偽のほどが判るだろう。それ故に、「サブウエイ側の主張が嘘である公算は小」と判定できる(※3)。

 となると・・・繰り返しになるが、「フットロング・サンドイッチが1フットに1インチ不足する」と言う訴訟は、「クレーム」と言うよりも「イチャモン」であろう。


<注釈>


(※1) 何ポンドかは忘れた 

(※2) ウィキペディアで調べたら、13世紀のイギリスで、1266年にヘンリー3世が公布した『パンとビールの基準法』だそうな。 

(※3) 無論、「大きな嘘の方がバレない」と言う、「ゲッペルス宣伝相の教え」を忘れるべきではないが。