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 当ブログ始まって以来の「社説比較」シリーズほどではないが、「社説を斬る!」シリーズも当ブログでは老舗の方の記事だ。まあ、開設以来3年ばかりのブログで「老舗」と言ってもたかが知れているが。我が国で「老舗」と言うと、創業300年の三越(元・越後屋)だって裸足で逃げ出すような老舗がゴロゴロあるのだから。

 さはさりながら、その「社説を斬る!」シリーズ、久しくまともに「斬る!」と銘打ってこなかったように思う。「笑う」とか「呆れる」とか、「斬る」以前に「斬る気がなくなってしまうような社説」ばかりだったから。
 そんな中で、琉球新報社説「ダライ・ラマ講演 未来をより良く変えよう」と言う、訪日中のダライ・ラマ14世師を題材にしたに違いないタイトルは、久々に「斬りがいのありそうな社説」と思われたが…まあ、御一読、願おうか。

転載開始=========================================

【琉球新報社説】ダライ・ラマ講演 未来をより良く変えよう
2012年11月13日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-199149-storytopic-11.html
 21世紀をより良い時代にするため、非暴力の実践、対話による相互理解で平和を築く努力が必要―との指摘に全面的に賛同したい。
ノーベル平和賞受賞者でチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世が、那覇市で開かれた沖縄特別講演「困難を生き抜く力 未来を生きる青年に語る」で約3500人の聴衆を前に説いた。
戦争暴力の被害者が2億人に上った「暴力と流血の世紀」としての20世紀を教訓に、人類が目指すべき道筋を示した。深い洞察と慈しみの心を率直に受け止めたい。
 「非暴力の実践」は、インドの偉大な指導者ガンジーの「非暴力主義」や、紛争の平和的解決をうたう国連憲章の精神にも通じる。民族や宗教、思想信条の違いを超えた、人類が共有すべき普遍的価値だと確信する。
ダライ・ラマは「人間は核に関する知識を得た結果、余計な苦しみ、破壊、恐怖という副作用が登場してしまった。核兵器をつくり、広島、長崎へ落とされた」と述べた。人間の知性と愚かさは紙一重なのかと考えさせられる。
「核なき世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したオバマ米大統領は軍産複合体などから有形無形の抵抗に遭い、崇高な理念を実現できるか危うい状況にある。
しかし、究極の暴力である核の廃絶なくして、人類は真の平和を手に入れることはできまい。人類は2氏の提起を重く受け止め、核による破滅ではなく、核廃絶による共存共栄を追求していくべきだ。
ダライ・ラマがボランティアの方々に語った言葉も重い。尊い命が奪われた沖縄戦に言及した上で「平和というものは祈りによって達成できるものではない。人間のよき行いを実行することによって成し遂げられる」と述べた。平和構築に向け、若い世代の責任と行動力へ期待をにじませた。
沖縄は今、二つの困難に直面している。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備と、尖閣諸島の領有権をめぐる日中対立だ。
両問題とも生身の人間の命と人権が軽んじられてはならない。すべての当事国、関係者は非暴力的手段と対話によって問題を解決する姿勢を堅持すべきだ。
過去の歴史は変えられないが、未来はより良く変えられる。過去と未来の橋渡しである、わたしたちの歴史観と志も問われている。


=================================転載完了

呆れ返って言葉もないな。

 さて、如何だろうか。

 一言で言えば、「ダライ・ラマ大絶賛」である。が、その理由は、ガンジーも引き合いに出しての「非暴力・平和主義」故。オバマ大統領まで、

1〉 「核なき世界」を提唱し、ノーベル平和賞を受賞したオバマ米大統領は軍産複合体などから有形無形の抵抗に遭い、崇高な理念を実現できるか危うい状況にある。

などと引用されているんだから、当人が聞いたらどんな顔するだろうねぇ。オバマ大統領の「核なき世界」演説では、「自分の目が黒いうちにはそんな世界は来ない(※1)」と明言されているし、軍産複合体などから有形無形の抵抗に遭い、崇高な理念を実現できるか危うい状況にある。」なんてオバマ大統領が思っていない事は、賭けても良いぐらい。「崇高な理念を実現できるか危うい状況」もへったくれも、北朝鮮とイランの核開発阻止すら怪しい状況で、何を言っているんだ此奴は。

 第一、核なき世界」と言うのは一国の核兵器保有国によって全世界が支配されてしまいかねない世界だ。その一国に我が国がなってやろうというなら、そんな「崇高な理想」も良かろう。だが、そう企むのは我が国一国と、思う方がどうかしている。

2〉 しかし、究極の暴力である核の廃絶なくして、人類は真の平和を手に入れることはできまい。
3〉人類は2氏の提起を重く受け止め、核による破滅ではなく、核廃絶による共存共栄を追求していくべきだ。

とまあ、「核廃絶を提起した2氏」の片割れが世界一の核兵器保有国アメリカ合衆国の最高指揮官・オバマ大統領で、もう片方がチベット亡命政府の最高指導者(※2)ダライ・ラマ14世なんだから、このコンビから「核廃絶提起」を共通因子として括りだす強引さはどうだろう。第一、「人類」なんて大仰なモノの前に、その二氏共「核廃絶を提起しただけ」であり、特に核兵器を保有し「核廃絶」に対しアクションを起こしうるオバマ大統領が、殆ど「核廃絶へ向けて」微動だにしていない事実を、琉球新報は「軍産複合体などから有形無形の抵抗」によると、納得しているのかね。

 トテモシンジラレナイ。

 で、急転直下、社説の〆には「沖縄の二つの問題」として「オスプレイ配備」と「日中対立」を取り上げる。取り上げるは良いんだが、それを受けての末尾は・・・・

4〉  両問題とも生身の人間の命と人権が軽んじられてはならない。
5> すべての当事国、関係者は非暴力的手段と対話によって問題を解決する姿勢を堅持すべきだ。
6>  過去の歴史は変えられないが、未来はより良く変えられる。
7> 過去と未来の橋渡しである、わたしたちの歴史観と志も問われている。

ハァ?ダライ・ラマ師が祖国チベットを追われて亡命の身であるのは、祖国チベットが中国によって武力併合されたから。正しく、中国による暴力の行使によって亡命を余儀なくされたのだ。
 それでも非暴力と対話を説くダライ・ラマ師は見上げたものであり、私も尊敬しているところだが、そのダライ・ラマ師が求める「チベットの高度な自治」特にチベット仏教信仰の自由を拒絶し、非暴力による対話を無視し続け、挙句にダライ・ラマ師を「中国分裂を狙う悪魔」呼ばわりしているのも、他ならぬ中国ではないか。

 その中国が領土的野心を「革新的利益」として剥き出しにした尖閣ひいては沖縄を巡る対決に、中国相手の「非暴力的手段と対話によって問題を解決する姿勢を堅持」する事のみを求めるとは気は確かか、琉球新報。

 ああ、琉球新報に正気である事を期待する方が無理か。一体琉球新報は、どんな『歴史観と志』を持っているのかね。ダライ・ラマ師ならずとも、私が聞きたいぐらいだ(※3)。

 斬る価値もない奴バラよ。刀の錆とするも口惜し。


<注釈>

(※1) 無論、原文は違ったと思うが、大意は外すまい。 

(※2) と言う事は、核兵器どころか正規軍すらまともに保有していない 

(※3) まあ、ロクな歴史観もろくな志も、期待できないが。