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 一般論として、評論家と言う立場は当時者に比べれば気楽なものである。気楽であるだけに問題の本質を客観的にとらえる事が出来る・・・事もあれば、当事者の側からすると腹の立つほど無責任な「したり顔の分析のみ」で終わる事もあるだろう。無論、評論家の仕事は「当事者の立場に立って(*1)」深刻ぶる事ではなく、基本的には天気予報と同様に「今後を予想する事」であり、特に職業としての経済評論家なんてものはそんな予報官・予言者・占い師・相場師としての役割が求められよう。

 従って、経済評論家と言うものは、経済政策を語るとは限らないし、経済政策を語らないからと批判される職業でもない。とは言え、この記事タイトルと中身の経済評論は、どうかと思うぞ。

<注釈>


(*1) 「寄り添って」なんて尤もらしい日本語が最近流行のようだが、恋人でも配偶者でもない他人に対して、そうそう「寄り添う」なんてできる訳が無い。況や「評論家が当事者に寄り添う」なんてのは、虚偽でなければ下心があるモノと、判断すべきだろう。



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転載開始=========================================

安倍財政で日本は年内にも破綻、「ガラガラポン」早まる-藤巻氏(3)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MGL71J6JTSEE01.html

 1月15日(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた経歴を持つフジマキ・ジャパン代表取締役の藤巻健史氏は、安倍晋三政権の財政拡張政策により、年内にも日本の財政が破綻する可能性があるとの見方を示した。

藤巻氏は11日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「安倍首相が円安政策の重要性に気付いたことは正しく評価できる。一方、公的債務残高が膨らむ中で大型の財政出動はとんでもない。長期金利が上昇する可能性があり、非常に危険なばくち」と述べた。

また、「10数年前にアベノミクスをやっていれば、日本経済は回復しただろう。しかし、累積債務残高が1000兆円程度までたまった中で、財政支出拡大と円安政策を進めれば、調整が早まる」と説明。「今年中にガラガラポンとなる可能性もある」とし、日本経済が崩壊し、振り出しに戻る時期が早まるとの見方を示した。

長期金利 は昨年12月6日に0.685%と9年半ぶりの低水準を付けたが、その後は安倍氏が大胆な金融政策や財政拡大策を打ち出すに伴い、財政悪化懸念から超長期ゾーン中心に金利が上昇。今月7日には0.84%と4カ月半ぶりの高水準を記録。足元では低下し、15日は0.77%に下げた。為替市場では円・ドル相場が1ドル=89円台後半と2010年6月以来の水準まで円安・ドル高が進んだが、15日は88円台後半に円が上昇。日経平均株価は昨年来高値を更新し、一時は1万900円台を回復した。

藤巻氏は、株価が上昇して景況感が改善しているとしながらも、「景気が回復しても、金利が上昇すれば、税収増加よりも金利支払い増加の方が大きくなり、日本の財政はもたない」と述べた。

5年以内から前倒し

藤巻氏は、昨年6月のインタビューで、日本の財政は5年以内に破綻する可能性があると予想しており、今回はそれが早まると述べた。また、米ドル、豪ドル、カナダ・ドル、英ポンド、スイス・フランなど先進国通貨建ての資産への分散投資も推奨していた。ブルームバーグ・データによると、資金を円で調達し、こうした通貨へ投資していた場合、昨年6月15日から今年1月14日までに平均で年率32%のリターン(収益率)となる。

国債市場について、「資金が株式市場に向かえば、金利が上昇する。あるいは円安が進み、円預金が海外に流出してドル資産などに向かえば、銀行など金融機関が国債を購入する資金がなくなる。現在、ぎりぎりのところで国債を買い支えているが、財源が枯渇すれば、かなり危険な状況になる」と懸念を示した。「日本銀行がお金を印刷して、ハイパーインフレーションになれば、1ドル=300-400円以上まで円安が進み、ロシアが崩壊した時と同様に長期金利は60-80%程度まで急上昇する可能性がある」と警告した。

一方、「このまま何もせずにずるずると悪くなって2、3年後に崩壊するよりは、今やって早く崩壊させた方が、経済学者シュンペーターの言う『創造的破壊』につながり、その後の回復が早くなる。ここまで公的債務残高が膨らむと、どちらにしても救いようがないので、早く崩壊させた方が良い」とも語った。

藤巻氏は、「財産を持っている高齢者には厳しい状況になるが、若者にとっては、借金のつけを払う必要がなくなる。閉塞感がなくなり、税金を払うために馬車馬のように働く必要はなくなる。世代間の利益の調整が行われる」と解説した。

安倍政権が日銀に物価目標2%設定を求めていることに対しては、「日銀の独立性と権威を地に落としてしまったことはマイナス。白川方明総裁は職を賭して受け入れられないと拒否すべきだった」と指摘した。また、「インフレになっても景気が良くなるかは疑問。スタグフレーション(不況下での物価上昇)になる可能性もある。量的緩和策では円安にはならないと思う」とも述べた。

政府は11日に決定した事業規模20.2兆円の緊急経済対策で、日銀との連携を強化する仕組みの構築を明記。安倍首相は、「明確な物価目標の下で、日銀が積極的な金融緩和を行っていくことを強く期待する」と要請した。藤巻氏は、財政破綻やハイパーインフレの状況から資産を防衛する方法として、再度、不動産投資のほか、米国株などドルを中心とした先進国の外貨建て資産を購入することを提案している。


藤巻氏は1950年生まれ。74年に一橋大学を卒業し、三井信託銀行(現・三井住友信託銀行)に入行した。米ノースウェスタン大学大学院で80年に経営学修士(MBA)を取得。85年にモルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)に移籍し、95年から2000年まで東京支店長。2000年にはジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 池田祐美 yikeda4@bloomberg.net;東京 Monami Yui myui1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人
yokubo1@bloomberg.net;Rocky Swift rswift5@bloomberg.net

更新日時: 2013/01/15 15:45 JST


=================================転載完了

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分析と対策のみ。政策や方策なし。


 さて、如何だろうか。

 先ず上掲記事タイトルから行こう。安倍財政で日本は年内にも破綻、「ガラガラポン」早まるとある。「ガラガラポン」と言う表現は、相当解釈の幅がありそうだが、

1〉 「今年中にガラガラポンとなる可能性もある」とし、日本経済が崩壊し、振り出しに戻る時期が早まるとの見方を示した

と、上掲記事本文にあるから、「日本経済破綻」「日本経済崩壊」と言う、由々しき事態を表した表現と断じられる。従って、上掲記事のタイトルは、所謂「アベノミクス」=安倍政権の経済政策を批難したものと…タイトルからは読み取れる。

 否、安部政権の経済政策を批難しているとしか、タイトルからは読み取れない。

 ところが上掲記事本文の方では・・・・

2〉  一方、「このまま何もせずにずるずると悪くなって2、3年後に崩壊するよ
りは、
3〉 今やって早く崩壊させた方が、経済学者シュンペーターの言う『創造的破壊』につながり、
4〉 その後の回復が早くなる。
5〉 ここまで公的債務残高が膨らむと、どちらにしても救いようがないので、早く崩壊させた方が良い」とも語った。

6〉 藤巻氏は、
7〉 「財産を持っている高齢者には厳しい状況になるが、若者にとっては、借金のつけを払う必要がなくなる。
8〉 閉塞感がなくなり、税金を払うために馬車馬のように働く必要はなくなる。
9〉 世代間の利益の調整が行われる」と解説した。

とあり、つまりはどうせ日本経済は破綻するのだから、ここで破綻させた方が後の回復が早いと言う主張であり、安倍政権の経済政策を(*1)支持しているとしか、解釈のしようがない。

 即ち、上掲記事のタイトルと、記事の中身は、乖離しているのである。

 先述の通り、経済評論家なんてのはある意味お気楽・無責任なものだ。今後を予測する事は求められても、今後を良くする経済政策を求められる存在ではない。だから、安倍政権の経済政策を批難するばかりで代替策を示さないとしても、責められる立場ではないだろう。当事者としては腹も立つ処かも知れないが、それは経済評論家の特権であり、章題にしたような批難は経済評論家には当てはまらない。

 だが、上記の通り消極的ながらも安部政権の経済政策を支持した発言を、あたかも非難しているかのような記事タイトルに仕立て上げるのは、純粋に報道機関の、記者や編集者の責任であるし、これは「報道機関としてあるまじきこと」であろう。

 ああ、確かに上掲記事のタイトルは、当該経済評論家の発言の一部をトレースしただけであるから、虚偽でもなければ、捏造でもない。「破綻」と言うキーワードを使って巧みに印象操作をしているだけだ。

 だが、それ故にこそ、当該記事は「狡猾な安倍政権批難」と見なす事が出来よう。

 プロパガンダに、ご注意あれ。

<注釈>

(*1) 究極の選択で「渋々ながら」かも知れないが。