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判る人には明らかだろうが、タイトルで敷衍したのは「丸い卵も切り様で四角。モノも言い様で角が立つ。」と言うフレーズである。
言うまでもなかろうが卵と言うのは「丸い」モノ。球形とは言い難い(*1)が、縦に切ろうが横に切ろうが切り口は普通円か楕円に近く、「丸い」事に変わりはない。
が、賽の目に切れば四角いブロック状になり…サンドイッチなんかに入れるね。
「切り様」なんて物理的加工でさえそうなんだから、「言い様」なんて抽象的加工はさらに千差万別。角を立てるのも丸く収めるのも、言い様一つで如何様にもなる。そんな見本を美事に見せてくれたのが、東京新聞コラム【私設・論説室から】だ。
まずは御一読、願おうか。
<注釈>
(*1) 急いで付け加えれば、亀の卵なんかは球形に近い。
転載開始=========================================
【私説・論説室から】
韓国の反日映画で考えた
2012年10月24日 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/ronsetu/CK2012102402000157.html
日本と韓国の最近の対立を見て、六年前ソウルで見た韓国映画「韓半島」(康祐碩監督)を思い出した。こんなストーリーだ。
韓国と北朝鮮の統一が近づいたとき、日本政府は植民地時代に敷設した鉄道の使用権がいまだに有効だと主張して妨害する。竹島周辺海域をめぐる争いが激化し両国艦船は一触即発のにらみ合いになる。海上自衛隊の戦力が圧倒的に有利だが、韓国海軍の気迫に押されてUターンし、日本海での開戦は回避された-。
話は日韓併合にまでさかのぼる。冒頭は一八九五年に李朝の明成皇后を日本の軍人と浪士が斬殺する場面だ。抜刀した男たちが景福宮に押し入り、皇后を追い詰めていく。映画館でおそらく唯一の日本人だった私は、息をひそめていた。
日本を糾弾する「反日映画」であり、奇想天外、時代考証もいいかげんであきれる所もあったが、韓国の対日観は単純ではないという印象も持った。
映画の中で、大統領は日本と対抗して南北統一を進めようとするが、ナンバー2の首相は国家の安定と経済発展を優先して日韓関係を絶対に損なってはならないと反対する。両者の激論が大きなテーマになり、「歴史の正当化と現実の外交にどう折り合いをつけるのか」というメッセージがこめられていた。
この映画は韓国で大ヒットしたが、日本では劇場公開されずDVDだけが出ている。 (山本勇二)
=================================転載完了
芸術の価値は受け手が決め、受け手しか決めようがない。とは言え・・・
さて、如何だろうか。
公平を期するために先に言っておくべきだろう。私は当該コラムの取り上げた反日映画「韓半島」(康祐碩監督)を見たことはないどころか、当該コラムでしかその存在を知らない。DVDは日本国内でも発売されているそうで、DVDで流通しているコンテンツの広範さには驚嘆に値するが、当該DVDを買おうという気にも見ようという気にもならない。何しろ当該コラムで紹介されているそのストーリーが…
1〉 韓国と北朝鮮の統一が近づいたとき、
2〉 日本政府は植民地時代に敷設した鉄道の使用権がいまだに有効だと主張して妨害する。
3〉 竹島周辺海域をめぐる争いが激化し両国艦船は一触即発のにらみ合いになる。
4〉 海上自衛隊の戦力が圧倒的に有利だが、韓国海軍の気迫に押されてUターンし、日本海での開戦は回避された-。
と言うんだから、そのぶっ飛びぶりはとても半島以外では通用しそうにない。
敢えてそこを突っ込むならば、先ず①「何がどうすると”韓国と北朝鮮の統一が近づく”のか」が理解不能だ。そこはまあ半島の悲願・希望・願望だから敢えて看過するとしても、②「何故半島統一を日本政府が妨害するのか」は看過しがたい。なんだって「統一朝鮮成立」を我が国が妨害しなければならないんだ?かつては南北まとめて我が国の一部だったではないか。「強大な統一朝鮮誕生を怖れて」とかナントカ言ってそうな気はするが、有史以来朝鮮半島が強大であった例なぞ無いではないか。それが今更統一した位で「強大」になぞなるものか。第一、韓国にとっての南北朝鮮の統一は、西ドイツにとっての東西ドイツ統一以上に重荷でもあればハンデでもある。「強大になる」どころか、経済的に沈没しなけりゃ見付けモノだ。
さらには③「統一朝鮮成立に日本が鉄道の使用権を主張して妨害」と言うのが全く意味不明だ。「植民地時代の利権」と言うならば鉄道の使用権どころではなさそうだが、鉄道の使用権を主張すると、なんで「統一朝鮮成立の妨害」になるんだぁ?
そんなこんなの結果、日韓両海軍が竹島を巡って対峙ってのは、この「ストーリー」では一番まともな論理かも知れない。だが、その顛末たるや…④「一体韓国海軍は何をどうしてその”気迫”を見せ、我が海上自衛隊を撃退したのか?」。これが陸戦ならば、相手の良く見えるところまで近づいて自刎して、つまりは自らの首を切って見せるとかなんとかやり様もあろうが(*1)。洋上の艦艇同志で、開戦もせずに、どんな”気迫”を見せるんだぁ?(*2)
ひょっとすると上記④の疑問は当該DVDを見れば種明かしされるのかも知れないが…あまり期待できないので、やはり買う気にはならない。訳の判らぬまま海上自衛隊が撤退し、「ウリナラの気迫の勝利ニダ!」とかナントカ言っていそうだから。
閑話休題(それは兎も角)
5> 日本を糾弾する「反日映画」であり、奇想天外、時代考証もいいかげんであきれる所もあったが、
と、当該東京コラム自身が書いている通り、「呆れる所」だらけ(としか思えない)当該映画に、東京コラム氏は以下のような価値を見出したそうだ。
6> 映画の中で、大統領は日本と対抗して南北統一を進めようとするが、
7> ナンバー2の首相は国家の安定と経済発展を優先して日韓関係を絶対に損なってはならないと反対する。
8> 両者の激論が大きなテーマになり、「歴史の正当化と現実の外交にどう折り合いをつけるのか」というメッセージがこめられていた。
つまり南北朝鮮東一が「歴史の正当化」で、南北統一よりも日本との友好を重視するのが「現実の外交」と言う事で、その対立・妥協が問題だ、と言う問題提起であるのがこの映画の価値である、と言う事らしいんだが…半島と東京新聞以外で、こんなロジックが通用するんだろうか。
南北朝鮮は確かに今「分断」されているが、統一されていた時代よりも南北どころかいくつにも分断・分裂していた時代の方が長そうだから、「南北統一は歴史の正当化」かも知れないが、それは「正統と言う事にしてしまおう」というのであり、「正統な歴史」ないし「歴史的必然性」ではない。
さらには、「南北朝鮮統一と日本との友好が、相反する」と言うのが、自意識過剰と言うか、傲慢と言うか…端的に言えば、今この瞬間に南北朝鮮統一が成ったとしても、北朝鮮の核兵器の問題がなければ私は屁とも思わない。先述の通りそれは、経済的に東西ドイツ統一以上の重荷を韓国経済に課すだろうが、好きでするならご随意に、だ。
北朝鮮が開発中の核兵器・核弾頭を統一朝鮮が保有し、核兵器保有国としての統一朝鮮が誕生してしまうのは確かに困る。だがそれは、核兵器保有国だから困るのであって、統一朝鮮だから困るのではない。それで困るのは日本ばかりではなさそうだから、「統一朝鮮から核の牙を抜く」のはそう難事ではないだろう。従って「南北朝鮮統一と日本との友好が、相反する」と言うのは半島の思い込み、としか言いようがない。
であるならば…当該東京コラムが映画「韓半島」に見出した「メッセージ」は、私には全くの頓珍漢としか思えない。
ま、章題にした通り、芸術の価値は受け手が決め、受け手しか決めようがないのだから、東京コラム氏の見出した価値が、私には全くの無価値であっても、異とするには足らないのだが。
<注釈>
(*1) 半島人がそんなことをするなぞ、見た事もなければ、聞いた事もないが。(*2) 一つ考えうるのは、水際立った操艦術を見せ付ける、ってのが考えうるが…人類が我が海上自衛隊を圧倒する操艦術を「見せつける」なんて想像できない。海自の操艦術は、正真正銘掛け値なしに世界一だ。