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 「超音速降下」と一言で言うが、無動力(無推力)の人間では普通それは不可能である事や、それを可能にする秘密が大気密度の低い超高空から降下する事にある事は、先行記事にしたところ(※1)。
 
 今回報じられているのは、その超高空・実に3.9万メートル上空からの降下で超音速降下に成功した、と言う続報。高度3.9万メートルと言うと、ちょっと普通の航空機では行かれないような高空であるから、利用されたのは気球に吊り下げたカプセル、ある意味「半宇宙船」であり、降下する際の装備も報道写真のように殆ど宇宙服だ。
 だがまあ、先行記事にしたような「スパイク」は不要だったようだね。最高速度で時速1,342㎞に達したというから、秒速に直すと372.8m/s。記事にもある通り、音速と言うのは気温によって変化し、絶対温度の平方根に比例するから、速度だけでは正確なマッハ数は出ない(※2)が、地上の音速が約340m/sであることを考えれば、「372.8m/sの降下」が「超音速降下」である事は、先ず間違いない。
 
 報道の末尾にある通り、
 
〉 (10月)14日は、米国のパイロット、チャック・イエーガー(Chuck Yeager)氏が有人機で初めて音速を超えてからちょうど65年目でもあった。
 
と言うから、報道の通り天候待ちもさることながら、「人類超音速飛行65周年記念日」を狙ったのではあろうが、結果として美事65周年を寿ぐ結果となった。
 
 無論、チャック・イエーガーの超音速有人飛行程の技術的意義は、この超音速降下には見出し得ないが・・・・人類の飽くなき挑戦の一つ。開拓精神あるいは進取の気概の発露と言う意味では、評価すべき事ではあろう。

 前進せよ、人類。
 Menschen Vor!


<注釈>


(※2) 降下しながら気温を計って置けば良かった、と言うのは、超音速降下中の空力過熱による影響を無視している。計るとしたら、降下とは別に、ラジオゾンデか何かで準静的に計らねばならない、筈だ。