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鳩山由紀夫が記者になったら、こんなモノだろうな
さて、如何だろうか。「オスプレイの安全神話」は、崩れただろうか。
「崩れた」と断言できる方は、是非ともその根拠をご教示願いたい。何しろ私の見るところ、この一連の連載記事でも、これに続く「平安名純代のオスプレイは危険だシリーズ」記事を読んでも、せいぜいが「オスプレイには運用制限が付く」としか言って居ない。「構造的欠陥」だの「致命的欠陥」だのと仰々しい言葉を使う「専門家」にも事欠かないが、それら「専門家」の使う「構造的欠陥/致命的欠陥」なる表現は、そのまま「自称”専門家”の専門性欠如=バカ丸出し」の自白になって居る。
まあ、「バカ丸出しの自白」と言うならば、上掲「崩れる安全神話」にも登場しているが。例えば、第二回の主役たるカールトン・マイヤー元海兵隊大尉殿。
②1〉 マイヤー氏は、「ホバリングが制限されるのは軍用輸送機として致命的な欠陥だ」とし、
②2〉こうした事実が公になれば、同機の安全神話が崩れると指摘する。
と、ご丁寧に「オスプレイ安全神話が崩れる」とまで断言されているのだが…「軍用輸送機」と言う翻訳が正しいのならば、軍用輸送機には回転翼機=ヘリコプターも固定翼機もあり、現存する固定翼軍用輸送機では、オスプレイ以外にはホバリング機能がそもそもない(*1)、と指摘せねばなるまい。而して固定翼軍用輸送機はオスプレイ以外に数多あって、今日も昨日も明日も世界中で運用されているのだから、「ホバリングが制限されるのは軍用輸送機として致命的な欠陥」な訳が無いのはあまりにも明らかだ。
そこは翻訳誤りか、前後の文脈など(*2)から上記②1〉で言う「軍用輸送機」は「軍用輸送機全般」ではなく「軍用輸送ヘリコプター」に限定したとしても、やっぱりおかしな話になる。何故ならばヘリコプターには一般的に必ず「ホバリング高度制限」があるからだ。ホバリングと言うのは言うまでもなかろうが、上昇も降下も前進も後退もせず空中の一点に止まる飛行。ヘリコプターや垂直離着陸機でないとできない芸当だが、地面効果と言う奴があるのと高度が高いほど空気が薄くなる事から、「ホバリングできる高度の上限」と言うのが、必ずある。機種によってはホバリング高度制限(上限)が上昇限度=飛行しうる高度の上限に近かったり、あるいはひょっとして合致する機体もあるのかも知れない。また、多くのヘリコプターのホバリング高度制限は相応に高いところにあり、上掲記事②がオスプレイの「ホバリング高度制限」としている「4000フィート」よりも高い。が、この世のありとあらゆるヘリコプターは、軍用輸送ヘリコプターに限らず、「ホバリングが高度で制限されている」事には疑いの余地がない。
故に、ヘリコプターについても「ホバリングが制限されるのは軍用輸送機として致命的な欠陥」な訳が無い。
上掲記事②の主張は、「オスプレイは高度4000フィート以上ではホバリングが制限され、5000ft以上の高度でホバリングしようとして墜落したのが2010年4月にアフガニスタンで発生した墜落事故の原因だ。ホバリングが制限されるのは軍用輸送機として致命的な欠陥だ。」と言う事になろうが、最後の一文については上記の通り「バカ丸出しの自白」。最初の一文(*3)についても「オスプレイのホバリングを高度4000フィート以下に制限する運用制限」すればことは済む。その運用制限は、アフガニスタンのような高地・山岳地での作戦には支障となりえようし、上掲記事②にもある通りそれが「米陸軍オスプレイ不採用の理由」なのかも知れない。
だが、その運用制限を許容するか否かはオスプレイをどう運用するかと言う問題である。極端な話、沖縄で訓練するだけならば、そんな運用制限が支障になろう筈がない。
カールトン・マイヤー元海兵隊大尉殿は、沖縄タイムスにとってあれこれ都合の良い発言をしてくれているようであるが、肝心のオスプレイの安全性については斯くの如し。この第二回連載記事で、「オスプレイ安全神話」は崩れるどころか、掠りもしていない。
記念すべき第一回連載記事上掲①はと言うと、もっと酷い。こちらはドン・ハーベル空軍准将(当時)閣下が主役で、同じくアフガニスタンでのオスプレイ墜落事故調査について「フライトレコーダーが紛失した」「生き残った副操縦士は記憶喪失を主張した」と調査が困難であったことを強調した上で、「主要因をエンジントラブルと結論づけた報告は握りつぶされ、事故原因は「人為的ミス」にすり替えられた。」と糾弾する。
これが単独の記事ならば、まだ良かったのかも知れない。だが連載記事のしかも翌日掲載の上掲記事②と引き比べると、妙な事に気付かざるを得ない。即ち、ドン・ハーベル閣下は上掲記事②に述べられている[1]オスプレイのホバリングは高度4000ft以上では制限される [2]当該事故は高度5000ft以上でのホバリング中に起きた と言う二つの情報の少なくとも片方を「知らない/知らなかった」公算大、と言う事である。
上記[2]が真実である限り、墜落事故の調査委員長たるドン・バーベル閣下がこれを知らないというのは極めて考え難い。墜落地点の海抜高度なんざ地図見れば一発でわかるし、事故発生当時の映像はあると上掲記事①にもあるし、「ティルトローターを上向きにした直後に墜落していた。」とドン・ハーベル閣下自身が語っているのだから。故に、ドン・ハーベル閣下が「知らない/知らなかった」のは上記[1]「オスプレイのホバリングは高度4000ft以上では制限される」の方である公算が極めて高い、としか考えようがない。
上掲記事②のカートン・マイヤー元大尉の主張が正しく、「オスプレイはホバリング高度制限を犯したために墜落した」のならば、上掲記事①のドン・ハーベル閣下の「エンジントラブル説」は誤りであり(*4)、「人為的ミス」との報告書(*5)を選択した軍上層部も正しかったことになる。が、上記[1]「オスプレイのホバリングは高度4000ft以上では制限される 」のをドン・ハーベル閣下が知らなかったのは何故か、と言う事になる。「海兵隊と空軍では仲が悪く、海兵隊だけが知っていた」と言う仮説は、墜落したのが空軍型である事や、海兵隊型と空軍型で「ホバリング制限高度」の数値は違っても、「ホバリング制限高度の有無」までは異なりそうにないから(*6)、どうもありそうにない。
一方、上掲記事①のドン・ハーベル閣下が正しく、アフガニスタン墜落事故の原因がエンジントラブルであるならば、すでに「バカ丸出しの自白(*7)」を為しているカールトン・マイヤー元海兵隊大尉殿は、恥の上塗りをすることになる。また、「オスプレイのホバリング高度制限4000ft」と言うのも、真偽のほどが怪しくなって来よう。
いずれにせよ、上掲記事①、②を通じて「オスプレイ安全神話を崩す」ためには、ドン・ハーベル閣下の方が正しく、「アフガニスタン墜落事故の原因はエンジントラブル」且つ「そのエンジントラブルは、オスプレイの構造的欠陥」でなければならない。先述の通りカートン・マイヤー元大尉の「オスプレイ安全神話崩壊説」は「バカ丸出しの自白」でしかないから。然るに平安名純代記者は上掲記事②にて・・・
②3〉 同事故の調査委員長を務めたドン・ハーベル氏は、報告書のなかで、パイロットの操縦ミスの可能性を否定。
②4〉 主要因をエンジントラブルと結論づけたものの、ホバリングとの関連については指摘していなかった。
と、ドン・ハーベル閣下には触れるのみ。カートン・マイヤー元大尉の「オスプレイ安全神話崩壊説」(即ち「バカ丸出し自白」)に飛びついた格好に見えるのだが、だとしたら前日に掲載した自分の署名記事しかも連載の前回と言うのは、一体なんだったのだ。
<注釈>
(*1) VTOL輸送機って、計画は昔あったと思うが実用化していない。
(*2) その「前後の文脈」は殆ど上掲記事②からは読み取れないが・・・(*3) それが、完全に真実だ、と仮定しても。(*4) オスプレイのエンジンが高度4000フィート以上では推力不安定になるなんて特性があり、これによってホバリング高度制限があるなんてことがない限り、だが。(*5) それは、全くの捏造でない限り、ドン・ハーベル閣下以外の調査が実施されていたことを示す。尚且つ、このケースでは、そちらの調査の方が「正しかった」と言う事であり上掲記事②の「上層部は、ハーベル氏の調査能力をあからさまに疑問視する態度をとり、パイロットたちのなかにもそうした見方に同調する者も多かったという。」の軍上層部やパイロットたちは「正しかった」と言わざるを得まい。(*6) なおかつ海兵隊側が、「空軍型にだけホバリング高度制限がある」と知っている可能性は相当に低いから、(*7) 先述の通り、その自白には本墜落事故の原因が何であるかは、関係ない。