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 AFP通信が報じるのは、
 ① 福島沖でとれる魚にセシウムなどの放射性物質が検出されている。
 ② その放射性物質濃度は下がっていない。

という、ある意味「センセーショナル」な記事。

 だが、冷静な目で読むというとこの報道記事、隅から隅まで読んでも数字が殆ど出て来ない。

1> 福島沖で獲れた魚介類の40%は日本政府の放射性セシウム基準値に照らして消費用として適さないと試算している。

というのが唯一の数字で、

2> 東北沖で獲れた魚介類の大半は、食べても心配のないレベルのセシウム濃度だったと研究チームは強調している。

とだけは言っているから、東北沖の魚介類に含まれるセシウム濃度は、福島原発事故以前と変わらない数字だった。」可能性さえ示している訳だが、当該記事をそう読む/読める人は少ないだろうな。

3> 「本当に必要なのは、福島沖でわれわれが目にしていること(魚介類の汚染)の原因となっているセシウムなどの放射性物質の出所や、汚染堆積物について、よりよく理解することだ」(ブッセラー氏) 

とも報じられているので、ブッセラー氏の報告は、それ相応に、科学者に相応しく、論理的なものであろうと期待しうるが・・・この記事からは、それは、「仄かな期待」でしかない。

 再三繰り返す通り、放射能/放射線というのは物理現象で、エネルギーの一形態。原発や原爆や原発事故なんてない頃からこの世にあって、人類が滅亡した後だってあるに違いない現象。その人体への影響力を評価するには定量的評価が不可欠で、安全基準は少なくとも一つの指標たりうる。

 「ある/なし」「増えた/減った」だけの定性的評価では、殆ど意味がない。
 
 そんなことは科学者たるブッセラー氏なら当然ご存知で、Scienceに掲載されるほどの論文ならば、当然定量的評価も在るはずだが・・・当該記事にはない。従って、タイトルにしたような、ブッセラー氏に対するかなり失礼な評価にならざるを得ない。

 以前記事にしたWSJ紙報道の方が、「マグロの含有雨放射性物質が3%増えた(だけ)」と定量評価していたから、随分とマシだったな。