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先行記事にした通り、我が国の大半の原発が稼働停止させられているおかげで火力発電はフル稼働。当然、火力発電所は燃料を喰っていて、日本は燃料を輸入しまくっている。「発電した分全量強制高価買取」の太陽光や風力の発電量が微々たるものであるのは不幸中の幸いであるが、電力会社としては「想定外」のコスト増大で、そのコストは政府が補てんしてくれるわけではないから電力料金に反映するしかない(※1)。従って電力料金は値上がりする。原発を訳もなくと言うか理不尽にと言うか管直人の政権延命策と大衆迎合策に乗って止めた時から、こうなる事は明らかだったことだ。
で、いざそうなるとあれこれ騒ぎ出すのがマスコミと言うもの。それは先行記事にした朝日社説の間抜けな「脱原発論(※2)」でも明らかだが。
その朝日の後追う形の東京新聞、毎日新聞社説と、産経の後追う形の読売社説を比較ると・・・こうなった。
<注釈>
(※1) さもなければ、結局のところ電力会社は倒産する他ない。倒産すれば、電力不足どころか、電力供給はストップだ。(※2) 電力会社は、今そこにある電力需要のために電力を供給すべく火力発電をフル稼働させている。今既にある、ないし即座に使える火力発電所で、だ。①「効率のいい新型火力」②「自然エネルギー」③「利用者に省エネ・節電を促す新しいビジネス」などと言う朝日社説の「電力会社経営改善策」は、いますぐの電力需要には間に合わないし、②なんざぁ向こう半世紀ぐらいは役に立つ気配がない。③は言ってみれば「電力会社自殺のススメ」ですらある。とても正気の沙汰ではない。無論、原理主義と言うのは、正気の沙汰ではないのだが。
転載開始=========================================
【東京社説】電気値上げ 家計にツケを回すな
2012年11月2日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012110202000133.html
関西、九州電力が値上げの検討に入った。北海道電力なども追随する見通しだ。原発に代わる火力発電の燃料費増が理由という。世界最高値で買ってツケを消費者に回す商慣習は改めねばならない。
原発を再稼働しないと財務体質が悪化する-。八木誠関電社長は赤字を計上した中間決算を念頭に値上げ理由をこう説明した。東京電力の福島第一原発事故を境に一時は全原発が運転を停止し、再稼働できたのは関電大飯原発の二基にとどまる。
電力供給の約半分を原発に頼っていた関電は、火力発電用液化天然ガス(LNG)などの燃料費が前年より六割膨らみ、他社からの電力購入費も増えた。北陸と沖縄を除く八社の中間決算の赤字額は計六千七百億円に上る。
しかし、燃料費が増えたからといって、家庭や企業などが簡単に値上げを受け入れるだろうか。
九月、枝野幸男経済産業相が産ガス国と消費国による東京での「産消対話」で産ガス国にLNG値決め方式の見直しを求めた。この発言こそ、LNG輸入が抱える問題点を的確に言い表している。
日本は一九七〇年代の石油危機を機に、LNG価格を原油価格に連動させる方式でカタールなどと長期輸入契約を結んできた。天然ガス液化施設などに投じた資金の早期回収を求める産ガス国と、安定確保に期待する日本。そこで互いに折り合ったのが原油連動だ。
ところが、LNGの需給状況を直接反映せず、原油価格が上がればLNGも上昇するので、日本は高値づかみから逃れられない。
九月は百万BTU(英国熱量単位)十七ドルの日本に対し、欧州は十二ドル。自由取引とは無縁の原油連動方式と、市場で価格が決まる欧州との決定的な違いでもある。
年間一兆五千億円を産ガス国に支払っている東電を例にとると、欧州価格ならば四千億円も節約でき、値上げ幅の圧縮が可能だ。
今や米国を中心に地中の岩盤からガス・原油を採取するシェール革命が世界規模で起きている。
日本も中部電力と大阪ガスが米国からの共同調達を、東アフリカなどでは商社が外資と組んで開発計画を推進中だ。十ドル前後で調達できるとされ、これを「武器」にすれば、遠くない時期に、既存の産ガス国との交渉で値下げを迫れるようになる。
政府も安いLNGの流通を目指し、アジア市場の設立を主導すべきだろう。燃料費増による安易なツケ回しに終止符を打つときだ。
【毎日社説】:電気料金値上げ 負担抑制に力を尽くせ毎日新聞 2012年11月06日 02時30分
http://mainichi.jp/opinion/news/20121106k0000m070141000c.html
電気料金の値上げの動きが広がってきた。関西、九州の両電力が値上げを正式表明し、北海道、四国、東北電も値上げを模索している。原発の停止で、火力発電用の燃料費の負担がかさんでいるためだ。
原発依存度を引き下げるためには、一定の料金値上げは避けられないだろう。そうであれば、電力会社の合理化や政府の政策努力で、国民負担の抑制に力を尽くすべきだ。
電力10社の12年度中間決算は、原発のない沖縄電と原発依存度が元々低い北陸電以外の8社が最終損失になった。北陸電も今年度通期では赤字を予想している。稼働率が高まった火力発電用の燃料費は前年同期に比べ、10社合計で約1兆円も増加した。原発依存度の高かった関西、九州電のダメージがひときわ大きく、値上げ表明につながった。
値上げ幅は、関西電が家庭向けで15%程度、企業向けで20?30%とする予定。九州電は家庭向けで10%前後、企業向けも同時に値上げする考えだ。どちらも来年4月からの実施を見込んでいる。
料金値上げは、東電が9月に実施した。原発停止に伴う燃料費高騰という事情は程度の差こそあれ、沖縄電以外の各電力に共通する。値上げは全国に波及する公算が大きい。
値上げは、家計や企業業績に影響する。とりわけ、円高という逆風下で韓国や中国企業などとの厳しい価格競争にさらされている企業にとっては、深刻な打撃になりかねない。下請け企業の中には、コストが上がっても価格転嫁は困難とするところも少なくなく、負担増が重くのしかかりそうだ。
悪影響を抑制するには、値上げ幅圧縮のための合理化努力が不可欠だ。電力各社は東電福島第1原発事故の後、コスト削減を進めてきた。しかし、人件費についてはボーナスを一部削減した程度で、年収は各地域の最高水準を維持している。人件費がコストに占める割合は1割に満たず、値上げ幅の圧縮効果は限定的だが、利用者に負担を求める以上、一段の抑制は欠かせない。
燃料費についても、コストに利益を上乗せして料金を決める「総括原価方式」に甘え、抑制努力が足りなかった。電力会社には、より低価格で調達する努力も求めたい。
政府は値上げの申請を厳格に審査するという。当然だが、政府自身の取り組みも忘れてはならない。政府は電気料金抑制のため、事実上地域独占の電力事業に競争原理を導入する方針だ。しかし、その具体化に向けた議論は遅々として進まない。料金抑制の道筋がまったく示されないままの値上げでは、国民の理解は得がたいだろう。
【読売社説】再生エネ発電 電気利用者に重いツケ回すな(10月26日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121025-OYT1T01535.htm?from=blist
太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及は大切だが、家計や企業に過大なコストを押しつけるようでは困る。
再生エネで発電した電気の買い取りを電力会社に義務づける「固定価格買い取り制度」が7月にスタートし、太陽光発電などの参入が急増している。9月末までの3か月で、今年度目標の7割に達するハイペースだ。
買い取り制は、再生エネで発電した電気を最長20年間、通常より高い価格で電力会社が買う。温室効果ガスを出さず、国内自給できる再生エネの普及を、政策で後押しする狙いはいい。
問題なのは、買い取り費用が電気料金に上乗せされ、電気利用者が負担する仕組みである。
現行の買い取り価格は、太陽光が1キロ・ワット時あたり42円、風力は23円で、先行して導入されたドイツより約2倍も高い。
参入する会社にとって利幅の大きさは魅力だが、電気利用者の払うツケは重くなる。再生エネの普及が進んだなどと手放しで喜んではいられない。長期間に及ぶ利用者負担とのバランスを、どう取るかが課題だ。
教訓とすべきは、海外の失敗例である。ドイツでは、再生エネの買い取りにあてる電気料金の上乗せ額が、標準家庭で月1000円を超えている。
さらに、中国製の安い太陽光パネルを使った太陽光発電の参入が相次いでいるため、買い取り費用の増大が止まらない。来年からは電気料金への上乗せ率を高める予定で、家庭の電気料金負担は、年1万円も増える見込みという。
ドイツの消費者らは猛反発し、「太陽光発電は、環境政策の歴史で最も高くついた誤りだ」などという批判も出ている。
日本の買い取り制による今年度の電気料金上乗せ額は、標準家庭で月87円だ。ドイツほど高くないが、買い取り単価が高いまま再生エネ発電が増えれば、「ドイツの来た道」をたどりかねない。
政府は利益目当ての「再生エネラッシュ」が起きないよう目を光らせ、買い取り価格を機動的に見直してもらいたい。
日本では再生エネ普及に伴う産業振興など、経済効果への期待も大きい。だが、ドイツの例を見ると楽観は禁物だろう。今年4月には、太陽光パネルで世界トップだった独企業が、中国企業との競争に敗れて倒産したからだ。
こうした海外の事例を冷静に分析し、同じ轍を踏まぬよう早めに手を打つことが肝要だ。
原発最稼働の上に経営改善すれば、電力値下げが可能な理屈であろうに
さて如何…と言うまでもないな。言うべき事は殆ど先行記事と同じだな。真面なの
は読売の社説だけで、東京新聞は朝日並み。毎日は幾らかマシだが、
毎1〉 人件費がコストに占める割合は1割に満たず、値上げ幅の圧縮効果は限定的
と認めつつ、
毎2〉 利用者に負担を求める以上、一段の抑制は欠かせない。
と、要は「電力会社社員の給料を下げなければ電力料金値上げは認めない」と言
う、暴論ではないかも知れないが、良く言って精神論にしか過ぎない。早い話が
「電力会社社員は高給取りやがって羨ましい」と言う嫉妬であるが…高給取りと言うならば、新聞記者ってのも、相当なモノであろうが。
無論、問題なのは新聞記者や電力会社社員の給料ではない。当該社説群が取り上げているのは「電力料金の値上げ」であるが、究極のところ目指すべきはやっぱり「電力の安定供給」なのである。ここで言う「安定供給う」には、「安価に」を含むのだから。
であるならば、章題にした通りだ。
我々は福島原発事故を越えて、前進すべきなのだ。事故の教訓をくみ、新技術を導入し、さらなる高みへ、と。
再稼働セヨ、原発。